魔法少年リボルバースバル   作:飛鳥

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この作品覚えてる人いるかわからないけど約4年ぶりに投稿です


ノーヴェルート 第十二話

無人となった都市群の間を一機のヘリが後方からの銃火を避けながら駆け抜けていく。

 

『あぁ、もうしつこいなぁ!!』

 

そのヘリの後部キャビンでティアナ達フォワード部隊はパイロットであるアルトの声を聞きながら不規則な揺れに耐えていた。

管理局地上本部へと向かう戦闘機人とガジェットの侵攻阻止のために出撃した彼女たちだったが、戦闘区域にたどり着く前に、数機のガジェットⅡ型に捕捉され、攻撃を何とか避けながら振り切ろうとしていた。

 

『みんなごめんね!もう少しだけ我慢してて!!』

 

アルトの声がキャビンに響く。

 

「クロスミラージュ、データベースに接続してこの付近の地図を出して。あと周辺に生体反応がないかの確認をお願い」

『了解』

 

ガジェットⅡ型の放つ閃光がヘリのすぐ傍を駆け抜けていく様を小さな窓から覗き見ていたティアナはクロスミラージュを操作し、呼び出したホロウィンドウで周辺の地形と逃げ遅れた人がいないことを確認する。

 

「アルト、今から送るデータの場所へ!」

『データ受信確認!でもどうするの!?』

 

ティアナはコックピットへの通信をつなげてホロウィンドウ上にマークした場所へ向かうように頼み込む。

 

「私たちが振り切った後に、あのガジェット群がどこに行くのかもわからない状態にするぐらいならここで叩き落とす方がほかの陸士部隊の負担にならないでしょう!」

『それはいいけど……方法は!?』

「なのはさんにいざってときには使ってと言われたあれ(・・)を使うわ」

 

そう言いながらティアナはキャビンの壁に固定された大型のアタッシュケースに視線を向けた。

 

『わかった、指定ポイントに向かうよ!』

「こっちも準備進めるわ。

 ギンガさん、少し手伝ってもらってもいいですか?」

「了解、これを抑えていればいいのよね」

 

アルトの声とともに加速したヘリの振動を感じながらもティアナとギンガはアタッシュケースの元へと向い、それを取り外す。

 

「コード入力《ストライカーウェポン》」

『コード確認、ロック解除完了』

 

ティアナの音声を認識したアタッシュケースの電磁ロックの解除され、中に納められたものが姿を現す。

 

「これは……」

「レジアス中将から六課への贈り物だそうです」

 

そこには人の腕以上の長さを持つ銀と灰色の(カノン)が収められていた。

アタッシュケースを抑えているギンガは驚きの表情を浮かべ、ティアナは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「『CWM-ストライカーカノン』。魔法の仕様が厳しい環境での作戦を可能にするために開発されていたそうです。

今回の作戦には一部の陸士部隊への配備しか間に合いませんでしたけど、六課にはレジアス中将から直接送られてきたそうです」

 

ティアナはそう言いながら砲―――ストライカーカノンのグリップを握る。

すると、彼女の前腕部に固定用のベルトが巻き付き、カノンと彼女の右腕が一体となる。

それと同時に、灰色だった部分が明るい橙色へと変化した。

 

『魔力反応確認、登録ID、JMB047321-046559864。ティアナ・ランスター二等陸士を確認。ストライカーカノン起動完了』

 

「よし、アルト、こっちの準備はできたわよ!」

『了解!!こっちもすぐに着くから!』

 

彼女の声に合わせるようにヘリがさらに加速する。

 

「キャロ、発射までのラグがあるから、ヘリの防御お願いできる?」

「はい、任せてください!」

 

 

 

 

 

「まったく、相棒(スバル)と似て大胆なやり方を提案するんだから!」

 

ティアナの作戦を聞いたアルトはコックピットの中で呆れたようにため息を吐く。

だが、そんな彼女の集中力はかつてないほどに高まっていた。

 

「ヴァイス先輩直伝の操縦技術なめんな!!」

 

背後から放たれるレーザーを紙一重で避けながらアルトはヘリを目標地点へと向かわせる。

 

「みんな!指定ポイントまであと少し、両側のハッチを開くから気を付けて!!」

『了解、やっちゃって!』

 

アルトはコックピットの中のスイッチを二つ操作し、操縦桿を倒す。

すると、彼女の操るヘリの両側のハッチが跳ね上がりながら、機体を横に向ける。

 

 

 

