あべこべ艦これの提督さん   作:てへぺろん

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「提督」は艦娘にとって心の支えであり、彼女達の理解者であらねばならない。


それでは……


本編どうぞ!



3-10 己が変われば誰かも変わる

「……小規模の艦隊か」

 

 

 鎮守府全体にサイレンが鳴り響く。青年は弱樹提督と寄り添う神通だけを置いて急いで司令部へと到着し、監視を続けている妖精から状況を聞き出した。

 

 

 相手は数隻の深海棲艦がこちらへ向かって来ている。小規模艦隊だが油断できない。何故なら妖精達の報告で、高い火力と分厚い装甲を誇る「戦艦ル級」の姿が確認されたからだ。

 

 

 ル級か……叢雲達も戦闘に参加させよう。戦艦が遂にご登場か。しかもこの海域でとは……こいつが居るのと居ないのとでは攻略難易度が大幅に違うから厄介な相手だ。しかし運がついてねぇ、弱樹(弱虫野郎)は役立たずで代わりにまた指揮を出してやらなくなるとはな。俺に純粋な休みをくれよ頼むから!!

 

 

 行く先々で災難にぶち当たる。己の運の無さに嘆く青年。しかし今は目の前の敵に集中だ。

 

 

「おい古鷹」

 

「は、はい!!」

 

「弱虫野r……ゴホン、現状弱樹提督は動けない。代わりに俺がお前達を指揮することになるが異論はあるか?」

 

「――ッ!?い、いえ、私はありません」

 

「他の連中はどうだ?」

 

 

 余りを見回すが、返ってくる視線は否定ではなかった。誰もが提督に飢えた瞳をしていた。やはり提督の存在は艦娘にとって必要不可欠な存在であるようだ。

 

 

「異論はないようだな。叢雲達も出撃の準備をしてくれ」

 

「わかったわ」

 

「それと言っておくことがある」

 

「油断するなっでしょ?それぐらいのことわかっているわよ」

 

「それでいい。俺の言いたいことがわかっているとは流石()()叢雲だ」

 

「――ばっ!?な、ななな、なにを言っているのよこのバカ!!?」

 

「――は、はぁ!?」

 

 

「(これはこれは叢雲さん『()()』なんて言ってもらえるなんて羨ましいですねぇ♪青葉にも欲しいものです)」

 

「(ちょっと何やってるのよこんな時に!!!で、でも提督さんのモノになれるなら……う、羨ましいなんて思ってないから!って、今は夜よね……わ、私の出番がない!!?)」

 

 

 なんで怒るんだよ。俺なにか気に障ることでも言ったか?別におかしなことは何も言ってねぇだろ!?しかも……足を蹴るな!!!痛いんだよ!!!人間には危害を加えられないんじゃなかったのかよ……どうなってんだぁ!?

 

 

 叢雲の顔が赤く染まり、何度も足蹴りを青年に食らわせる。それは照れ隠しなのだろう。無意識に出た言葉が原因なのだが、指摘すればややこしくなるから青葉と瑞鶴は何も言わなかった。それよりも瑞鶴にとって自分が活躍の場がなくなったことを嘆いていた。

 比べて古鷹達の目が点となり、深海棲艦が攻めて来たのにこの緊張感のなさ何なのだろうかと。しかし同時に羨ましく思う。提督と艦娘の距離がここまで近い……自分達とはかけ離れていた光景に胸が締め付けられる。

 

 

「――ゴホン、これよりお前達の指揮権を扱うことになった。改めて外道だ。お前達よろしく頼むぞ」

 

「「「「「――はっ!」」」」」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お待ちください!!

 

「「「「「――ッ!!?」」」」」

 

 

 行動に移そうとした時、司令部に緊張が走る。神通が姿を現したからではない……もう一つの影がそこにあったからだ。

 

 

「……てい、とく?」

 

 

 古鷹が目を疑う……彼女だけでなく、加古や暁達も己の目を疑った。

 

 

「……あ、あのぅ……」

 

 

 弱樹提督だった。それが幻ではないことは確かだ。それがわかった途端に川内は視線を背け、加古に至っては「お前何しに来た」と言葉にするほどに司令部の空気が一気に重くなる。

 

 

