Blue Silver Vampire 作:WaT=Vermillion
遊戯室にはマリアと切歌が将棋をしていた。
といっても、マリアは将棋が得意なので――。
「はい、王手」
「ああッ! もう詰みじゃないデスかッ!」
そこへ調が冷えたジュースを三人分持ってきた。
「切ちゃん、マリア。冷えたものどうぞ」
「冷えたもの、どうも」
「ありがとデス、調……」
調が切歌の顔色を窺った。
「また負けたの?」
「これで二連敗継続デスよ……」
調がマリアに顔を向けて、
「手加減してあげないの?」
「加減して勝っても楽しくないでしょ?」
「でも、兄さんから聞いたけど、レベルによって駒を減らすっていうのがあるけど……」
「公式は公式、遊びは遊びよ」
そう答えるマリアに、
(大人げないかなぁ。兄さんの影響かな?)
と、調は秘かに思っていた。
そこへ銀次が入室する。
「あれ? 三人ともなにしてんだ?」
「将棋デス……」
「将棋……」
銀次にひらめきの電球が光る。
「もしかして、将棋会館でプロ棋士に負けたの根に持って――」
銀次は言いかけて、飛んでくるハイヒールを避けた。
「あぶなッ! なにすんだッ!」
「別に気にしてませんッ!」
「なら、靴を飛ばすな、バカイドルッ!」
「ポケモンにいそうな名前で呼ばないで、アホ銀次ッ!」
言い争っていると、調と切歌が銀次に問い質す。
「誰に負けたの?」
「もしかして、プロデスかッ!?」
「いや、確かアマチュアの小学生だったな。結構いい勝、ぶッ!」
答える銀次の頬をマリアが殴り倒した。
「答えないでよッ!」
「いや、お前、殴ってくんなよッ! 俺じゃなかったら死んでたレベルだったぞッ!」
「問題ないわッ! 加減なんてしないものッ!」
「そんなんだから、パーマのおばちゃんにも負け、って今度は殴られんぞッ!」
「中々やるわねッ! あなたはッ!」
銀次がマリアのパンチを受け止めていると、ボトッと紙袋を落とした。
調が紙袋を拾い上げた。
「ところで、なんですか、これ?」
「ああッ! それなッ! 試遊してくれって頼まれたソフトでなッ! って説明途中だから、殴ろうとするなッ!」
「断るッ!」
「マリア、抑えてほしいデスよ……」
「……ふんッ!」
(マリア、兄さんに対して感情を爆発するんだよね……)
銀次はマリアとの取っ組み合いから解放された。
「サンキュ、切歌」
「いいデスよ。その代わり……」
「わかった。今度奢って――」
「そのソフト、アタシたちにやらせてほしいデスッ!」
「……えッ?」
銀次がキョトンとした顔になった。
「アタシたちがそのソフトをやれば、最初のプレイヤーになれるってことデスよね? こんなの自慢になるデスよッ!」
「あの、切歌――」
「ダメだよ、切ちゃん。一応極秘で渡されたんだから」
「そうデスね。秘密にしないとデスね」
「あの、切歌、さん。このソフトはね……」
「お願いデスよ~。一度、こういうバイトしてみたかったんデス」
「しかも、試遊だけじゃなくてバイト代まで請求すんのか」
銀次が溜め息を吐く。
「お前、題名見てみ。絵はまだ付いてないけどな」
切歌がソフトのパッケージを見た。
「Dark Deception……?」
銀次が手を差しだした。
「わかっただろ? さ、返すんだ――」
「面白そうデスッ! 調、一緒にやろうデスッ!」
「うんッ!」
「待って、切歌ッ!? 調ッ!?」
切歌がVRハードにソフトを入れ、二人はセッティングした。
「よし、行こう、切ちゃんッ!」
「おうデスッ!」
「待て、お前らッ!」
二人は揃って、
「「ダイブインッ!」」
そう叫ぶと、二人は黙り込んだ。
二人は電脳世界へと意識が移ったのである。
「あ~あ……」
銀次が肩を落とした。
「そんなに肩を落とさないの。妹分を楽しませてやっていいでしょ」
「楽しめるかなぁ? 調は大丈夫だろうけど」
「えッ?」
マリアの目が驚きで見開いた。
「いや、だってこのゲーム、ホラーだし」
「……」
マリアが可哀想な目で切歌を見つめる。
「大丈夫、よね?」
「すぐにログアウトしてくるだろ。それまで待ってようぜ」
「なにする?」
「スマブラやろうぜ」
「それ筆者の都合じゃない。でもいいわ。受けて立つわ」
二人はTVゲーム機の電源を入れた。
