Blue Silver Vampire   作:WaT=Vermillion

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飛び立った天使は縛られる 転

 警報が鳴り響いた状態が続き、的場は眠れずにいた。

「……騒ぎに欠かねえな」

 的場が口にすると、部屋の鍵が開いた音が聞こえた。

 そこにはココノエがいた。ここの重役を担う人物だ。知らないはずない。

「どうやら起きているようだな」

「こんな警報の中で寝られやしねぇよ。ドクター・ココノエ」

 わざわざふて寝を決め込む的場に、ココノエは自身のポケットをまさぐった。

「起きているならちょうどいい」

 ポケットから出てきたのは、ムラクモ・ユニットの量産試作機、エンゲルの待機形態のガントレットを的場に投げ込んだ。

 なにかを感じ取った的場は寝返りをしながらそれを上手くキャッチした。

「こいつはどういう風の吹き回しだ? ココノエ」

 受け取った代物が安いものでないことはわかっていた。

「結論から述べる。おまえをこのエンゲルのテスト装者にする」

 ココノエは無愛想な顔のまま、的場に言い放った。

 しかし、依然として的場は強気な姿勢を取った。

「俺がそれに応じる、とでも?」

「お前は立場上、日本に戻っても死刑になるからな。こっちで雇おうって話だ」

「日本に居場所はねえ、ってか。使い走りしておいてポイだとは」

 それには同情する、とココノエが言った後で、

「悪い話ではないと思うんだがな。ここの責任者はわたしじゃなく、あのお人好しの馬鹿だ」

 と、的場を誘った。

「銀次の下で、俺が働くとでも?」

「それはお前の勝手だ。わたしはここを離れる」

 そう言ったまま、困惑する的場をそのままに去ろうとしていた。そう、そのままにして。

「待てよ。部屋のカギを開けっぱなしだぞ」

「どの道、他の装者を探す時間が惜しい。そうじゃないにしろ、お前がどこへ逃げ出そうが知ったことじゃない」

「俺がこれを持ち逃げするとは考え……っておい!」

 声がどんどん遠くなっていく。最後に聞こえたのは、

「だとしても、問題はない」

 という発言だ。それっきり返事がない。

「くそッ! ここの連中は正気なのか!?」

 的場は軽く舌打ちをして空いた牢の扉から飛び出した。

 そして、的場は握りしめたエンゲルの待機状態のガントレットを睨みつける。

 このエンゲル、ムラクモ・ユニットはフロンティア事変、風鳴事変の起因となった日本と米国には生産は許されていない。それどころか米国には国連から配備を許さない状況だ。

 もし、米国にこのエンゲルを持って入国すれば、好待遇を得られるかもしれない。

 そうすれば、米国で優雅に暮らすことができるかもしれない。

 しかし、的場の頭にそれは思い浮かべなかった。

 考えるほど、キンジの面影が残る銀次を思い浮かべてしまう。

「……俺ってやつはッ!」

 勢いよく部屋から飛び出しながらガントレットを付けた。

 

 その様子を見ていたカジュンがココノエに近づく。

「いいのですか、博士? もし、持ち逃げされたら――」

 心配するカジュンを他所に悪魔のような笑みをしていた。

「まったく、疫病神かと思ったが思わんところで幸運だな、銀次は」

「えッ?」

 カジュンは戸惑いを隠せなかった。

「それより、戦闘管制はどうなっている?」

「は、はいッ! 只今、装者四名現場に着きますわッ!」

「四名? そうか、シンフォギアも含まれてるな」

 それも、誰かがわかっている。

 

