それでは……
本編どうぞ!
「ごちそうさまでした!ふぃ、それじゃそろそろっと……」
「ちょっと待て睦月」
「およ、提督?睦月、呼んだ?」
「ああ、呼んだ。お前食べてすぐに遠征に向かうつもりじゃないだろうな?」
「にゃっ!?そ、それは……」
「食べてすぐに激しい運動は禁物だと言っただろ。それに食べたら歯を磨くのを忘れてはいないだろうな?歯磨きをしないで放って置いたらいつの間にか歯がボロボロになってお菓子も食べられなくなるぞ」
「ふえぇぇぇ……それは嫌なの。でも今日は睦月が旗艦を務めるから……」
「それは知ってる。お前達が旗艦を務めてみたいって言うから体験させてやっているんだぞ?」
「うん。だからみんなを待たせたら悪いなぁって……」
「そうだな。予定の時間に遅れるのは旗艦としてあるまじき行為だ。だが旗艦役のお前の状態に問題が発生したらどうするつもりだ?たかが遠征だと甘く見るなよ。時雨はお前達の状態をちゃんと観察できているんだ。仲間の様子に気を配っていることができるから旗艦に任命したんだ。もし万全の状態でない時に深海棲艦に襲われれば、食後だと急な腹痛や集中力の散漫によって自分の身もだけでなく、仲間の身にも危険に及ぼすかもしれないんだぞ?」
「うぅ、返す言葉もないにゃ。睦月としたことが……情けないのです……」
「おいおい、そんなに急に落ち込むなっての……チッ、まぁ、その……お前が初めて旗艦を務めるのに緊張する気持ちはわかる。だがそれは焦りとなって隙を生むことになって致命的な損害に繋がることにもなりかねない。俺が時雨達に遠征時間の変更を伝えておいてやるからお前は歯でも磨いてこい」
「提督……!!」
「……さっさと行け。それとちゃんと休憩したら時雨達に声をかけろよ?」
「
「……ったく、世話のかかるガキだ」
睦月感激!最近ずっと感激しっぱなしな気がするけど……それでもいいの。だってこの感激は嬉しい感激だからずっとこのままでもいいの!どうしてこんなに感激しているのか、それはあの日から睦月達の運命は大きく変わったのにゃ。
○○鎮守府A基地……睦月にとって嫌な思い出しかなかった。ここの提督は男の人だったけど、睦月達に酷い事をする人だった。艦娘はみんな醜いからって睦月達を使い捨ての道具の
睦月達を救い出してくれた提督……外道提督。前提督と同じ男の人で見た目からして怖そうな人だなって思ってしまったにゃ。でもそう思ったのは初めだけ。提督は睦月達のことを気遣ってくれた。味気の無いレーションを毎日食べていたことを知った提督はなんとお弁当を買って来てくれたのにゃ!しかも自腹で買って来てくれるだなんて!?睦月達艦娘だよ?使い捨ての道具だって言われていたのに……なのにどうしてこんなことしてくれるの?初めは戸惑うばかりだったけど、叢雲ちゃんがお弁当を食べ始めて……睦月達もそこからは無我夢中だった。
美味しかった。レーションとはまるで違う温かいお弁当にお茶、そしてお菓子……睦月嬉しすぎていつの間にか泣きそうになっていたみたい。ちょっと恥ずかしいのにゃ……しかもそれだけじゃないの。睦月達の寝床は狭くてシミや汚れが目立っていて、壁も変色して気持ち悪かった。寝床と言っても本当は倉庫だったんだけど、提督は別の部屋で寝ろって許可してくれたし、妖精さんの力を借りて鎮守府を綺麗にしてくれた。提督がやってきて妖精さんも現れてまるで○○鎮守府A基地が別物と化している気がしたのにゃ。これもきっと提督のおかげにゃしぃ!
