それでは……
本編どうぞ!
「………………………………………………」
「……しょ……さ……」
「………………………………………………」
「……ほう……さ……きいて……」
「………………………………………………」
「……鳳翔さん!!!」
「――えっ!?あ、はい、なんでしょうか間宮さん?」
「先ほどから声をかけているのに上の空だなんて……提督のことを考えていましたね?」
「……え、ええ……」
はぅ……間宮さん今のは意地悪です。た、確かに提督のことを考えていましたよ。それは日頃から私達に隠れてカップ麵を食べようとしていたくらいですから、それが心配になっただけです。私達には「健康に気をつけろ」とバランスよくしっかりした食事の摂取や必ず十分な睡眠時間を取るように耳が痛くなるほど注意する方なのに自分自身は二の次なんです。まだお若い子……提督のことを子供扱いすると怒ると思いますが、怒られている時の彼の姿はなんだか大きなお子様のようで可愛らしい……あっ!?い、今のはなんでもありません!!
……ゴホン、提督はお若いですが私達のような艦娘のことを考えてくれる優しい方なのです。その為に自らの食事や睡眠時間を疎かにするのは間違っています。
美船さんに会うまでは便利な置物として扱われていました。その頃は自分が何もできない不甲斐なさに何度悔しい思いをしたかはよく憶えています。そんな時に○○鎮守府A基地の存在を知り、間宮さんと共に理不尽な扱いを受けることに覚悟を決めて自ら志願しましたが……無駄になりました。それもこれも提督のおかげです。
男性でありながらも対等に見てくださる提督の下で腕によりをかけてみんなに食事を提供していました。「美味しい」と喜んで食べてくれるみんなの笑顔を見るとお役に立てていると実感できて安心できます。それに提督が褒めてくださると俄然やる気が湧いて来ます。それは何故かって?それは……ふふっ、内緒です♪
初の航空母艦として生まれた鳳翔、ですが私自身は何人目なのでしょうか?鳳翔は一人ではありません。それでも私は特に赤城ちゃんと加賀ちゃんから「母」として
その事情聴取と言う名の視察が○○鎮守府A基地へ長門さん辺りの方がいらっしゃるのかとお待ちしていたところ、美船さん自ら訪れるとは聞いておりませんでしたので驚きました。赤城ちゃんと加賀ちゃんも居たことには驚くことはしませんでしたけど。
ここへ着任する前、赤城ちゃんと加賀ちゃんは私を引き止めようと必死になっていました。あの子達は一航戦のプライドを傷つけられ、暗闇の中に閉じ込められていました。あの子達の手を取ってからと言うもの、私に依存していると言ってもいいかもしれません。過去を思えば仕方ないかもしれません……でも知らなかったことだとは言え、提督のことを「あんな男」だなんて言ったのは許せませんでしたので、ちょっと
提督は素敵な方です。ここで暮らしていてハッキリとそう言えます。初めは敵視していたのにいつの間にか提督の為にお役に立ちたいと思う様になっていたのは必然だったと感じます。私をこんなにしてしまうなんて……罪作りな方のようです。
「……ふふっ♪」
「あら?今度はどうしましたか?」
「いえ、提督は素敵な方でしたねっと思い出していただけです」
「あらあら惚気ですか?」
「の、惚気だなんてそんな……」
「でも鳳翔さんの気持ちわかります。男性の方は正直苦手でしたけど、提督のおかげで何とかなりそうです。そもそも艦娘に対してあのような態度を取るのは提督だけかもしれませんけど」
「……そうですね」
間宮さんの言う通り、提督だけかもしれませんね。そんな提督とこうして巡り合えたのは何かの縁なのでしょうね。
吹雪ちゃん達が笑顔を取り戻したのは提督のおかげでした。○○鎮守府A基地はもう安心です。あそこには提督がおりますから……そんな提督のことをみんな慕っていました。私もその一人……
あの人は私達が居なくなってどう思っているでしょうか?私はもう一度お会いしたいと思っております。その時はお粗末な生活をしていないかしっかりと確認させてもらいますからね♪
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「風が気持ちええなぁ♪」
そよ風がウチの全身を優しく包み込んでいるようやわ。
○○鎮守府A基地を去ってからと言うもの、大淀らの様子がちょっちおかしい……いや、全員おかしなっとった。ウチも含めて……な。当然あの若者が原因や。なんてったってウチらのような不細工な艦娘相手にパーティーやで!?美船や長門達とは盛大にパァッとやったわ。けど、けどな……男とまさかパーティーを楽しめるなんて誰が想像できんねん!?まぁ、めっちゃ嬉しかったんやけどな、あれは反則やろ。
美船の下に帰るウチらの為にわざわざ妖精達の力を借りてまで準備もされていたことから、前々から計画されていたことなんやろうけど、あの若者提督がコック姿の妖精と共に料理を作って出されたら食べるしかないやん。ウチらが初めて訪れた時を思い出すわ。あん時はこんなことになるなんて思いもせんかったからな……
軽視派の人間はろくな奴がおらん。特に男と言うもんは不細工なウチらに対して厳しすぎるんと違うか?中にはちゃんとした男もおるにはおるんや。せやけどそれは艦娘相手に仕事上だけの付き合いの形、上司と部下と言う関係を形式的に作っているだけなんや。世の中は容姿が全てとは言えへん……っと言えたら良かった。美船のような特別な人間がおるのを知ったと同時に思う……美船も美人やったら今頃どうなっていたか?
艦娘と容姿の価値が同じやったから今がある。美船もウチらが受けた苦しみを知っていたから手を差し伸べてくれたんや。だから結果的に艦娘の味方になってくれた。対してあの若者だけは違った。
ちょいと怖さがあるけどそれがええなんて言う艦娘も中にはおるやろう……顔はイケメンやし。男でウチらのことを理解してくれる奴なんておらんと思っとった。おらんと……思っとったんやけどな。
初めからおかしかってん。艦娘に何から何まで尽くしてくれた。何度疑ったことか、何度頭を抱えたか数えるだけ無駄やった。しまいにはパーティーと来たもんやで。まったく……ウチに何度頭を使わせるんや。まぁ、考えたって無駄やとわかったけどな。今では悩むことはあるけど、あの時よりもマシになった。戦術よりも頭を使わせるとかどんなんや。けど……
「……ええ思い出やったな……」
「どうしました龍驤さん?」
「いや、なんでもあらへん。鎮守府までもうすぐやけど全員気を抜いたらあかんで!」
「「「「「はい!」」」」」
随伴艦の半人前達を引き連れウチは海上を進んで鎮守府までもう少し……けど気を引き締めなあかん。海には深海棲艦がいつ現れるかわからんのやから。
世界は深海棲艦の攻撃に晒されて防戦一方や。若者がおった鎮守府は比較的に穏やかな場所やった。もしこのまま深海棲艦の侵攻が進んで行けばいずれあそこも……
「……それは嫌やなぁ」
あそこが戦火に飲まれる姿は見たくあらへん……正直言うとな寂しいねん。あの鎮守府での生活はウチに足りひんかった刺激を与えてくれた。あそこは……いつの間にかウチのもう一つの家にもなっとったんや。新たな仲間に出会い、そして
ウチが