甘雨と結婚したい人生だった者の妄想   作:むーしゃか

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データ消えたりデータ消えたりしてしまったのだわ……
更新遅くなってしまったのだわ本編最終回大長編ですわ!





潾とした少女と、生きていく。

不卜㢒・数日前。

 

「ん、ここは…?」

 

目を覚ますと、よく見知った天井が目に入る。友人である、七七が居る場所だ。

 

ふと窓を見ると、強い日差しが差し込みあの時のような悪天候では無くなっていた。

ベットを降りようとすると、床には炎スライム達が眠っており、静かに行動する。

 

窓の外を覗くと今まで通り人々が生活していた。

講談を聞くもの、港の治安を守るもの、商いをするもの。

 

「幸卵さん、目が覚めましたか。」

 

「白先生……」

 

よく知る人物が現れる。こんなにお世話になったのはいつぶりだったかな……。

 

「調子はどうですか?直ぐに七七や皆さんを呼んできますね。」

 

「りょうか〜い」

 

感傷に浸るなんてらしくないなと思い、いつもの調子で返事する。

そして炎スライムを抱き上げ、ベッドに座ってみる。

襲ってこないスライムは可愛いね。

 

足をぶらぶらさせていると、七七ちゃんとヨォーヨちゃんが入ってくる。

 

「幸卵ちゃん起きてよかったよぉ〜」

 

「身体、もう、痛く、ない?」

 

「うむ、よく寝て元気いっぱいな幸卵だ〜」

 

筋肉は全くないがフィーリングで力こぶを作る。むきっ。

 

「幸卵ちゃん無茶しすぎ!心配させないで……」

 

「ごめんなさいヨォーヨちゃ〜」

 

半べそかきながら手を握られてしまっては弱ったなぁ。

ヨォーヨちゃんには勝てない。

あ、七七ちゃんに聞かねばいけないことがあったんだ。

 

「ねぇ七七ちゃ〜。私が負けた後って、覚えてる……?」

 

認めたくはないが、完全に敗北したのだ。七七ちゃんに危害を、加えられたら、あいつも自分も許せない。

 

「えと……幸卵を頼むって、言われて、七七、運んできた。って、ノートに書いてあった。」

 

「じゃあ、七七ちゃ〜は。何もされてない?」

 

七七ちゃんは多分?と首を傾げるが、怪我などはして無さそうだ。

だが、何故?ますますあいつの得体が知れない。

 

「でも外は晴れてるから……全部終わったんだよね〜?」

 

「うん。幸卵ちゃんが運ばれてきて数時間後に、空が晴れて甘雨ねぇねと男の人が運ばれてきてたの。甘雨ねぇねは直ぐに目を覚ましたんだけど、男の人はまだ寝てるみたい。きっとあの嵐の中戦ってた人だと思うから、早く良くなるといいね。」

 

「ままが!?ままは大丈夫なのっ!?」

 

「高い所から落下して少し気を失っていただけだって白先生や空さんが言ってたよ!」

 

ヨォーヨちゃんが私がここに来たあとのことを説明してくれた。

ままに怪我が無くて良かった。

男の人……もしかしてあいつ……?もしそいつのせいだとしたら今すぐにでも息を止めに行かないと。それに……

 

(幸卵が負けたから……みんなに迷惑かけちゃったってことだよね……)

 

「その男の人は、どんな人だったの〜?」

 

あまり聞きたくはないが、聞かねばならない。

 

「七七の、ノートに書いてあった人と、同じ。幸卵が、戦ってた人。」

 

「そ……か……」

 

やはりあいつか……幸卵ももっと強くならないと。

さて、息の根を止めにいこうか……何故不卜㢒に運ばれてきたかは知らないけど、またあんなことはさせない。

 

「幸卵ちゃん!まだ動いたらダメだよ?起きたばっかりなんだから……」

 

「だいじょーぶ。むしろ起きたから動きたい気分なので。」

 

ベッドを降りるとヨォーヨ……に阻まれてしまった。

最近のままより母親らしいよ……

 

「じゃあ止めないけど、ちゃんと戻って今日一日は安静にしてね?特に、雷元素の力は使わないでって白先生が言ってたんだから。」

 

「は〜いおかーさーん♪ねぇ、七七ちゃ〜。運ばれてきた男の人ってどこの部屋か分かる?」

 

