あべこべ艦これの提督さん   作:てへぺろん

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どうも読者様の皆様、てへぺろんです。無事に投稿出来て一安心。


これからもアニメやアプリでも『艦隊これくしょん』をよろしくお願いいたします。


それでは……


本編どうぞ!




3-6 目覚め

 深海棲艦はどこからやってきたのか?どこで生まれたのか?睦月にも、吹雪ちゃん達も、誰にもわからない謎なんだにゃ。でもその一片を睦月達は見てしまったの。

 

 

 深海棲艦とは何なのだろうか……一人の艦娘がとある仮説を立てた。深海棲艦は艦娘のなれの果てなのだと。面白い冗談で済ませることもできただろうが、ある出来事が起きてしまった。

 

 

 ○○鎮守府A基地のとある部屋に駆逐艦娘と軽巡洋艦娘が居た。

 

 

 睦月、そしてベッドに寝かされているもう一人の艦娘……名は川内。

 

 

 川内型の1番艦である彼女は一週間も寝たままの状況が続いていた。信じられないような話ではあるが、電と那珂に拾われた軽巡ヘ級は川内となった。電と監視役であった鈴谷と熊野がその瞬間に立ち会っていたのだから疑いようもなく、その事実を知った艦娘達は混乱を抑えられなかった。

 海に散った仲間達、姉妹艦達が姿を変えて再び自身の前に現れていたのだとしたら……それが深海棲艦となって。このことを知ってしまった自分はその時、撃たれる前に討つことが出来ただろうか?答えは……わからない。

 

 

 混乱は鎮守府全体を覆った。憎き深海棲艦が艦娘だったなんてこと誰も認めたくない……が、証拠はある。混乱は次第に恐怖に変わろうとしていた。そんな時に混乱すら吹き飛ばすほどの喝が飛んだ。

 青年だ。「しっかりしろお前ら!!まだ確定したわけではない。お前達は俺の自慢の艦娘だ。恐怖に怯える程の軟弱な奴らに育てた覚えはないぞ!!!」と言い放ち、彼のおかげで混乱はなんとか治まった。しかしそれでも不安は消え去ることはない。

 

 

 それでも明日はやってくる。いつも通り遠征と出撃をこなしていくが士気が低い。彼の言った通りまだそうと決まったわけではないものの、軽巡ヘ級が川内になった事実を記憶から消すことはできない。見るからにやる気が落ち、深海棲艦と邂逅してもいつもならば問題なく対処できたはずであったが、ミスが目立つようになった。これには青年も危機感を募らせた。

 

 

 士気の低下が目に見えていた。だから青年は早く川内が目を覚ますのを望んだ。彼女から事の経緯を聞かなければいけない。このままでは昇進への道が遠のく……それは避けたかった。しかし未だに目を覚まさぬ川内を待っているだけのことはせず、青年はすぐに行動に移した。

 まずは不安を取り除こうと艦娘達の行動に一層注意を払った。いつも以上に声をかけてやり、心配事や調子が悪ければすぐに相談に乗り、書類仕事は時間の合間にやるとして吹雪達を最優先に気にかけた。

 

 

 戦闘で小破でもしたと報告があれば港にまで駆け付け、自ら入渠ドックまで連れて行ったり(お姫様抱っこで)食事が喉まで通らなければ彼が自ら食べさせてあげたり(俗に言うあーん行為である)不安で眠れなければ安心して眠れるまで傍に居てくれた。青年が献身的に尽くしてくれたおかげで士気の低下は抑えられた……どころか逆に上昇したような気がした。幻覚なのか全員キラキラ状態になっていた気もするが真相は謎だ。

 青年の活躍により、何とか元の状態へと戻り、この件は川内が目覚めるまで深く考えないことにした。若干の不安はあるものの、彼の存在が彼女達の心の支えになっていたのは言うまでもない。

 

 

 艦娘にとって快適な日々を過ごしたことで心に余裕が生まれた睦月は川内の世話を頼まれていた。また同じ川内型である那珂は姉である川内の傍を離れたくない様子だった。まさか深海棲艦から姉が現れるとは彼女も予想など出来ず、人一倍不安に駆られていた。しかしいつまでもそうしてはいられず、電も遠征や訓練に参加せねばならない為、その時は睦月に川内の監視を任され今に至る。

