魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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前話から一気に時間が飛びますのでご注意を。
それではどうぞ!


ノーヴェルート 第三話

「はぁ……」

 

スバルはその日、一人でデバイスルームに入り浸っていた。

そんな彼の大きなため息に対して彼によって簡易メンテナンスを受けているマッハキャリバーは彼に尋ねる。

 

『今ので今日五回目のため息です。

 どうしたのですか、相棒?

 貴方らしくもない』

 

「いや、最近ノルンと話できてないなと思ってな」

 

マッハキャリバーを弄る手を止めてペットボトルに入っている水を飲みながらスバルは答える。

すでに、スバルとノルンが街で遊んだ日から一月が経っていた。

あの日、エリオからの通信を受け、集合したフォワードメンバーと、途中で彼らと合流したギンガは下水道にてガジェットや、ロストロギア『レリック』を狙う少女、ルーテシアとその召喚虫ガリュー、融合騎アギトとの戦闘を繰り広げた。

結局、彼らの逮捕することは叶わなかったが、レリックとレリックを持っていた少女ヴィヴィオの保護に成功した。

その一週間後、ノルンからメールでしばらく連絡できなくなるという知らせを受けたというところだ。

 

『要するに、相棒は寂しいということですか?』

 

「まぁ、そうかもな。

 ついこの間までは毎日声は交わしていたんだし、それがなくなるとな」

 

愛機からの指摘に苦笑しながらそう答える。

実際、彼自身少しやる気が出ないことに気づいていた。

訓練も仕事も、集中してやっているのは変わらないが、どうにも必要以上のことをする気が起きなかった。

もちろん、なのはたちもそれには気づいているが、スバル自身がどうにかしない限り意味がないと考えているため、基本的には様子見に徹しているのである。

 

『相棒、呼び出しです』

 

それからしばらく、マッハキャリバーのメンテナンスに集中していたスバルだったが、マッハキャリバーが通信を開いたことによって、メンテナンスを中断した。

 

「はい、スバルですが」

 

『あ、スバル?

 これから今度の警備任務の確認をするからロビーに来てくれるかな?』

 

モニターに映し出されたのはなのはだった。

なのはの要件を聞いたスバルはすぐにマッハキャリバーのメンテナンスを終えて、その場を後にした。

 

 

 

 

地上本部で行われる公開意見陳述会。

管理局において、重要視される会議の一つが地上で開かれる際の、地上本部の警備。

それが今回六課に与えられた任務だった。

 

「今のところ異常なし、か。

 スバル、そっちは?」

 

「こっちも異常なしだ」

 

そして、スバルたちもまた夜間の警備任務に精を出していた。

スバルとティアナ、ギンガとエリオとキャロ、ヴィータとリインの組み合わせで六課に割り当てられた範囲を見張る。

 

「それにしても、やっぱり地上本部の警備任務となるとやっぱり厳重よね」

 

「そうだな。

 レジアス中将の方針の決定ってのもあるし、それに反対する連中に対する牽制ってのもあるんだろうな」

 

「ま、あの人のやり方って正しいのかもしれないけど、管理局の前提ひっくり返しかねないからね」

 

警備任務の傍ら、そのような世間話をしている間にも、ティアナはスバルの様子が少しおかしいことに気づいていた。

長年一緒にコンビとしてやってきた相方の様子の変化が気になるティアナだったが、個人的な問題に入り込むほど無遠慮でもない彼女は彼のことを気に留めておく程度で済ませることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「どうしたッすか、ノーヴェ?」

 

計画の発動までの待機場所で、ウェンディは隣にいるノーヴェがいつも以上に静かなことに気が付いた。

いつもならしゃべりはしないが、それでも話しかけたら反応する程度の余裕はある。

だが、今の彼女は何か思いつめたような表情を浮かべていた。

 

「なんでもない」

 

「どう見ても何かに悩んでるみたいだったっすけどねぇ。

 あ、もしかして少し前まで電話してた相手のこと考えてたとかっすか?」

 

「……」

 

「あっちゃー、踏み込まない方がよかったっすかねぇ……?」

 

ウェンディはノーヴェの様子がまたもとに戻ったのを見て、困った顔でそう呟いた。

一方で、ウェンディの言葉を耳にしたノーヴェは、先ほどまで考えていたことがまた頭をよぎってしまっていた。

 

(今回の作戦は、地上本部に襲撃をかけること。

 やっぱり、お前もいるんだよな、スバル……)

 

ウェンディが隣で何か言っているが、ノーヴェの耳には何も入ってこなかった。

 

(いつもお前のことばかりだな、あたしは……。

 もう認めるしかないのかな……)

