甘雨と結婚したい人生だった者の妄想   作:むーしゃか

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おれもかんうといちゃいちゃしたい

今回長いです


謎の伴侶

「…あ…どうしよう空、なんか気まずい感じになっちまったような…」

 

頭を掻きながらパイモンが言う。少しは反省して欲しいのだが。

 

「でも、気になるよなぁ…甘雨の夫…」

 

反省するどころか追求しようとしている。

 

「なぁなぁ、甘雨を知ってる奴らに聞き込みに行こうぜ!!野菜が育つまで暇だろ!?」

 

「(言い始めると止まらないんだよなぁ…パイモンは…)」

 

ワキワキさせながら洞天を出るパイモン。

空はため息をつきながらそれに続いていく。

 

洞天を出た直後、璃月に向かう途中。

 

丘の上に見覚えのある紫のシルエットを見つけた。

 

「空!あれって刻晴じゃないか?甘雨の夫について聞いてみようぜ!」

 

仕事中だろうか、彼女は書物を開いていた。

 

「こんにちは、刻晴」

 

「…ん?あら、空にパイモン。こんな所で会うなんてね。どうしたの?」

 

「オイラ達刻晴に聞きたいことあるんだ!少しいいか?」

 

「えぇ、いいわよ。何かしら」

 

彼女は1度書物を閉じ、質問を待つ。

 

「甘雨の夫って知ってるか?」

 

「甘雨の夫?知ってはいるけど、会ったことは無いわ」

 

「やっぱり知ってた!!って…会ったことは無いからどんな人か知らないのか…」

 

ガックリと肩を落とすパイモン。

刻晴は思い出すように話をした。

 

「えぇ、無いし、知らないわよ。あ、でも幸卵には会ったわ。何処か抜けてるように見えて、すごくしっかり者だったの」

 

「え?え?こう…こうう?誰だ?」

 

「幸卵。甘雨の娘よ。あなた達知らなかったの?」

 

「そうなのか!?名前すら知らなかったぞ…?」

 

「君たち本当に知らないのね…」

 

「うぐぅ…なんにも言えない…」

 

「それと…あ、ごめんなさいそろそろ行かなきゃいけないわ」

 

「ありがとう刻晴」

 

「いいえ、お安い御用よ。またね」

 

軽く会釈した刻晴と別れ、璃月へ向かう。

 

望舒旅館が見えた時のこと

 

「…なぁ空、魈って、甘雨と長い付き合いだよな、夫のこと知ってるんじゃないか?」

 

ふとパイモンがそう呟く

 

「確かに、魈なら知ってそうだね」

 

「呼んでみようぜ!おーーい!!魈ーー!!いるかぁー!!」

 

「……」

 

「やっぱり来ない…というか前にもこんなことあったような…」

 

不満げな顔をしたパイモンが呼んでみろよ、と踵を返してくる。

 

「…しょ」

「どうした」

 

いた。

 

「オイラの声は無視か!?やっぱり酷くないか!?」

 

パイモンが足をばたばたさせて怒っている。

 

魈は全く気にしていないようだ。

 

「甘雨の夫について何か知ってる?」

 

「甘雨の?……あぁ、奴のことを、我は知っている」

 

知っているらしい。

 

「どんなやつだったんだ?」

 

気を取り直したのか、パイモンが食いつく。

 

が、魈も少し目を逸らした。

 

「奴の名は…游潾…」

 

「ゆう…らん…?游潾って言うんだな!」

 

「奴が今生きていたなら…友、と呼べていたのかもしれない」

 

また重い空気が流れる。

 

「(なぁ、空、こいつら游潾と何があったんだろうな?)」

 

「すまない…我からは…これ以上言いたくない…」

 

「これ以上は、留雲借風真君に聞くといい。彼女は、お前たちで言う、”おしゃべり”というやつだ。時々話しすぎるくらいなんだ」

 

「…そっか」

 

「我は戻るぞ」

 

「ありがとう、魈」

 

魈に別れを告げ、魈に勧められて留雲借風真君の住処がある奥蔵山に向かう。

 

「留雲借風真君いるかなぁ?」

 

数時間山を登った後……

 

 

 

留雲借風洞天の前にて

 

「主ら、何か用か?」

 

「めちゃくちゃ普通にいるじゃないか!?」

 

鶴の様な仙人がさも当然のように待ち構えていた。

 

「降魔大聖護法夜叉から主らがここに向かっていると聞いたのでな」

 

