あべこべ艦これの提督さん   作:てへぺろん

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どうも新章の開始です。比較的今回はほのぼのとした回が多くなればいいですね。


それでは……


本編どうぞ!




平穏と戦争編
4-1 ある鎮守府の日常


 ○○鎮守府A基地、そこには幾多の訳あり艦娘達が集う鎮守府である。

 

 

 人間の手により姉妹や仲間達を失った者、ただの戦力という名の便利な道具扱いされた者、提督不在となり身を寄せた者、そして建造された者達が集う場所。その者達を支え、共に同じ道を突き進む者を提督と呼ぶが、多くの者が務めを果たせていない。しかしここは違う。真に艦娘と共に支え合い、絆を育んでいる者がいる。その提督の名は……

 

 

 外道(そとみち) 丸野助(まるのすけ)。しかしこの男は艦娘を利用する姑息な奴。今日も今日とて艦娘達は昇進(欲望)の為に()()()()に利用されてしまうのである……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは済んだな。こっちはまだか……んぁ?おい暁、そろそろ遠征の時間だぞ」

 

「暁は……れでぃだから……これぐらいのこと……むにゃむにゃ」

 

「こいつ寝ていやがる。チッ、無理もないか。ピークは過ぎたとはいえまだ暁は子供だ(内面も)ここの環境には慣れていないようだったしな。仕方ねぇ、遠征時間をずらすか」

 

「もう暁ったらダメじゃない!」

 

「暁はレディ(笑)(お子様)だからな」

 

「司令官さん、暁お姉ちゃんがご迷惑をおかけするのです」

 

「いや別に構わん(寝起きで遠征はまずい。失敗に繋がるかもしれねぇから許可できるか)暁が起きるまでお前達も休んでおけ」

 

「司令官さん……ありがとうなのです♪」

 

「流石ね。でも雷に頼ってもいいのよ?」

 

Хорошо(ハラショー)

 

 

 ある時は……

 

 

「ええええっ、ここってお酒置いてないのかよぉ……」

 

「こ、こら加古!!すみません外道提督」

 

「謝る必要はねぇよ。だが、ふむ……酒を置いた方がいいのか?しかし加古や古鷹はともかく……吹雪はまだ子供だろう?」

 

「えっと、私は見た目はこれでもお酒は飲めるみたいです。叢雲ちゃんも時雨ちゃんも問題ないと思います」

 

「なに?つまりお前だけでなく、時雨や叢雲は百歩譲っても睦月や電は……合法ロリだと!?

 

「司令官どうかしましたか?」

 

「い、いやなんでもない。ストレスの()け口は少しでも多い方がいいな。酒の仕入れも検討してもいいかもしれないな」

 

「うお!マジ!?気ぃ利くじゃん!!サンキュー♪」

 

「こ、こら加古ったら!!」

 

 

 またある時は……

 

 

「提督この前の装備開発の件なんですけど……」

 

「んぁ?ああ、あの件だな。夕張ちょっと見せてくれ」

 

「あっ、こ、これなんですけど……(提督の顔がこんな近くにある。やっぱりカッコイイ……や、やだ、今の私って油臭くないよね?)」

 

「びゅううううん……オゥッ!?(てーとく、発見!)ねぇ、二人はなにやってるのー?」

 

「きゃぁ!!?」

 

「あっぶねぇ!!おい島風いきなり後ろから現れるんじゃねぇよ、夕張がこけそうになったぞ」

 

「ごっめーん。夕張もごめんね?」

 

「だ、大丈夫よ(や、やだ、不可抗力で提督に抱きしめられるなんて……島風ナイスよ!!)」

 

 

 更にまたある時は……

 

 

「提督……すみませんでした」

 

「提督さん、翔鶴姉は……」

 

「それ以上は言わなくていい。今回の任務は運が悪かっただけだ。まさか敵の攻撃が全部翔鶴に集中するとはな」

 

「予想外の出来事に睦月もビックリにゃしい」

 

「まぁ何がともあれ任務は達成した。これで民間人の信用も少しは得られるだろうな。それに翔鶴が帰って来てくれて俺は嬉しいぞ(まだお前は利用価値がある。こんなところで轟沈なんてしたら許さんからな!)」

 

「提督……私、もっと提督のお役に立てるように頑張ります!!」

 