そして備蓄が少ないから遠征することになって睦月は選ばれたの。でも遠征には怖い思いでしかなかった。
遠征は成功させなければならない。それが決まりだったから……失敗すれば何度も殴られた。痛かった……泣いたらまた殴られたのにゃ。深海棲艦にいつ襲われるかわからない恐怖を抱えながら艦娘よりも資材が大切で、回収した資材が少なかったらまた殴られた。嫌だった……だから遠征が怖かった。けれど提督はそんな睦月達に言ったのは「四人とも帰ってこい。以上だ」それだけだった。呆気に取られたのにゃ。もっと何か言われるかビクビクしていたらたったそれだけだったの。それに資材よりも睦月達のことを心配してくれたの!それが嬉しかった。
それに優しい人だった。夕立ちゃんが提督にうっかり抱き着いても怒らなかった。睦月達に労いの言葉もかけてくれてこの提督ならって期待が胸に抱いたのにゃ。
それから大淀さん達がやってきたり、不知火ちゃんとも仲良くなったり色々あったのにゃ。新しい友達を加えて、この前ようやく制海権を取り戻すことに成功したのにゃ。睦月感激!これも提督のおかげにゃしぃ!艦娘として生まれたのに、やっていることは奴隷と変わらない日々、こき使われ沈んでも憶えていてもらえない。そんなの苦痛だったけど、提督のおかげで全てが変わった。提督の為に戦って勝利して、提督が嬉しいと睦月も嬉しくなって感激のあまり涙が出ちゃって……みんな歓声をあげたの!嬉しくて……とても嬉しくて……本当は弥生ちゃん達もここに居てほしかった。でも過去は変えられない……過去は無理でも未来は変えられた。
一生続くかもしれないあの苦痛の日々は綺麗さっぱりなくなって、楽しくて幸せの日々を送って行ける。睦月も強くなれたのにゃ!弥生ちゃん達の為にも深海棲艦から制海権を取り戻すことができた。睦月だけじゃなく、みんなも思っていると思う……提督のおかげって。
やっぱり提督は睦月達の理想だった……ちょっと口が悪いところがあるけど。でもこの人となら睦月はどこまでもついて行く。提督が苦しむなら睦月が助けてあげる。悲しむなら一緒に悲しんであげる。傍に居て……でないと寂しいの。
「あっ、そうだった。提督に言いたいことがあったのにゃ」
「んぁ?なんだよ?」
「……ありがとう♪」
「……さっさと行け」
「にゃ♪」
だから……これからも睦月達の提督でいてほしいにゃしぃ♪
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「あわ、あわわ!?だ、大丈夫なのです!電は一人でも……」
「前が見えねぇぐらいに荷物を持って大丈夫って言う奴ほど大丈夫じゃねぇ。これ哲学。ほら、全部よこせ」
「で、でも、司令官さんはまだやることがいっぱいあって……」
「大淀と今日の秘書艦は時雨だ。優秀な奴が二人もいるんだ。俺が少しの間いなくても問題ない。それにこの荷物を運んだらすぐに戻るから心配すんな」
「で、でも、でもでも……!」
「……ん?あれは何だ?」
「えっ?ど、どれなのですか?」
「――隙あり!!」
「あわわっ!!?」
「油断したな電。戦場でこんな姑息な手を使って来る奴が現れるかも知れねぇぜ?次からは気をつけることだな」
「ひ、卑怯なのです!」
「クヒヒ、卑怯は褒め言葉だ」
「な、なら!せ、せめて電にも持たせてほしいのです!!!」
「んぁ!!?わ、わかった!わかったから抱き着くな!!こ、股間に当たって……ッ!!?」
電は毎日がとても幸せなのです。この幸せをくれたのは司令官さんでした。
前の司令官のことは嫌い……とても大嫌いでした。電達のことを使い捨てと言って食事も寝床も酷かったのです。過酷な環境で皆が沈んでいったのです。それもこれも前司令官のせいなのに何かあれば全て電達が悪いと言って暴力を振るいました。何回も怒鳴られて震えて涙を見せたら叩かれたこともあったのです……怖かった。それに一度たりとも誰一人として名前を憶えてくれませんでした……天龍さんと龍田さんのことさえも。
きっと無念だったと思うのです。何をやっても怒られ、深海棲艦を倒してもそれが当然のことばかり何一つ褒めてもらえない。天龍さんは「お前らを守ってやれなくてすまねぇ……」って、いつも嘆いていました。龍田さんも「頼りにならなくてごめんなさい……」って何度も謝っていたのです。でも二人は何も悪くありません。悪いのは前司令官です。でもそんなことは口が裂けても言えなかったのです。
天龍さんと龍田さんと一緒に遠征に行くときは笑ってくれました。「今だけは嫌なことを忘れられる」と。電と一緒に居る時は本当の笑顔を見ることができたのです。暗く辛い日々でしたけど、天龍さんと龍田さんと一緒に居る時は気持ちが楽なのでした。でも二人は帰って来ることがありませんでした。
このまま電もいつか海の底に沈んでしまう……もう諦めかけていたのです。
そんな時に新しい司令官がやって来ることを知りました。でも正直期待していなかったのです。また同じことの繰り返しになると思っていたのです……でもそうはならなかったのです。
電達の為にお弁当を買って来てくれた司令官さん。それが自腹だと聞いた時は驚いてしまったのです。電は美味しそうなお弁当を我慢して司令官さん返そうとしましたけど、受け取ってくれませんでした。司令官さんは電達のことを思って食べろと言ってくれたのです……初めて食べたお弁当の味は忘れません。お菓子もお腹いっぱいに食べることができて、これが美味しいって味なんだと知ることができたのは司令官さんのおかげなのでした。
電達の寝床も改善してくれました。遠征から帰って来た時も褒めてくれたのです。大淀さん達がやってきて、
皆さん大喜びでした。電も嬉しくて泣いちゃったのです。これで天龍さんも龍田さんも少しは報われたのでしょうか……そうであってほしいのです。二人の分も沈んだ皆さんの分まで電達は幸せになってみせるのです!
電は決めたのです。いっぱい頑張って、どんなに強い深海棲艦が現れてもやっつけられるようにもっと強くなるのです……出来れば拾える命は救いたいのですけど。司令官さんがくれた幸せを今度は電があげるのです。
「司令官さんどうしたのですか?も、もしかしてお腹でも痛いのですか!?」
「ち、違う……なんでもないから心配するな(鎮まれ
「そうなのですか?なら司令官さんが転ばないように電が先に誘導してあげるのです!」
「た、頼んだ……ぞ」
「電にお任せなのです♪」
お役に立てて嬉しいのです♪電は司令官さんの為なら本気になれちゃうのです!!