それでは……
本編どうぞ!
「駆逐艦島風です。スピードなら誰にも負けません。速きこと、島風の如し、です!」
――ッブシュ!!
青年の鼻から鮮血が飛び出す……まるで滝のようだ。しかも大量で床に血だまりを作る程で、それは今までの比ではない。
ち、ちくしょう……し、知っていたはずだ。俺は記憶の中でこいつの姿を既に知っていたはずなんだ。だから大丈夫だと自覚していた。それなのに実物を見ると……ぐはぁ!?は、破廉恥過ぎだろ……なんだよその恰好は!?うさ耳リボンに超ミニスカートだと!?そ、それに……黒色の見せパンtぶはぁ!!?……はぁ……はぁ……はぁ……は、鼻血が止まらねぇ。これは痴女認定されても文句言えねぇぞ!!?
装置のモニター画面が『0:00:00』となり、建造が完了したことを意味する。妖精達が青年の下へと集まり完成したと報告し、待ちに待った対面の時が来た。
青年はこの待ち時間中にこれから現れる過激な駆逐艦娘の対策の為、脳内シミュレーションで既に彼女と対面を済ませていた。それに至るまでに何度も支離滅裂な思考に陥り、地にひれ伏しそうになったが見事打ち勝った。建造時間を見てとある艦娘が建造されることが判明したことでの行動であった。だからこそ対面しても大丈夫と意気込んでいたが……実際の敗者は青年の方であった。
建造し、一番早く完成したのは島風型の1番艦の島風だ。足元にはゆるキャラのような自律行動型の旋回砲塔……通称連装砲ちゃん三匹を引き連れている。次世代型の駆逐艦を目指した設計により作られた高性能の駆逐艦娘だ。これには青年は驚き、内心喜んでいた。しかしいざ対面すれば、艦娘の中でも群を抜いてあざとい姿をしている彼女に脳内キャパシティーを超えてしまい、興奮を抑えきれなかった。
あざとい……あざとすぎる。おい島風お前……いい体しているな♪って俺は馬鹿か!!?お前よくこんな格好していられるな!?俺だったら絶対こんな格好にはなりたくない……って言うか俺は男だ。そもそもこんな格好するわけがないし、大淀や明石なんかとは比べものにならないほど肌が見えて太ももなんか……ぶはぁ!!?
今も鼻血が垂れて止まらない。島風も建造されて誕生したはいいが、いきなり目の前に提督らしき人物がいた。ただ彼女は挨拶しただけなのだが、鼻血を垂らしながら視線を逸らさずに見つめられると恥ずかしさが湧き上がって来る。ほんのり頬が赤くなっている島風の姿……そそられる。
「な、なんですかー提督!?島風に何か用でもあるんですか?」
「い、いや……そ、それよりもお前……恰好……」
「えっ?この格好ですか?島風の制服変わっているから……嫌だよね?」
「いや、寧ろ……感激だ」
「提督……嫌じゃないの?」
「あっ、いや、今のは口が滑っただけでもっと見ていたいとそういうのではなくてだなっ!!」
「……もっとみたいの?」
「ち、ちが……」
否定しているものの、青年の瞳は島風を釘付けにして瞬き一つすらしない。脳内では容量限界まで彼女の姿を保存していた。この光景を逃すものかと本能が雄たけびをあげている。ずっと鼻血が鮮血の滝となって流れていて、全身の血が枯渇しようともそんなの些細なことであった……青年も男だから仕方ないのだ。
「提督ー!?血まみれですよ!!?」
「だ、大丈夫だ……」
「どこが大丈夫なんですか!!?」
明石は驚いた……当然だ。艦娘は醜い。その中でも醜い姿を際立たせる格好をしている島風を見て鼻血が止まらなくなっている青年に驚かないわけがないのだ。妖精達が小さな体でティッシュを持って来てくれ、工廠を深紅の海に染め上げた鮮血は妖精達によって片づけられた。しばらくして心を落ち着かせることで鼻血は止まり、何故鼻血を出していたのか明石が聞いても青年は答えをはぐらかすばかりであった。ハプニングはあったものの、残りの三つの内二つの装置も建造が完了したようだ。出迎える為に青年は動く……ちなみに鼻血の原因となった島風は隅っこで連装砲ちゃん達と暇つぶしをしている。建造にはあまり興味がなさそうであった。
ひ、酷い目にあった。島風め、ガキの癖して肌を……あ、あんなにさらけ出すだなんて……最高じゃないか!いやいやいやそうじゃなくてだな……ゴホンッ!か、風邪でも引いたら大変だろう。帰投した時には鳳翔と間宮に温かいスープでも出すように言っておいてやるか。それはそれとしてだ、今度は一体誰が出てくるんだ?