 

 

ハッチが開き、ヘリの中へ風が激しく吹きこんでくる。

カノンを構えたティアナの視線の先には5機のガジェットⅡ型がレーザーを放ちながら近づいてきていた。

 

「ケリュケイオン!」

『Protection』

 

キャロがヘリの側面に張った障壁がガジェットⅡ型の放つレーザーを防ぐ。

その間にティアナはカノンのチャージを進める。

 

「ギンガさん、あたしの腰をしっかりと掴んでいてください!」

「了解!」

 

ティアナの言葉に反応したギンガがすぐに彼女の腰のベルトをしっかりと掴む。

 

『チャージ完了』

「ターゲットロック!!ストライカーカノン、撃ちます!!」

 

彼女の言葉と同時にカノンの砲口からエネルギーが解き放たれる。

その反動によって彼女の身体が後ろへ押し出されそうになるが、ギンガが彼女の腰を掴んでいたため倒れることはなかった。

膨大なエネルギーの奔流は4機のガジェットの内、2機に直撃しその機体を吹き飛ばす。

残る2機もその衝撃によってバランスを崩し、ビルへと激突し地に堕ちていった。

 

「すごい……ッ!」

「やりましたね、ティアさん!!」

 

その成果にエリオとキャロが喜びの声を上げながらティアナの方を見ると、彼女は腕を振りながら冷や汗をかいていた。

 

「これ、反動強すぎ……ッ!」

『みんな、すぐに戦闘区域につくから準備してて!!』

 

ティアナは腕の痺れを紛らわせるように苦言を呈すると同時に、アルトの声がヘリの中に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

空を悠然と飛ぶ船―――聖王のゆりかご。

その周辺はまさに激戦区にふさわしい様相を呈していた。

休む暇もなく襲い掛かってくるガジェットⅡ型。

空をも覆いつくさんばかりにゆりかごの砲門から放たれる紫の砲撃。

 

「航空魔導師隊、スリーマンセルで当たって!単独での戦闘は避けて、確実に、だけど迅速に撃ち落して!!」

 

そんな状況に内心舌打ちをするはやては、周囲の航空魔導師に指示を出しながら飛行するガジェットの編隊を撃ち落す。だが、それだけやっても敵の数は減るどころか増えてきているように彼女には感じられた。

敵味方が入り乱れる乱戦状態のため、はやてが最も得意としてい広範囲殲滅魔法は使えない。

そんな状況に歯噛みしながらはやては一つの考えに至った。

 

「外からチマチマやっててもどうにもならん……。やっぱり、中から止めるしかないか……ッ!」

 

はやては目の前のゆりかごを苦々しい顔で見上げる。

その規格外の巨体には、はやての魔法でも致命傷を与えることはできないだろう。

ゆりかごを止めるためには、内部に侵入して動力炉を潰すしかない。

 

『24番射出口より、小型機多数!』

『南側の射出口からもⅡ型およびⅢ型の射出を確認!!』

「!」

はやての思考に割り込む形で、この戦域にいる魔導師からの念話がつながった。

その内容は彼女にとってかなり苦しいものであったが、はやてはそれを顔には出さずに周囲で彼女の撃ち漏らしを撃ち落していた魔導師に指示を出す。

 

「皆、落ち着いて!拡散されたら手が回れへん。叩ける小型機は空で叩く、潰せる砲門は今のうちに潰す!ミッド地上の航空魔導師隊、勇気と力の見せ所やで!」

『はい!!』

 

はやての激励に、魔導師たちは得物を構え、己が敵に狙いを定めた。

戦いはまだ始まったばかりだった。

 

 

 

 

 

 

「せぇいッ!!」

 

気合を込めた声とともに振るわれたグラーフアイゼンによって、一機のガジェットが空中で叩き潰され、スクラップと成り果てた。

ヴィータは返す刀で背後から接近していたガジェットⅠ型を、吹き飛ばし粉砕する。

 

「中に入る突入口を探せ!突入部隊、位置報告!!」

 

ヴィータはガジェットが密集する場所に向かって飛翔し、突入部隊への指示を出す。

そこから少し離れたところでは、なのはが密集したガジェットに向かって砲撃を放ち、その存在をこの世から消し去っていた。

 

 

「第七密集点突破、次ッ!!」

 

機械音とともに、レイジングハートから噴き出す蒸気を払いのけながらなのはは次の密集点に向けてその矛先を向ける。

今、彼女の手に握られているのは杖というよりも、槍と評した方がいい代物だった。

レイジングハート・エクセリオン、その全力稼動を示す形態『エクシードモード』。

普段のレイジングハートに比べて、攻撃的なデザインのそれは、彼女の覚悟の証でもあった。

最初から全力全開。

彼女には手加減するつもりも、出し惜しみするつもりもなかった。

 

(ゆりかごの阻止限界時間まであと三時間……ッ!)

