魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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最後の連続更新です。
それではどうぞ。


ティアナルート 第三十九話

ヘリの中から外を見ていたスバルがぼそりと呟いた。

 

「見えた……」

 

未だに多くのガジェットと魔導師が戦闘を繰り広げている中、船体の多くの部分から煙を上げながらも悠然と飛行する船、聖王のゆりかご。

それを見つめながらティアナは気を引き締める。

 

「あそこになのはさん達が……」

 

「あんなデカい船が仕事場になるなんて思ってもいなかったな」

 

「そうね、今までもキツイ現場はあったけど、今回よりはマシだったかもね」

 

超ド級の船体を前にしても、おびえることなく話している二人を見て、ヴァイスは一つため息を吐いた。

 

「ベテランの雰囲気出しやがって、頼もしすぎじゃないかお前ら」

 

「これでも二、三年レスキューとしてやってましたから」

 

「ある意味機動六課(いま)よりもキツイ場所でしたからね」

 

二人はそう言って不敵に笑みを浮かべる。

遺失物管理課とレスキューではその役割が違いすぎる。

主にロストロギアの暴走を未然に防ぎ管理するための機動課と、事故現場における救命行動を任務とするレスキューでは現場の雰囲気も違ったものとなる。

同じ人命を救うという点においては違いはない。

だが、レスキューにおいては、間に合わない場合もある。

二人も例外ではなかった。

それでも、心折れずにやってきた二人は、確かにベテランと言ってもいい貫録を身に着けていた。

 

「それでこそだな。

 アルト、できるだけ近づけ!!」

 

『やってますけど……ッ!』

 

ヘリの後部ハッチを開き、ヘリの中から近づいてくるガジェットを狙い撃つヴァイスが、アルトにそう叫ぶが彼女は慎重にならざるを得なかった。

近づいてくるガジェットは、すでにヴァイスの迎撃をかいくぐるものも多くあった。

それでもヘリが撃墜されていないのは、単にアルトの操縦技術のおかげでもあった。

 

「くそっ、このまま間に合わないぞ……ッ!!」

 

ヴァイスが苦虫を潰したような表情でそう愚痴る。

ティアナが自分も迎撃に回るといったとき、彼はそれを却下した。

これから救助活動を行おうとする者が疲労していては話にならないからだ。

 

「どうにかして道をつくらねえと……ッ」

 

「なら、その役目は我らが担おう」

 

近づくガジェットを撃ちぬきながらそう呟く彼が見たのは、紫色の魔力と炎がヘリの周囲にいたガジェットを焼き尽くすところだった。

 

「あ、姉さんッ!!」

 

「「シグナム副隊長ッ!!」」

 

三人が見たのは、炎の翼を背にしたシグナムの姿だった。

 

「アレ、でもその格好は……?」

 

「なに、ちょっとした助っ人が来たんだ。

 それより、ガジェットをどうにかすればいいのだな?」

 

『あ、はいッ!

 道さえ開ければあとはこちらから突っ込みますッ!』

 

「心得た」

 

ヘリのコックピットから外部通信でアルトがそう告げると、シグナムはヘリよりも少し上空に昇った。

 

「というわけだ、アギト。

 何かいいものはないか?」

 

『あるよ。

 あたしだけだと使いきれなかったとっておきが。

 アンタとレヴァンティンと一緒ならやれるッ!』

 

シグナムは、自分の中にいるアギトの自信たっぷりな言葉に笑みを浮かべる。

 

「そうか、ならば見せつけてやるとするか。 

 我らの力をッ!」

 

『応よ!!

 コード送信……ッ!』

 

『コード受諾』

 

アギトから魔法のデータを受け取ったレヴァンティンがその姿を剣から弓へと変化させる。

そして、シグナムの背中から大量の炎が噴き出す。

彼女の足もとに、炎で構成された魔法陣が現れる。

 

『Phantom Phoenix』

 

レヴァンティンの声が響き、炎がシグナムを包み込む。

だが、彼女にはその炎が自分を優しく包み込むのを感じていた。

 

「飛べ、ファントムフェニックスッ!!」

 

彼女が限界まで弦を引き、そして放った。

放たれたそれはは、炎を纏った鳥の姿を顕現した。

それは、彼女の本来持つ魔法『シュツルムファルケン』と同様に鳥の姿を模していたが、それ以上の焔を身に纏っていた。

そして、そのままガジェットと魔導師の戦っている場に突っ込むと、炎はガジェットのみを的確に破壊し、消えていった。

 

「今だ、アルトッ!!」

 

『了解ッ!!』

 

シグナムの言葉と同時に、ヘリはすぐさま加速し切り開かれた道を駆け抜けていった。

その姿を見送ったシグナムは周囲に現れたガジェットを切り捨てた。

 

「さて、我らはこのままここ足止めだ。

 いいな?」

 

『応よッ、烈火の剣精の力、見せてやるぜッ!!』

 

「その意気だ。

 行くぞッ!!」

 

アギトの頼もしい声とともに、シグナムは群がるガジェットの中へと飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、ポイントに到達だ!!

