魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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三日連続ッ!!
イブだというのに一人で更新です。
メリークルシミマスッ!!


それではどうぞ!!


ティアナルート 第三十八話

小さい振動が続くゆりかごの中を、はやてとリインは彼女たちが出せる最高速度で飛翔していた。

動力炉を破壊した後、応急処置を行ったヴィータを突入部隊に引き渡した後、彼女たちは玉座の間を目指していた。

 

「リイン、あとどのくらいや!?」

 

「玉座の間まであと300です!」

 

「なら、急ぐ……なんやッ!?」

 

はやてたちが曲がり角を曲がった直後、ゆりかごを今までで一番大きな揺れが襲った。

飛翔しているはやてたちまでもがその震動に驚き、動きを止めるほどの強い揺れだった。

 

「今のは!?」

 

「玉座の間からゆりかごの中枢に向けての大魔力砲撃です!

 多分……」

 

「なのはちゃんやろうな……!

 急ぐで、リイン!」

 

「はいですッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのはちゃんッ!!」

 

「大丈夫ですかッ!?」

 

玉座の間に辿り着いた二人は、扉をぶち抜いて中に突入する。

だが、彼女たちの目に映ってきたのは想像していたものとはかけ離れた光景だった。

 

「ちょっと、いきなりぶっ放すなんて聞いてなかったんですけど……ッ!」

 

「いや、でもあのタイミングじゃないと貴女に当たらないで全部撃ち落すことできなかったし……」

 

「だからって、あんな大出力じゃなくてもいいでしょう!?

 ほら、これッ!

 ウェンディちゃんに無理言って借りてきたのに粉々ッ!!

 帰ったら絶対文句言われますよ!?」

 

「あ、あはは~……(面倒くさいなぁ、もう……)」

 

まず目にするのは、壁にあいた巨大な穴。

そして、その近くでなのはに詰め寄るクアットロと、その傍で座って彼女たちの様子を見ているヴィヴィオ。

 

「な、なんやこれ……?」

 

「さ、さぁ?」

 

彼女たちの言葉にツッコミを入れる者は誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

浮かび上がる感覚とともに、ノーヴェは自分の意識が戻り始めているのを感じていた。

夢を見ているときのような浮遊感を感じながら、ノーヴェはゆっくりと目を開いた。

 

「ッ、ノーヴェ!!

 よかったっす、目が覚めたッすね!!」

 

「……ウェンディ……?」

 

意識が戻って最初に見るのがウェンディ(こいつ)か、とも思わないノーヴェであったが、彼女であったことはノーヴェにとってはありがたかった。

これがスバルだった場合には今までの想いと、先ほどまで自分の意識とは関係なしに彼を傷つけていた罪悪感で彼女の頭はぐちゃぐちゃになっていたとノーヴェは確信できていた。

 

「どうなって……?」

 

「スバルっちとティアナっちにボコボコにされたッスよ。

 で、肉体の方を強制的にシャットダウン。

 あとはノーヴェの意識が戻るのを待つだけだったってところっす」

 

「そうか……」

 

ノーヴェはそう言って起き上がろうとするが、彼女の身体を激しい痛みが襲った。

痛みに悶える彼女を見たウェンディは慌てて彼女を寝かせる。

 

「まだ寝てなきゃダメっすよ!

 さっきまで限界超えてたんだから!!」

 

「……そうだったな……」

 

ノーヴェのどこか気の抜けた返事にウェンディはため息を吐いた。

 

「ハァ……。

 そうだ、スバルっちから伝言っすよ。

 『まだ仕事が残ってるから、話はそれが終わってからだ』だって。

 それまでここで大人しくしてるッすよ」

 

「あとから、か……。

 わかったよ」

 

ウェンディから、スバルの言葉を受けたノーヴェは降下してくるヘリの音のする方に意識を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「スバルさん、ティアナさんッ!!」

 

「おぉ、エリオにキャロ。

 大丈夫だったか?」

 

「はいっ!

 お二人も無事だったんですね?」

 

「まぁね。

 さて、これからのことなんだけど……」

 

スバルとティアナは、フリードに乗って合流したエリオとキャロに今後のことを話そうとしたが……

 

「これがヴォルテールか……。

 映像では見たけど……」

 

「デカいな……」

 

フリードの後をゆっくりとついてきたヴォルテールに目を奪われて話どころではなくなっていた。

それもそうだろう。

魔導師としての経験はエリオたち以上の二人だが、ビルの高さよりもでかい竜など相対する機会等はなかったのだから。

いつまでもそのデカさにあっけにとられていそうな二人だったが、ヘリの音に意識を引き戻された。

 

「おう、新人ども!

 そろってるなッ!」

 

「ヴァイスさん、どうしたんですか!?」

 

ヘリの後部ハッチから飛び降りたヴァイスは彼らのもとに走ってくると、すぐに要件を口にした。

 

「ロングアーチからだ。

 なのはさんと部隊長、リイン曹長からの通信が途絶えたらしい。

 突入部隊の話だと魔力の結合が不可能なほどのAMFがゆりかごの中に張られたらしい。

 そこで……」

 

「私たちに白羽の矢が立ったってわけですか」

 

「その通りだ。

 それと、ライトニングの二人はスカリエッティのラボに向かってくれ。

 フェイトさんがスカリエッティの確保には成功したが、ラボの外にはガジェットどもがうようよしてるらしい」

 

「「はいっ!」」

 

二人が返事をした後、ヴァイスはまたすぐにヘリの中へ戻っていく。

 

「あの、スバルさん、ティアナさん」

 

「ん?

