それでは……
本編どうぞ!
タクシーに乗車して数時間後、青年含む以下、叢雲、青葉、瑞鶴そして川内の計五名が○○鎮守府F基地へ訪れた。それも数日前、記憶が薄っすらと蘇った川内の口から語られた○○鎮守府F基地の存在を知るとすぐさま電話をかけ、対応したのは神通だった。電話を取ったのが彼女だったことに特に疑問を持たなかったが「F基地の提督と話がしたいと申し出たが受け入れられなかった」と言うよりも「提督は居るが、会うことができない状態」だと伝えられた。どういうことだ?と青年は思ったが、語るには話が長くなりそうだった。なれば直接会って話した方がF基地の現状を自らの目で確認できると判断した彼は今日、ここを訪れることになった。
初めは一人で向かおうとしていたが、彼の道を阻む者が居た。失敬、言い間違えた。者ではなく者達だ。吹雪ら○○鎮守府A基地の艦娘全員が行く手を阻んでいた。以前の○○鎮守府R基地のようなことが起きてしまったら……そう思うと誰もが不安だった。見送ってそのまま帰って来ないんじゃないか……そう不満を口にし、涙を流した艦娘も居た。結局「そ、そこまで言うなら仕方ねぇから誰かついて来い」と折れた。川内は別だが、この面子を選ぶのに
ちなみに妖精達は今回も同行済みだ。相変わらず面白そうと言う理由でついて来ただけだが、今度は力を借りないことを祈るばかりだ。
「到着したぞ」
「ふ~ん、ここがね……」
叢雲は訝し気に○○鎮守府F基地を見つめていた。前提督から酷い仕打ちを人一倍受けていた彼女は鈴谷達から聞いた○○鎮守府R基地の全貌を知ると怒りを燃やした。ここも同類かと疑っているようだ。
「叢雲、ここはあの豚野郎……じゃなくて、豚野の鎮守府と訳が違うようだ。だからそう睨むな」
「あんたがそう言うならそうなんでしょうけど、なんで電話しただけでわかるのよ?ここの提督はなんでか知らないけど会えないんでしょ?何か裏があるとは思わないの?」
「そんな感じはしなかったな。対応に出たのは神通だったが、強制的に仕事をやらされている感じでもなく、声に怯えた様子は感じられなかった。自らの意志で動いているように感じたったぞ」
「つまり……ブラックじゃないってわけ?」
「んぁ……そうだと思うがな」
艦娘が深海棲艦に、深海棲艦が艦娘になる案件を知ってしまった青年は、面倒事に巻き込まれるのは御免だと思いつつも、自らの足で飛び込んでいかなければならなかった。余計な仕事が増えてしまったことにため息が出てしまうが、これも彼に与えられた試練なのかもしれない。その視界のは端で、何度も川内は深海棲艦になる前に着任していた鎮守府の外観に触れていた……あの頃を思い出しているのだろう。
「ねぇ、ここってどんな鎮守府なの?」
瑞鶴がそんな川内に話しかける。
「……ここには私の妹達が居て、私達三人は一緒でここの初期艦だったんだ。仲間も少しずつ増えて……提督は臆病な奴だったよ」
「そうなの?でも妹達と会えるからいいじゃない」
「うん、神通はまだ居るみたいだけど……那珂は沈んじゃったんだけどね」
「……そう」
瑞鶴は痛いほど気持ちがわかる。仲間達が沈んでいくのを見ていたから……残される側はいつも辛い。
「ですが川内さんは帰って来れました。まぁ摩訶不思議な出来事のおかげですけど……嬉しくないんですか?」
「……神通やみんなに会えるのは嬉しいよ。でも……私が深海棲艦だったって知ったら気味悪がられるんじゃない?それに提督と会うのは……嬉しくない」
「ありゃりゃ……そうですか」
深海棲艦だったなんて話を信じるだろうか?ここの提督と何があったのか今はまだ知らないが、複雑な思いを抱えている川内を青葉は何とも言えない感情を抱いたのも仕方がないだろう。
「……気味悪がられるか。お前はそんなことで怯えているのか?」
「な、なんでよ!怖いに……決まっているじゃない!」
川内は怖いのだ。それをそんなことと片づけてしまう彼に青年の言葉にイラついて怒鳴ってしまったが彼は平然としていた。
「だろうな。だからって逃げるのか?」
「そ、それは……」
「別に逃げたって構わないと思うぞ。だがな、逃げて、また逃げて、最後はどこに向かう?逃げてもいつかは立ち向かわなくてはならなくなるぞ。嫌なことってのは最後まで付いて回るものだ……まるで死神だ。逃げることはできても逃げ切ることは出来やしない」
「……」
俯いた川内の顔が曇る。ここには妹が居るのだ。もし受け入れられなかったら……そう思うと胸が締め付けられた。