「ん、この部屋の、隣の、隣。」

 

二へ〜と気怠げな笑みを浮かべて部屋を出る。

隣の隣か。隣にはままがいたんだろう。

すぐに起きたとの事だからもう戻って仕事に没頭しているだろう。

少し寂しさは感じるが、もうそういうのは慣れっこだ。

 

「この部屋かな〜?」

 

扉の前に経つ。

この場所で人殺しなど、気は引けるが仕方ない。

自信を納得させドアノブに手をかけた、がふと木札が目に入り、そこには”游潾”と記されていた。

 

「游潾……って……!?」

 

「幸卵!」

 

木札の名前に気を取られ、思考を停止させた脳に、よく知る声が響く。

振り向いくと、そこには彼女が一番に愛する母親の姿があった。

 

「ままっ!」

 

自然と脚に力が入る。

元素は使っちゃダメと言わていたのも忘れ、少し離れた母親の元へ全力ダッシュ……ダイブかも??

 

「目が覚めてよかった……あぅっ!」

 

甘雨の華奢な身体では力有り余る幸卵の飛び込みを受け止めきれず、床に尻もちを着いてしまう。

 

「ままも無事でよかったーっ」

 

ぎゅーーーっと抱きしめ普段他人には見せない満面の笑みを浮かべる。

 

「あなたがここに運ばれたと聞いた時、凄く心配したんですから。もうこんなことをしてはめっですよ?」

 

無理な戦いをした事を注意しつつも、優しく幸卵の頭を撫でる。

 

「善処する……」

 

「ダメです。ちゃんと約束してください。」

 

「はいままぁ〜」

 

善処する、だの普段使わない言葉を選ぶ時は冗談を言うとき……

もちろんままには見抜かれてるみたいだけど。

 

「そういえばまま、お仕事は?」

 

「あなたが目覚めたと聞いたから、抜け出させてもらいました。元気な声を聞きたかったんです。」

 

ままが幸卵のことを心配して、仕事まで抜けてくれた事がすごく嬉しかった。ぎゅっと一層力を込める。

 

「それに……あなたもドアの前にいたから気付いたと思うのだけれど……」

 

甘雨があの話を切り出すと共に、幸卵の顔から一瞬で笑顔が消える。

 

「お父さん……のこと?」

 

游潾。それは幸卵が長い間ずっと探してきた男の名前。

数千年も家族を置き去りにしたまま消えてしまった男の名前。

 

「えぇ。まだ目は覚めていないけど、やっとあなたにも会わせてあげられる。」

 

ずっと昔、ままはお父さんが遠くに行ったと言っていた。幸卵もそれを信じていた。仙人なら寿命も長いからどこかにいるって信じてた。

でも薄々どこかで、もうお父さんはこの世に存在しないと、そう思うようになっていた。

だからこそ。

 

「お父さんは、本当にままの大好きな人?」

 

本当にそれはお父さんなのか……と。

 

「私の大切な人です。」

 

優しい笑顔だった。嘘は付いていない。ままはそう信じている。

 

「まだ眠っているけど、一緒に顔を見に行きましょう?」

 

「うぅん。ままの顔見たら安心して眠くなっちゃったし、お父さんと話すの楽しみにしとく〜ままはおしごとがんばってね!」

 

そう言って、幸卵はふらふらと部屋に戻っていった……。

のだが、元素を使用して甘雨に飛び込んだのをヨォーヨに目撃されていたらしく……

 

「幸卵ちゃん!元素使っちゃダメって言ったよね?言いつけ守れない悪い子は私と七七ちゃんが見張りますからね!」

 

「幸卵、部屋から出さない。」

 

「ヨォーヨちゃ〜。七七ちゃ〜。ご容赦を〜お慈悲を〜」

 

ぷんすかと頬をふくらませたヨォーヨちゃんとドアの前で胸を張る七七ちゃん。

父親のことで相当心にガタが来ている幸卵には、一緒にいてくれるゆうじんがいるのが本当に心強かった。

 

〜次の日〜

 

「はい。体内の元素も安定しているようですし、今まで通りの生活に戻って大丈夫ですよ。」

 

「はーい白先生〜お世話になりやした〜」

 

ぺこりと頭を下げ、不卜㢒を後にする。

 

長い階段を降りていく。早くままのところに行かなきゃ。

きっと今も仕事に忙殺されていることだろう。

 

「幸卵が癒しをお届けせねばっ」

 

階段を駆け下りていく。その途中で見覚えのある人物がいたので急ブレーキをかける。

 

「……お!幸卵じゃないか!元気になったんだな!」

 

「ふむ……パイモンと、空さんだ!おひさしゅう〜」

 

「幸卵。こんにちは。無事完治したんだね。」

 

母親である甘雨の契約者……と言うよりは友人?