 おいおいおい、なんでここに来た?……ふむ、着替えてはいるようだな。気持ち悪い体液だらけの姿のままだったなら追い出していたが、とりあえず話だけは聞いてやろうか。

 

 

「弱虫野r……弱樹提督よ。いや、今のお前は提督ではなかったな。それで何の用だ?」

 

「……外道提督に……お、お願いがあります」

 

「なんだ?」

 

「ぼ、ボクが……ボクが指揮します……提督として!」

 

「……なんだと?」

 

 

 弱樹提督から信じられない言葉が飛び出した。その言葉に青年は不快感を露わにした。

 

 

「こっの!!今更提督面してあたし達を食いつぶすつもりなのか!!!」

 

「加古やめて!」

 

「古鷹!だってこいつは!!!」

 

 

 加古が堪らず反論する。弱樹提督の今までの有様を知っている彼女にとってその言葉は苛立たせるものだった。

 

 

 むぅ……まずいな、出撃前の不和は戦闘中に余計な考えをチラつかせる原因になりかねない。こいつ面倒なことをしてくれ……んぁ?

 

 

 場の空気が荒れ始めた時、青年は弱樹提督の瞳を見た。

 

 

 そこには怯えと恐怖だけではない。勇気を振り絞ろうと己を奮い立たせていた瞳だった。

 

 

 ――こいつ!?俺達と別れてから神通と何かあったかは知らないが、悪くねぇ目だぜ。少しはマシになったか?だがこの状況どうするべきか……んぁ?そうだ、良いことを閃いたぜ!!!

 

 

 この時、青年に電流が走る。それは新たなる計画の始動の合図だ。その計画の恐ろしい内容はこうだ。

 

 

 現状全国至る所で深海棲艦の攻撃を受けている。日ノ本には鎮守府が所々に存在するが決して多いとは断言できない。相手は海のどこからでもやってくる。鎮守府が少なくなれば本土に上陸されるので欠かすことができない存在だ。しかし以前のR基地での出来事を思い出してほしい。

 提督であった豚野が居なくなり、鈴谷達の着任先はA基地へと移動した。深海棲艦の攻撃により機能を失い、一つの鎮守府が凍結することになった。幸いA基地でカバーできる範囲だが、これ以上の負担は厳しいだろう。F基地までも無くなってしまったら、負担どころか国を守る為に警備が手薄になる。それは非常にまずい結果に繋がると子供でもわかること……そこで考えた。

 

 

 青年は弱樹提督を利用し、恩を売ることにした。そうすることにより守備を任せることができ、自らの負担の軽減するだけでなく、他の鎮守府と繋がりがあれば融通が利く。更に恩を売ることによって弱樹提督は青年を信用し、弱樹提督が信頼する相手を艦娘達も信頼するようになり、言葉巧みに言いなりにすれば自身の配下と変わらぬ駒になる。F基地を実質自分のものにしようと企んだのだ。

 

 

 クヒ、クヒヒ♪弱樹(こいつ)を利用しない手はねぇ!こういう奴は恩を売れば一生忘れねぇタイプの人間だろうから、一度恩を売れば二度返してそこから何度も返してくれる……それだけじゃねぇ、俺に何かあったら味方になってくれること間違いなし。もしも不都合なことがあれば捨てればいいだけなんだからよ!クヒヒ♪利用するだけ利用してやる。昇進の為の新たな駒として存分に使い潰してやるよぉ弱樹提督さん♪

 

 

 ほくそ笑む。邪悪な欲が芽生え、その欲に従うように行動に移す。

 

 

「いいだろう」

 

「「「「「――ッ!?」」」」」

 

「ほ、本当に……いいの……ですか?」

 

「なんだ、指揮したくないのか?」

 

「い、いえ、ありがとうございます!」

 

 

 弱樹提督は感激のあまり頭を下げる。しかしこれには加古が牙を見せる。

 

 

「おい!あんたがあたし達の指揮をするんじゃなかったのか!?」 

 

「事情が変わった。加古達は弱樹提督の指揮下に入れ」

 

「そんなのお断りだ!!」

 

「……か、加古……」

 

「あんっ!?」

 

 

 激昂する加古に弱樹提督が声をかけるが、睨みつけられた彼は一瞬怯む。以前の彼ならばそれで逃げるように去ると加古は知っていた。

 怯えていた。足が震えていた。だが逃げなかった。彼は勇気を振り絞り、加古を真っすぐに見つめている。

 