 

 

「川内さん、いつ目覚めるのですかにゃ……」

 

 

 もう一週間、今も川内さんは目覚めない。今までこんなことなかったからみんな不安を抱えていた。でもそのおかげで提督がいつも以上に心配してくれたにゃ。睦月が眠れるまで傍に居てくれたと思えば役得だったのかもしれない。でもでもみんな興奮して中々寝付けなかったのにゃ……でもいつの間にか朝になっていて提督は居なくなっていたの。きっと睦月の寝顔見られちゃった……恥ずかしかったけど嬉しかったにゃしぃ♪

 

 

 あの時のことを思い出してムフフ♪と笑みがこぼれる。今日も眠れないことをアピールし、青年との夜を独占しようと吹雪達だけにあらず、○○鎮守府A基地全員が何度も言い訳をわざわざ考えてまで彼を大部屋に連れ込んだことか(意味深なことはしていないのでセーフ)

 

 

 提督のおかげで俄然やる気は出たけど、それでもやっぱり不安は残ったの……深海棲艦って何?睦月、深海棲艦のことなんて全然知らなかった。ただ敵だ!やっつけなきゃ!って思ってたけど、艦娘と深海棲艦はもしかしたら同じ存在なのかにゃ?川内さん早く目覚めてほしいにゃしぃ……

 

 

 不安は消え去ることがないまま、変わらぬ日となるはずだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、んん……」

 

 

 にゃ!?にゃにゃにゃぁ!!?今のって……!!?

 

 

「川内さん!!お目覚めですかにゃ!!?」

 

 

 不安の中心人物となっている川内が目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が……深海棲艦!?そんなわけないよ!!!」

 

「……覚えてないと言うことか」

 

「私は艦娘だよ!!艦娘が深海棲艦なんかになる訳が……」

 

「だがこの鎮守府にはそれを見た艦娘が居る。軽巡ヘ級がお前になるのを……な」

 

「そ、そんなっ!!?で、でも……そんな……ことは……」

 

 

 驚愕の表情を浮かべ自身が深海棲艦ではないと否定する川内。彼女には深海棲艦だった頃の記憶が曖昧な様子であったのが見て取れる。

 

 

 川内さん記憶が曖昧なのかにゃ……でもそれは良いことなのかもしれない。だってもし……もしも深海棲艦だった時に艦娘の誰かを沈めていたとしたら……睦月だったら耐えられないのにゃ。

 

 

 傍で控えていた睦月はぶるりと背筋に悪寒が走った。想像するだけでも辛い出来事が現実に起きれば……それがもし自らの手で行ってしまったことになったならと思ってしまうと睦月だけに留まらず、艦娘全員が震えることだろう。

 

 

 青年は睦月に連れられ川内の下へとやってきた。彼女は目覚めたばかりだからだろうか、ボケっとした表情をしていた。声をかけれてやれば次第に会話できるぐらいに意識が戻り、青年の姿を視界に入れると「何故男性がここに!?」と言いたそうな顔をした。だがそんなことよりも事情を知りたい彼は単刀直入だが何があったのか聞いた。

 川内は少し悩む素振りを見せた。思い出そうとしたのだろうが記憶はほとんどないと言う……その答えに青年は肩を落とした。何故深海棲艦だったのか……本人の口から答えが出れば少なからず問題を解決する近道になっていただろうに。そう落胆していた時だった。

 

 

「睦月ちゃんありがとう。後は那珂ちゃんが交代するよ……あっ!提督も居たんだ」

 

「お邪魔するのです……あっ、司令官さん!」

 

 

 訓練が終わって直接来たのだろう服が汚れている。青年が妖精に頼んで開発した殺傷能力のない優しい弾薬、被弾したのか判別しやすくする為のペイント弾を使用している。それにこのペイント弾……なんと簡単に汚れが落ちるんです。これなら洗濯も楽々便利で手間もなくコストも安く万々歳である。そしてこのペイント弾の使用目的とは彼曰く「訓練で実弾を使ってもしものことがあったらどうする!!(資材が勿体ないだろうが!!)」とのことだった。

