魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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遅くなりました!
なんか最近忙しい上に、今回の話は難産でした。
それではどうぞ


ティアナルート 第三十二話

『Shoot』

 

キョウのデバイスから撃ちだされた魔力弾がガジェットを貫き、さらに数体のガジェットのコアを砕いた。

爆発するそれらを傍目に次の標的に照準を合わせるが、その照準を躱すような機動を取ったガジェットに首を傾げる。

 

「なんだ……?」

 

ガジェットの動きの変化を疑問に思いながらも、すぐに修正し魔力弾を発射。

今までと同じように、狙いをつけたガジェットを撃ち抜くはずだったそれは、別のガジェットからの砲撃に叩き落された。

 

「何……ッ!?」

 

魔力弾を撃ち落す、などというただの機械であるガジェットがやったことに驚く。

魔力弾を撃ち落したガジェットを一発ではなく、三発の魔力弾で三方向からの射撃で撃ち落とし、周囲を見回す。

 

「どういうことだ……?」

 

彼の視界に映ったのは、今までの動きなどとは比べ物にならないガジェットだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「でぇぇいッ!!」

 

同時刻、ゆりかごの動力炉を目指して通路を進むヴィータもまた、ガジェットの変化に気が付いていた。

だが、今の彼女にはそのことを考えている暇も理由もなかった。

振り下ろされたグラーフアイゼンが、ガジェットⅣ型の鎌を打ち砕く。

 

(反応が早くなってやがる……がッ!)

 

「それがどうしたッ!!」

 

『explosion』

 

アイゼンに魔力が送られ、その姿を変え、後部にブースターが、先端にスパイクが展開される。

 

「悪いが、てめえらにこれ以上時間かけられねえ。

 速攻でぶち抜くッ!」

 

ヴィータは、雄叫びを上げながら、ガジェットの中へと飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

「クッ……!」

 

迫りくる拳をレイジングハートで受け流す。

だが、ヴィヴィオは受け流された勢いのまま回し蹴りを放ってくる。

それを咄嗟に張った障壁で受け止めるが、魔力によって強化された蹴りはなのはの身体を容易く吹き飛ばした。

 

「ヴィヴィオ……!

 お願い……、目を覚まして……ッ!!」

 

「目標、依然抵抗の兆し有り。

 戦闘パターンSにて排除行動続行」

 

「ヴィヴィオッ!!」

 

 

 

 

 

 

「どういうことよ、これはッ!?」

 

彼女がそれに気づくのは必然だった。

ゆりかごの中心部、システムの根幹をなす部屋。

そこでクアットロはゆりかご内部と周辺のガジェットの操作を担当していた。

だが、それが彼女の制御を離れた。

具体的に言うと、なのはが玉座の間に突入した直後から。

 

ヴィヴィオ(陛下)の身体情報が更新されて……!

 システムエラーッ!?」

 

クアットロは鍵盤型のキーボードを目にもとまらぬ速さで叩き、様々な情報が映し出されるモニターを凝視した。

そして、一つの結論に至った。

 

「ゆりかごのシステムが、陛下の意識を操ってる……!?」

 

その考えに至った直後、彼女は自分のとるべき行動を始めていた。

 

「そう言うこと……!

 いいわ、やってやろうじゃないの……ッ!!」

 

彼女は、かけていたメガネを取り、目の前に浮かぶモニターに集中する。

クアットロの誰にも知られることのない戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

スカリエッティは椅子に座りながら、部屋の扉が叩き切られるのを見て笑みを浮かべ拍手を送る。

 

「スカリエッティ……ッ!」

 

「ブラボーだよ、フェイト・テスタロッサ君?