「深海棲艦だったなんてお前達艦娘にとって恐ろしいものだろうな。認めたくないだろう……だが非情だが事実だ。だから……立ち向かってみろ。その恐怖に。今のお前は深海棲艦か?違うだろ、お前は艦娘……川内だろ?」
「そ、そうだけど……」
「……ま、まぁあれだ、受け入れられなかったら……俺の所に来い」
「……えっ?」
意外な言葉に川内は顔を上げる。青年は戦力強化を見越して言っただけだと自身に言い聞かせるつもりで言葉にしたがそうではない。川内の表情を見ていたら無意識に口走っていたのだ。自分でも「俺は何を言っているんだ!?」と驚愕するが、脳内で彼女が抱えている精神的ストレスを発散させる方法を考えてしまっている辺りお人好しではないだろうか?本人に至っては断固否定するだろうが。
頬をかきながらなんでもなかったように振舞う様を傍から見ていた叢雲達の表情は何故か温かった。そう見られている本人は頬をほんの少し赤くしながらそそくさと○○鎮守府F基地内へと逃げる。
「と、ともかく!ここでぶつくさ言っていても進まねぇからさっさと中に入れて貰うぞ!!」
「お、お待ちしておりました外道提t……えっ?」
「や、やぁ……じ、神通、私だよ」
「………………………………………………姉さん?」
二度と会えぬはずだった姉妹が対面する。
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「す、すみませんでした!!」
綺麗な直角を描き、頭を下げる神通が叢雲達の目の前に居た。そして隣には左頬が赤く腫れた川内の姿があった。
奇跡とも呼べる轟沈したはずの川内との再会。他の鎮守府で建造された姉ではないとあの時の姉だと本能が叫んでいた。再開は不可能だったと思っていた。なのにこうして再び出会えたことに感極まった神通は川内を……抱きしめることはなかった。即刻平手打ちで左頬を叩かれ、周りの叢雲達が驚愕した。しかし川内には心当たりが山ほどある。制止を振り切り、多数の深海棲艦へ突撃した挙句そのまま沈んだのだ。怒りと悲しみに飲まれた暴走の果てに神通を悲しませたのだからこれぐらいの平手打ちも甘んじて受けるべしであろう。
本物の姉が帰って来たことに安堵したのは静かに涙を流し、姉妹は抱き合った。川内も青年達に背を向けていたが体が震えていたのを見逃すことはなかった。この光景に叢雲や青葉、瑞鶴が微笑み見守っている。その中でも青年だけは笑みを浮かべることがなかった。舌打ちをしながら内心「早くしろ」と思っていても邪魔することなく手持ちぶさただったので妖精達と戯れていた。しばらくして落ち着きを取り戻した神通がハッとお客達を放っていたことに気づいて謝罪した場面だ。
……良かったわね妹に会えて。私も……白雪達に会えるかしら?吹雪や時雨達と一緒にやり直せることができるかもしれないのよね。多分だけど、その可能性はゼロではないなら……もう一度やり直せるならどんなに幸せかしら。姉妹揃って朝食を食べ、仲間達と出撃し、疲れた体をお風呂で癒して他愛のない話をして布団に包まれて明日が来る。そんな普通の日が来ればいいのに……ま、まぁ……
叢雲は姉達を失っている。もしも今回の案件で轟沈した艦娘が帰って来られるなら、彼女の脳内で浮かび上がった淡い期待を抱いてしまう。だから神通の気持ちは痛いほどに理解できた。その傍らでさっさと本題に入りたい青年は切り出した。
「とりあえず重要案件を話す前にここの提督は何故会えない?提督の名は?」
「あっ、提督のお名前をお伝えしていませんでした。弱樹提督です」
「……なんだって?」
ピクリと眉が動いたのを叢雲は見逃さなかった。
「どうしたのよ?」
「んぁ……弱樹と言う名を聞いたことがある。訓練学校時代にな」
「ふ~ん」
それは悪名だったりするのかしら?もしそうなら酸素魚雷を食らわせてやるわ!!見ている限りだとその心配は要らなさそうだけど、警戒だけはしておこうかしらね。
ふん、こいつの訓練学校時代か……その時から今と変わらなかったのかしら?周りからこいつってどう思われていたのかしら?鼻血は出すわ、容姿なんて関係ないって艦娘講演会なんて漁師に熱弁くれたみたいだし、変人扱いされていたのは想像つくわ。私達のような不細工に対して接しようとするこいつって好かれていたりするのかしら?ま、まぁ……顔はいいし、気が利くし、褒めてくれるから悪くはないのは確かだけど……はっ!?ま、まさかここの提督って女だったりするんじゃないでしょうね!?