 銀次は上空からアルカ・ノイズの大群を目視する。

 篭手の突いている右腕に刃シルバー・ピアスで照準を合わせた。

 しかし、もう片方の左手はマリアの右手が握られていた。

 控えめに言ってカッコ悪い。

「あのー、マリアさん」

「もうすぐ戦闘エリアよ、集中しなさい」

「これ、なんとかならない? 恥ずかしくて仕方ないんだけど」

「文句を言わないッ! これが一番なのよッ!」

 文句を言う権利は銀次にないようだ。

 堪らず愚痴をこぼす。

「……シンフォギア用の飛行ユニット開発させようかな」

「そんな予算、ない」

「それだったら自分の武装案を採用してほしいですッ!」

 ラムダとフェルに反対される。

 じゃあ、ずっとこのままか? と問いかける前に、

「俺、お前らの所長なんだけど」

「話している場合? もう目の前よッ!」

 どうやら自分の権力があるようでないことを思い知った銀次は止むを得ず、指揮する。

「ラムダはここから支援射撃ッ! フェルは発生源を叩けッ! 上陸したアルカ・ノイズは俺とマリアで切り崩すッ!」

「「了解ッ!」」

 ラムダとフェルが返事をした。マリアにも確認を取った。

「行くぞ、覚悟は――!」

「もうできているッ!」

 銀次はマリアの右手を繋いだ左手を離し、降下地点にシルバー・ピアスの術式の矢で着陸地点にいるアルカ・ノイズを氷の華を咲かして一掃する。

 そこで無事に着地したマリアは左腕の籠手から陀腹剣を取り出し、周囲のアルカ・ノイズを斬っていき、塵と消していく。

 銀次はマリアの上空からシルバー・ピアスを連射していき、雨を降り注ぎ、多くのアルカ・ノイズを塵と消していく。

「この数、捌き切れないわけじゃないッ!」

 上陸していくアルカ・ノイズが減ってきたころ、雑音が銀次たちに届く。

『こちら、フェルッ! 大変ですッ!』

「落ち着けッ! 落ち着いて情報をよこせッ!」

 ひどく慌てているようだ。冷静になるようにフェルを叱った。

『錬金術師共が、魔物を召喚してきましたッ!』

「魔物、だとッ!」

『それ以上の言葉が自分にはッ! ああ、その魔物が外へッ!』

 フェルの言葉と同時に魔物と呼ばれる生物が銀次たちの目の前に現れた。

 熊のような姿をしているが、凶暴な牙と鼻をした顔は猪を彷彿とさせる。

「風の鏖鋸よ、敵を切り刻めッ! エアスラストッ!」

 銀次が背中の翼から風の羽根を出し、風の丸鋸に変形して魔物に向けて攻撃する。

 しかし、丸鋸の前に黄金の壁が防ぐ。

 錬金術によって生み出された生物と思い知ると、マリアは軽く舌打ちした。

「確かに、これは魔物、ね」

「どう呼ぶべきかは後だッ! フェル、錬金術師共を逃がすなよッ!」

『はいッ!』

 落ち着きを取り戻したフェルが勢い良く返事をした。

「ここが正念場ねッ!」

「ああ、ここから先は俺の戦争(ケンカ)だッ!」

 銀次はそう言うと銀雪を両手で構え、銀雪を大太刀の形状に変えていく。

 そのまま魔物に斬りかかるが、

「いいえ、わたしたちの聖歌(ケンカ)よッ!」

 マリアも同時に斬りかかり、二人がかりで魔物を切り崩す。

 切り崩した魔物は次第に人魚姫の結末のように泡へと消えたが、その跡を次の魔物たちが押し寄せてくる。

 銀次が放った風の魔術が通用しない点も考えて厄介と感じる。

 それでもマリアは、銀次より前に出た。

「銀次ッ! あの火の術、使ってッ!」

「わかったッ!」

 銀次が止めようと思ったのも一瞬、マリアが魔物の渦中に入ったのだ。

 銀次は言われるがまま、火の魔術を詠唱した。

 こうなれば、どうにでもなれ。

「天空より降り注げ爆炎の雨よ、焼き尽くせッ! バーンストライクッ!」

