それでは……
本編どうぞ!
3-1 秘書艦の地位は譲れない
快晴の空に飛び交う鳥たちの歌声で目が覚める。慣れ親しんだ部屋を視界に収めながらゆっくりと体を起こす。眠気がまだ抜けずに少しの間ボケっとしていると徐々に意識がハッキリと意思を持つ。これまた慣れ親しんだ服に袖を通し、寝ぐせと顔を洗いに洗面所へ向かうとそこには鏡に映る自身の顔がある。
○○鎮守府A基地でたった一人の男性こと外道丸野助。彼はここで提督の座につき、将来の夢は昇進してお偉いさんとなり、贅沢三昧な毎日を送ること。大淀達は美船元帥の下へと帰り、彼を監視する者は誰も居なくなってしまった。
軽視派の影響を受けた青年は内心ほくそ笑む。今までの作戦が積み重なり功を奏した。彼は自由の身となった。これまで悪事に手を染めることが出来なかったが、これからはやりたい放題。欲望のままに動き、昇進の為ならばなんだってする。
今日も今日とて
『「提督さんお久しぶりだニャ~♪」』
その瞬間、青年のカッコイイ顔が歪んだ。
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最悪な気分だ。まさに天国から地獄とはこのことを言うのだろう。青年の顔が歪むほど気分を害する存在が簡易な机の上で座っている。
『愉悦猫』青年の運命を大きく変えることになった原因の猫。青年曰く「クソ猫」だが、神様的な存在だと言う。最も青年が警戒する存在であり、それが目の前に居るのだから顔が歪むのも無理はない。
おいおいおい、なんでこいつがいやがるんだ!!?
「おいなんでお前がいやがる!?」
『「猫が居ておかしい?迷い込んだとか考えないのかニャ~?」』
「お前が猫だぁ?違う……クソ猫だ!!」
『「提督さんは酷い人だニャ~。ただの猫に対して酷い事を言うね」』
「ただの猫が喋るかよ!!!」
『「それは提督さんにだけ聞こえているだけなんだけどニャ~」』
青年をバカにしているような態度だが、愉悦猫は悪びれた様子はない。この会話も猫にとっては楽しみの一つであるのかもしれない。
この野郎ふやげやがって……!こいつは何をしに来たんだ?今まで姿を見せなかったのに……
「おいクソ猫、何の用だ?今まで姿を現さなかったお前がわざわざ俺の前に現れたんだ。何かあるだろう」
『「流石提督さん有能だニャ~。頭いいね、艦娘に欲情するのに立派だよ♪」』
「こ、こいつ……!!!」
俺があんな艦娘共に欲情しているだと!!?そんなわけ……な、ないわけではない。見えちまったり、触れちまったりしてちょっっっと強い刺激を受けただけ……ってうるせぇよ!!俺の美的感覚が美醜逆転……前世の記憶と感覚が戻ったのもそもそも原因はこいつのせいだ。だから俺は何も悪くねぇ……俺は無実だ!!
『「提督さん、提督さん、でも欲情することは生物として何も間違っていない。特にこの世界は艦娘にとって不利だニャ~。なら提督さんのような変態さんに好かれた方が彼女達も幸せだと思うのニャ~♪」』
「俺は変態じゃねぇ!!!そんなことよりもさっさと用件を言えクソ猫」
『「せっかちさんだニャ~。ゆっくりとお話しても罰は与えないよ?」』
「うるせぇ、こっちは早くお前の顔を忘れたいんだよ!」
苛立ちを隠さない青年にやれやれといった感じで説明し出した愉悦猫。内容は○○鎮守府R基地の提督であった豚野が記憶を無くし、青年の都合よく事が進んでいることについてだった。端的に言えばこうだ。
豚野は運の悪いことに交通事故により記憶を失う。事故は偶然だったが、それを見た愉悦猫は閃いた。この事故を利用して青年の都合よく話が進めばより良い
「……やっぱり俺の都合よく状況が動いているのはお前のせいだったわけか」