 

なのはは新たな標的をその視界に認めると、即座に砲撃を放った。

まさに鎧袖一触。

今の彼女にとって、ガジェットは己の道を塞ぐ障害どころか、路傍の石と同じ存在だった。

 

「邪魔をしないでッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ティアナ達が戦闘区域に向かい、なのはたちがゆりかご周辺で戦闘を行っている同時刻。

彼女たちとは別のヘリの中で、スバルは新しい左腕の最終調整を行っていた。

そんな彼に向けて声がかけられた。

 

「スバル、ティアナ達のところまであと十五分ってところだ。大丈夫か?」

「はい、大丈夫です……ってヴァイスさん!?」

 

自分に向けられた声が聞き覚えのあるものだったことに驚くスバル。

そんな彼の視線の先には、ヘリの操縦席へ通じる扉から顔を出していたヴァイスの姿があった。

 

「なんで、ヴァイスさんが!?怪我してたんじゃ……」

「俺は今回はこのヘリの護衛だ。パイロットは、以前の部隊の後輩に頼んでる。

 それに怪我については心配すんな。俺はお前らみたいに前線で身体張るわけじゃないしな」

 

ヴァイスは自分の腕を叩きながらそう答える。

そんな彼に向けて、スバルはそうですか……と安心したといった感じで呟いた。

 

「それにしても、スバル。お前大丈夫なのか?」

「はい?」

 

スバルの座っている椅子の反対側の壁に背を預けて彼の方を向いたヴァイスが尋ねるが、当のスバルは何についての質問なのかわからず首を傾げる。

 

「いや、ティアナからだいたいの事情は聞いてるんだぞ?」

「あぁ、そのことですか。それについてはもう大丈夫ですよ……」

 

ヴァイスは質問に対してのスバルの答えを聞いて

 

「ブァッハハッ!!」

 

腹を抱えて笑いだしてしまったのだった。

そんな彼の様子を見て、スバルもまたつられて笑いだしてしまうのだった。

 

「あー笑った笑った。確かに、それなら大丈夫だな」

「はい、ティアナに喝も入れられましたしね」

 

そんな彼に向けてヴァイスは、

 

「なら、俺からも一つアドバイスでもしておくか……」

「アドバイスですか……?」

「あぁ、人生の先輩からのありがたいお言葉だ。『頭はクールに、心はホットに』ってな」

「『頭はクールに……心はホットに……』ですか」

「あぁ、頭の隅でもおいて置け。役に立つかはわからないけどな」

 

ヴァイスは笑みを浮かべながらスバルに向けてそう告げる。

彼の言葉をスバルは小さく繰り返す。

そんな時、ヘリのパイロットからの声が響き渡った。

 

『ナカジマ陸士、ヴァイス先輩、アースラからの連絡です。フォワードチームが戦闘を開始したそうです』

「そうか、わかった。戦闘区域まではどのぐらいだ?」

『約1000といったところです』

 

パイロットの声にヴァイスとスバルは互いを見て頷く。

 

「準備はできてるな?」

「もちろんですよ。ヴァイスさん、荷物の方はとりあえずここに置いときます」

「あぁ、了解だ。レイト、戦闘区域まで全速だ!」

『了解です、しっかり捕まっててください!』

 

パイロットの声とともにヘリの速度が上昇する。

過ぎ去っていく窓の外の景色を見つめながらスバルは小さく、誰にも聞こえることのない大きさで呟く。

 

「待ってろよ……ノーヴェ」

 

 

 

 

 

 

 

「でえぇいっ!!」

「―――っ!!」

 

響き渡る咆哮と共に放たれた蹴撃がティアナに襲い掛かる。

その蹴りを両腕をクロスさせて受け止め、直撃を防ごうとしたティアナに足が触れた瞬間、彼女の姿は霧散してしまった。

 

「また外れか……」

「おかしいっすねー……こっちの(センサー)も調整して幻術は効かないようになってるはずなんすけど……」

 