 姉のことが心配なのだろう汚れを落とすことも忘れて川内の様子を那珂とその後から電も見に来たようだ。那珂と電は青年が居るとは思っておらず、汚れた服を晒してしまう。それを見た彼が一言注意をしてやろうかとしたところ姿がブレたかと思うと寝ていたはずの姉が目の前に居た。

 

 

「那珂!?大丈夫!!?怪我してるんじゃないか!!?」

 

「せ、川内ちゃん!!?怪我なんてしてないよ?那珂ちゃんは大丈夫だから心配しないで」

 

「そんなことない!!!は、早く……早くしないと!!!」」

 

 

 姉である川内が自分を心配してくれている優しさに心が温かくなる那珂だったが……どこかおかしいと感じた。電も睦月も鬼気迫る彼女の様子に違和感を覚えた。

 

 

 せ、川内さんどうしちゃったの!?こ、怖いにゃしぃ……で、でも落ち着いてもらわないと!!

 

 

 抵抗する那珂を無理やりにでも連れ出さんとする川内は焦っており、まるで失うのを恐れているかのようだ。何があったか気になるが今は落ち着かせることを優先する必要があった。

 

 

「那珂ちゃんさんは大丈夫なので……す、少し落ち着いてほしいのです」

 

うるさい!!!

 

「ひゅい!!?」

 

 

 電は悲鳴を上げた。それもそのはず、射殺さんとするほどの眼光で睨まれたのだ。邪魔するな!と敵意すら向ける今の川内は恐ろしく映った。

 今の川内は正常な判断が出来ずにいる。このままの状態ではトラブルが発生するのは目に見えており、非情に危険性が高い。どうすれば落ち着かせることが出来るのか考えが浮かばない……そんな時、待ち望んだ救いの声がした。

 

 

「待て」

 

 

 ○○鎮守府A基地でたった一人の男性であり救世主、この状況を打開してくれる人物であり頼れる青年。睦月達の救世主へと期待の眼差しを向けると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 て、てて、ててて……提督ぅぅぅぅぅ!!?

 

 

 睦月達が見たもの……それは壁に上半身をめり込ませた青年の哀れな姿があった。

 

 

 ★------------------★

 

 

 那珂の姿を見た川内はベッドから飛び起きて彼女の元へと駆け寄った。その時に何か物体を突き飛ばした気がしたがそんなものは()()()()()()()()……そしてその()()()()()()()()ものとは。

 

 

 俺だ……ってふざけんな!!!俺はなにもやってねぇだろうが!!?なんでこんな目に遭わなくちゃいけねぇんだよぉ!!?

 

 

 川内に突き飛ばされた青年は壁にめり込んでいた……何を言っているかわからないと思うがこれが現実だった。彼のものすごく哀れな姿を見た睦月達に慌てて引っ張り出され救出。運よく一つのたんこぶで済んだことは奇跡だが、壁は修復しなければならなくなった。無駄な出費と理不尽な目にあったことで苛立ちが爆発しそうになりながらも川内の眼前に立つ。

 今の川内に近づくのは危険だ、そう感じている睦月達は止めても彼の意志は固く、イライラしているので川内を睨みつける形になった。これには川内もビクッと体を一瞬震わせたのを彼は見逃さない。

 

 

「な、なんだよ!男だろうと邪魔するって言うなら……!」

 

「……邪魔するって言うなら……なんだってんだぁ?」

 

「――ッ!?」

 

 

 青年の圧が高まった……そりゃめっちゃ怒っているから仕方ないね。それに男性であり、鍛えられた体ががっちりとしており、顔はちょいと怖い……今の彼はぶちキレる寸前だ。そんな眼光に睨まれてしまった川内でも一歩退いてしまうが、那珂への執着心がそれ以上退くことを踏みとどまらせた。

 

 

「……くっ!」

 

「せ、川内ちゃん……」

 

「那珂、行くよ」

 