叢雲の脳内で青年の訓練学校時代が妄想として思い描かれる。その中で
「――痛っ!?な、なにしやがる!!?」
「なんでもないわよバカ!!!」
「――はぁ!!?」
何故蹴られたのか意味不明な青年にとって災難としか言いようがないが、これも叢雲の愛情表現と見た方がいいだろう。まぁ、彼にとってはただ蹴られた事実しか残らないが……今回ばかりは彼に同情しておこう。
そんな提督と艦娘が仲良く(?)触れ合う光景を見ていた神通はどこか羨ましそうだった。
神通に連れられて青年一行が通されたのは広めの客室。そこで待たされること数分後、扉をノックする音が聞こえ、神通の入室後に初めて見る艦娘達の姿があった。○○鎮守府F基地所属の古鷹達だ。古鷹達は別の鎮守府から提督が来ると聞いて緊張した面持ちだったが、川内を見た瞬間何故か懐かしく、悲しい気持ちになった。
あら、古鷹さんがここには居るのね。電の姉達もここに……あの子も連れて来れれば良かったわね。でも公平に決めたことだからこればかりは仕方ないもの。やっぱり古鷹さん達わかるのね。これから話すことを聞いて彼女達はどう思うかしら……ともあれ、肝心の提督が見当たらないのはどうしてかしら?
提督の姿が見えないことに誰もが不審に思ったことだろう。会えないと聞いてはいたが……その詳しい理由が語られた。
弱樹提督は心を痛めてしまい閉じこった。遠征や出撃、提督が本来するべき仕事を神通達が代わりにやっているとのことだ。たった六人で今も鎮守府を維持できていたのは神通達の働きがあってのことだった。
軽視派じゃなかったのね……良かった。軽視派のクズだったら酸素魚雷を食らわせてやるところだったわ。悪人じゃなかったのは安心できたけど、ちょっと臆病すぎじゃないかしら?まぁ、暴力で支配するような奴でなかったからマシかもしれない。けど過程がどうあれ提督になったんだからこいつみたいにどっしりと構えていればカッコイイのに……あ"っ、勘違いしないでよ!た、確かに顔は良いけど中身は……わ、悪くないだけなんだから……と、とにかく少しはこいつを見習いなさいってことよぉ!!!