 

ノーヴェは、自分の中にあるスバルに対する気持ちをはっきりと認識する。

はじめは自分が倒すべき相手を知るために、近づいた。

だけど、その時のスバルの裏のない言葉に、彼女の心は動かされた。

少しずつ、少しずつ彼のことを知りたくなり、始めた電話での会話。

互いのことを話し、スバルのことを知っていき、もっとスバルのことを知りたいと思う自分がいた。

街で一緒に過ごした一日。

時間にして数時間だったが、彼女にとってはそれは価値のある数時間だった。

そして、自分の中にスバルに対して、自分が好意を抱いていることに気づいた。

 

だけど、自分とスバルは相容れない存在。

敵同士、犯罪者と管理局員、スカリエッティの娘と、スカリエッティの逮捕を目的とする六課のフォワードメンバー。

二人の間にはこれほどまでに埋められない溝がある。

だから――――

 

(あたしは、スバル、お前のことが好きだったよ(・・・・・・)

 

だから、彼女は自分の気持ちに鍵をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

9月12日 PM5:57

公開意見陳述会が開始されすでに数時間がたった。

すでに日も傾き、その姿を地平線の向こう側へ隠そうとしている。

そんな中、スバルたち四人とギンガ、ヴィータ、リインは南側のエントランスに集合して互いに報告を行っていた。

 

「とりあえず、異常なしか。

 だが、最後まで気ィ抜くんじゃねえぞ」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

「残りの時間はそんなに長くないので、此処からは全員で一緒に警備するですよ!」

 

リインの言葉にティアナが疑問の声を上げる。

曰く、一か所で固まって警備しても意味がないのではと。

その問いにヴィータが頭を掻きながら答えた。

 

「ほかの陸士部隊の人がな、お前らが仕事してる中で休んでられるかって言ってきてな。

 で、こっちとしてもお前らが疲れていざというときに何もできないのは困るから、ありがたく手伝ってもらってる。

 もうすぐ公開意見陳述会も終わりだから、まぁ問題はないだろう」

 

ティアナはヴィータの答えを聞いた後に周囲を見回す。

すると、先ほどまで彼女とスバルが回っていたところあたりに、確かに別の部隊の局員が歩いているのを確認した。

 

「あぁ、ギンガ。

 ちょっと(向こう)側の方に報告してきてくれないか?」

 

「わかりました」

 

ヴィータの指示に従ってギンガは地上本部の中へと向かっていった。

そんな彼女の背中を見ていたスバルはなぜか、胸に突き刺さるような悪寒を感じていた。

 

 

 

 

 

「ナンバーズ、No.ⅢトーレからNo.ⅩⅡディードまで、全機配置完了」

 

スカリエッティのラボの一室。

そこでウーノは鍵盤の形をしたコンソールを叩きつつ、準備が整ったことを告げる。

 

『お嬢とゼスト殿も、所定の位置につかれた』

 

『攻撃準備も全て万全。あとはGOサインを待つだけですぅ~』

 

「ええ」

 

妹たちからの報告に頷き、ウーノは後ろに座っているスカリエッティに視線を向ける。

彼女の視線の先には椅子に深く座り、静かに目を閉じているスカリエッティの姿があった。

 

「ドクター、合図を。

 皆、待っています」

 

「あぁ……」

 

スカリエッティはゆっくりとその瞼を開いた。

そこには静かに燃える金色の瞳が鈍い輝きを放っていた。

 

「私のこの行いで、一つの歴史が終わる。

 それはある意味で愚かで、不適当な選択なのかもしれない……」

 

音を立てずに立ち上がったスカリエッティは通信を繋げている彼の娘たちに語り掛ける。

 

「だが、私はもう決めたのだ。

 さぁ、我々のスポンサー諸氏に見せつけてやろう。

 私たちの思いと、その覚悟を」

 

スカリエッティは大きく右腕を振り、そしてその言葉を言い放った。

 

「さぁ、奏でよう。

 崩壊への序曲を……!」

 

 

 

 




ノーヴェルート第三話でした。
難しい……。
ティアナルートと違った感じにしなければならない上に、同じところは最小限にしようとしたら必然的にスバルとノーヴェの心情というところを書いていかなければならないのですけど、これが本当に難しい。
何しろ作者は恋する乙女の心情など計りようがありませんから……。

さて、実は今日が冬休み最終日なので、次回からの更新が少し遅れます。
なんで金曜日からなんだよ、畜生め。

補足というか、前話にて、ノーヴェが着ていた服のイメージはvivid単行本一巻の第三話あたりで着ている服装です。
前回書き忘れていたので……。

それではまた次回!
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