ままはこの方たちと冒険に出てるみたい。どんな契約かは知らないけどね!

 

「まさか幸卵が不卜㢒から卒業すると聞いて……!うぅっ幸卵はなんと良き友人を持ってしまったのだ……」

 

「そんな大袈裟な……でも喜んで貰えて良かったぞ!」

 

小粒の涙をわざとらしく流しながら冗談交じりに言葉を交わす。

パイモンと小突きあっていると、その光景を微笑ましく見ていた空さんが。

 

「游潾とはもう会った?」

 

あぁ、そうか。この人も知っているんだった。

でも、わざわざ家庭内のことまで心配させる必要はない。

 

「まだ、不卜㢒で寝てる、よ〜。全然目覚めないみたいなのです〜」

 

「そうなのか〜早く元気になるといいな!」

 

「そうだね〜、、、幸卵はままのところへ馳せ参じなければなので、またの〜」

 

手を軽く振りまた走り出す。上手く笑えていたはずだ。

 

「……やっぱり幸卵もなんか隠してる。」

 

「え……そうなのか?前と変わらないと思うけど……?」

 

「不器用なところは父親に似たのかもね。」

 

────────────────────

 

璃月港を駆け回り、最愛の母と玉衛を見つける。

 

彼女が勤務中なのもお構い無し背後から飛び付く。

 

「まま〜!幸卵のお仕事は〜?」

 

「ひゃっ……!もうっ少し会わない期間があると決まって飛び付く癖は治しましょう……!」

 

彼女の母親……甘雨が困り顔で、しかしてどこか嬉しそうな声で注意する。

 

「幸卵。元気になったようで良かったわ。一応病み上がりなのだから、復帰はもう少し後でもいいのよ?」

 

「傷は完全完治ばっちぐー、むしろ働かないとまた怪我しちゃう。」

 

隣に居た玉衛……刻晴が声を掛けるが、血は争えないらしい。

彼女はやれやれとため息をつく。

 

「そういえば甘雨、游潾の元素も順調に抜けてきてるみたいで、数日もすれば目が覚める見込みだそうよ。話したいこともあるだろうし、何日か休みを取ったら?」

 

刻晴が游潾の名前を出すと、ほんの少しだけ、周囲がピリッとし始める。

 

「いえ……!先日穴を開けたばかりですので、問題ありませんよ。お気遣いありがとうございます。」

 

「この前のは気絶でしょ?しかもすぐ復帰しちゃうんだから半日も休んでないじゃない。あなたこういう時じゃないとまともに休み取らないでしょ?」

 

思ったことをはっきり言う刻晴に目をぐるぐるさせる甘雨。

かなり困っている彼女に、ピリピリとした雰囲気を醸し出している少女が助け舟を出した。

 

「ままはどうしたい〜?」

 

「私は、そうですね……」

 

「会いたいならそう言いなよ〜数千年間ご無沙汰でしょ〜」

 

「幸卵……あなたどこで……」

 

いやらしい笑みを浮かべながら肘で母親を小突く娘と照れてしまった母親。

それを見た刻晴はさらにため息を着くのだった。

 

────────────────────

游潾の目覚めから数日後。

 

「幸卵も游潾も元気になってよかったな!渦の脅威も去って、みんなとも会って、美味しい食べ物もいっぱい食べたしな!そろそろ璃月を出るか?」

 

先程も香菱の所でおなかいっぱいご飯を食べたパイモンがお腹をぽんぽんと叩く。

確かに次の友人達がいる国に行くのもいいかもしれない。

 

「うん。そうだね。宿に帰ったら何処に行くか決めようか。」

 

いつも通りの日常を感じつつ、璃月港を歩く。

 