「魈が?」

 

「うむ。游潾について、知りたいのだろう」

 

「そうだぞ!そのために来たんだ!」

 

「そうか、我も暇していたのだ、いいだろう。まずはそこに座るが良い」

 

案内されるがまま石でできた椅子に腰かける。

 

腰をかけた途端留雲借風真君は語り始める

 

「奴は突然この地に現れた。今の主らのように奴は旅をしていたらしい。旅人として、昔の璃月に足を踏み入れたのだ」

 

「旅をしていた彼は沢山の知恵を持っていた。が、どうしても、神の知識には疎かった。故に岩王帝君に対しても無礼が多い、そんな不思議な男だった」

 

「それと同時に奴は不気味だった。奴は渦の魔神のような気配を纏っているのにも関わらず、休息を取っていた甘雨を助けたというのだ。最初、誰もが強大な敵が来たのではないか、と警戒していた」

 

「甘雨を助けたのに敵だと思われてたのか!?」

 

「あぁ、だがその時は杞憂に終わった。何事も無く、奴は岩神の領地に滞在し、我らと共に怪物と戦っていた」

 

「そりゃそうだぞ!わざわざ味方を倒してまで敵を助けるはずないもんな!」

 

「我ら、いや主に甘雨と生活をしていた奴は、甘雨に惹かれ、同時に甘雨もまた、奴に惹かれていたらしい」

 

「うぅ…そこの間が気になるぞ…」

 

「我は甘雨のことを小さい頃から知っているが、このぷらいべーとな所まで知り尽くしている訳では無いぞ?」

 

「あぁ…気にしないでくれ!続けてくれ!」

 

「奴らは幸せそうだった。岩王帝君の見届けた契約を交わし、互いを大切にしていた。が…」

 

「そこで…が……は不穏すぎるぞ…どうしたんだ!?」

 

「魔神と決着が付いた戦の前、奴が…游潾が全てを捨て、岩王帝君に刃を向けたのだ」

 

「なんでだ!?裏切ったのか!?」

 

「うむ。奴は雷の如く斬りかかり、直前に魈や若陀龍王達に抑えられた」

 

「奴は、魔神の手下であった。言わば、魔神の作り出した怪物だ」

 

「怪物だったのか………それって、甘雨の夫は怪物ってことか!?」

 

「そういうことだ。やがて奴は岩王帝君への反逆、主に甘雨との契約を全て破ってしまったことを理由に、相応の罰を与えられることとなった」

 

「…甘雨が可哀想になってきたぞ…」

 

「甘雨は、自分が味方に引き入れた事に責任を感じたらしい。落とし前は自分で付けると、自らの伴侶に弓を放った。そして矢を受けた游潾は拘束を受けたまま、無理やり海へ身を投げたのだ」

 

「…」

 

「分かったか?我にしては分かりやすく八割くらい省いたつもりだ」

 

「これで八割省いたのか…」

 

「あぁ、ともかく、游潾は我らにとっても、裏切り者、という訳だ。少々引っかかる点はあるがな」

 

「引っかかる点?」

 

「游潾は裏切り前、我らからも好印象だったのだ。打ち解ける者も多い。さらには民にも優しかったのだ。正直、甘雨だけの責任とも言いきれない」

 

「そして何より、游潾は最後の最後まで甘雨を”俺の妻”などと抜かしていたのも今となっては気になるところだな」

 

「なるほどな…ありがとう!時間とって悪かったな!」

 

「気にするな、これくらいの時間など、我らにとっては一瞬だ」

 

そう言い残し、飛び去っていく。

 

「なんか、今日のあいつ、優しかったな?」

 

パイモンが不思議そうに呟いた。

 

「あ、そういえば甘雨にいつ幸卵と会うか聞いてなかったな!はやく璃月港に行こうぜ!」

 

奥蔵山を後にした2人は璃月の港へ向かった…

 

「…甘雨の事は頼むぞ…」

 

 

 

璃月港、とある店の前

 

「おい…あそこにいるのって…鍾離じゃないか!!」

 

パイモンが指を指しながら言う。失礼なヤツめ。

 

「ん……?空に…パイモンか。どうした、お前たちも講談を聞きに来たのか?」

 

いつも通り何も頼まずに講談を聞いていたようだ。

 

「あーえと違うんだ。オイラたち、游潾について聞きたいんだ…」

 

「……游潾か…丁度講談で彼のことを思い出していたところだ…」

 