 僕の予想よりも数分早かった」

 

スカリエッティは扉を切り裂いたフェイトに向けてそう告げるが、フェイトはスカリエッティに警戒の視線を向けるだけで何も答えなかった。

そんな彼女に対してスカリエッティは肩を竦める。

 

「さて、せっかくご足労いただいたところ悪いけど、少し話を聞いてもらうとしよう」

 

「……話なら、然るべき場所で話してもらう!」

 

フェイトはバルディッシュを構えてスカリエッティに向けて飛び出すが、スカリエッティが指を鳴らすと同時に、彼女のすぐ真下から真紅のエネルギーで構成された縄が彼女とバルディッシュを絡め取る。

 

「私は話を聞いてくれ、と言ったんだよ。

 すぐに終わるから、そこでじっとしておいてくれ」

 

フェイトが縄をほどこうともがくが、さらに追加で彼女の身体に縄が巻き付く。

 

「くッ……!」

 

「さて、ようやく落ち着いて話すことができる。

 おっと、その前に……」

 

スカリエッティがモニターの一つをフェイトの方へと飛ばす。

フェイトは目の前に差し出されたモニターを怪訝な表情で見つめるが、そこに映っていた内容を理解すると同時にその顔には驚きが浮かんでいた。

 

「これは……!」

 

「さすがは現役の執務官。

 一目見るだけで理解するとはね」

 

「どういうことだ、スカリエッティ……ッ!」

 

フェイトは目の前に座る男と、今まで自分が追ってきていた人物。

その二つが同一のモノだとは思えなくなっていた。

 

「これに載っていることは……!」

 

「すべて、本当のことだ。

 この十数年、私が突き止め、潰してきた違法研究所の場所、研究目的、成果。

 そのすべてのデータだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たか、ゼスト」

 

「アポなしですまんな、レジアス」

 

一方、地上本部ではレジアスとオーリス、オーリスの補佐役である女性が来るべき来客を待っていた。

そして、司令室の扉がゆっくりと開かれ、ゼストとアギトが部屋へと入ってきた。

最も、レジアス自身が彼と会うつもりでいたため、ゼストたちは抵抗という抵抗を受けずにすんなりと司令室までたどり着くことができた。

 

「お父さん……!」

 

「オーリス、少し待て」

 

レジアスは、今にも飛び出しそうなオーリスを制する。

 

「オーリスは、お前の副官か?」

 

「あぁ、優秀だよ。

 それで、ここに来たということは」

 

ゼストはアギトを下がらせて、レジアスの前まで歩いて行く。

 

「俺が聞きたいことは一つだけだ。

 お前の正義は、どうなっている」

 

「私の正義は今も昔も変わらん。

 ミッドの平和を守る、それだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し、昔話をしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッドチルダとは別の世界。

そこに一人の男がいた。

男は、一言でいえば天才だった。

一を聞くことで十を身に着ける。

そんな男だった。

そんな彼には一つの望みがあった。

 

『人の役に立ちたい』

 

ごく普通の願いだった。

そして、男はその願いを叶える。

初めて世に出したものは、所謂介護用の補助機械だった。

男は、自分の作ったモノが、人の役に立ち、喜びの声を上げさせることができたことがうれしかった。

 

男は、見ず知らずの他人の喜びの声を聞きたいと次々に新たなものを作り出した。

そして、そのすべてが多かれ少なかれ、笑顔を生み出していた。

 

だが、いつの世にも、人の笑顔を作れるものを悪用する者はいた。

男の創りだした介護ロボットは、自立兵器のもととなり、伝染病の予防のためのワクチンは、化学兵器へと転用された。

 

男の創りだしたものが、人々から笑顔を奪う。

それでも、彼はモノを創り出すことをやめなかった。

笑顔が見たいから。

それだけの理由で、様々なものを創り出す。

 

しかし、彼は知ってしまった。

自分のいる世界。

それとは別の世界があるということを。

そして、それを遠くない未来、この世界の人々が見つけるであろうことも。

 

すでに、彼の世界には破滅が広まっていた。

そして、その破滅の波は放っておけば、世界の壁を超える。

 

彼は一つの決断を下す。

 

多くの世界を守るために世界を壊すことを。

 

彼の目論み通り、世界は滅びへの道を一気に駆け降りた。

彼はその世界の技術が外へと漏れ出さないように、狭間を作り上げる。

そして、その罪を受け入れ、その生涯の幕を下ろした。

 