『「事故は偶然。猫にとってあの人間がどうなろうとどうでもよかった。でもこのままだと提督さんの不利益の方が大きくなって展開がつまらなくなりそうだったから記憶をいじってあげただけだニャ~よ」』
「この野郎……余計なことしやがって!!」
『「なんで怒るのか理解できない。猫は面白ければいいだけだったけど、提督さんにとっては利益になったはずだよ?褒められても怒られるのは筋違いだニャ~」』
「それは……そうだが……」
『「それに猫は言ったはずだよ。提督さんは面白そうなので拝見させていただくだけだニャ~。今回は猫が力を使ったけどそれは偶然あの人間が事故に遭ったからってだけで、記憶喪失は副産物だニャ~。猫が力を使わなくとも記憶喪失になっていたかもしれないからね♪」』
「……人の人生を
『「結果は良くも悪くも面白ければそれでいいんだ。けど猫にとってあの人間は面白くなかったのニャ~。生かしておいても変わらない、つまらない劇を繰り返すだけ。いっそのこと息の根を止めても良かったけど、どうでもよくなった。それよりも提督さんがどんな反応を示すのか早く見たかったから現れたの。報告は
面白いものを求めている愉悦猫にとっては人の人生がどうなろうと知ったことではない。ただ面白くなかったから、面白くなってほしかった。
「………………………………………………」
『「呆然としているね?提督さんは利益を得たんだよ。喜べば?」』
「……ああ」
『「全然喜んでないね。人間ってどうしてこうなんだろう……だからこそ矛盾した人生が面白いんだけどね♪提督さんは特別だからその面白さは格別だニャ~♪」』
「……」
『「提督さんのその顔、反応、感情すべて楽しめたのニャ~。猫は満足♪提督さん、猫はこれで帰るよ。これからも提督さんが繰り広げる
そう言うと愉悦猫は霧のように姿を消した。青年は猫が消えた場所を見つめてしばらく動こうとは思えなかった。
「司令官おはようございます……どうしたんですか司令官?」
「……んぁ、なんだ吹雪?」
「司令官の様子がいつもと違う気がして……もしかして調子が悪いのですか?」
今日の秘書艦である吹雪が執務室を訪れたが、青年の様子がおかしいことに気づく。いつもと違い気分が沈んでいるのは目に見えていた。先ほどまで愉悦猫と居た彼である。嫌いな相手と短い時間であるものの、共に居ることにどれだけのストレスが溜まるか……実際に青年はストレスを感じていた。
「……ああ、ちょっとな。だが少し休んでから仕事に入るから心配するな」
「司令官無理はしないでくださいね……」
「ああ、わかっている」
心の底から心配する吹雪。しかしこの問題は彼女ではどうすることもできないだろう。
……クソ猫め、あいつの為に俺の人生があるわけじゃねぇ。俺の人生は俺のものだ。誰でもない俺が決める。そこに面白いも面白くないも関係ない。確かに豚野郎は気に入らなかったが、記憶を奪うまでしなくて良かったんじゃないか?例えそれで俺にとって不利益な問題が起ころうとも、それを乗り越えていけばいいだけ。クソ猫に良いようにされているようでますます気に入らなくなった……元々気に入ってないが。やっぱり猫は嫌いだぜ……
それから少し休憩を挟み、いつものように仕事に取り掛かる青年であった。
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「ふぅ……こんなもんだな」
ため息を吐く司令官は先ほどまで様子がおかしかったですけどもう大丈夫みたいで良かった。司令官にもしものことがあったら私は……そんなことにならないように私がしっかりと司令官を見てあげなきゃ!