 行って来い、二人ともッ!!」

 

「了解ッ!!」

 

「ウィングロードっ!!」

 

ウィングロードがギリギリ届く場所までやってきたヘリの中から、スバルが道を呼び出しその上を駆けていく。

そのあとをバイクに乗ったティアナが遅れずに飛び出した。

ウィングロードの上を走るスバルには、ゆりかごの船体のどこを破壊すればいいのか、それが見えていた。

そして、彼は左手に姉から託されたリボルバーナックルを装着する。

 

「行くぞ、マッハキャリバー」

 

『了解です、相棒』

 

スバルの言葉に、マッハキャリバーが答える。

そして、彼の目の前に、マッハキャリバーの中に格納されていた『ハイブーストハンマー』が現れる。

 

「コネクトッ!!」

 

『Drive ignition』

 

スバルは躊躇いなく巨大なハンマーの柄につけられた、コネクターに右腕を突っ込む。

マッハキャリバーの声とともに、突き入れられた右腕のリボルバーナックルの歯車状のパーツ『ナックルスピナー』が唸りを上げる。

ナックルスピナーが回転数を上げると、ハイブーストハンマーに取り付けられた推進器が火を噴きだし、その力を推進力へと変える。

 

「ブーストッ!!」

 

スバルが叫び、その身を推進力のみで前へと進む。

ウィングロードがゆりかごとぶつかり、それ以上先へ道は続かない。

だが、スバルにとっては関係なかった。

道がなければ、作り出すだけ。

 

「ブチ貫けぇぇッ!!」

 

自分を鍛え上げた副隊長の動きを頭の中で思い出し、自分の身体で再現する。

スバルが振り抜いたハンマーは、ゆりかごの船体を大きく揺るがした。

船体と接触した直後、ハンマーの中である機構が動作し、ハンマー内部で圧縮された空気の塊がハンマーの先頭を打ち出した。

打ち出された先頭は、ゆりかごの壁を打ち抜いた。

 

「ティアナッ!!」

 

「わかってるわよッ!!」

 

開けた穴から、スバルとティアナはゆりかごの内部に飛びこんだ。

内部に侵入した直後、スバルの足もとまで伸びていたウィングロードが消滅する。

 

「本当に魔力の結合ができない……ッ!」

 

「気にするな、最初からわかってたことだ。

 行くぞっ!!」

 

「えぇ……ッ!!」

 

スバルは右腕から使用不可能となったハイブーストハンマーを切り離し、ティアナとともに玉座の間を目指して走り出した。

だが、しばらくすると、ゆりかごの防衛機能が彼らを敵性体と認識し迎撃を始める。

スバルは魔法が一切使えないティアナの盾となるために、バイクよりも先を走り防衛砲台を潰していく。

 

「スバルッ!!」

 

「でぇいっ!!」

 

防衛砲台の数は多くはないため、スバルが前に出るだけでティアナへの攻撃が減っていく。

 

 

「スバル、前!」

 

「あれはッ!」

 

さらに進むと、彼らとは別の場所からゆりかごに侵入していた突入部隊の局員たちの姿が見えてきた。

そして、その中に彼らが見知った人物がいるのに気付くと、スバルは声を上げて彼女の名前を呼んだ。

 

「ヴィータ副隊長!!」

 

「スバル、ティアナ!?」

 

彼女―――ヴィータはボロボロの身体にも関わらず、突入部隊への攻撃を行っていた防衛砲台を片っ端から潰している最中だった。

そんな時、彼女の耳に聞こえてきたスバルの声に驚きの表情を浮かべながら彼らの方へと視線を向けてきた。

 

「なのはさんと部隊長の救助に行ってきます!!」

 

「あとは任せてくださいッ!!」

 

「あ、おい……!!」

 

ヴィータが彼らに声をかけようとするが、そんな暇もなく彼らは彼女の横を走り去っていった。

 

「あいつら……」

 

過ぎ去っていく二人の背中を見て、ヴィータは、頼んだぞ、二人とも……と静かに胸の中でエールを送った。

 

「おら、さっさと脱出準備だ。

 あとはあの二人に任せてこの船から出るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆりかごの阻止限界点まであと40分!」

 

「次元航行部隊の到着はまであと何分だ!?」

 

「あと5分ッ!!」

 

「間に合わせるッ!!」

 

二人はタイムリミットまであと少しという状況の中、玉座の間への最短ルートを爆走する。

そして、それが見えた。

 