すると前から見知った人物がふらふらと歩いて来るのを見つけた。

 

「あれ……幸卵じゃないか!不卜㢒で別れてから全く見なかったけど、大丈夫か?」

 

「おやおやおや、空さんにパイモン。数日ぶりですな〜」

 

「そんなげっそりしちゃってどうしたの?」

 

ヨボヨボのおばあちゃんというか、完全に疲れ切っているような表情をした彼女が、いつも通りのテンションで話しかけてくるのだからどう触れたらいいのか……

 

「いや〜、あいつが起きてままがおやすみをとっているのでね、その埋め合わせで幸卵がまさに東奔西走〜次の仕事までほんのすこーーしだけ空いたから港を歩いてたぁんだ〜」

 

「あいつ……は游潾のこと?」

 

「そ〜あいつ。ずっと探してたのに、ぽっと出てきやがって。未だに信じられないな〜」

 

彼女は他人を易々と信じられない。

空やパイモンの事を信じてくれたのは甘雨の存在が大きかったのだろうが、以前焚き火を囲った時までは”信じてもらう”という段階ですらなかっただろう。

そんな彼女だからこそ、まだ”父親”を疑っている。

 

「その調子じゃ、まだ話せてないみたいだね。」

 

「うん……」

 

幸卵が俯いてしまった。

実際、彼女はどう思っているのだろう。

腐っても父親、自信の母が愛した1人の男?

または数千年もの間1度も姿を表さなかった裏切り者?

どうしたら2人がちゃんと話してくれるだろうか……

 

「うぅ、初めて家族が揃うんだろ?なんか寂しいぞ……」

 

「幸卵も自分の父親なんだぞ!ずっと探してたんだから……甘えたいとか……この際”一発ぶん殴ってやりたい!”とかでもいいと思うぞ!」

 

パイモンもむず痒くなっているのか、説得を試みている。

当の本人は俯いたままなのだが。

 

「あいつは〜裏切り者で、ままを悲しませて、今更帰ってきやがって、、、(不思議と空さん達なら話してもいいやって、そう思える)」

 

「?」

 

気ほどまでピリついていた雰囲気から一転、幸卵がモジモジとし始める。

 

「幸卵は、ね、いきなりお父さんとか言われても、やっぱり分かんないよ……」

 

見た目相応に、恥ずかしがりながら、そう言った。

きっとこれが本音なのだろう。

彼女は数千年生きているとはいえ、あまりに精神年齢が幼い。

話にしか聞いていなかった自身の父親が、探していたのに見つからなかった父親が、突然現れたとなってしまっては困惑するのも無理はない。

 

「それじゃあ、尚更話してみないとね。」

 

「でも、何を……」

 

幸卵の後ろから、これまたよく知る人物が来た。もじもじする幸卵を見ながら、その人物を手招きする。

 

「空さん、パイモンさん。それに幸卵も、こんにちは。」

 

「恩人たちか!元気にしてたか?」

 

「ッ!?」

 

幸卵が猫のように飛び上がり、空の後ろに隠れる。

 

「大丈夫。俺もいるから。」

 

「……わかった……」

 

幸卵が恐る恐る出てくる。

 

「幸卵、そんな飛び上がらなくても……。」

 

「えへ〜やっぱり慣れないのだよ〜、というかままたちはどうして?3日間も部屋から出てこなかったからてっきりあと2日くらいはよろしくやってるのかと。」

 

「ちょっと幸卵こんな所で……!」

「あれは甘雨が離してくれなくて……!」

 

先程まで後ろで隠れていた小さき命とは思えない発言を繰り出し、かの夫婦にぶっ刺さってしまっているようだ。

顔を赤らめていはいるが、咳払いをして本題に入る。

 

「んん、空さんとパイモンさんは既に面識があると思いますが、私の伴侶……夫の游潾です。幸卵は、初めてですかね……?」

 

「……璃月港でボコられた……。」

 

幸卵がボソッと呟くと、甘雨が怖い笑みを浮かべて游潾を見ている。

あれは……ご愁傷さまかな……。

 

「……あ、改めて我は游潾だ。恩人たちには迷惑をかけたな。お詫びにはならないが、手伝うことがあれば何時でも言ってくれ。これでも出来ることは多い……。幸卵、えーと……」

 

「……ぷいっ」

 

「!?」

 

あっ。そっぽ向かれた。これはキツイ……

游潾泣きそう……初めて面と向かって歩み寄った娘に拒絶されてどんな顔すればいいか分からなくなってる……

 

「幸卵、恥ずかしいの?」

 

甘雨が声をかけると、幸卵は彼女のそばに駆け寄り横からぎゅっと抱きしめる。

顔を游潾の方へ向かうとギリギリと歯軋りし始めた。

……威嚇かな?