――一方、調と切歌は――
切歌「……」
調「大丈夫、切ちゃん?」
切歌「なんか、怖そうな雰囲気がするのは気のせいデスかね?」
調「気のせいじゃないと思う」
切歌「なんか、おばさんの言う通りに赤いポータルに入ったのはいいんデスが……」
調「確か、リングピースを回収しろって言ってたよね」
二人はMonkey Business、猿の絵が周りに書いてあるエントランスにいた。
切歌「なにも、来ない、デスよね?」
パタン。
等身大の猿のパネルが倒れた。
切歌「ひきゃぁぁぁぁぁッ!」
調「切ちゃん、落ち着いて。わたしたちが倒しちゃったんだよ」
切歌「そ、そうなの、デスか?」
すると、目の前にエレベーターを見つける。
中に、猿の人形らしきものを乗せて。
切歌「あの、調。ここは――」
調「進んでみよう」
切歌「この状況でよく言えるデスねッ!」
エレベーターは閉じ、上の階へ行った。
しばらく進んで、エレベーターが開いた。
切歌「……入りたくないデス」
調「入るしかないよ」
切歌「なら、他のエレベーターを使うデスよ。いっぱいあるんデスから」
調「もう、いいから乗るよ」
切歌「待つデスッ! 一人で乗ろうとしないでデスッ!」
調と切歌がエレベーターに乗り、ボタンを押す。
すると、エレベーターが閉じて動き出し、不気味な猿のマークが浮かんだ。
調「ここから始まるんだね」
切歌「アタシはもう、帰りたいデス……」
エレベーターが開くと、不気味な彫像があった。
周りの通路は木の板が張り付けてあった。
調「これがリングピース……」
切歌「でも、シャードっていうのを集めないといけないって言ってるデスよ?」
調「じゃ、集めに行こっか」
調が木の板を外して紫のクリスタル、シャードを手にする。
すると、不穏なBGMが流れ出した。
切歌「やっぱりホラーじゃないデスかッ!」
調「落ち着いて。ちゃんと集めればいいんだし」
切歌「あッ、回収する数とマップが端末に表示されてるデス」
調「その数のシャードを集めればいいんだね。じゃあ」
調&切歌「「一緒に頑張――ッ!」」
途端にBGMが変わった。
より不協和音になっていく音楽に驚いていると、猿の鳴き声と足音が聞こえた。
調「切ちゃん、逃げよう」
切歌「お猿さんがどんな姿か見てから――」
猿の口はなんでも切れそうな牙をして、両手に刃が付けられていた。
なにより、今まで何人も殺したであろう返り血が付いていた。
切歌「きゃあぁぁぁぁぁッ!」
調「いいから逃げるよッ!」
調に引っ張られる形で切歌は走っていた。
調「なるほど。あれに追いかけられながらシャードを回収するんだね」
切歌「ってか、このシャードって人間の魂の欠片って言わなかったデスかッ!? このままじゃアタシたちもシャードになっちゃうデスよッ!」
調「すごいよ。ゲームの設定に入り込んでる……」
調は切歌に若干呆れながら評価し、逃げながらシャードを確実に集めていく。
調「よし、次にここを曲がって――ッ!」
切歌「前から猿が来て――ッ!」
踵を返すも、
切歌「って、挟み撃ちデスかッ!?」
そして、猿に襲われた二人。
切歌「ぎゃぁぁぁぁぁッ!」
二人の目の前にはドクロが三つから二つに減ったのが見えた。
調「殺されちゃったね……」
切歌「アタシ、進むのが怖いデス……」
調「でも、兄さんにあんなこと言った手前、中途半端じゃ帰れないよ?」
切歌「うぅ……。お兄さんの忠告をちゃんと聞くんだったデス……」
調に妙案が浮かぶ。
調「じゃ、わたしがシャードを集めるから、切ちゃんはここにいて」
切歌「えッ? でも、調は?」
調「大丈夫。じゃ、行ってくるね」
調はそう言い残し、スタート地点から走り始めた。
切歌「調ッ! ……行っちゃったデス……」
切歌はポツンと一人、端末を見ていた。
切歌「さっきので、まだ100個も回収してないんデスか……」
トホホ、と泣き言を呟くと、BGMが一変した。
猿の鳴き声と足音が近づいてきた。
切歌「いやいや、ないない。ここまで来るなんてありえない――」
猿たちと目が合った。
切歌「ほぎゃぁぁぁぁぁッ!」
切歌は猿に襲われた。
二人の目の前にドクロマークが減り、残り一つになった。
また、スタート地点に戻った二人。
調「あれ? 切ちゃん、やられた?