そう心で言いつつ吹雪はチラリと一息つく青年を盗み見る。たかが駆逐艦、使い捨てとされて代わりがいくらでも作れる消耗品と扱われてきた。「醜い」からと言う理由で理不尽な目に遭って来たが、吹雪の頑張りを理解し、優しく接してくれる。自分達を醜い道具ではなく、艦娘として扱ってくれる理想の提督像そのままの男性が傍に居るのだ。彼は吹雪にとって初めて心から信頼する男性であり、この鎮守府の救世主でもある。そんな青年を今は独り占めにできる……秘書艦とはなんてラッキーな役職なんだろうか。
補佐であった大淀が居なくなったこともあって仕事は忙しくなった分、青年がさり気なく仕事の容量を調整してくれることが更にポイントが高い。大淀が居なくなったことで一人となった結果を良かったとは思わないが、青年の意識を独占できる吹雪は気分が高まっていた。
司令官……やっぱり男の人って体ががっちりしてる。それに顔も初めはちょっと怖いと思ったけど、鳳翔さん達に怒られてシュンと縮こまっている司令官を知っている私にとって、そのちょっとの怖さが逆に好きです。カッコイイ司令官が怒られないようにカップ麺を隠しているだなんて……可愛いなぁ♪あっ、また隠してないか捜索しておかないといけませんね。鳳翔さんにも言いつけられていますし、司令官の為でもあるんですから。それはそうと今は司令官と二人っきり……
意識してしまうと急に体温が高くなるのを感じ、頬は赤みが増していく。吹雪は真面目な為、こんなことを考えている自分が恥ずかしくなるが、それでも視線は青年から離さない。離してなるものかと目に力が入り、次第には脳内が勝手にこの先の展開を妄想していき……
『「吹雪、俺とお前の二人だけだな♪」』
『「し、司令官……い、今は仕事中ですから……」』
『「仕事が終わったら……良いんだな?」』
『「そ、それは……」』
『「ええい!つべこべ言わず俺の愛を受け入れろ!!!」』
『「司令官……こんな醜い吹雪で良ければ❤」』
「ふへへへへへへ♪」
欲に染まってしまった脳が映し出した光景をうっとりした表情で堪能していた吹雪はだらしない姿を晒していた。永遠に訪れることがないだろう男性とのイチャイチャラブラブ展開を妄想してしまうのは女としての本能であり、吹雪も体は小さいながらも深海棲艦と戦う
「(こいつ……なんて顔してやがるんだ!!?)」
涎を垂らしてうっとりしていた吹雪を見た青年が引いていたことを知らずにいられたのは幸運なことだろう。
吹雪のマヌケ面を見た青年は何か仕事の疲労で気が滅入っているのでは?と勘違いをし、即刻休息が必要だと感じた。丁度時刻も昼食時でもあり食堂を訪れることにした。扉を開くと先にわらわらとお菓子に群がる妖精と一緒に見慣れた顔ぶれが食事を楽しんでいたが、青年の姿を見つけると行動派の一匹の犬ッコロが近づいてきた。
「提督さん遅いっぽい。待ってたのに」
「夕立、そう言っているが……もう食ってただろ。俺のこと待ってねぇだろ」
「ご飯には勝てなかったっぽい!」
素直でよろしい。食欲は忠義よりも勝るらしい。
「まだ食っている最中だろ。早く座れ」
「はーい!吹雪ちゃんも提督さんも早くこっち来てね」
「うん、すぐに行くからね」
そう言うと夕立は自分が座っていた席へと戻った。それを見届けた青年は吹雪と共に今日の食事にありつこうと本日料理当番の瑞鶴と翔鶴に挨拶する。気軽に挨拶を返す瑞鶴と丁寧にお辞儀までして挨拶を返してくれる翔鶴は着任当初よりもこの鎮守府内での生活に慣れ、役に立たなければと自身を追い詰めるまでに急ぐ必要はないと理解する。
青年曰く「ゆっくりと自身を磨いていけ。急がば回れだ」らしい。急いで危険な道を歩み足を取られるよりも、ゆっくりと安全に歩みを進めていく方が結果上達するのが早くなるだろうと教えられた。役に立たなければ捨てられるのではないかと言う心の奥底に住み着いていた不安もいつの間にかどこかに出て行ってしまったようだった。
「あの……提督、わ、私頑張って作ってみました。お口に合うかどうかわかりませんが……」
青年のお盆の上には焼き魚と味噌汁にホカホカご飯、そして漬物と言ったTHE和食の定番中の定番が乗せられていた。作ったのは翔鶴だろうが……顔が赤い。建造されてから料理なんて鳳翔と間宮に教えられるまで知らず、慣れずに何度も失敗した。だが徐々に上手くなっていき、今日はそのお披露目だ。自分を救ってくれた提督しかも男性に美味しいと言ってもらえるのか緊張と不安、そして男性に手料理を出すシチュエーションに胸がドキドキの彼女である。そんな彼女を傍で見ている瑞鶴はぷくっと頬が膨らみ「翔鶴姉だけずるい……」といじけていた。