 

「……ままは幸卵のだもん。」

 

突然、幸卵が主張を始めた。対して游潾は少しポカーンとしていたが……

 

「我は婚約に関する契約もしている。これは互いが互いの所有物であることの証明といって差し支え無いのでは?つまり甘雨は我のものだ貴様のものでは無いッ!」

 

「游潾!?」

 

張り合いはじめてしまった。この子にしてこの親あり……逆だったっけ。

 

「……幸卵の方がずっと長くままと過ごしてるもん……」

 

「それはそうかもしれん……だが我の方が先に甘雨と出会い濃密な時を過ごしている。封印されている間も甘雨に邪な者たちが来るのを防いでいたのだ。つまり魂は傍にいた訳だ。」

 

「私は、魂だけじゃなくて貴方と、幸卵と3人で居たかったです。」

 

「!?」

 

このターンは游潾の負けっぽい。なんの勝負だろうか……。

 

「くっだが”家族”である以上、”夫婦”ならではのことには手を出せまい!」

 

(おい空、ひょっとして游潾も精神年齢子供なんじゃないか……普通にアホだぞ……)

 

游潾の大人げない発言にパイモンも言わずにはいられなかったらしい。

そもそも性別の壁もあるというのに。

 

「幸卵はままの--パイモンSTOP(ココナッツミルク)--貰ったことあふがぁふ」

 

「なっ!?」

 

「待って幸卵本当に待って!」

 

慌てて甘雨が幸卵の口を塞ぐ、かなり手遅れだったが游潾には大ダメージだったようだ。

 

「甘雨の--パイモンSTOP(ココナッツミルク)--……だと?甘雨の--パイモンSTOP(ココナッツミルク)--を摂取したのか貴様ァ!すくすくとここまで大きく可愛くなりやがって!」

 

甘雨の傍で無い胸を張る幸卵と、甘雨の肩を掴み揺らす游潾。

というか甘雨のHPがそろそろ限界なのでは……?顔から湯気が出ている。

 

「なぁ甘雨!--パイモンSTOP(ココナッツミルク)--はもう生産不可なのか……!?」

 

「もう言わないで、言わせないでください……その……もう……1人……ごにょ」

 

ごちゃごちゃしてきたが、傍から見れば仲睦まじい家族に見えてきた。

もしかしたら、游潾が張り合いに乗っかったのはこれが狙いだったのかもしれない。もちろんただのアホの可能性も捨てきれないが。

 

「そもそも〜幸卵はお前が父親だと信じてない。」

 

和やかな雰囲気が一瞬で静まる。

たった一つの問題と言っても過言では無い。証明する方法があるのかすら分からない問題。

 

「ふむ。それを言われては弱い。我もどう証明したものか……我が居なくなったあ…ごふぁ!?」

 

「私は……貴方が居なくなる前も後も貴方としかしてませんよっ」

 

游潾の話を遮り、頬を膨らませた甘雨が游潾の腹を殴る。

 

「そうじゃなきゃ〜数千年も待つなんてことしないもんね〜さて。」

 

幸卵が甘雨の元を離れ。伸びをする。

 

「幸卵はそろそろ仕事に戻るのです。游潾のことは〜善処しよ〜う。」

 

たったったーっと駆けていってしまった。

 

「甘雨、游潾、あれで良かったのか?」

 

「あぁ。言葉を交わせただけでも収穫だろう。あとは時間の問題だろう。それに。」

 

「それに?」

 

「甘雨はあまり心配してないようだ。幸卵と過ごした時間は甘雨の方が長いからな。我のいない間もこの成長を見守っていた甘雨が言うのだ。大丈夫だろう。」

 

「早く、3人でお昼寝がしたいですね。」

 

夫婦は手を繋ぎ、仕事に奔走する娘を見送った。

 