 

「加古、ご、ごめん。それに古鷹も……暁、響、雷……そして川内も話は神通から聞いたよ。君が沈んだのはボクのせいだ。謝って済む問題じゃないけど……」

 

「そうだね。私が沈んだのは自業自得だけど……それでも那珂が沈んだのには変わらないから」

 

「うん……ごめん。みんなもごめん。ボクが間違っていた。それに君達を支えないといけない肝心な時に提督の立場から逃げ出した。怖かったんだ……君達のことが。人間じゃない、もしその力を振るわれたらと思うと怖くなって……」

 

「「「「「……」」」」」

 

「人間じゃない。けど通信から聞こえて来た悲鳴を忘れてはいないよ……その度に思い知らされたんだ。人間じゃないけど、君達は生きているんだって。で、でも……こ、怖くて……受け入れられなかった」

 

「「「「「……」」」」」

 

「父上と母上に叱られたくなかった……怖かったんだ。住民たちが早くなんとかしろって抗議の声が怖かった。ボクは耐えられなくなって自分自身を優先した。だからみんなを沈めてしまった……ミスだった。あの時、加古の言葉を……聞き入れておけば……ご、ごめんよぉ……!!!」

 

 

 ポツリポツリと胸の内を話し始めた弱樹提督の瞳から大粒の涙が幾度も流れ落ちる。

 

 

「そ、外道提督と神通に言われて……ようやくボクは逃げていたって思い知らされたんだ。た、確かに提督に嫌々なったけど……ボクはこの国が好きだし、深海棲艦の好きにさせれば国がどうなるかはわかる。言い訳にしか聞こえないかもしれない……け、けれど聞いてほしいんだ!ボクは……頑張りたい。今度はボク自身の意思で考えて答えを出していきたい」

 

「それが今になって信用できっか!!」

 

「そ、そうだね……ボクはダメな人間だから。でも加古、もう一度チャンスをくれないかな?う、上手くやれる自信はないよ。で、でも……提督として振舞いたい。何度も失敗するかもしれないけど、今度は臆病な人間ではなく、君達に相応しい提督になりたいんだ!!失望しているのを承知でお願い……します!!!」

 

「「「「「………………………………………………」」」」」

 

 

 しばしの沈黙が流れる。土下座して懇願する弱樹提督の姿に対して艦娘達は何を思うのか……

 

 

 ★------------------★

 

 

 その前に時間を深海棲艦の進撃を知らせるサイレンが鳴り響いた辺りまで戻そう。

 

 

 司令部へと向かった彼らから汚い部屋の中に取り残された弱樹提督、そして神通の二人っきり。彼と彼女はお互いに何を思うのか。

 

 

「……弱樹提督」

 

「……ボクは……提督じゃない」

 

 

 優しく語り掛けても弱樹提督は己を良しとしない。青年の言葉が何度も頭の中で繰り返されていた。それは彼自身も思っていたことだからだ。提督の職務を放棄し、神通の善意に甘えていたただの臆病者だと。

 

 

「そんなことはありません。私にとって提督はあなただけです」

 

「で、でも……外道提督の言う通りだ。ボクはダメな人間で……」

 

「そうですね。あなたは臆病です。ですがこれから直していけばいいんです。少しずつでもいい、私がお手伝いします。だからあなたはダメな人ではなくなります……きっと大丈夫ですから」

 

「じん……つう……」

 

 

 何故ここまで自分に対して優しくしてくれるのか?わからなかったが、さっきわかった。こんなに思われている……醜い艦娘相手に思われるなど吐き気を催す程に気持ち悪いと思うだろう。しかし何故か弱樹提督は思わなかった。初めて会った頃は気持ち悪くて嫌々接していたけど、優しくて温かいとさえ思えるほどに何かが変わっていた。

 厳しい環境の中で生き、後ろ指を指され、提督になってからというもの散々な結果を出した。にもかかわらず神通だけはいつも味方だった。そのことが何よりも心に響いた。

 

 

「(神通……こんなボクに対して微笑んでくれるんだ。あ、あれ?どうしてなんだろう……嫌……じゃない?)」

 

 

 確かに不細工だと感じる。しかし嫌じゃない。彼女の顔を直視しようとも嫌悪感が湧き上がることがなくなっていた。不思議な感覚に陥っていた。ふわふわとして、見つめていると視線を逸らしてしまう。それは嫌悪感から来るものではなく、恥ずかしさから来るものであったと気づく。

 今まで苦しい、辛いことは何度も経験してきたが初めてだった……こんな不思議な感覚に陥るのは。恥ずかしいと感じるのは何故か?彼女の微笑みが月よりも輝いて見えていたのは何故なのか?醜くても素敵だと思ったのは錯覚なのだろうか?