朝食を用意してくれた翔鶴と瑞鶴に礼を言い、食卓へ足を運ぶと彼の為に一つの席が空けられていて、そこへ座る。醜い艦娘と一緒に食事をすること自体稀な行為なのだが、当然のように彼女達の輪へと堂々と入っていく光景が見られるのはここの鎮守府だけだ。ちなみに青年の左右には小さくガッツポーズをしている夕張と時雨だが、時雨の席は元々別の場所だった。元々この場所に座っていた青葉は時雨との
吹雪もその輪の中に入っていくが青年との距離は先ほどよりも離れてしまった。彼女の視線には「美味い」と褒められて顔を更に真っ赤にしていた翔鶴の姿と「提督さん!私が作った分も食べてよね!!」と自身が作った料理を食べさせて「瑞鶴のもうまいぞ」と褒められて照れている瑞鶴の姿が映し出されていた。
司令官ってやっぱり慕われている……そうだよね、司令官は優しいし、カッコいいし、何よりも温かい……みんなに好かれるのは当然のことですね。これから先増えていく艦娘のみんなも司令官の良さを知ってしまうんだろうなぁ……
これからこの鎮守府には大勢の艦娘が着任するかもしれない。今の戦力でも戦えるが、後のことを考えれば戦力の増強は必須だろう。そうすれば必然的に青年と艦娘と出会い、交流していく。その中で青年は艦娘達に好かれて行くだろう。醜い自分達に対して素っ気ない態度も取らず、面と向き合って対話してくれる男性を知らない。まるで王子様だ。そんな青年が自分の下から次第に離れていくみたいでちょっと暗い気分になった吹雪。
出会いは衝撃的で鼻血を出して倒れてしまったことに驚いたが、初めて青年と会った艦娘は吹雪だった。自分が青年の一番だと感じがして悪くない。それどころか嬉しく思えて、彼に特別に思われていたならばもっと気分が高揚するだろう。だからこそもっと自分の良さを見せないと後輩達に秘書艦の座を奪われかねない。艦娘を蔑ろにしない彼の傍で一日の半分以上過ごせる地位に興味を持たない者はいない。
時雨、睦月、夕立、電、叢雲そして吹雪の現在六人交代制で秘書艦を務めているが、そんなある日に「経験の為にも秘書艦変えてみるか?」と青年がボソリと呟いた独り言が原因で抗議が殺到したことがあった。勿論初期艦娘の六人が青年の下に詰め寄る事態になった訳だが……それほど秘書艦と言う立場に居る吹雪達は実は大淀達からも羨ましがられていた程だ。
大淀達だけでなく、建造された熊野達や鈴谷達でも秘書艦の地位はとても魅力的なのだ。例え同じ艦娘であってもこの地位はそうそう譲ることはできない。彼と二人っきりで小さな執務室に居られるのだ。お話ができて楽しいのだ。近くに居ると安心できる香りがするのだ。こんな良いこと尽くしの誰もが喉から手が出るほどの好条件付き、こればかりは簡単に譲りたくないのだ。○○鎮守府A基地に元々所属していた吹雪達六人の特権でもあるのだから。
食堂での団欒の時間を過ごし、しっかりと休息をとった後は訓練の時間だ。訓練の時は一時離れなければならないのだが、今日は青年が訓練の様子を直接見ておきたいとのことで艦娘達はいつも以上に張りきっていた。吹雪も良いところを見せようと頑張ってみせ、褒められたことで顔がふにゃふにゃであったことを叢雲に指摘されたが、本人も獣耳のような艤装の一部が赤く点滅していて人の事が言えなかった。
それからも青年が行くところに艦娘達がおり、誰もが心から言いたいことを言い、心の底から笑い合える。秘書艦である為に一日中こんな光景を目にすることになるが、それはここだけの話……他の鎮守府では目にかかる機会は滅多にないことだ。彼と出会えた吹雪達は幸福なのだ。
その幸福の時間にも終わりが来る。太陽が沈み、月が空の王となり輝く星たちが付き従う夜となる。
「よし、今日の仕事はこれぐらいにするか」
ペンを置き、首や腕を回すとポキポキと音がなって体が疲れたから休ませろと抗議していた。
ああ……もう時間なんですね。司令官がここの提督になってから一日がこんなにも早いなんて思わなかったです。以前ならこんな辛い日が終わってくれたらいいのにと思っていました……けど次の日も辛い日には変わらないから何も考えないようになりましたけども、司令官ともっと一緒に居たかったなぁ……
秘書艦としての時間がもうすぐ終わることに残念な気持ちにいっぱいになる吹雪。いつもならこれにて解散し、お風呂に入って歯を磨いて就寝するだけ……だったのだが、意外にも青年が吹雪に待ったをかけた。
「どうしたんですか司令官?」
「いや……な、今日の朝に気に入らんことがあってな」
朝と言えば……司令官の様子がおかしかったです。もう大丈夫だと思っていましたけど何かあるのでしょうか?