切歌「えッ? 調は大丈夫だったのデスか?」
調「快調だったよ。でも、急に暗転して……」
切歌「どっちかやられてもアウトですかッ!」
調「じゃ、一緒に行動しよ」
切歌「そうするしか、ないデス……」
しかし、一分後。
切歌「また挟み撃ちデスよッ!」
調「どうにもできない……ッ!」
また襲われた二人。
そして、
GAME OVER Huh,ha,ha,ha......!
切歌「なに笑ってんデスかッ!」
調「切ちゃん、キレないの」
切歌「もういいデスッ! ログアウトするデスッ!」
切歌はLOG OUTを押した。しかし、
切歌「あれ?」
調「どうしたの、切ちゃん?」
切歌は何度も押した。しかし、
切歌「帰れ、ないデス」
調「えッ?」
調も押した。しかし、反応がない。
調「そんな……」
切歌「アタシたち、閉じ込められちゃったデスかッ!?」
調「落ち着いて、切ちゃんッ!」
切歌「死んでいいゲームなんてぬるすぎるぜッ!」
調「それはキリト」
切歌「アタシは切歌、切歌だッ!」
調「それはアルフェン」
切歌「エドナ様、神依をッ!」
調「それはアリーシャ。切ちゃんがそれをやり出したら、別シリーズのあの作品が書けなくなるからやめて」
切歌「キリトを助け――」
調「わたしがツッコむからいけないの? それとも、切ちゃんがバグり出したの?」
調は切歌の頭を叩いてみた。
切歌「はッ! アタシはいったいなにを口走ったのですかッ!?」
調「うん、色々とこの作者のシリーズに影響を及ぼしたけど、軽症で済んだよ」
切歌「じゃ、11月末の応募作の方は?」
調「これを書いているくらいだから、重症」
切歌「あらら……」
調「落ち着いたみたいだね。なら、クリアまでがんばろっか」
切歌「ええッ!? だって、300個近くあるんデスよッ!?」
調「多分だけど、クリアしないとダメじゃないかな?」
切歌「マジデスかッ!? SAOじゃないデスかッ!?」
調「なるほど、だからSAOネタが来たわけか」
その後も二人は何度も挑んだが、何度もゲームオーバーになった。
その頃には二人は、
切歌「調が毎回猿と鉢合わせするからいけないんデスよッ!」
調「わたしのせいにしないでッ! 切ちゃんがうるさいから猿の足音が聞こえないのッ!」
ケンカを始めていた。
速くゲームをクリアしたい気持ちは同じなのに。
なにより、宿題をしないといけないのに。
それでも、互いを傷つけあってしまった。
そんな中、エレベーターが動いていた。
開くと同時に銀次が飛び出してきた。
銀次「なに二人でケンカしてんだ?」
調&切歌「えッ?」
その時、目の前に銀次が現れた。
銀次「泣き出しているんじゃねぇかとは思ったが、ケンカしてるとは思わなかったぞ」
調「どうして……?」
切歌「助けに来てくれたのデスか?」
銀次「まぁな。ログアウトしてこないから、開発会社に問い合わせたらバグだと言われてな。今、それのデバッグしている最中らしい」
切歌「じゃあ、すぐに帰れるデスかッ!?」
銀次「いや、思いの外手こずっているみたいだ。朝までには直るとは聞いたけど……」
調「それは困りますッ!」切歌「それは困るデスッ!」
銀次「ってことで、俺が来たんだが……」
調&切歌「「やった……ッ!」」
調と切歌が喜び合ったが、すぐに互いはそっぽを向いた。
銀次「おい、助けに来たのに、ケンカはダメだろ?」
調&切歌「「だって……」」
銀次は大きく溜め息を吐いた。
銀次「安心しろ。このゲームは端末版でクリアしたことがある。だから仲直りしてくれ」
銀次の言葉に二人は互いに向き合い、
調&切歌「「ごめんなさい(デス)……」」
二人の仲直りを見たところで、安心した銀次は二人を撫で、
銀次「じゃ、早速シャード回収するで」
調「そういえば、マリアは?」
銀次「いざって時に、操作してログアウトさせる」
切歌「いざって、クリアするんじゃないんデスか?」
