ウマ娘プリティダービー~因子の光、ハリボテの剣~ 作:アライズ
(友人パート)
ウマ娘プリティダービー~因子の光、ハリボテの剣~
第11話
人バ一体の体現者
URAファイナルズ 決勝
相変わらず一番人気はサイレンスフウカであったが、二番人気はゴールドシップ、そして三番人気にエイシンフラッシュであった。
しかし、穴と呼ばれるハリボテエレジーもこの時注目されていたと言われている。
タマモクロス:最後のレースになるわけさかい、ウチから言えることは…その…。無事でいてくれよな。位や。
ハリボテエレジー:分かってるわ。このレースは相変わらず無観客…かと思ってたらネット観客が用意されている。
タマモクロス:ウチも見たけど驚いたで。まぁ理事長が提案した数の半分みたいって聞いたけど…。
ハリボテエレジー:(人バ一体…。それを本当に為すためであれば、仲間の勝利は捨てられる…。多分自分が勝たなければ本当にトレセン学園やウマ娘は…。)
エレジー以外の他の控え室は静かに時を待っていた。
サイレンスフウカ:(不思議だな…。負ける要素がたっぷりあるのに今の私はとても楽しみにしてる。負ける気がするのに怖くない。良いレースが出来そうな気がするの。)
ゴールドシップ:(決勝くらいはカッコいいところ見せねぇと。それにエレジー…。奴に対抗できるのは同じ追い込みの走りが出来るアタシだけだ。)
エイシンフラッシュ:(ウマ娘が人間から怖がられているのならば、その本気を。このURAで全てを発揮するだけのことです。)
実況:URAファイナルズ決勝。今日の天気は生憎の雨。無観客ではありますがネット観客およそ3000人の声援があります。
実況B:これからのレース予定は未定ですが全力で実況していきましょう。トリプルティアラだけでなくURA優勝を飾れるかサイレンスフウカ。
実況A:今日の調子を見るにゴールドシップはやりそうだぞ!二番人気。
実況B:三番人気のエイシンフラッシュ、予選がベスト更新ですので期待してます。
皆が配置につき、ざわめきの中そのゲートは静かに開かれた。
ハリボテエレジー:(出遅れてはない、けれどフウカには負けてる。)
サイレンスフウカ:(行けた!やっぱり補強しただけあって走るのに困らないです!)
エイシンフラッシュ:(フウカがあそこまで!?くっ、私の走りも自己ベストから0.2秒の狂いの筈なのに!)
ゴールドシップ:(距離自体は菊花賞程悪くねぇ。別段得意って事はないが…。やるしかねぇよな。)
エイシンフラッシュ:(まさか、このレース…菊花賞レベルの波乱の展開に!?でもあのレースを知ってるのはゴールドシップだけではありません!)
実況A:先頭一バ身離れているサイレンスフウカ、二番がエイシンフラッシュ、距離としてはゴールドシップとハリボテエレジーとはそこまで離れていない。
実況B:全体的にオーバーペースに見えますね。
エイシンフラッシュ:(自己ベストタイムより速い記録が出てるのに…。それだけ皆の想いが…?)
ゴールドシップ:あたりまえだろ?誰だって心の中では勝負で勝って大騒ぎしたいんだからな!
エイシンフラッシュ:勝負への歩みに一歩たりとも狂いなし。私の自己ベスト、そして優勝の道掴ませて頂きます!!
シャキーン!
実況A:おっとエイシンフラッシュ、勝負に出た!
ゴールドシップ:へ、面白くなってきたぜ!!そのクールが崩れるの見たかったんだよ!エイシンフラッシュ~!
ハリボテエレジー:(ゴールドシップが何かを振り回してるように見える…これは…錨!?)
ゴールドシップ:アタシは黄金の不沈艦、ゴールドシップだ!!オラオラ、どきやがれぇ!
エイシンフラッシュ:っ!距離が狭まる!?
サイレンスフウカ:(身体の痛みはないけれど、このレース…相当厳しい!私の優勝の景色が…)それでも、このレースの先頭は私です!ワクワクしてきました!
ハリボテエレジー:…あれはウララ先輩の…。ウマソウルが爆発している。
ゴールドシップ:へ、悪いけどフウカ。あんたへの勝ちかたは分かってる。このレースの最終直線までに距離を詰められ過ぎれば勝てる!
