魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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思わず書き上げてしまった……(笑)
ティアナルート最終話です。
それではどうぞ!!


ティアナルート 第四十話

『JS事件』。

違法研究者であるジェイル・スカリエッティが起こした大規模騒乱はこの名で呼ばれることとなった。

主犯であるジェイル・スカリエッティは自らの罪を認めるものの、事件に対することには一切口を割らなかった。

彼の娘である戦闘機人たちは、二人を除いて全員が事件の捜査に協力的だったため、特別保護プログラムに組み込まれることとなった。

ナンバーズの長女であるウーノは、黙秘を貫きスカリエッティと同じ軌道拘置所に収監された。

次女であるドゥーエは、レジアス中将自らが監視することを条件に、彼女の補佐官として従事することとなった。

また、彼が自分のラボで拉致監禁(・・・・)していた元首都防衛隊所属の局員は全員が無事に保護されることとなった。

 

 

 

 

 

 

JS事件の数日後。

修復を終えた六課の寮の部屋で中々寝付けなかったティアナは、ベッドから抜け出し夜空の元を歩いていた。

聞こえてくるのは自分の足音と波の音だけ。

 

「あ……」

 

そんな中、彼女の視線の先には芝生の上で座り込み空を見上げる一人の青年の姿があった。

焦げ茶色の制服に身を包んでいる彼だったが、左の袖の中にはあるべきものがなかった。

 

「スバル。

 帰ってたのね」

 

彼女は座り込んでいるスバルの隣に座る。

 

「あぁ、ついさっきな

 しばらく寝付けそうになかったからここでちょっと空見てた」

 

彼女が隣に座り込んだことで、彼女の身体から感じる柑橘系の香りに少しドキッとしながらスバルは答える。

 

「腕、やっぱりダメだったんだ……」

 

「やりすぎだって怒られたよ。

 しばらくは片手の生活に逆戻りだ」

 

ティアナがスバルの左の袖を見ながらそう尋ねると、彼は左肩あたりを右手で摩りながらそう答える。

 

「……ギンガさんは大丈夫だったの?」

 

「あぁ、姉貴も右手が痛んでるけど、他は大事ないってさ。

 あと、お袋もな」

 

「そう、よかったじゃない」

 

スバルは、姉と、死んだと聞かされていた母親が生きていたことに対して嬉しそうに答えた。

そして、互いに無言になる二人。

 

「…………」

 

「…………」

 

どちらもしゃべらずに自分たちの遥か彼方で輝く星々を見つめる。

だが、そんな時間も長くは続かなかった。

 

「なぁ、ティアナ」

 

「どうしたのよ、そんなに改まって」

 

空から視線を戻したスバルは、隣に座るティアナの顔を真剣な表情で見つめる。

スバルの視線を感じたティアナは少し驚きながらも、彼に尋ねる。

 

「前に言ったろ?

 このドタバタが終わったら、返事するって」

 

「あ、あぁ……。

 あれね……」

 

スバルの言葉に、自分が何を言ったのかを思い出したティアナは顔を紅くしながら目を逸らす。

すべて終わって、冷静になった頭で考えたら、とんでもないことを口走っていたということに気づいた彼女は恥ずかしくてスバルの顔を直接見ることができなかった。

 

だが、それはスバルも同様だった。

自分の相棒だと考えていた彼女からの告白、父との話。

そして、自分の中で彼女のことをどう思っているのかということ。

今まで女子との関わりといえば、ティアナだけだったが、そんな彼女のことを自分が異性として見るようになったことでスバルもまたティアナのことを意識していた。

実際、彼の心臓は今でも鐘が鳴っているかのようなスピードで鼓動を刻んでいる。

 

「あー、あまりこういうのには慣れてない……ッていうか初めてだからさ。

 回りくどいのはやめにする」

 

 

「ティアナ、お前が好きだ。

 お前のことが欲しい。

 だから、付き合ってくれ」

 

「え、ちょ……ッ!?」

 

スバルのプロポーズ紛いの告白に、殊更顔を紅くするティアナ。

自分から告白しておきながらだが、彼女の頭の中はスバルの言葉が反響し、真っ白になっていた。

顔を紅くしながらアタフタとしている彼女は、珍しいものでもあった。

 

「ほ、本当……?」

 

「あぁ、本当だ。

 本気(マジ)だ」

 