 

 

 

 

だが、人というものは彼の想像以上に欲が深かった。

彼が作り出した狭間を超えて、その世界に降り立つ者がいた。

そして、彼の遺伝子情報を入手し、新しい彼を創り出したのだった。

 

 

 

 

 

「まぁ、彼らにとって、予想外だったことは、彼の記憶にこびりついたものだろうね」

 

 

人の笑顔を守る。

現代によみがえった彼――――ジェイル・スカリエッティの根っ子にあるもの。

それだけが、彼を突き動かしていた。

 

「だが、私にも失敗はあった」

 

 

 

 

 

「お前たちが突入した違法研究所。

 あの時、その場所でスカリエッティの生み出した戦闘機人とガジェットの性能試験という名の研究所の破壊が行われていた」

 

「どういうことだ……?」

 

「私がお前たちの隊の行動を押さえようとしていたのは、お前たちが調べ上げた場所のほとんどが、スカリエッティが潰す予定の研究所だったということだ」

 

 

 

七年前、ゼスト率いる首都防衛隊の全滅。

その真相は、研究所での破壊活動を行っていたガジェットが、突入してきたゼスト隊の隊員を攻撃目標だと誤認したためだった。

攻撃を受けた局員は、すぐさまガジェットへの迎撃を開始。

だが、高濃度のAMFの中でまともに戦える魔導師はその当時はほとんどいなかった。

結果、ゼストをはじめとしたゼスト隊は、その時別任務での怪我の治療で隊を離れていたミルズを除き全員がMIAと判定された。

 

 

 

「じゃぁ、スバルやギンガのお母さんたちは……!」

 

「私のミスだ。

 彼らが突入してきた直後に、ガジェットの緊急停止を行ったが、間に合わず、命に関わるほどの傷を与えてしまった。

 今は、別の世界で治療し終えているところだ。

 もっとも、それで償いができるとは思っていないがね」

 

「…………スカリエッティ、いくつか聞かせてもらう。

 あなたの目的はいったい何だ?

 ヴィヴィオを攫い、ギンガを狙った理由は?」

 

「単純な話だよ。

 君たちが保護した少女。

 ヴィヴィオと言ったかな。

 彼女の身体が酷く不安定だったためだ」

 

「不安定……?」

 

「プロジェクトF。

 彼女はそのなりぞこないの研究で生み出されたんだ。

 だから、その身体は普通の人間以上に脆い。

 下手をすれば、十年も生きられない身体だったんだ」

 

「そんな……!?」

 

「だから、レリックと聖王のゆりかごが必要だったんだ。

 聖王のゆりかごは、その名の通り、聖王をコアとして起動する兵器だ。

 だからこそ、ゆりかごは聖王の身体を万全なものに整える機能がある。

 その機能を使えば、ヴィヴィオの身体も直すことは可能だった」

 

「それじゃあ、ヴィヴィオは……!」

 

「恐らく、高町なのはが救い出していれば大丈夫なはずだ。

 さて、次に、ギンガ・ナカジマの方だが。

 君は、彼女とスバル君が戦闘機人だということは知っているだろう?」

 

「あぁ……」

 

「なら、ギンガ君が始まりの戦闘機人だということは?」

 

スカリエッティの言葉に対してフェイトは首を横に振る。

 

「彼女は、戦闘機人として初めてまともに生きることができた初めての個体なんだ。

 スバル君をはじめ、僕の娘たちも彼女のデータを基に生み出された。

 だけど、それは裏を返せば彼女は……言い方は悪いかもしれないが、『試作機』ということなんだ」

 

「試作機……?

 それがなんでギンガを攫おうとした理由になる?」

 

「試作機ってのはね、どこか不具合がないかなどの問題点を見つけるために作られる物だ。

 そして、彼女にもごくわずかだが、その欠陥が見つかった。

 小さいものだが、それが原因でギンガ君の全身に負担がかかって、彼女の人としていられる時間はほとんど残されてはいなかったんだよ」

 

「なッ……!?」

 

フェイトは彼の言うことに、言葉を失う。

つまり、今も戦闘中のギンガは、無理しているということなのか?