サイレンスフウカ:…っ!!(ゴルシちゃんに見切られてるし、それと同時に尻尾が重い…。)
ハリボテエレジー:人の可能性はまだ断ち切れていないわ。私こそ人バ一体の体現者、ハリボテエレジーよ!!
ゴールドシップ:なんだ!?エレジーの奴の耳と尻尾…前よりも大きくないか?
ハリボテエレジー:どうしてこうなったか分かる?観客よ。私は元々人間にウマ娘の因子を注ぎ込まれた存在。だからこそ人の声援が私の力を増大させる!
サイレンスフウカ:何故トリプルティアラか分かりますか?アイドルには、アドリブがあるんですよ!確かに私のウリは最終直線、でもその能力のカギは最終直線ではなくてコーナーの最後なんです!
ゴールドシップ:まだコーナー抜けるには四歩あるだろうに!
サイレンスフウカ:(こんな苦しいのは初めてだな…。身体も心もズキズキしてもうこれから先は着いていけない…。でも本当はこんな仲間がいてくれる事が嬉しい!)
実況A:サイレンスフウカ速度が上がらない、それに尻尾からハリボテが剥がれた!
エイシンフラッシュ:…自己ベストがかかってる以上私は衰えたりはしない!どうするんです、ゴールドシップ!
ハリボテエレジー:どうもこうもないわ。この肥大化した耳と尻尾で先に走れば良いだけ。人の想いを乗せたレースは私の元にある!
エイシンフラッシュ:しまった、エレジーの方が速い!?
ゴールドシップ:最後にエレジー止めれるのはアタシしかいないってことかよ!
ハリボテエレジー:渡せない、このレースだけは!先頭の景色がようやく見えて来たのよ!
ゴールドシップ:それは…フウカが言ってる奴…。ちぃ何でお前達はそうやって閃けるんだぁ!
エイシンフラッシュ:(ここまで意地や根性で走るレース…。人の可能性…しかと見せて貰いました)
実況A:エイシンフラッシュ抜かれた!ハリボテエレジー速い!ゴールドシップも続く、サイレンスフウカも危ない!
サイレンスフウカ:(今の私は恐らく抜かされる…。でも最後まで走りきります。例えハリボテの剣であっても!)
ゴールドシップ:うおぉぉぉぉ!!
ハリボテエレジー:(栄冠までにはもうゴールドシップしかいない。最後にあるのは根性の差だけ!)
届いて、私の想い!!
ワアァァァァ…。
実況A:エイシンフラッシュ自己ベスト更新の三着!サイレンスフウカは四着です!
エイシンフラッシュ:自己ベストで敵わない相手…。ハリボテエレジー…まさかの大判狂わせでしたね…。
サイレンスフウカ:良かった…私よりも速く走れる人がいてくれて…。
ゴールドシップ:おい、マズいぞ。結果聞き逃してる。
ハリボテエレジー:はぁ、はぁ…。ゴールドシップ本当に近かったもの。ほぼ同着の筈よ。
実況B:今判定が出ましたクビ差でハリボテエレジー!ハリボテエレジーが優勝を果たしました!
ゴールドシップ:かぁ…。負けたかぁ…。これじゃドロップキック出来ねぇじゃねぇかよぉ…。
ハリボテエレジー:その割には嬉しそうね。
ゴールドシップ:お前が喜ばなくてどうするんだよ!蹴るぞ!
ハリボテエレジー:それが実感沸かないもの…。だってエイシンフラッシュは自己ベストだし…。
エイシンフラッシュ:それがヒトの可能性なのでしょう?そしてこのレースの声を聞けば実感は沸くのではありませんか?
実況B:エレジーコールです。まさかの大判狂わせでしたがハリボテエレジー、称賛されています!ここまで長かった!
ハリボテエレジー:そう…。私勝てたんだ…。やったよ…母さん…それに父さんも…。
サイレンスフウカ:人から称賛されてる…。と言うことは?
国防長官:あーウマ娘諸君。この度のレースを見させて貰った。その結果やはりウマ娘は人間が持たざる能力を持つものであることは否定できないと判断することにした。
エイシンフラッシュ:…。
ハリボテエレジー:そんな…。
国防長官:だがそれはレースにおける魂、命を賭けた競技であるからだと私は思う。
君達のような存在を認めるにはこれから先もレースを提供するべきだと判断した。したがってURA並びにトレセン学園への凍結は停止。ウマ娘に対する処遇はまたURAへ権限を委託することにする。
…素晴らしいレースをありがとう。
サイレンスフウカ:私達の全力が通じたんですね!良かった!!