「それで……少しの間、提督命令で俺に付き合え」
「えっ……ええっ!!?」
し、司令官!!?つ、付き合えって……そ、それって……司令官と……で、でで、ででで、デート!!?あれ?でも少しの間って……???
「司令官、少しの間とはどういうことですか?」
「これをやる」
青年が机の下に隠していた物を取り出し吹雪に渡す。渡された吹雪は冷たいと感じて見てみるとそれは冷えた瓶で中では泡が躍っていた。青年の手にも同じ物が握られている。
「……司令官これは?」
「これは?ってお前……ラムネも知らないのかよ」
「それは流石に知ってます。でもどうしてこれを?」
「そんなもん決まっているだろ?飲み会に付き合えってことだ」
「ああ……」と吹雪の落胆が口から
「でも健康や食生活に厳しい司令官が珍しいですね?」
「……まぁ、そういう日もあるさ」
そういう青年はどこか遠い目をしていた。愉悦猫のせいで一人の人生は一変した。それが例え嫌いな相手であっても楽しむ為に人生を狂わされた。そのことを知った彼が何か思ったのかはわからない……しかし今の彼は何も考えないようにした。そして気分転換に吹雪を誘うことにしたのだ。彼も人間で一つや二つ悩みもある。そんな時はやりたいようにすればいいさ。
「それで、吹雪はどうなんだ?提督命令に逆らうか、それとも付き合ってくれるかどっちだ?」
「……もう、司令官の命令だったら逆らえないじゃないですか」
「なら決まりだな」
プシュッと炭酸特有の音を鳴らして泡がこぼれる。慌ててこぼれるラムネを口に含むとシュワっとした刺激が襲うがこれが堪らなく癖になる。その後に来る甘みが今の吹雪の心境を語っているようだ。
「今日は気分的に特別だった。だからこのことは秘密で当然ながら他の連中には内緒だ。わかったな?」
「司令官……はい!!!」
司令官との秘密……なんだかいけないことのようで……ドキドキしちゃいますぅ♪
吹雪は彼に救われ初めて艦娘として海へと立つことができた。彼女にとって青年は大切な存在だ。そんな存在とラムネを片手に過ごす時間はとてつもないご褒美となった。
だから秘書艦は譲れないのだ。
「ずるいにゃ!吹雪ちゃんだけ得しているのは不公平!!断固抗議するにゃしぃ!!!」
「電も司令官さんと二人っきりで……あわわっ!?べ、別に変な意味ではないのです!!?」
「ぽい!!!夕立も提督さんとラムネ飲みたいっぽい!!!」
「……べ、別に、吹雪あんたに嫉妬なんかしていないわよ。ただ……妹としてとても寂しいわ。そうとても……とっても……ね」
「ねぇ吹雪、僕達を差し置いて抜け駆けなんてずるくないかな?提督もそう思うよね?でも提督も提督だよね?吹雪以外の僕達はおまけ程度の存在なのかな、かな?どう思っているの……ねぇ?」
「……ちゃんと全員分のラムネを用意する。一人ずつ付き合うからオーラを飛ばすな……いや、生意気言ってすいません許してくださいお願いします……」
「……司令官ごめんなさい……」
青年との秘密を胸に上機嫌で部屋へと戻った吹雪だったが、のんびりし過ぎたことで何をしていたのか聞かれて嘘を吐こうにも共に苦痛の日々を送って来た時雨達。仲間に嘘を吐くことに抵抗があった吹雪は焦っていた。何とか遠回しに何もなかったことを伝えようとしたが……夕立の嗅覚で吹雪の口からラムネの匂いを検出し、問い詰められて白状した。仲間から嫉妬に近い視線を向けられた吹雪は縮こまり、すぐさま執務室へと逆戻り……扉が勢いよく開かれ驚愕の表情を作り出す青年に深海棲艦も逃げ出す程のオーラを纏った時雨達に詰め寄られて
結果的にそれぞれ秘書艦担当日に二人だけでの飲み会を開くことを約束させられた。そして駆逐艦相手に正座を披露する青年と嫉妬の視線を向けられている吹雪の姿がそこにはあったとさ。
今後の展開についてアンケートを行いたいと思います。アンケート結果によって話の内容に矛盾が生じれば直す可能性もありますのでご了承ください。○○鎮守府R基地の艦娘は青年が……
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引き取るべき
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引き取る必要はない