何とか混乱の極みから脱したティアナが、最後の確認として尋ねると、間髪入れずにスバルは答える。

そのあまりにもの即答ぶりに、ティアナは俯き顔を彼から見えないようにした。

 

「お、おいティアナ?」

 

「な、なんでもない……ッ!」

 

そんな彼女に驚き、今度はスバルがワタワタと慌てだす。

だが、ティアナの方が小さく震え、嗚咽のようなものが聞こえてくるとスバルはそっと彼女の肩に手を置いた。

 

「泣いてるのか?」

 

「な、ないてなんか……くしゅんっ!」

 

スバルの言葉に反論しようとしたティアナだったが、途中でくしゃみで言葉をさえぎられてしまう。

いくら夏の終わりとは言え、夜中の海辺は潮風も吹いておりそれなりに冷える。

また、寝付けずにベッドから抜け出したティアナの格好は半そでのTシャツにホットパンツだけという防寒性もくそもない服装だった。

 

「ほら、これ着とけ」

 

「あ……!」

 

そんな彼女の肩に、スバルは自分が来ていた制服の上着を掛ける。

両肩から感じるスバルの温かさに、ティアナは顔を上げる。

そして、目の前にスバルの顔があった。

 

「「……」」

 

互いに両想いの二人。

そんな二人が近くに相手の顔があればどうなるのか。

それも恋愛経験ゼロの二人だ。

次第に顔が近づくのは必然だっただろう。

 

「ほら、もう少しや……ッ!

 行けっ!」

 

「ちょ、部隊長!

 押さないで下さいよッ!」

 

「はやてちゃんもヴァイス陸曹も少し静かにしてくださいですぅ……っ!」

 

だが、それは彼らの耳にその声が聞こえてこなければの話だった。

あと数センチで互いの唇が触れ合うという距離で、彼らの耳に聞こえてきたその声は彼らが座っている場所のすぐ近くの植え込みから聞こえていた。

 

「あー、なんだ。

 ほら、もう冷えるから部屋に戻って寝ろ。

 上着は明日返してくれればいいから」

 

「あ、うん。

 わかった。

 その、アリガト」

 

二人は同じタイミングで立ち上がり、寮への道を歩いて行った。

そんな二人を見ていた、三人は、植え込みからのそのそと出てため息をついた。

 

「はぁ、あと少しやったのに……」

 

「ちっと騒ぎすぎましたかね?」

 

「邪魔しちゃったですぅ……」

 

三人は、二人が両想いだということに気づいており、JS事件後、二人がくっつく瞬間を見逃すまいと常日頃注意していたのだった。

だが、そのチャンスはもはやめぐってくることはないだろう。

今回のことで二人がそういう行為を成すときは、周囲に注意を払うことは確実だからだ。

 

「さ、帰って寝ようか。

 明日も仕事やしな~」

 

「寝不足は乙女の天敵ですぅ」

 

「俺もこのところ寝不足だから、今日はもう寝るかな……」

 

そして、三人もそのことには気づいていた。

だからその場から立ち去ろうとする。

しかし、そんなはやてとヴァイスの肩をつかむ者がいた。

 

「ちょっと待とうか、はやてちゃん、リイン、ヴァイス君?」

 

「あ、なのはさん、奇遇っすね」

 

「こんな夜中にどないしたんや?」

 

「ね、寝不足は乙女の天敵ですよ……?」

 

いつの間にか彼らの背後にいたなのはに対して、三人は無難な言葉で尋ねる。

もっとも、三人とも身体中から冷たい汗が流れ、足はガクガクと震えていたが。

 

「うん、ちょっと教え子の恋路を見ものにしてる人がいたみたいだからちょっと注意しにね」

 

「そ、そうなんかー。

 そりゃ早く見つけなきゃあかんなー。

 なー、ヴァイス君?」

 

「そ、そうっすねー。

 あ!

 だったら俺たちも見つけるの手伝いますよー。

 ねー、リイン曹長?」

 

「そ、それはいいですねー。

 手伝いますよ、なのはさん?」

 

三人は、目の前で笑顔(ただし目は笑っていない)を浮かべるなのはにそう告げる。

だが、なのはの返答はいたってシンプルだった。

 

「少し、頭冷やそうか」

 

 

次の日、六課の職員から部隊長、リイン曹長、ヴァイス陸曹が何かに怯えているという報告が各所で挙げられたが、些細な問題だろう。

 

 

 

 

 

 

「あぁ、姉貴?