 どうした、エリオ」

 

エリオから呼びかけられた二人はエリオとキャロの方に視線を戻した。

 

「あの、ゆりかごの中で気を付けてください……。

 魔力の結合ができない空間では魔導師はほとんど無効化されますし……」

 

「大丈夫だ。

 俺はいざというときの戦闘機人モードもあるし」

 

「私たちの本職はむしろ救助活動(こっち)よ。

 アンタたちに言われなくてもわかってるわよ。

 それに、危ないって言ったらそっちも同じでしょ?」

 

「は、はい……」

 

むしろ直接戦闘が行われるというところではエリオたちの方が危険でもあるのだ。

ガジェットの数は不明、司令塔であるティアナと切り込み隊長であるスバルを欠いた状況での戦闘はライトニングにとっては少々荷が重いところもある。

 

少し緊張気味の二人を見たスバルは一息つきながら右腕をティアナの肩に腕を回し、左腕でエリオとキャロを近くに引っ張り込こむことによって、四人は顔を突き合わせる形になる。

 

「いいか、俺たちは今までずっと一緒だった。

 だけど、これからもずっと一緒ってわけにはいかない。

 今回はその練習だ。

 しっかりやることやって、全員でまた顔を合わせるぞ?

 今度はなのはさん達も一緒にだ」

 

「えぇ」

 

「「はいっ!!」」

 

 

 

 

 

 

緊張もほぐれた二人が、フリードに乗ってラボの方へと向かうのを見送ったスバルは、シャマルに肩を借りながらヘリを降りてきたギンガと話していた。

 

「姉貴、大丈夫なのか?」

 

「ちょっと無茶しすぎたかな?

 肩のジョイントが壊れちゃった……」

 

アハハと、苦笑しながら頭を掻くギンガ。

そんな彼女をスバルは心配そうな表情で見つめる。

 

「そんな顔しないでよ。

 ほら、スバルにはまだ仕事があるでしょう?

 これ持っていきなさい」

 

「は……?」

 

スバルは、ギンガの左手から渡されたものを見て驚きの声を上げる。

その手には、ブリッツキャリバーが置かれていた。

 

「姉貴、これ……」

 

「言っておくけど、貸すだけだから。

 ちゃんと帰って返しなさいよ?」

 

「……おぅ」

 

 

 

 

 

 

「よし、二人とも乗ったな。

 アルト、いいぞ!」

 

『了解ッ!』

 

二人が乗り込むと、すぐにハッチが閉じヘリが上昇を始めた。

上昇の際の揺れを感じながら二人はヘリの中にあるものを見て言葉を失っていた。

 

「あの、ヴァイスさん……?

 これは?」

 

「……お前さんの担当からの贈り物だと。

 ほれ、通信」

 

「わっ……!」

 

スバルは目の前のものを見て、頬を引き攣らせながらヴァイスに尋ねた。

それに対して、ヴァイスもまた呆れながら答え、彼に通信機を投げ渡した。

投げられた通信機を落とさずにキャッチしたスバルはそのモニターに映る人物を見てなるほどと納得してしまった。

 

「あの、博士。

 これは?」

 

『前に話したと思うけど、レジアス中将直々に却下された実験兵装だよ。

 よくできてるだろう?』

 

「博士、二、三言、言わせてもらってもいいですか?」

 

『なんだね?』

 

スバルはモニターに映る人物―――サカキに対して思ったことをぶちまけた。

 

「なんでハンマー……?」

 

『実益とロマンを兼ね備えた素晴らしいものだよ?

 何、ちょっとサイズが大きくて推進器付きの金槌さ。

 何の問題もないよ』

 

「ちょっと!?

 この人一人分はありそうな大きさがちょっと!?

 それにふつう金槌に推進器はついてませんよ!?」

 

『まぁ、まぁ。

 確かに推進器は不味かったね。

 だけど、今回はありがたいだろう?』

 

サカキの言葉に首を傾げるスバル。

理解していない彼に向けてサカキは事実を突きつけた。

 

『すでにゆりかごの突入口のいくつかは塞がれてる。

 幸い突入部隊の脱出は終えていたけどね。

 それで、今君たちがいる地点から、ゆりかごの内部に入るための入口はないんだよ』

 

「つまり、これでゆりかごに穴開けて入り込めと……?」

 

『その通り。

 ちなみにこの『ハイブーストハンマー』は、そう言ったことを目的に作られた面もあるから、ビンゴなのさ』

 

「ムぅ……」

 

彼の言い分にも一理あることを理解しているスバルは何も言い返せなかった。

そんな彼に向けてサカキは静かに語り掛けた。

 

『これは、君たちにちゃんと帰ってきてもらえるようにという僕からのお願いでもあるんだ。

 僕は君たちという星をまだまだ観察し終えていないからね。

 ちゃんと帰ってきてもらわなければ困るんだよ』

 

いいね?と念押しされるスバル。

いつもの彼と違い、真剣な表情の彼に対してスバルは頷いた。

 

『それと、それはもう今回だけの使用だから、ブッチギリの最大出力に設定しているよ! 

 注意してね』

 

「うおぃッ!?」

 

最後の最後でいつも通りのサカキの言葉に驚きの声を上げたスバルだった。

 

 

「あ、これすごく状態がいい……」

 

その頃、ティアナはそんな彼を放っておいて、ヘリの奥に鎮座していたバイクの状態を確認していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




畜生、なんでクリスマスなのに補講が入るんだよ……。
そんなプレゼントいらねえよ……。

さて、いよいよ最後の見せ場に近づいてきました!!
連続更新もこれで終わりになると思いますが、年末までの完結に向けて頑張っていきます!!
それでは!!
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