鍾離は目を閉じ、空を仰ぐ。

 

「さっきある程度留雲借風真君から聞いたんだけど、鍾離はどういう印象を持ってるんだ?」

 

「そうだな…変な奴…だな」

 

「え…変ってどういうふうに?」

 

「彼はあらゆる元素…当時は俺の使う岩以外の元素を使役していたんだが、毎回他の仙人に負けていたからな」

 

「岩以外の元素を使うって、やばいやつじゃないか!?そんなやつに勝つなんて、魈もめちゃくちゃだなぁ…」

 

「中々俺は気に入っていたぞ」

 

「そうなのか…でも殺されかけたんだろ?」

 

「うん?まぁ、そうだな」

 

「なんだ?その微妙な反応、あいつがもういないことと関係するのか?」

 

「死んでいる?彼はまだ完全に消えきっては…」

 

「鍾離先生、今よろしいですか?」

 

眼鏡をした女性が話しかけてきた。

どうやら用があったらしい。

 

「あぁ、今行く。すまない、この話の続きはまたにしよう」

 

「あーうん。ありがとな!」

 

「消えきっては…いないって言おうとしたのかな?もしかしたら生きてるのかもしれないな!甘雨に伝えてやろうぜ!」

 

気になるところだったが鍾離と別れ、甘雨を探すことにする。

 

今は仕事中だろうか?会えるといいのだが。

 

「オイラお腹空いたぞ……万民堂に寄ろうぜ!」

 

一度食事を摂ることにした。香菱はいなかったので、とりあえず店主に適当なものを頼み、パイモンと一緒に食べていた。

 

そしたらたまたま甘雨が後ろを通り過ぎて行った…

 

少し急いで料理を平らげ後を追う。

 

「甘雨ー!」

 

「?空さんに、パイモンさん。どうかされましたか?」

 

買い物途中だろうか、荷物を少し持っていた。

 

「幸卵はいつ帰ってくるんだ?会う日決めてなかったから、決めようと思ったんだ!」

 

あ、という顔をした甘雨頬を少し赤らめ

 

「ごめんなさい、そうでしたっけ。今日には着くと思うので…明日とか…」

 

「おう!大丈夫だ、空いてるぞ!」

 

「本当ですか!良かったです!では明日…また万民堂の前に…お願いしますね!」

 

笑顔のまま振り返ろうとする甘雨をパイモンが引き止める。本当に言うつもりなのだろう。

 

「甘雨の夫、游潾さ!多分だけどまだ死んでないかもしれないって、鍾離が言ってたぞ!!」

 

甘雨が少し目を見開いた

 

「帝君が…?本当……ですか?」

 

「本当だったら…嬉し…」

 

「こんにちは〜往生堂でーす!」

 

視界の下から突然生えてきた少女に会話を遮られる。

 

「ふぇっ!?あなたは…」

「胡桃!?びっくりしたなぁ…」

 

「はーい!こんにちは!空さんにパイモンさん、甘雨さんも〜!」

 

「死んでしまって霊魂になってしまったような人をお探しかと思いまして〜来ちゃいました〜!」

 

笑顔で中々不謹慎ポイ発言をする胡桃。丁度良いので一応聞いてみることにする。

 

「甘雨さんの夫ですか?もしかして、前々からずっと甘雨さんについてる子のことかもしれないです?特徴は…マフラーしてます?」

 

「え…?はい。そうですけど…」

 

「あー私が初めて会った時からずっとついちゃってるねー。あとこの子多分生霊みたいなものだから、この人まだ生きてるよ?複雑な状況に置かれてる可能性はありますけど」

 

「流石だな!胡桃!良かったな甘雨!また会え…」

 

「……」

 

「なにか思うことがあるのかもな、今日は解散しておこうぜ、ありがとな、胡桃!」

 

「いえいえ〜死人関係で何かありましたら店までお越しくださいね〜」

 

 

…………次の日

 

「幸卵の母がお世話になってます」

 




おまけ。
幸卵

神の目 雷
所属 璃月港
命の星座 海獣座

仙獣の血を宿す母と、怪物の父を持つ少女。身体のほんの一部は水元素を元に出来てるらしい。

元素スキル
避雷針
雷にはお気をつけて…

元素爆発
秘術・雷鳴隕
先生直伝!幸卵のひっさつわざー!!

文章力無くて伝えられないし、絵も下手だけどキャラデザ…いります?

  • 絵が下手でも欲しい
  • 妄想するからいい

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