ハリボテエレジー:ヒトとウマ娘がまた繋がった…。これで良いの…。
ありがとう、みんな。私はみんなの想いに応えられた!
人間はウマ娘に支配される。そんな話題が振り撒かれていた競馬場の天気はいつの間にか晴れていたと言う。
まるでその話題が嘘であるかのように…。
続く
(自分パート)
ウマ娘プリティダービー~因子の光、ハリボテの剣~
最終話
因子の光、ハリボテの剣
検査室
ハリボテエレジー:教えてください、『私』は『ヒトをやめてしまった』のでしょうか?
医師:あー、それについては心配しなくてもいい。君の力はあくまでヒトの範疇だ。
ハリボテエレジー:それならどうして……ヒトが持たざる能力をウマ娘は持っていると?
医師:君がそこまでの力……ヒトの持つ火事場のバ鹿力を引き出せたのは結局ウマ娘という存在が居たからだ。
ハリボテエレジー:矛盾してないかしら。私の能力がヒトの範疇でしかなくとも、ウマ娘ありきだというのは。
医師:ヒトは極限状態じゃないと火事場のバ鹿力を引き出せないはずなんだ、だけど。
ハリボテエレジー:それは『私』がヒトとウマ娘を繋ぎたいという思いがあったから……
医師:それなんだよ、ウマ娘にしかない能力は。いうならば『他人に極限の力を出させる力』といったところかな。
ハリボテエレジー:ウマ娘は負けたくないという思いがあるから、例え私とのタイマンだろうと極限の力は出せるはずよ?
医師:君の場合はそれが無い。極論いってしまえば君はヒト同士の競走なら、あそこまでの力を出さなくても一位を取れるからな。
ハリボテエレジー:まあ『私』の能力はあくまでレースに特化してるから、それ以外のスポーツなら『私』に勝てるヒトが居るかもしれないけどね。
医師:レースに必要なスピードとパワー、スタミナに根性。そして賢さの全てが君にある、レース以外の競技でも君に勝てるヒトが居るかは怪しい。
ハリボテエレジー:まあ仮に居たとしても『私』が勝とうと思わない、そういうことよね?
医師:だから結局、君はウマ娘が居なければヒトのもつ極限を引き出せない。それを十全に活用できたのはヒトの声援による物だとしてもな。
ハリボテエレジー:それじゃあこれからアレが始まりますし、行ってきます。
そうして、しおんはウマぴょい伝説でセンターを勤めた。
ボイトレをしていたこともあり、その歌声は周囲のウマ娘と遜色無いものだったという。
駿川しおん:(俺がヒトだということはバレてしまったが、男だということはバレていないはず)
サイレンスフウカ:あの、いいですか?
ハリボテエレジー:どうしたの、フウカ。
サイレンスフウカ:理事長室で話をしましょう。
理事長室
秋川やよい:動揺!一体何の話をしたいというのかね?
サイレンスフウカ:教えてください、ハリボテエレジーは……彼女がヒトだというなら、その正体を。
秋川やよい:肯定!そろそろ話したらどうかね、エレジー。
ハリボテエレジー:確かに……あんま長く誤魔化してると俺が男だってこと忘れそうになるからな。
サイレンスフウカ:えっ……ハリボテエレジーってウマ娘の振りをしたヒトの女の子じゃないんですか?
※実際にいわれた話。
駿川しおん:あのなフウカ。ハリボテ被ってウマ娘の振りをするなら、別に女である必要は無くないか?
秋川やよい:否定!その理屈だと君が男である必要もないぞ!
※これも実際いわれた話
駿川しおん:生みの親がやったことだ、俺にそれをいわれても困るな。
※生みの親というのは、しおんの父親と作者のダブルミーミングである。
サイレンスフウカ:ともかくあなたから感じていた違和感の正体、それが分かって良かったです。
ハリボテエレジー:誰にも、いわないでくださいね。
サイレンスフウカ:当然です。あなたと私は……対等なライバルなんですから。
ウマ娘プリティダービー~因子の光、ハリボテの剣~完