 複数の爆炎弾が魔物たちに向かって降り注いだ。

 マリアを心配した銀次だが、離れたことを知ると杞憂に終わる。

 黄金の壁が爆炎を防いでいたが、勢いに押され、壁が砕け散った。

 爆炎は魔物たちに燃え広がり、やがて泡となり、蒸発した。

「よしッ! これならッ!」

 押し切れる、そう銀次とマリアは考えた。

 しかし、そうはいかなかった。

 大きく醜い魔物が仁王立ちで立ち塞がっていたからだ。

 それを例えるならば、豚の顔、人の腕、猪の大きなお腹に、馬の脚、全体には熊の毛皮が生えていて、口からは死臭を放っている。まるで、ゾンビキメラだ。

 それが大斧を持って二人の前に立ちふさがった。

「こないだ、切歌とやっていたゾンビゲームにこんな敵がいたな。泣きついて俺にコントローラーを渡すほどバイオレンスだったからな」

「なんてゲームをやらせているのよ……」

 そう雑談を挟みながらも、二人ともその魔物とは距離を取っていた。

 本能的に察していた。あれに近づいてはいけない。

「で、その敵とどうやって戦ったのよ?」

「とにかく距離を取って戦っていた。あの斧みたいなのはダメージがでかいだろうからな」

 マリアと銀次が話し合っている間に、ラムダが空中から支援射撃し、ヘイトを集めた。

 しかし、長くは続かなかった。

 魔物は銀次たちに向けて走り出した。

 速くはないが、遅くもない。充分に距離を取れる相手だろう。

「そうね、あれが見掛け倒しってことはないわね」

「だが、急な猛突進には気をつけろよ。いざとなったら、フェルが来るまでの時間を稼ぐんだ」

『こちらラムダ、それならエネルギー満タンで撃ちながら距離を取って。ダメージは通るはずだから』

『こちらフェル。錬金術師どもはもうタネがないようですッ! すぐ一網打尽にしてそちらへ向かいますッ!』

「わかった、時間は稼ぐ――ッ!」

 銀次がそう返事した瞬間、魔物が突然スピードを上げてきたのだ。

「銀次ッ!!」

 マリアが銀次へ振り返った。

 突進された影響で銀次の手からシルバー・ピアスが手離された。

「くそッ! イグニッションッ! 銀雷ッ!!」

 銀次は右手を黒く染め爪となり、魔物の顔を銀色の雷を纏わせ爪で引っ搔いた。

 魔物はどの動物の鳴き声、いや、鳴き声と呼んでいいのかわからない音を周囲に轟かせ、苦しんだ。

 その隙に、銀次は血反吐を吐きながら、必要以上に距離を取って、シルバー・ピアスを回収した。

 フェルがいれば二基のフェンリルMk-2で風穴まみれにできたが、そうはいかない。

 自分が命じたからだ。指揮した自分の責だ。

 しかし、悲しいことに、いや、銀次からして幸運なことがあった。

 魔物が銀次に目掛けて突進していった。

 一番近くにいたはずのマリアを狙わなかった。

「銀次ッ!」

「マリア、絶対に近づくなッ! 俺が引きつけるから隙を窺ってくれッ!」

「了解ッ!」

 マリアの両手いっぱいに短剣を指の間で挟み、いつでも投擲できる態勢を取っている。

 銀次も律儀に追ってくれる魔物に向けて、射撃体勢を取りながら、上空へ飛翔した。

 ラムダと同じ上空にいてもなお、魔物は銀次を追い続けた。

「ここまで、来れば……」

「気をつけて、まだあいつは――ッ!」

「わかってるッ! だが、エネルギーは充分だッ! かなりエグめの大技いくぞッ!」

「了解、支援する」

 ラムダが引き続き射撃をしてくれる中、銀次は詠唱をした。

「氷霧よ、我が敵の水を糧とし、華を咲かせッ!」

 銀次のシルバー・ピアスの銃口に氷霧が溢れ出ている。

 生物相手では禁止にしていた大技だ。死体のような魔物に使うのであれば一切の躊躇はない。

「霧散氷華ッ!!」

 魔物の胸に目掛けて氷の矢を発射する。