 身体は大丈夫か?

 ……あぁ、こっちも平気だから。

 それとさ、俺、やりたいこと見つけた。

 ……あいつを隣で支えていきたいって思ったんだ。

 あぁ、わかってるよ。

 やってやるさ。

 惚れた女を守れなくて何が男だってんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバルの告白から、数か月後。

機動六課も、その役目を終えようとしていた。

 

「そうか、フェイトさんからか」

 

「えぇ、執務官補佐の試験受けてみないかって」

 

六課の食堂で、スバルとティアナは温かい飲み物を手にしながら話していた。

あの一軒以来、二人の距離は今まで以上に近づいているのは確かだった。

そんな二人が話している内容は、ティアナの夢への一歩目ということ。

 

「つまり、ティアナの執務官への道が開けたってことか」

 

「まだ、スタートラインに立つ前の話よ。

 まずは試験に受かってからの話。

 アンタはどうするのよ」

 

「俺か?

 まぁ、お前の夢が見えてきたんなら、俺の夢も叶えるかな?」

 

スバルの言葉に首を傾げるティアナ。

 

「夢って何よ?」

 

「謎のある男ってカッコいいと思わないか?」

 

「馬鹿じゃないの」

 

ティアナはスバルの言葉に対して、冷たい視線を向ける。

だが、それでもスバルが何も答えないことを理解しているティアナは素直に諦めることにした。

 

「そう言えば、今日は部隊長見てないわね?」

 

「なんか、親父の隊に行ってるみたいだぞ?」

 

ティアナがふと思ったことを口にしたら、スバルはすぐに答えた。

 

「108部隊に?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、つまりお前さんは部隊長としての仕事はしばらくやるつもりはない。

 そう言いたいんだな?」

 

「は、はい……」

 

陸士108部隊。

そこの部隊長室で、はやてはゲンヤと対面していた。

 

「この一年で痛感したんです。

 まだ私には部隊長は荷が重かったということに。

 だから、しばらくはどこかの部隊長の補佐としてやっていきたいなと思ってます」

 

温かいお茶の入った湯呑を両手に持ちながらそう告げるはやて。

そんな彼女の様子を見たゲンヤはため息を吐き、懐から取り出した数枚の紙を引き裂いた。

 

「つまり、お前はこれだけの部隊長依頼を断るってことだな。

 ま、子狸にしては考えたんじゃねえのか」

 

「師匠には負けますけどね……」

 

「確かに、お前は優秀だな。

 才能もあるんだろう、だけど圧倒的に経験が足りなかった。

 それを補いたいってことだな」

 

湯呑に入ったお茶を一口飲み、喉を潤したゲンヤははやてにそう尋ね、はやては静かに頷いた。

 

「よし、ならお前に丁度いい場所がある」

 

「へ……?」

 

「ほらよ。

 これ見てみろ」

 

ゲンヤの差し出した紙を受け取り、内容に目を通すはやて。

そして、ある部分を見て、彼女の頬は引き攣った。

 

「あ、あの……師匠?

 これ、渡す紙間違ってませんか……?」

 

「間違ってねえぞ。

 それはお前宛てだ。

 なぜかは知らんが俺のところに届いたがな」

 

「いや、でも……。

 なんで『特務一課』の部隊長補佐の候補に私の名前があるんですかッ!?」

 

「そりゃ、お前。

 さっき補佐として経験積んでいきたいって言ってただろうが。

 お前ならそう考えるだろうって思って俺が推薦しておいた」

 

「いや、でもッ!!」

 

「ちなみに、例の戦闘機人のあー、トーレとセッテもその部隊に行くことになってるから」

 

「ちょ!?」

 

そう、戦闘機人として、戦うことをやめたくはないと主張したトーレとセッテは、短期間の保護プログラムを終えたのちに彼女たち以上の戦闘能力を持つものが集まる特務一課への配属が決定していた。

ちなみに、部隊長は別の部隊で副部隊長をしていた男性が務めることとなっており、現部隊長であるミルズは第二小隊の隊長となることが決定しており、隊の主力となる第一部隊の隊長には、管理局に復帰したゼスト・グランガイツが務めることになっている。

そのことが書いてある紙を見たはやては仰天し、ゲンヤに断ろうとするがゲンヤはそれを受け取らなかった。

 

「おめぇ、俺がお前の断ったことで俺にも迷惑かかってんだぞ?

 それとも何か?