「おや?どうしましたか叢雲さん?なんだか顔が赤いですね」
「な、なんでもないわよ!!」
「ん~?」
弱樹提督の人物像を聞いていて思い浮かべたが、一人だけ頬を赤らめている姿があった。そんな叢雲に不思議そうに眺めていた青葉だったが、○○鎮守府F基地のこれからをどうするべきか悩んだ。
「司令官、青葉的にはこのままだと弱樹提督がマズイと思います」
「んぁ……そうだな」
精神的に大きなダメージを受けた人間は対話が難しくなる。心とは目に見えないが存在している人間の最も大事な箇所であり、自我を支える中核である。それが壊れてしまえば肉体は勿論、会話など普段何気なく行う動作そのものが狂ってしまう。まさかこれほど臆病な男性が提督をしているとは思いもしなかった……いや、青年だけは少し心当たりがあった。
青年が訓練学校時代の時、同期でそんな奴を見たことがあった。話したことは一、二度程度でしかなく、面識もほぼ初対面と変わらないが中々優秀だった。しかし親のコネを使って軍に入った卑怯な奴と周りから後ろ指を指されていた人物の名が弱樹だったと思い出す。
思い出したからと言って青年にとって別に大したことではない。ただ同期であるだけで関りなんて皆無に等しいのだからどうなろうと知ったことではない。今回の訪問は重要案件の詳しい経緯を知る為に訪れただけで、神通から大体の事情を知ることができた。話に出て来た深海棲艦は川内でほぼ間違いないと確認できたし、ここまで知れたならこれ以上○○鎮守府F基地に関わる必要はなくなった。
弱樹提督の件に首を突っ込む必要性はなく、これ以上の厄介事は抱えたくない彼は見切りをつけたい……が、ふと視界に入る神通の瞳が凄く手を貸してほしそうに見つめていた。
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なんだよ、そんな目で見つめるなよ。俺がお前らの弱虫提督如きに時間なんてかけてられるか。こっちは今回の件で色々とやらねぇといけねぇことができたんだ。構ってられねぇって……だから悪く思うなよ。
青年は神通の瞳から逃れるように深海棲艦に関する新たなる事実を伝えた。
それを聞いた神通達は驚愕の表情を浮かべた。誰もが絶句し、川内を見つめる。やはり信じたくないようだが事実である。このことはまだ公開するには早いと判断し、厳重に機密にすることを提督命令として発令し承諾させるのを忘れない。彼女達が承諾したのを確認した後、川内の背を押してやると駆逐艦の暁が泣き出し、それにつられて響も雷も止め処なく涙を流す。古鷹も加古も涙は見せないが返って来た仲間を迎え入れる。信じたくない案件ではあるが、仲間が再び帰って来たことに喜ばない訳はないのだ。神通に関しては那珂は戻って来なかったが、これから先、もしかしたらと希望を抱いたのかもしれない。彼女は川内を拾い、ここまで連れて来てくれた青年に感謝を込めて何度もお辞儀する。
今回の重要案件は艦娘にとって大いに影響を与えることになった。しかしそれは悪いことばかりではない。轟沈しても帰って来れるかもしれないとほんの小さな希望も生まれた。それと同時に青年に思うこともある。
重要案件は秘密にしておいた方がいい。何故なら轟沈しても帰って来ることができる可能性があると軽視派に知られればますます艦娘を道具扱いする可能性が高くなる。更に酷いことになれば深海棲艦=艦娘と判断され、始末の対象にされてしまうかもしれないのだ。そこは青年にとって別に構わないことだが、確実にそうなれば昇進に問題が生じる。何故なら元帥はあの美船だ。軽視派が艦娘を排除し始めたら確実にその情報源である青年に対して何かしら思うことが生まれるだろう。そうなれば折角好印象を与えることに成功(?)しているのに、わざわざその努力を無駄にしてまで危険な道を進むべきではない。
それにまだこの情報は未確定要素が多すぎる。どうしたら深海棲艦に変わるのか、深海棲艦全てが元々艦娘だったのか、元々深海棲艦が艦娘になったのか……根本的な謎は解決していないのだ。今はまだ胸の内にゲームの『ドロップ』が現実世界では存在していたと把握しておく程度にとどめておく程度がいいのだ。
さってと、これで知りたいことは知れた。さっさと帰るとすっか。早速帰ったら今回の案件を纏めておいた方がいいな。後は美船元帥さんに説明するべきか……俺に得があるかってところだな。後々隠していた場合のリスクも今一度整理するべきだよなぁ。
そう考えながらも○○鎮守府F基地から帰ろうと叢雲達に小さく声をかける。時間も時間だ。
既に夕暮れ時である。長居をし過ぎたと反省し、帰ったら仕事の続きをしようとそのまま去ろうとした。
「………………………………………………」
川内が青年の服の裾を握って離さなかった。
「おい、離せ」
「………………………………………………」
「黙ってないでなんか言え……ったく、俺達は帰る。やることはやった。後はお前達の力で解決しろ」
「………………………………………………帰らないで」
んぁ?なんでだよ?川内は受け入れられなかったら怖いと言ってただろ。受け入れられたから何も問題ないはずだよな?もしかして弱樹の件か?いや、川内は嫌っていたからありえない。だとすると……何で止めた?