「見えた、あそこの壁の向こうよ!!」

 

「よしッ!!」

 

玉座の間と通路を仕切る壁。

それが彼らの目の前に見えた直後、スバルはさらにスピードを上げて、壁に迫る。

彼の金色の瞳は、以前以上に輝きを放っていた。

 

「でぇぇぃっ!!」

 

スバルの出せる最高速度の勢いの乗った左の拳が壁に叩き付けられる。

だが、壁には亀裂が入るだけで砕けることはなかった。

だが、それでもスバルは止まらない。

マッハキャリバーのローラーが回転し、床の間に火花が走り煙が立ち上る。

 

「踏ん張れよ、マッハキャリバーッ!!」

 

『Allright!!』

 

スバルの右腕から甲高い振動音が響く。

そして、スバルはそれを壁に走った亀裂の中心―――先ほど殴りつけた場所へと寸分の狂いなく叩き付けた。

 

ピシリ―――と小さな音がなり、それは次第に大きくなり壁の全体に亀裂が走った。

そして、轟音を立てながら壁は崩れ去った。

 

「なのはさんッ!!」

 

「助けに来ましたッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、彼らはゆりかごから無事に脱出。

機動六課所属のヘリへの帰還に成功。

同時刻、スカリエッティのラボ周辺のガジェットも、エリオ、キャロ、フリード、ヴォルテールによって大半を破壊し、ラボ周辺の安全の確保に成功した。

 

ゆりかごは、クロノ・ハラオウン提督率いる次元航行艦隊のアルカンシェルの一斉掃射によって次元の狭間に落とされ、その船体を原子レベルまで分解されることとなった。

 

主犯であるジェイル・スカリエッティと、彼の娘たちの逮捕とゆりかごの破壊によって、今回の大規模騒乱は終わりを迎えた。

 

後の研究者たちは今回の騒乱において、これほどの規模の事件にしては死者が一人もいないことに首を傾げていた。

研究者の一人は、ジェイル・スカリエッティの目的が管理局の破壊とは別のものであるのではと考えたが、その考えは時代の中へと消えていった。

 

ただ、一つ言えることは。

ゆりかごの阻止限界点を防ぎ、スカリエッティの逮捕に尽力した奇跡の部隊があったということだけだった。

 

 




メリークリスマス!!
クリスマスに最後の連続更新です、はい。
最後の見せ場というのに、ほとんど原作と同じで駆け抜けましたが、今回でゆりかご編は終わり。
あとはスバルとティアナの話でこのルートは完結となります。
最後までお付き合いください。
それでは!


オリジナル魔法紹介
『ファントムフェニックス』
アギトの中に残されていた魔法の一つ。
だが、彼女の一人での運用は不可能で、彼女とのマッチングが完璧な者と一緒でないと使えない。
シグナムの『シュツルムファルケン』と同様の魔法であるが、シュツルムファルケンとの最大の違いは、敵味方識別能力の存在である。
術者が敵だと判断したもののみをその炎で焼き尽くすというものであり、術者の技量によって、威力の増減が激しいモノとなる。

モデルはスーパーロボット大戦シリーズからアンジュルグの必殺技『ファントムフェニックス』より。

オリジナル兵装紹介
『ハイブーストハンマー』
サカキの開発した実験兵装。
ヴィータのグラーフアイゼンを参考に、一般局員にも使用可能な兵装の開発を目指したものだったが、サカキが趣味に走ったため性能がピーキーなものとなった。
サカキが趣味に走り開発が進んだ瞬間に、レジアスから、この開発に対する援助は打ち切られたが、サカキが自前のポケットマネーで完成させたという逸話がある。
本来は、推進器を用いた一撃離脱(ヒット&アウェイ)を持ち味としたものだったが、サカキの研究データの中に存在した圧縮空気を爆発させて相手に衝撃を伝えるという兵装をハンマーに搭載したもので、そのため扱いが難しいモノとなるが威力は倍以上となった。
そのため、本来なら『ブーストハンマー』となるべき名称をサカキが『ハイブーストハンマー』と名付けた。

モデルは、『勇者王ガオガイガー』からゴルディオンハンマー、および『THE ビッグオー』から『サドンインパクト』より。

没ネタ

ゆりかご突入の場面……

「マッハキャリバーッ!!」

『了解ッ!!』

――――パージします――――

ヒダリウデバシューン

「うオオォォォッッ!!!」

『不明なユニットが接続されました。
 システムに深刻な障害が発生しています。
 ただちに使用を停止してください』

ノコギリバリバリー

「ハァァァぁ―ッ!!!」

ユリカゴバリバリー



没理由:見せ場もへったくれもないから
元ネタ:アーマードコアV、およびアーマードコアVDからオーバードウェポン『グラインドブレード』より。
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