そんな考えが彼女の頭に浮かんだとき、スカリエッティは静かに、だがしっかりと答えた。

 

「心配しなくてもいい。

 本当は彼女の身体を直接治療するつもりだったんだが、それは止められてね。

 腹案として考えていた、管理局で僕が一目置いていた人物にそれを頼んでおいた。

 彼が私の送ったデータをちゃんと見てくれたならば、彼女の身体については心配ないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前はなぜスカリエッティと手を組んだ?

 奴が、たとえ違法研究所を潰しまわっていたとしても、犯罪者として手配されていたことはお前も知っていただろう?」

 

「簡単なことだ。

 奴と直接会って、奴の目が嘘を言っていたなかった。

 それだけのことだ」

 

それに、と言葉を続ける。

 

「奴が昇華させた戦闘機人のシステムは、他にも応用が利く」

 

「どういうことだ……?」

 

「お前も地上の局員として働いていたなら分かるだろう?

 地上の戦力は本局に比べて少ない。

 それを無理して回しているんだ。

 局員の中から腕や足を失う者も多く出ている。

 そんな連中に、対してトップとしてやれるのはそう言うことだけだ。

 戦闘機人としてではなく、義手義足の代わりとして奴に作らせてもいる」

 

レジアスの言葉に覚えがありすぎるゼストは、彼女の答えを聞いて深くうなずいた。

彼女の言ったことは、彼にとってもどうにかしてやりたいと思っていたことでもあったからだ。

 

 

 

 

 

 

「スカリエッティ、貴方の目的はいったい……?」

 

「最後に聞かせろ、レジアス。

 お前の正義とはいったい何だ?」

 

 

 

 

「決まっているよ。

 人々の笑顔を守る。

 それだけだよ」

 

「ミッドの平和だ。

 私の正義は最初から最後までそれ一つだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(アレ……?

 そっか、あたしは……スバルに負けたんだ……)

 

ノーヴェは水の中にいるような浮遊感の中で、ぼんやりとした意識の中でそう考える。

 

(人として、か……。

 あたしは焦ってたのかな……?)

 

ノーヴェは一人、考える。

彼女にとっての、思い人である彼に言われたことを。

 

(まぁ、ドクターの目的はほとんど達成したも同然だし。

 ゆっくり考えていけばいいか……)

 

ノーヴェは、自分の意識が深いところから浮き上がるのを感じる。

そして、彼女の視線の先に、明るい光が照らし込む。

 

(まったく、スバル(あいつ)には気付かされてばっかりか。 

 帰ったら、礼ぐらい言わないと……)

 

そして、彼女はそれに手を伸ばした。

 

―――ドロリ―――

 

(―――ッ!?)

 

そして、彼女腕に、何かが巻き付いた。

それは熱く、苦しいという感覚を、ノーヴェの脳に直接叩き込んでくる。

 

(な、んだよ、これッ!?

 く、そッ!!

 離れろ……ッ!!)

 

ノーヴェは腕を振るい、それをはらい落とそうとした。

だが、それは彼女の腕から離れるどころか、腕を伝って、肩、胸、足と広がり、そして彼女の顔にまで達しようとしていた。

 

(熱い、苦しい、熱い、苦しい、熱い熱い熱いアツいアツい熱いアツイアツツアツ―――――ッ!!)

 

彼女の思考はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ほとんどセリフでしたね……。
さて、今回はスカリエッティとレジアスの暴露話。
彼らの考えていることを全部出したんですが、どこか無理があるかもしれません。
まあ、そこは原作愛でってことで。

ゆりかごが聖王の身体を云々のところはオリジナルですので悪しからず。


そろそろクライマックスに向けて走り出したいんですが、リアルで忙しくなるので更新は少し遅くなるかもしれません。
ご了承ください。
それではまた!
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