────────────────

翌日。

 

ままがお仕事に戻ってきたので、幸卵の仕事がごっそり減った。

ままがいない間とても忙しかったので今日は少なめに仕事をこなすことにした。

 

ひと休みしようと思って、今日はままと住んでる部屋に行くことにした。

游潾と鉢合わせになる可能性だってあったのに。

今日は何も考えてなかったのだろうか。

 

部屋に入ってふと甘雨のベットを見ると、游潾が横たわっていた。

まだ彼に住まいは無いので仮という事だろうか。

宿にでも行けばいいのに。

 

今日の幸卵はやっぱりおかしくて、自分の部屋に向かわず、游潾がいる部屋へと向かっていた。

 

━━━━━昨日からずっと考えていた。

いつまで待っても帰ってこなくて。帰ってこないから探しに行って。

探しに行ったら帰ってきて。帰ってきたらけど戦って。

敵だと思ったから殺そうとして。それでもままが幸せそうで。

殺そうなんて思えなくて。どう接すればいいか分からなくて。

本当にお父さんなのかも分からなくて。

 

眠れない夜。璃月の山へ登り、空を見上げた。

遥か過去の記憶。幸卵がまだ忌み子と呼ばれていた頃の記憶。

 

”まま、こううの心臓ってなんで動いてないの?みんなどっくんどっくんって、動いてるのになんで幸卵の心臓は動いてないの?”

 

未だ力無き小さな命は、涙ながらに訴えた。

心臓の鼓動が聞こえない。と。

死者だの亡者だの、周りの子供たちに言われてしまった。と。

 

”ちゃんと動いていますよ。耳を当てると、心地よい水の流れが聞こえます。紛れもなく、貴方の心臓の音よ。”

 

小さな命の胸に手を当てて、母親は続ける。

 

”この音はね、いつか貴方がお父さんから受け継いだのよ。お父さんもあなたと同じように、胸に耳を当てると水の流れが聞こえます。貴方とお父さんだけにしかない特別な繋がりですから。”

 

”こううとおとうさん……だけ?”

 

”そう。だから自信を持って。私の可愛い幸卵。それに、私はその音を聞くのが大好きなの。”

 

”ふーん!じゃあおとうさんがいない間はいつでもこううの音聞いていいよ!おとうさんがかえってきたらじゅんばん!”

 

⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯そう。

 

ままが、友人たちが好きだと言ってくれたこの胸の清流。

これは世界にたった2人。游潾と、その娘である幸卵だけに流れる水。

 

本当に游潾が、父親なら。胸に耳を当てれば分かること。

恐る恐るベッドに登り、游潾の胸に耳を当てようとした。

 

「ん……」

 

「あぅ」

 

寝ぼけて甘雨と勘違いしたのか、抱き寄せられてしまう。

動くことはできないが、自然と顔に胸が近付き、角が刺さらないように耳だけ当てる。

 

……………………心臓の音は聞こえず。ただ、静かに、水が流れる音がした。

 

あぁ……この人が、本当にお父さんなんだ。

色んな感情渦巻き、動悸がする。幸卵は……

 

ぽんっと左の角に手が置かれる。手をどけようとしたが、奇形化していないすべすべの角がゆっくりと撫でられ、妙な安心感に見舞われる。

ままのなでなでしか許容していないはずなのに。

 

気付けば動悸は収まり、睡眠はいらないはずの身体が怠くなる。

角を撫でられながら、お父さんの懐で幸卵は丸まって眠りについた。

 

──────────────────────

 

甘雨の休みが明け、1人になった。

昨日までヤることやっていた訳だが恐ろしい体力である。

甘雨の仕事を手伝おうとしたが、手続きがあるらしくすぐには戦力になれないとの事だ。

 

故に意味もなく惰眠を貪る。

甘雨がお昼寝の時間になったら来ると言っていたので、その時間を寝て待つこととする。

アイマスクとやらを手に入れたので、試してみるとしよう。

 

そして。誰かがベッドに上がってきた。

甘雨だろうか。この部屋に入ってくるのだから甘雨だろう。

なかなか床につかないので、がっと引き寄せる。

 

……甘雨ってこんな小さかったか?