銀次「万が一だよ。それに、会社と連絡してくれる人が必要だろ?」
調「そうだけど、どうするんですか?」
銀次「クリアするって言ったろ? まずは猿の動きを確認する」
切歌「動きを確認するってどうやって?」
BGMが一変。
銀次「まずは猿が後ろにいることを確認する。確認してから走る」
調「来ましたッ!」
銀次「なら、後ろに猿がいることを捉えながら回収する。それで挟み撃ちを避けるッ!」
猿の鳴き声と足音が後ろから大量にする。
しかし、前から猿が来ることもなかった。
銀次「まずは端のシャードを取るぞッ!」
調「でも、一回じゃッ!」
銀次「俺が大回りを取るッ! 調たちは近い方へ進めッ!」
切歌「二手に分かれるんデスねッ! 了解デスッ!」
そして、二手に分かれた銀次、調と切歌。
調「大丈夫かな、兄さん……」
切歌「大丈夫デスよ、信じて進む――」
銀次「うおぉぉぉぉぉッ!」
猿を背にかつてない形相で走る銀次。
調&切歌「「全速力で猿とチェイスしてる(デス)ッ!?」」
合流した銀次と二人。
銀次「ギリギリだったッ! このまま残りの三隅は無理だッ!」
調「じゃあ、距離を取りましょうッ!」
切歌「次の道、三つに分かれてるデスッ!」
銀次「こうなったら、行くぞッ!」
銀次&調&切歌「「「秘技・三つ取りッ!」」」
ただの全ルート潰しである。
切歌「おお、なんだかクリアが現実的になったデスッ!」
調「うん? マップに赤いのが表示されてる」
銀次「それは取るぞ。敵が見えるようになる」
切歌「じゃ、早速取りに行くデスッ!」
マップの赤を目指し、進んでいく三人。
そして、目の前に赤いクリスタルを取った。
切歌「お兄さんッ! マップに赤いのが映ったデスッ!」
銀次「後ろに敵はいるかッ!?」
切歌「いえ、一匹がこの脇道から来るデスッ!」
調「危なかった……。どうします?」
銀次「このまま進んで先回りされても困る。だから脇道を通った後で一個の団体になるまで待つ」
切歌「ギリギリまで、待つんデスか?」
銀次「敵が最短ルートで狙ってくるからな」
銀次は脇道を通った後で静止する。
マップを見て、赤いマークが近づいてきているのを待つ。
切歌「猿が来たデスよッ!」
銀次「3,2,1,走れッ!」
タイミングを計って叫んだ。
銀次の狙い通り、別れていた赤いマークが一個の団体になった。
銀次「よし、成功だぜッ!」
調「また隅ですッ! 兄さんッ!」
銀次「任せろッ!」
またも大周りを銀次が全速力で取ることになった。
切歌「すごいデス……」
調「でも、おかげで残り100個に近づいたよッ!」
切歌「やったデスッ! これでクリアまで目前デスッ!」
切歌の言った調子のいい言葉通り、残りの隅も回収し、残りのシャード数が30個を切ったころ。
調「兄さん、あれは?」
銀次「あれも取るぞ、ツイてるッ!」
取ると、ENEMY STUNと表示された。
切歌「もしかして、今のって……?」
銀次「敵がスタンしたッ! 今のうちに残ったシャードを回収するぞッ!」
切歌「おおッ! 本当にクリアできるデスッ!」
調子に乗る切歌。しかし、残り4個で思わぬ事態に陥った。
銀次「最悪なタイミングでスタンが切れたよッ!」
調「残りのシャードから遠ざかってく……ッ!」
切歌「……いや、遠回りすれば取れるデスよッ!」
銀次「冷静になってきたなッ! 落ち着いて、分散させずに、取りに行くぞッ!」
調&切歌「「はいデスッ!」」
そして遠回りすること、数分、残りのシャードを目の前にした。
調「あったッ!」
切歌「よしッ! クリアデスッ!」
残りのシャード数が0になった時、物音が聞こえた。
切歌「へ?」
銀次「奔れ、二人ともッ! シェフが来るぞッ!」
調「終わったんじゃ――」
銀次「リングピース回収して、ポータルまで逃げなきゃクリアにならんッ!」