青年が期待を抱く中、現れたのは重巡洋艦と軽巡洋艦であった。
「ども、恐縮です、青葉ですぅ!一言お願いします!」
現れるなり青年に詰め寄ったのは青葉型の1番艦である青葉と……
「艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー!よっろしくぅ!」
川内型の3番艦の那珂であった。
パパラッチに自称アイドルか……戦力には心もとないが燃費はいい。だが、こいつら煩そうだ……いや、絶対煩い。もし目障りになったら解体してやるからそのつもりでいろよ。
「青葉に那珂ね。初めまして明石よ」
「初めましてー!きゃはっ♪……それと提督?なのかな?」
「どうも明石さん。あなたが司令官ですよね?どうして司令官は鼻にティッシュを?青葉気になっちゃいます!」
「ええっと……提督は……」
明石の傍にいた青年を二人は提督なのだと推測するが……鼻にティッシュを詰め込んでいる姿は想像していた提督の姿とかけ離れていた。工廠内で起きた惨劇(血だまり事件)を知らないのだから仕方がない。これではいつもの怖かっこいい顔も台無しである。
「ゴホン……そ、そんなことは気にすんな。明石も余計なことを言うな。それよりも俺がここの提督である外道だ。お前達の活躍には期待しているぞ」
「那珂ちゃん頑張るよー!おおー!!」
「索敵も砲撃も雷撃も。青葉にお任せしてください!」
二人の姿にはやる気を感じさせる。パパラッチや自称アイドルと言えども根はちゃんとした艦娘なのである。
青葉の戦闘能力は新型の重巡洋艦には及ばないが、燃費はいい。資源消費を抑えたい今では最適な建造だったわけだ。那珂も今のままでは性能に優れているわけではないが、将来性があり悪くない……煩いが。島風は駆逐艦では燃費が悪いが、戦闘面ではトップクラスの実力を持っている。これはいい出だしだな。初めての建造で俺の求めている艦娘がやってくるとは好都合だぜ。期待しているのは本当だからな……今だけだが。俺が昇進すれば旧型なんて不要だ。古いものはリサイクルしてやる。自称アイドルも燃2弾4鋼11に変えてやるからな。それまでは俺に騙されているがいいさ♪
青年はシュールな姿から想像できないような悪知恵を働かせていた。しかしそうなると最後の一人が気になる。
後もう少しか……一体どの艦娘が出てくる?大体検討はついているが……俺にこき使われる奴の顔を見るのが楽しみだぜクヒヒ♪
「ふむふむ、司令官は艦娘相手でも嫌な顔一つせずに接してくれる……っと。おぉー!青葉、もしかしたら素敵な鎮守府に着任してしまった気がします。これならば司令官のあんな姿やこんな姿を観察なんて……プライベート暴露できるかも知れません♪」
「那珂ちゃんにとっても素敵な
「おっ、なら青葉が素敵な写真を撮りますので、写真集なんか出しませんか?」
「那珂ちゃんの写真集!?賛成!!」
「あっ、でも誰も買いたくありませんよね……」
「ん?どうしたの?」
「えっ?いいえ、なんでもありませんよ!」
こいつらさっきからトークが止まらねぇ……正直煩い。だが写真集だと?アイドルの写真を買ったことがあったが……もう今では手に取ることはないな絶対に。自称アイドルの写真集……絶対あざとい。島風には負けるな。だが……いいな。じゃなくて!写真集欲しいな……でもない!俺は
鼻血は出ることはないが、脳内では妄想が浮かび上がりピンク一色に染まりそうになっていた。青年にとっては青葉も那珂のことも可愛く見える……那珂は自称アイドルと言っても愛らしさがある。本物のアイドルのように見えるのだ。だがこの世界はあべこべ世界……青葉も冗談で口にしているだけだが、那珂が本気にしてしまいそうな勢いだ。もし那珂が本気で写真集を出しても売れないだろう。醜い艦娘のアイドルなど反吐が出ると抗議まで来るかもしれない。しかし一冊は絶対売れる。何故なら写真集を欲しがっている人物がここに一人いた。しかしそんなことは口が裂けても言えない……言ってはならないのだ。