 

 

 ドクンドクンと胸が高鳴る。もっと彼女を見ていたい。もっと彼女を笑顔にしたい。もっと彼女に認められる男になりたい。次から次へと欲が生み出され、それは強い意思へと形作られていく。

 

 

「あっ、でも心配しないでください。私はお手伝いさせていただきますが、できるだけ提督のお傍には居ないように心掛けますので……」

 

「……嫌だ」

 

「?弱樹提督?」

 

 

 神通は「お手伝いします」と自分では言ったが、醜い自分が傍に居ることでストレスを与えてしまうことを失念していた。安心させるように付け加える形で伝えたのだが……

 

 

「神通……傍に居てほしい」

 

「えっ?」

 

 

 弱樹提督の言葉の意味が理解できなかった。

 

 

「――神通!!!」

 

「――きゃっ!?」

 

 

 その時だ。理解できず反応が遅れ、誰かに引っ張られる。その拍子に瞳を閉じてしまう……何やら温かいものに包まれていた。恐る恐る目を開けるとそれは……

 

 

「て、ててて……てい……とく!!?」

 

 

 幻覚などではなく、体温も感じられた。腕を引っ張られ弱樹提督の胸に抱かれている……彼の鼓動を直接感じることができた。初めてだった……誰かに抱かれるのは。しかも男性に優しく抱かれている……服の汚れも臭いもそんなもの気にも留めず、神通の理性が今にも狂いだしそうになっていた。

 弱樹提督もそうだ。何故こんな行動に出てしまったのか彼自身も驚いていた。神通が遠く離れてしまう……そう思うと体が勝手に動いていた。温かいと感じる程に密着した二人。醜い艦娘を抱きしめるなど罰ゲームか何かかと疑うだろうが決してそんなことはない。寧ろ二人は今の状態がとても心地よく感じられた。

 

 

「……じ、神通……」

 

「な、なんで……しょうか……」

 

 

 そっと密着状態から顔だけ離す。やはりそうだ、弱樹提督は神通の顔を見ても不細工だと感じられても嫌という嫌悪感が感じられなくなっている。それどころか手で彼女の頬を優しく撫で始めた。

 

 

「――はぅ!?て、ていとく!!?」

 

「――はっ!?ご、ごめん!!!」

 

 

 慌てて手を引っ込めるが、二人は離れようとしない……いや、体が離れようとしないのだ。ずっとこのままで居たいなんて柄にもないことを考えていたぐらいだ。

 

 

「(どういうことでしょう……身体が火照って来てしまいました……)」

 

 

 神通は全艦娘が羨む光景を生み出している。男性に抱かれ、しかも見つめ合っている……まるで恋人同士の関係ではないか。彼女もそう考えたのか、どんどん体温が上昇し、顔が真っ赤になり始めている。弱樹提督もそうだ。

 

 

「(ぼ、ボクは何をやっているんだ……そ、それにこのドキドキって……ひょっとして……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「ねぇ、なにやってるの?」』

 

「――うわぁ!!?」

 

 

 弱樹提督の耳に声が聞こえ、神通の声でないことにビックリして慌てて離れる。

 

 

「あっ、ご、ごめん神通!だ、抱きしめちゃって……あ、あの……そ、その……」

 

「え、えっと……こちらこそ申し訳ございませんでした!あの、その……それでその……」

 

 

 何やらお互い落ち着かず謝り倒している。先ほどまでの光景を考えればそれもそうかと納得できるかもしれないが、この場には()()()が存在していることに気づくべきだろう。

 

 

『「ねぇ、さっきからなにしてるの?」』

 

「こ、これはね……ボクが神通に失礼なことをしてね……」

 