 師匠の好意を無にするってのか?」

 

「グッ、卑怯ですよ、師匠……」

 

「大人ってのは卑怯な生き物なんだよ。

 よかったじゃねえか、一つまた大人になったな」

 

ハハハと笑いながら湯呑に残ったお茶を飲み干すゲンヤを見て、はやては一言恨めしそうに呟いた。

 

「このタヌキ親父め……ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

0076年、4月28日。

一年間という試験期間を終えた機動六課では、最後の業務が行われていた。

隊舎のロビーでは、はやてが整列した局員に向けて最後の挨拶をしていた。

 

「長いようで短かった1年間。

本日を持って、機動六課は任務を終えて解散となります」

 

はやての言葉をBGMにして、スバルは隣にいるティアナと念話で会話していた。

 

(ホント、あっという間だったな)

 

(あっという間というか、濃密というか。

 とにかくいろいろあった一年だったのは確かね)

 

(一年前は……あぁそうだ。

 確か、便所を我慢してたんだったな)

 

(あぁ、そう言えばそうだったわね……)

 

二人してそんなくだらないことを話していると、はやての挨拶も終わりに近づいていた。

 

「皆と一緒に働けて、戦えて。

 心強く、嬉しかったです。

 次の部隊でも、皆どうか元気に――頑張って」

 

 

 

―――魔法少年リボルバースバル 第四十話―――

 

 

「なんか、あっという間でしたね」

 

「そりゃ、八神部隊長の挨拶は短いからな。

 最初の時もそうだったろ?」

 

「それに、この後はお別れ二次会もありますしね」

 

「そうなのよねー」

 

ロビーでの解散式を終えたフォワードメンバーは、二次会の予定されている場所へと向かっている最中だった。

 

「あ、そう言えばティアナさん。

 執務官補佐の試験、合格おめでとうございます」

 

「おめでとうございます!」

 

「ありがとう、エリオ、キャロ。

 でも、まだまだこれからよ。

 私はその先が夢なんだから」

 

ティアナはそう言いながらエリオとキャロの頭を撫でる。

そう、依然フェイトから勧められた執務官補佐の試験を彼女は一発で合格した。

そのことを聞いたスバルは、思わずティアナを抱きしめてしまうほどの喜びようだったという。

 

「でも、これで六課のみなさんとはお別れなんですよね……」

 

「スバルさんやティアナさんともお別れ、なんですよね」

 

先ほどまでティアナのことで喜んでいた二人だったが、今度はこれから六課は本当に解散するという事実に悲しそうな表情を浮かべる。

そんな二人の額に向けてスバルは弱めのデコピンを放った。

 

「そんなにしょんぼりするなよ。

 別に二度と会えないわけじゃないんだ」

 

額を押さえる二人と目線を合わせるようにしゃがむスバル。

スバルは二人の顔を見ながらしっかりと言葉を投げかける。

 

「それにね、別れってのは、別に悲しいことばかりじゃないのよ」

 

「別れた後には必ず新しい出会いが待ってるんだよ。

 人ってのは出会いと別れを繰り返していくもんなんだ。

 そうやって、つながりを増やしていくんだよ。

 だから、お前らもいつまでもウジウジするなよ。

 それに、まだ六課はある。

 最後まで楽しむほうがいいと思うぞ?」

 

「そうですね……!」

 

「いつまでも悲しんでちゃだめですもんね!」

 

「そう言うことだ。

 子供は笑顔が一番だからな」

 

二人が笑顔になったのを確認したスバルは立ち上がり、二人の頭に手を乗せ撫でまわした。

スバルが二人を撫でまわしていると、後ろから声をかけられた。

 

「みんな、ちょっといいかな?」

 

「あれ、なのはさん?」

 

「姉貴も……?」

 

スバルたちは、自分たちの近くになのはたちが近づいていることに気づき、首を傾げた。

あとは二次会だけなので彼女が自分たちを呼ぶ理由がわからなかったのである。

 

「二次会の前に、ちょっとね」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「うわぁ……ッ!」」」」

 

なのはとギンガについて行った四人が見たのはこの一年間、世話になりっぱなしだった訓練スペース。

そこに広がる光景に、皆言葉も無しに、感嘆の息を吐いた。

目の前に広がる桃色の花を咲かせた木々。

そして、その花びらが風に舞って空を桃色に埋め尽くすその様は幻想的な空気を醸し出していた。

 

「この花って、確か……」

 