疑問に思って振り返った青年の瞳が見開いた。上目遣いに見つめて来る川内の姿が目に入った。不安を宿した瞳だったが、裾をギュッと掴む仕草と上目遣いで見つめると言う男心をくすぐる行動の合体技を無意識に繰り出した。こんな光景を見せられたなら普通ならば嘔吐だけでは済まされないが、彼は
んぁぁぁぁあ!!?お、おち、おちちちち、おっち、落ち着け俺!!!こ、こんな破壊力のあるものを見せつけてくるとは……くっ!流石忍者汚ねぇ!!いや、綺麗なんだが……汚ねぇ!!!落ち着くんだ俺、こんなことで動転する俺では……んんぁ!?
弱々しい姿を見せる川内の姿に心臓が今にも飛び出しそうになっていた。下半身の
青年は荒ぶろうとする
「……ちょっと、あんたまた鼻血が出てるわよ」
「――ッ!?」
たらりと流れる鼻血を見た。いつものことなので見慣れた叢雲の呆れた指摘に慌てて拭う。本能は下半身だけには治まらないようだ。そんな青年に対して外道提督は持病持ちなのではないかと心優しい神通は心配したが、その優しさは不要だと言っておこう。
「……ゴホン、帰らないでとはどういうことだ?」
「そ、その……もう帰るの?」
「もうって既にこんな時間だ。それに俺には仕事があるんだ」
「も、もう少し残れない?な、なんなら泊まっていっても……」
「い、いきなり泊まれなんて迷惑になっちまうだろ(ち、近づくな!
「……そう……だよね」
落ち込む姿を見せるが、何故そこまでして引き止めたいのだろうか?そっと瑞鶴が傍によって青年に耳打ちする。
「ねぇちょっと、もしかしたら心細いんじゃない」
「神通達が居るだろう」
「彼女の話じゃ軽巡ヘ級が現れて多くの艦娘が沈んだって。川内を受け入れてくれたけど、本人は罪悪感が相当のもののはずでしょ?」
軽巡ヘ級は○○鎮守府F基地の艦娘達を沈めた……その意味は言わなくても察することができるだろう。
そうだったな。だがそんな事情があってもたった一人、ましてや昇進の為の駒になるかどうかわからねぇこいつなんぞに構っても……
そう言いつつも川内を盗み見る。罪悪感を抱いた彼女の俯いた表情を読み取ることなど今は誰にだって容易なことだろう。
……チッ、厄介事を持ち込んだ挙句残って欲しいとお願いするとはな。ま、まぁ時間も遅いし、仕事は明日から始めればいい。それに何時間もタクシーの中に閉じ込められ、俺の大事な
「おい神通、相談があるんだが……」
「構いませんよ」
「今日はここに泊まって……なんだって?」
「是非とも泊まってください。外道提督もみんなもお疲れでしょうし、わざわざこちらに出向いてくださいました。お部屋もお食事もご用意いたします。泊まっている間、なるべく私達は姿をお見せしませんのでご安心ください」
自分達の容姿は醜く、嫌な思いをさせてしまうだろうとわかっていても神通は引き止めるつもりだったらしい。彼女は川内の妹だ。姉の心境を悟り、姉の不安を取り除くには自分ではどうしようもできない。姉が青年に泊まって欲しいと望むのであるならば妹として協力する。それにわざわざ川内を自分達の元へ連れて来た青年に好印象を抱いたのだろう。しかし神通が望んだのはそれだけではない。
待っているのだ。再び提督として弱樹が帰って来てくれると……彼を何とかしてくれると淡い期待を青年に抱いていた。
今後の展開についてアンケートを行いたいと思います。アンケート結果によって話の内容に矛盾が生じれば直す可能性もありますのでご了承ください。○○鎮守府R基地の艦娘は青年が……
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引き取るべき
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引き取る必要はない