胸に耳を当てられ、角が触れる。これは……なるほど。

 

少女の息が微かに荒くなる。

甘雨ならば安心するからと角に手を置いた。

拒絶されると思ったが、少女に動きはない。

 

次第に撫で始めると、少女がもぞもぞと動き、小さな寝息をたて始めた。

 

うつらうつらとしながらも、少女を撫でていると……

 

「游潾。」

 

愛しき人の声が聞こえた。

アイマスクを取ると、ベッドに顎を乗せ目の前で膨れている甘雨がいた。

 

「どうした……甘雨?」

 

「いえ、なんでもないです。」

 

なんでもないと言いつつも、頬は縮まらない。

 

「あぁ、幸卵の事か。」

 

游潾のすぐ側で丸まって眠る少女……幸卵がいる場所は、かつて甘雨が游潾と昼寝をする時の定位置であった。

 

「可愛い娘だ、許してやれ。聴けば家族は”川”という字になって就寝するという話も聞いたことがある。子を真ん中に置くらしい。」

 

以前法学の勉強をした時に小耳に挟んだことを話、何とか逸らそうとする。

こうなった甘雨は可愛いがなかなか折れてくれないのだ。

 

「そうですね。今日位は譲ってあげます。」

 

ベッドに横たわる甘雨に腕枕をしつつ幸卵の頭を撫でる。

甘雨の頬がまた膨れる前に、ちゃんと撫でてやらないとな。

大きめのベッドとはいえ、3人だとかなりの密着具合だ。

これくらい仲睦まじい関係を作っていきたいと思い、意識が落ちた。

 

──────────────────────

プロローグ

 

「よーし次の行先はモンドだな!出発する前にみんなに挨拶していこーぜ!」

 

「そうだね。次いつ会えるか分からないし。」

 

荷物をまとめて宿を出る。

璃月港を歩き周り、出会った友人達と挨拶を交わす。

 

「次璃月港に来るのはいつかな〜」

 

璃月の北にある桟橋を歩く。すると3人の家族の姿が目に留まる。

 

「あ!甘雨に幸卵に游潾じゃないか!一緒にいるってことは仲直り出来たのか?」

 

「空さんにパイモンさんだ〜ふっふー聞いておののけ!幸卵はおとうさんに稽古をつけてもらうことになったのだ〜!」

 

どやぁ〜とまたも無い胸を張り宣言する。

 

「つけるとは一言も言って……」

 

頭を掻きながら気怠そうな返答。

少なくとも関係は良好そうだ。

 

「お願いぱぱ〜」

 

「ぐっ……」

 

彼はどうやらアホというより親バカだ。

 

「空さん、パイモンさんは今日出立するそうですね。」

 

「うん。一旦このままモンドにいくよ。」

 

「そうでしたか、お気をつけて。」

 

甘雨と話している傍で幸卵と游潾が騒いでいる。

関係は良好どころかかなり良さそうだ。

 

(なぁなぁ空。今のこいつら、写真機で撮ってやろうぜ!)

 

パイモンの提案を飲み、写真機を起く。

甘雨には声を掛け、喧嘩してるふたりは……どうにかなるだろう。

 

「じゃあ並んで!はい、チーズ!」

 

家族の部屋に飾られるその写真には、

紆余曲折を経て再開した3人の仲睦まじい様子が映っていた。




後書きのデータも飛んで何書いてたか忘れたのだわ!

前回も告知した気がするけど、次回も一応有るのだわ!
魈と游潾の関係とか
鍾離の契約とか
裏設定を書き綴るのだわ!

裏設定はストーリーじゃないけど、
別途アフターストーリー的なものを用意しようかなと考えてるのだわ!

興味があれば是非なのだわ!

そして、本編はここで一区切りなのだわ!
数年越しの完結となったのだけど、
当時読んでくれてた方も、更新が復活してから読んでくれた方も!
甘雨と結婚したい人生だった男の妄想譚に付き合ってくれて感謝感激雨嵐なのだわ!
忘れちゃいけない誤字報告もありがとうなのだわ!

要するに俺は游潾になりたいのだわ!甘雨といちゃこらしたいのだわ!!
別作品の二次創作も書きたいからまた会うことがあればよろしくなのだわ!

文章力無くて伝えられないし、絵も下手だけどキャラデザ…いります?

  • 絵が下手でも欲しい
  • 妄想するからいい
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