 魔物に着弾したのは確認した。

 霧散氷華は、生物相手に使わなかったのは着弾後に理由がある。

 氷の矢が着弾後、敵の水分をとことんまで吸い取り、最後に氷の華が咲く。

 その水分はあらゆる体液をも吸い取るため、仮に生物相手に使えば、被弾した生物は原型を留めることなく、深紅の華が咲くことになる。

 だが、相手がゾンビキメラなら話は別だ。

 死体から作られた魔物だったら人道的にも問題がない。

 魔物は見事に動きを封じることができた。

 体内の水分が凍っていくのだ。無事でいられるはずはない。

 しかし、予想だにしない事態が起きた。

 銀次とラムダにアラートが鳴る。

 銀次は咄嗟にラムダを風で突き飛ばした。

 ラムダのアラートは消えた。

 しかし、銀次のアラートは鳴り続ける。

 やがて、銀次は背中を大きなハンマーで殴られたように地面へ叩きつけられていく。

「「銀次ッ!!」」

 マリアとラムダの悲鳴に似た声が地面で倒れる銀次に届いた。

 銀次は辛うじて意識を取り戻した。

 油断していた。

 術中にはまったと思い上がり、高をくくった結果がこれだ。

 相手は重力を操る術を持っていることの可能性を見出していなかった。

 さらに最悪なことに先ほどの衝撃で飛行ユニットがエラーを起こし、飛べなくなっている。致命的な損傷でないからエラーの解除に些少時間が掛かるだろう。

 付け加えるなら、銀次の身体にも負傷が起こった。脊椎が激しく損傷し、立ち上がれなくなっている。治癒魔術を行使しても、万全とはいかない。

 そんな銀次に目掛けて大斧を持って目の前に現れた。

「マジかよ……」

 折角、新たな生活が楽しいと思ったところなのに。

 零菜やマリアたちに恩返しできると思ったのに。

 ちゃんと生きていくと、ライフィセットに勇気づけられたのに。

 こんなところで終わっていくのか。

 そう考えると、銀次は涙が目に溜まってくる。

 魔物が大斧を振り上げる。

 銀次は霊視で周りを観察した。

 マリアは、ナイフを投擲して狙いを逸らそうとして近づいてくる。

 ラムダも、上空から降下しながらピグレットを両手で撃ち放ってくる。

 フェルもこの場にいたら駆けつけてくれるのだろうか。

 銀次は状況を達観し、謝罪を口にしようとした。

「ごめ――」

「させるかよおおおおおッ!」

 男の怒号と共に、猛スピードで魔物がぶつかっていった。

 霊視を解いた瞬間だった。

 銀翼に似たムラクモ・ユニットが魔物に突進したのは。

「お前は、的場ッ!?」

「とっとと、銀次連れて逃げろッ!」

 的場が仰け反った魔物に向けてもう一殴りをしながら、マリアに叫んだ。

 マリアはそれを聞くまでもなく、銀次へ走っていった。

 ラムダも銀次の元へ降りて、注射器を用意した。

 マリアはそれを見て開発中の医療品だと理解した。

「それって、緊急医療用の?」

「うん。苦痛を抑えるためのもの。最も、銀次が被験者になるとは思ってなかった」

 ラムダはセンサーを緊急医療ガイダンスモードにし、銀次の隣に座る。

「痛いのはどこ?」

「……身体中が痛い……。脊椎をひどく打たれたようだ……」

 それを聞いて、ラムダのセンサーが投薬場所を背中へと示した。

「銀次。未完成だし、痛みが完全に引くわけじゃないけど……」

「立てればいい……ッ! 打ってくれ……ッ!」

「わたしが担ぐわッ! だからお願いッ!」

 ラムダは銀次の言葉より、マリアの言葉で行動に出た。

「わかっている。でも、逃げることが先決ッ!」

 そう言い放ちながら、銀次の背中に投薬した。

 銀次の痛みは次第に引いていく。

 しかし、視界がぼんやりとしたのは副作用だからか。