『「そうなの?」』

 

「そ、そう……だね?」

 

『「ぎもんけいなのはなんで?」』

 

「え、ええっと……説明しづらいな……」

 

「……弱樹提督、妖精と喋ることができたのですか?」

 

「えっ?」

 

 

 ここで初めて神通の言葉に我に返る。傍には青年と共にやってきた妖精の一人が居た。何故ここに居たのかは単純に二人が気になったからだ。臭いには顔をしかめていたが、それでも興味の方が勝り、ここに残っていたのだ。しかし弱樹提督は納得するどころか驚いている様子だ。

 

 

「えっ?君って……ほ、本当に妖精?」

 

『「ようせいだよ」』

 

「そ、そうなの?確か美船元帥さんがそんな生き物(?)が居るって話をしていたっけ」

 

「弱樹提督は妖精を見たことはないのですか?」

 

「あ、あたりまえじゃないか!妖精なんて存在本当に居るのか疑っている人もいるんだ。ボクもその一人だし」

 

「……では、妖精と話ができるなんてことは?」

 

「会ったことがなかったから今知ったよ。まず人間の言葉がわかることに驚いた」

 

「いえ、失礼ですが提督……」

 

「えっ、な、なに?」

 

「私が知っている限りでは、言葉を交わすことができるなんて人は滅多にいません。外道提督はその一人のようでしたけど……艦娘ですら姿は確認できても妖精の言葉まではわかりません」

 

「……えっ?」

 

 

 神通の言葉に唖然とした。妖精は存在していると言う話だったが、自身の目で見たことがない弱樹提督は疑っていた。そもそも彼は妖精なんて見えなかったし、言葉も本来ならばわかる訳がないのだ。しかし今はハッキリと姿も言葉もわかる。艦娘ですら言葉はわからないのに自分は通じ合っていたその事実に唖然とするしかない。

 

 

 しかしだ、結論から言えば彼は認められたのだ妖精達に。艦娘の味方になってくれる存在だと。

 

 

『「ていとくさん、ふたりめ」』

 

「ふ、二人目?」

 

『「かっこいいていとくさんとかっこわるいていとくさん!」』

 

「かっこいい提督さんって外道提督のこと?」

 

『「そう!」』

 

「あはは……そ、そう、だよね……ボクはかっこわるいもんね」

 

『「うん!」』

 

 

 悪びれる様子もなく真実を言う妖精はまさに子供そのものだった。それで弱樹提督が傷ついていたが、妖精にとってただの戯れ程度にしか意味をなさなかった。

 

 

「弱樹提督……あなたは妖精に認められたということです。それで……」

 

「……それでって?」

 

「あなたはどうしたいですか?」

 

 

 神通の眼差しは真剣なものだ。これからのことを決めるのはあなたであると言っていた。

 

 

「……神通、ボクは頼りない。け、けれど……もう一度提督をやってみようと思う。今度は逃げ出さず、真剣に君達に向き合いたい。みんなボクを許さないかもしれないけど……神通達の力になりたいんだ!!」

 

 

 その答えはもう既に出ていたようだ。

 

 

「こんな……頼りないボクでも……付いて来てくれる?」

 

「この神通、どこまでもお供致します」

 

「――ッ!?あ、あり……ありがとう……ありがとう……神通……ありがとう!!!」

 

「ふふっ、その前にお風呂に入らないといけませんね」

 

「ああ……ああ……そうだね!!!」

 

『「いいはなしだな~♪」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雷、司令官のために出撃しちゃうねっ」

 

「了解、響、出撃する」

 

「暁の出番ね、見てなさい!」

 

「重巡古鷹、出撃します!……ほら、加古も」

 

「……ったく、仕方ないな。加古、出撃!」

 

「私でよろしければ、出撃いたします。提督、私達の活躍見ていてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、ボクは……今度こそ君達の期待を裏切らない。提督として君達と向き合いたい。だからその為にも……必ず生きて帰ってきて」

 

 

 一人の若者が(まこと)の提督としての道を歩み始めた。

 

 

今後の展開についてアンケートを行いたいと思います。アンケート結果によって話の内容に矛盾が生じれば直す可能性もありますのでご了承ください。○○鎮守府R基地の艦娘は青年が……

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