「ま、待ってよ川内ちゃん!!」

 

 

 圧から逃れるように視線を避け、そのままどこかに連れて行こうとする手を振り払う那珂に川内は驚いた様子で目を見開いた。

 

 

「那珂どうして!?このままだと沈んじゃう!!」

 

「だ、だから那珂ちゃんはどこも怪我してないし平気なんだよぉ!!?」

 

 

 自分は平気だと主張しても聞き入れてくれない姉に涙目の那珂はどうすればいいかわからず焦っていた。電も睦月も今の川内に言葉をかければ下手をしたら油に火を注ぐことに繋がりかねず救いを求める視線を青年に向ける。その様子を傍で見ていた彼は川内の精神状態を考察し出した。

 

 

 ……川内の奴、那珂が轟沈することを恐れているようだな。当然と言えばそうだが、どこからどう見ても那珂は轟沈する気配はないのに、冷静さを失い目がいっていない……これはもしやトラウマか?記憶が曖昧であってもトラウマと言うものは記憶だけにあらず体、心に染みつくものだ。こいつが判断を狂わせ、おそらくここではないどこかで那珂が轟沈したことがきっかけでトラウマが生まれた。それが原因だが、川内が居た鎮守府で何があったんだ?話を聞くにも落ち着かせるのが先だ。また突き飛ばされて壁埋めは御免だからよ!!

 

 

「そうだ、那珂の言う通り何も問題はない。川内、よく那珂の体を見てみろ」

 

「嘘だ!!だってこんなに被弾して……あれ?」

 

 

 那珂の体を触りだした川内だったが、ふと気づいたことがあった。被弾したものの傷の痕がない。それは血だと思って触れた赤色は粘ついたペイントでそう見えただけ。何度繰り返しても傷一つとしてない()()肌がその証拠だ。そのことを理解したのか徐々に落ち着きを取り戻していく。

 

 

「どう、落ち着いた?」

 

「うん……ごめん取り乱しちゃって」

 

「いいよ、でも那珂ちゃんは怒ってないけど他のみんなにも謝ってよ」

 

「……ごめん二人共」

 

「大丈夫なのです。電は怒っていないのです」

 

「睦月も同じにゃしぃ」

 

 

 先ほどまで邪魔する者は容赦なく射殺さんとするほどの眼光は失われ、安堵の息を吐いた睦月達。素直に二人には謝ったが、残る一人にも謝罪の言葉があるはずだが……

 

 

「………………………………………………」

 

「おい、なんか言えよ」

 

 

 青年への謝罪はない。寧ろそっぽを向かれる始末である。この態度に青年は少しイラっと来た。

 

 

 この野郎……俺を壁にめり込ませただけでなく無視するとは!俺がお前の提督なら即刻解体してやってやるって言うのに……チッ、まぁそれよりも話を聞き出さなくてはな。どうぜこいつも厄介事を抱えているんだろうけど重要案件だからな……くそっ!そんなことに関わらないといけないとはめんどくせぇ!!

 

 

 なんやかんや内面で文句を言いつつも面倒事を引き受ける辺り面倒見のいい青年である。

 

 

「……ねぇ、あんた提督なんでしょ?」

 

「そうだ。ここ○○鎮守府A基地で提督をしている外道だ。それがなんだ?」

 

「いや、提督って存在に嫌なことがあって……それに男って頼りないからさ……」

 

「……お前記憶が戻ったのか?」

 

「えっ、記憶?……そうだ、思い出した!!!」

 

 

 曖昧だった記憶が薄っすらと蘇っていた。那珂の存在が記憶を思い出す手がかりになったのか詳細は定かではないが、青年にとってどうでもいいことだ。その内容さえ聞き出せば問題ないことだからだ。そしてポツポツと川内が語ったのは深海棲艦になる前の話……○○鎮守府F基地そこが彼女が居た場所だと突き止めた。

 

 

今後の展開についてアンケートを行いたいと思います。アンケート結果によって話の内容に矛盾が生じれば直す可能性もありますのでご了承ください。○○鎮守府R基地の艦娘は青年が……

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