 それでも手足を動かせるくらいの痛みを我慢できるのは成功だからか。

 立ち上がれる。そこをマリアの肩を借りながら、ゆっくりと。

「ラムダ、すまない……。あとはなんとか……」

 銀次の言葉をマリアが塞いだ。

「戦おう、だなんて無茶を言わないで。グミを持ってきてもあなたには渡さない」

 グミは異世界事変の際の土産品の一つで、お菓子ではなく、滋養強壮剤の一種として第七機関でも生産している。

 作り方は、かめにんから訊き出したので、効果は保証できる。

 しかし、銀次には応急処置用の魔術があった。

「ディスペルキュア」

 その魔術を自分にかけた。

 それでマリアから離れようと試みるが、マリアに止められる。

「ダメよ。なんとかしてどうにか逃げなきゃでしょ?」

「でも、あいつ、俺を……」

 銀次の言葉が詰まった。

 銀次を執拗に追っていた魔物が一向に来る気配がない。

 マリアもそれに気づき、的場と魔物の方へ顔を向けた。

 魔物が的場を追い始めている。

 銀次を追う素振りがない。

「どういうことなの?」

 衝撃の光景に目を見開くマリアに対し、ラムダは冷静に状況を分析した。

「そっか。エンゲルは銀翼をベースにした量産機。だから見間違えてんだ」

 ラムダの分析に銀次も合点がいった。

 銀次も術者の一人だから、大体の習性が理解できたのだ。

 術者が召喚した魔物などを使役する際に、細かい指示を与えるには、術者がその場で指示をしなければならない。

 現場に近ければ、精度の高い指示ができ、いなければ、力が弱まるか、大雑把な行動しかとれない。

 今回のケースは、パワー重視の大雑把な銀次の銀翼のイメージを標的に指定したものだ。

 それの量産機であるエンゲルは銀翼のイメージに被っていた。

 だからこそ、あの魔物は的場を銀次と誤認し、標的を変えたのだ。

 要するに、ジョジョに出てくるスタンドという解釈がわかりやすいかもしれない。

 余談ですが、第三部が好きです。

 母親の命が懸かっているというのに、時折のボケや、ゲームでスタンド対決したりで、視聴当時は「これ、人の命が懸かっている旅だよね?」と楽しく観ていました。

 好きなスタンドは、シルバーチャリオッツです。余談終わり。

 とにかく、戦闘不能の銀次を戦線から離すには絶好の機会なのだ。

 ラムダが地面に置いたピグレットを回収し、飛び立つ体制に入った。

「マリア。銀次を連れて離脱して。あなたの言うことなら聞くから」

「わかったわ。気をつけて」

 ラムダはマリアの了解を得ると、魔物に向けて飛んでいった。

 すると、マリアが担いでいた銀次の肩が重くなった。

「大丈夫? 痛むでしょ? 無理して強がっちゃって……」

「よくわかったな……。正直、まだ身体中の節々が痛むよ……。でも……」

 その先の言葉はマリアに取られる。

「戦いたいんでしょ? 本当に無茶しかしないんだから」

「接近戦は危険だからな。少ししたら、飛行ユニットも直る。その時に――」

「無理よ。またあの術にやられる可能性があるわ」

 特にわたしを担いでなんてできないでしょ、と毒を吐いた。

「そりゃあ無理だけど、なにも上空からじゃねぇよ。お前にも手伝ってもらいたい。――」

 銀次から作戦の詳細を伝えられた。

 マリアはもうッ! と怒りの声を露わにしつつも、反対しなかった。

「わかったわ。そこまであなたを運ぶわ。ただし、痛みがひどくなったら、中止よ」

「手厳しいな……。頼むよ……」

「いいわよ、あなたの秘書ですもの」

 二人は戦闘エリアから離れていく。

 銀翼は翼を出せず、マリアに銀次ごと担がれながらも。

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