「うん。私やなのはちゃんの故郷の花」

 

「お別れと始まりの季節に、つきものの花なんだ」

 

エリオの言葉にはやてとフェイトが答える。

スバルは以前ゲンヤに聞いた話を思い出していた。

彼自身、見るのは初めてで、その光景には言葉を失っていた。

 

「おーし、フォワードメンバー集合!!」

 

「「「「はいッ!」」」」

 

桜の見せる光景に目を奪われていた四人は、ヴィータの掛け声で意識を引き戻し、声をそろえてすぐに横に並ぶ。

スバルたちが整列するのを待って、なのはが一歩前に出る。

 

「まずは4人とも、1年間、任務も訓練もよく頑張りました」

 

「この1年間、あたしはあんまり誉めた事無かったが……お前ら、まぁ随分強くなった」

 

「「「「……ッ!」」」」

 

なのはの言葉に続いて、ヴィータの言葉に驚く四人。

確かにヴィータが彼らを褒めたことなど一年の間に両手の指の数で事足りる程度だった。

 

「辛い訓練、キツい状況、困難な任務……だけど、一生懸命頑張って、負けずに全部クリアしてくれた」

 

なのはの言葉とともに、一年の間にあったいろいろなことが彼らの頭の中を過ぎ去っていく。

短くも濃厚な一年。

この一年は四人に取って忘れられない一年間になった。

 

「皆、本当に強くなった。

 4人とも……もう、立派なストライカーだよ」

 

「なのはさん……ッ!」

 

その一言で、四人の涙腺は崩壊寸前だった。

 

「あーもう、泣くな! バカタレ共!」

 

「「「「……はい!」」」」

 

そう言って四人に厳しい言葉を投げかけるヴィータの目にもまた、きらりと光るものがあった。

 

「……さて、折角の卒業、折角の桜吹雪。湿っぽいのは、無しにしよう!」

 

全員が涙を滲ませている中で、湿っぽい雰囲気を吹き飛ばすように、なのはが声を張った。

 

「そうだな」

 

「自分の相棒、連れてきてるだろうな?」

 

「「「「……へ?」」」」

 

シグナムとヴィータの言葉に首を傾げる四人。

自分の得物を持ち出し、すごい笑顔で構える二人に対して、スバルたちの第六感は最大級の警告音を鳴らしていた。

 

「えっと、なのはさん?どーゆーことでしょう?」

 

「折角最後だもん。

 全力全開!

 手加減なし!

 機動六課で最後の模擬戦!!」

 

なのはの言葉を聞いたフェイトは、慌てながらなのはの隣に向かう。

 

「全力全開って……聞いてないよ!?

 そ、それに今日は折角卒業なんだし……」

 

「まぁ、やらせてやれ。

 これも思い出だ」

 

「硬いこと言うなよ。

 リミッターも解除されたんだしよ」

 

「も、もう。

 なのはッ!」

 

「心配ないない。

 皆、強いんだから」

 

なのはの言葉にフェイトは心配そうな顔でスバルたちの方を見る。

 

「全力で行くわよ」

 

「相手はリミッター無しの隊長陣だ。

 どんなことしてでも勝つぞ!」

 

「「はいッ!!」」

 

スバルたちはやる気満々。

それでもフェイトはどこか不満そうだったが……

 

「フェイトママ、頑張って~」

 

「も、もう。

 仕方ないなぁ」

 

同じく訓練スペースに来ていたヴィヴィオの声援には勝てなかった。

渋々とだが、バルディッシュを取り出す。

そして、全員がバリアジャケットを身に纏う。

桃色、金色、紫、赤、蒼、橙色と様々な光が桜の花びらを照らした。

 

「それじゃあ皆、準備はええか!?」

 

「「「「はい!」」」」

 

 

「それじゃあ……」

 

「レディー……」

 

 

 

「「ゴーッ!!」」

 

 

 

桜とは、別れと出会いを示す花。

だが、別れでもそれが悲しいものばかりではない。

現に、この時の彼らの顔には笑顔が溢れていたのだから……。

 

 

―――魔法少年リボルバースバル ティアナルート――――

 

 

《完》




これにてティアナルートの本編は終了です。
あとは後日譚と、スバティアの番外編を持って完全にこのルートの物語は終わりとなります。
ちなみに、作者は非リア充なので、スバルの告白のシーンは苦労しました。
マジで。

それでは皆さん、また次回ッ!
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