切歌が後ろへ振り向くと、両手がチェンソーのシェフの猿が走ってきた。
切歌「って、いったそばから、来たデスよぉぉぉぉぉッ!」
銀次「改めて見ると、シェフののこぎり、シュルシャガナに似てね?」
調「達観しないでくださいッ! 切ちゃんが失神しかけますからッ!」
銀次「それは困るな。マリアにどやされる」
切歌「のろけている場合デスかぁぁぁぁぁッ!」
銀次&調「「あッ、大丈夫そうだな」」
泣きながら走る切歌を先頭に、三人は彫像のリングピースに手をかけた。
銀次「よし、回収はしたぞッ!」
調「あとは出るだけ、エレベーターに乗ればいいんですよね?」
銀次「そうだ。よし、開いたぞ」
開いたエレベーターに乗り込んでボタンを押す三人。
切歌「残念デスね~、お猿さん。この勝負はアタシたちの勝ち――ッ!」
部屋のドアから赤い目をした猿が飛び出してきた。
そして、その猿はエレベーターに乗り出そうとしていた。
だが、間一髪でエレベーターのドアが閉まり、ガンッ! と大きな音が鳴った。
銀次「切歌……」調「切ちゃん……」
切歌「調子に乗って、ごめんデス……」
エレベーターが再び開くと、ポータルまでの道だった。
切歌「とっとと、帰るデスよ……。いかにも出てきそうで――」
と、言ったそばから大量のエレベーターから猿が出てきた。
銀次「大正解、ジャックポットだッ!」
切歌「こんなジャックポットいらないデスよぉぉぉぉぉッ!」
泣き叫びながらダッシュしていく切歌を見て、
銀次「切歌のデスって語尾、こんな時でも外れないんだな」
調「出会った時からこうでしたよ」
冷静に走りながら話していた。
切歌「なにしてるんデスかッ! GAME OVERで最初からは御免デスよッ!」
銀次&調「「いや、大丈夫だから先に行ってッ!」」
切歌がポータルをくぐると、三人の目の前が真っ赤になり、
YOU ESCAPED!
スコア計算に入っているのを確認していると、切歌が二人に抱き着いた。
切歌「やったッ! クリア出来たデスッ!」
調「ごめんね、切ちゃん」
銀次「やったな、切歌」
一方で、現実世界ではマリアが開発会社と通話していた。
そんな中、三人が意識を取り戻す。
切歌が端末を外し、マリアに抱き着いた。
「ただいまデスッ! マリアッ!」
「おかえりなさい、切歌。あ、はい。今戻ってきました。はい。はい――」
調も端末を外し、銀次を見て頬をむくれる。
「わたしがクリアしてみたかった」
「こればかしは経験の差だ。今度、端末版で遊んでみるか?」
「是非、お願いします」
こうして、SAO事件、じゃなかった。それに似た事件は解決された。
しかし、マリアは思った。
(最初からリセットボタンを押して、中断させてもよかったんじゃ……?)
ぶっちゃけ、それが一番の正解だったりする。
だが、銀次が、
「確かに安全だけど、急にホラゲーで電源切れて真っ暗な世界になってみろ。そっちのが怖いぞ」
と言って止めたのだ。
マリアは銀次を見つめて少し微笑んだ。
(本当は兄貴分としてカッコいいところを見せたかったのかもね)
ちなみに、
調と切歌がショッピングモールで買い物中、エレベーターに乗ろうとした時、
「切ちゃん、冷や汗かいてない?」
「えッ? そ、そんなことない、デスよ?」
ジーっと、調は切歌の顔を見つめた。
そして、エレベーターが開いた時、
猿の着ぐるみが現れた。
「ぎゃあぁぁぁぁぁッ!」
「落ち着いて、切ちゃんッ! ここ、現実だから」
猿の着ぐるみが降りてきた。
「君、大丈夫か?」
「ひゃあぁぁぁぁぁッ! ポータルはどこですかぁぁぁぁぁッ!」
切歌は猿の着ぐるみから逃げるように、エレベーターから離れだした。
調がペコリと猿の着ぐるみに謝った。
「あの、切ちゃんが、親友がすみません」
「えっと、僕もなんか、ごめんね?」
しばらく切歌は猿とエレベーターがトラウマになったという。