ティアナの姿を蹴り消したノーヴェは小さく舌打ちする。

そんな彼女と一緒になって本体(ティアナ)の姿を探すウェンディはティアナの幻術のできの良さを褒めながらも面倒だという表情を浮かべる。

 

「幻術が多いなら全部潰して本体を燻りだすぞ。さっさとここを抜けて地上本部に行く」

「ノーヴェ、やる気満々……ってわけでもなさそうっすね……」

 

姉の発言にウェンディは驚きながらも、彼女の顔色を見て声を小さくする。

ウェンディから見たノーヴェの顔色はかなり悪かった。

ティアナを探す瞳は暗く曇っており、その眉間には深い皺ができていた。

 

 

「はぁはぁ……まったく前衛がいないのって本当にやり難い……っ」

 

一方、ノーヴェとウェンディの攻撃を捌いていたティアナは彼女たちから近い瓦礫に背を預けて息を整えていた。

 

当初、彼女たちフォワードチームは戦闘機人たちに対し、連携を駆使して制圧しようとしていた。

だが、彼女たちがヘリから降下した直後、エリオとキャロが召喚士ルーテシアの姿を認め、彼女の説得のために離脱。

その後、ギンガとのコンビで事態に対処しようとしたティアナだったが、ノーヴェと戦闘機人No.12『ディード』の奇襲によってギンガと分断されてしまい、ティアナはビルという閉鎖空間の中でノーヴェとウェンディの二人の相手をしないといけなくなってしまったのだった。

 

「……いや、いつまでもスバル(あいつ)と一緒っていうわけでもないし」

 

ティアナはそう呟き、クロスミラージュに装填されているカートリッジの確認を行う。

使用した分のカートリッジの補充を行い、一度深く息を吐く。

 

「それじゃ、一丁……ッ!?」

 

やってやりますか、と言おうとした瞬間、彼女の背中にヒヤリとする感覚が走った。

彼女がその感覚に従い、その場を飛び退くと、次の瞬間、彼女が背を預けていた瓦礫はノーヴェの拳に打ち砕かれていた。

 

「やっと見つけた……手間取らせやがって」

「ちょっと……顔ヤバいわよ、アンタ」

 

ティアナは彼女を見るノーヴェの表情を見て顔を引き攣らせる。

彼女は敵であるにもかかわらず、ノーヴェの心身ともに過剰なストレスがかかっていることに同情を禁じ得なかった。

 

「結構粘られたっすけど、これで終わりにするっすよ」

「……簡単に終わらせてたまるもんですかっ」

 

ノーヴェが拳を構え、ウェンディがライディングボードを構えるのに対して、ティアナはクロスミラージュの片方をダガーモードに変形させ、魔力刃を展開する。

ノーヴェのジェットエッジが唸りを上げ、蹴りの体勢に入った瞬間……

 

『後ろに飛べ!!』

「――――ッ!!」

 

ティアナの頭に響いた声に従い、後ろへと飛び退く。

その直後、天井を突き破って白と青のバリアジャケットを纏った男が飛び込んできた。

 

「遅いのよ、まったく……!」

 

その姿にティアナは安堵の表情を浮かべ

 

「――――ッ!」

 

ノーヴェの表情は一層険しくなっていく。

そんな二人に向けて、彼―――スバルはただ一つの言葉を口にする。

 

「お待たせ……!」

 

 

 





いやほんとにお待たせしましたorz


白状しますと、大学の忙しさゆえにモチベーションダダ下がりしてましたorz
なのはに関することにもだいぶ関心が減ってたんですが、YouTubeでDetonationの予告動画見て、なのは熱再燃してきましたw
ブルーレイで映画版全部買って見直して、なぜかReflectionにFroceに登場したカノンとかフォートレス出ててびっくりしてましたw
で、その勢いでノーヴェルートの最後までの流れが頭に浮かんできたため、一気に書き上げている途中です。

就活が始まるのですが、完結まで頑張っていきますのでお楽しみに!

以下オリジナル紹介

CWM-ストライカーカノン
CWシリーズの一つであるストライクカノンの量産試作型
型番のMは量産(Mass production)の略
ストライクカノンの改良型であり、砲撃魔導士の放つ砲撃を一般的な魔導士が放つことができるという点から量産化を目指して開発された。
すでに数機が生産され、ゆりかご周辺での実地試験も兼ねて使用されている。
ティアナが使用したのはそのうちの一つであり、ガジェットⅡ型4機を一気に撃墜するという成果を上げている
(ティアナ本人は少し使い辛いと苦言を呈している)
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