建造完了までの時間、親睦会を開催していた……っと言うのも青年が醜い艦娘である自分達に対して嫌悪感を見せることなく接してくることに青葉が興味を持ったことが始まりだ。那珂も興味があり、キラキラと目を輝かせていた。青葉と那珂は青年によって建造された。吹雪達のような過去があるわけでなく、不思議なことに誕生したてでもこの世界の美的感覚や自分達が醜いことを理解している様子で、赤ん坊からの何も知らない状態でのスタートではない。不思議だがこれはそう言うものだと納得するしかなさそうだ。辛い過去を持たない為、青年に対して恐怖心を持ってはおらず、すぐに打ち解けることができた。
情報屋の青葉は知りたがりで、色々と聞いて来る。明石にも根掘り葉掘り追求して「司令官との関係はどうですか?」と聞かれて焦っている姿も見せた。そうこうしているうちに装置が止まり、建造完了を知らせた。
「んぁ?ようやく完了か」
「おっそーいー!」
島風も青葉と那珂とはすぐに仲良くなった。彼女の性格上仲良くなるのも早いのだろう。そしてようやく建造完了した装置に対して遅いと文句を言うぐらいだ。なんでも早くないと気が済まないのだ。ちなみに島風の姿にようやくなれた青年だったが、視界に侵入して来た島風に興奮して四、五回ちょっぴり鼻血を漏らした。この程度で済んだのはマシなことだ。気絶までには至らなかったが、青年の
ふぅ……一時間半なのにこんなに疲れるとは思わなかったぜ。さてと気を取り直して……最後は誰だ?時間的に考えられるのは利根型か最上型だが……?
装置が音を響かせ扉が開かれる。中から現れたのは見覚えのある艦娘だった。
「ごきげんよう、わたくしが重巡、熊野ですわ!」
熊野だと!?なんて俺はラッキーなんだ!こいつは優秀な艦娘だからな。今日の俺は付いているようだ♪
最上型の4番艦の熊野を建造できたことに青年は喜んだ。戦艦レシピで一発で引き当てたことに運の良さを感じさせる。
「熊野、俺はここの提督である外道だ。よろしく頼む」
「と、殿方であるあなたが提督……なのですね?わ、わたくしが……そ、その……ふ、触れてもよろしいのですの?」
「んぁ?握手か?構わないぞ」
「そ、それでは……ひゃぁあっ!こ、これが殿方の手……わ、わたくし初めて殿方に触れましたわ♪」
そうだろうな。建造したばかりだからな……ってお前……クヒ、その奇声やめろ。笑っちまうだろうが!ゴホン……それにしても俺の下には煩い奴が集まるのか?それはまぁいいとして、こいついつまで触ってんだよ。そろそろやめr……いい匂いだ。これがお嬢様の匂いって奴か!?それにしても柔らかい手をしている。不知火や木曾もそうだったが、丁度いい肉付きにスベスベした肌を持ちながらこの世界ではこれが不細工の証か。吹雪は小さな手だったが、いい感触だったな。青葉や那珂も柔らかそうな肌をしている。特に青葉、お前胸意外とデカいな……ぐっ!?落ち着け
「それは無理だな」と主張するように青年の制止を振り切り、強靭な
「青葉……見ちゃいました」
「ん?どうしたの青葉?」
「い、いえ!なんでもありません!!」
「なになに?那珂ちゃんにも内緒の話?」
「あ、青葉はなにも見ていませんよ!!!そうなにも!!!」
「「???」」
握手と言う形だが、熊野の肌に触れて触発された下半身の高ぶりを抑えるのに必死になっていた青年。そのことに気づいたのは青葉だった。もっこりし始めたブツを見てしまった青葉は顔を真っ赤にして視線を逸らす……意外と初心なようだ。それも仕方ないことで建造したてなのだ。真っ赤になった彼女の姿を見て、気づいていない明石と那珂はお互いに顔を見合わせるのであった。
「ねぇ、いつまでお手手触ってるの?」
「きゃ!?あ、あなたは……な、なんて格好しているのですか!?」
「島風だよー!この恰好、提督は好きみたいだよ?」
「んぁ!?そ、そそそそそ、そんなことがあるわけないだろ!!?」
今日の工廠はやけに煩かった。罵倒や暴力で支配された空間はどこにもなかった。