「提督さん翔鶴姉だけはずるいよ!!私だって頑張ったんだからね!!」

 

「お、おうそうしてくれ(近い近いって!姉妹揃って可愛い顔しやがって……クソッ!俺を狂わせる気だな。その手には乗らな……魚雷(息子)よ、発射態勢に入るな!この状況で不味いんだ。だから誘惑に負けないでくれ!!)」

 

青葉……これまた見ちゃいました

 

「およっ?青葉さんどうしたのにゃ?」

 

「い、いえいえ、お気になさらず!!」

 

「にゃしぃ?」

 

 

 今日も今日とて……艦娘を()()()()に利用……しているはずである。

 

 

 ★------------------★

 

 

「叢雲たった今帰ったわ。それと報告よ、敵艦隊の迎撃に成功。こちらの被害はないわ」

 

「おう、よくやったぞ」

 

「ま、当然の結果よ。不満なんてないわよね?」

 

「当然だ。流石は()()叢雲だな」

 

……そんな恥ずかしいことを平然と言うんじゃないわよ……バカ

 

「んぁ?何か言ったか?」

 

「な、なんでもないわよバカ!!」

 

 

 何故か頬を赤く染めた叢雲に罵倒されるが、何度目の罵倒かどうか覚えていない。上司の青年に罵倒をぶつける叢雲の構図はこの鎮守府でしか見られないレアな光景だ。

 

 

「提督よ。ちとお主は叢雲だけ褒め過ぎではないか?」

 

「なんだ?利根も褒めてほしいのか?」

 

「吾輩の索敵のおかげで敵を見つけられたのじゃ。なら吾輩が一番活躍したのではないか?」

 

「そうだな、お前もよくやったぞ」

 

「勿論じゃ♪」

 

「そして筑摩もよくやってくれた」

 

「わ、私は特には……」

 

謙遜(けんそん)するな。利根が言ったようにお前達姉妹の索敵にはだいぶ助けてもらっている。感謝しているぞ」

 

「あ、ありがとうございます提督♪」

 

 

 褒められて胸を張る利根とは対照的に照れてしまった筑摩。その一方後方で不貞腐れている艦娘が居た。

 

 

「おい鈴谷、そんなところで何をしている?」

 

「べっつにー?提督が鈴谷のこと褒めてくれなくて不貞腐れているだけですけどー?」

 

「はぁ……ったく、誰も褒めねぇなんて言ってないだろ?鈴谷もよくやった、偉いぞ」

 

「ふっふん♪まっ、全部鈴谷のおかげだしね♪」

 

 

 先ほどの様子とは180度回転して上機嫌の鈴谷だった。労いの言葉があれば彼女達の士気は最高点だ。特にそれは自分達の提督からの言葉ならば尚更だった。ほんの少し優しい言葉をかけて士気が保てるならば利用し、率先して行動に移すのは勿論この青年だ。

 

 

 最近ようやく元の状態にまで戻りつつあるな。豚野郎が治めていたR基地、弱樹が去ってしまったF基地の仕事がここに集中した為に負担がかかっちまった。流れに身を任せたが、結果的に悪くはなかった。鈴谷達、そして神通達、更には川内と多くの手駒を手に入れた。何よりも俺に利用されているとも知らずに働いてくれちゃって。俺が昇進したらお前達なんて不要の鉄くず、解体して資材に変えてやるわ。大淀達の監視の目もなく万々歳……クヒヒ♪笑いが止まんねぇよ。

 しかしだ、世界的には人類側が不利な状況に変わりないんだよな。ここら辺は比較的に安全な海域だが、大淀達が援軍として向かった先は最前線。今もどこかで戦っている……大丈夫だろうか?いや、俺がなんで居なくなった奴らの心配をする必要がある?もう俺には関係のないことだからどうでもいいだがなクヒヒ♪

 

 

 ……ま、まぁ、あれだ。あいつらの活躍で国はまだ深海棲艦に侵略されずに済んでいると考えれば……チッ、今度美船元帥さん宛てにフルーツの盛り合わせでも送ってやるか。か、勘違いすんなよな?これは感謝の意を込めた訳じゃねぇから。もっとあいつらには俺が戦力を増強するまでの時間稼ぎとしての賄賂として送るだけだからな!!

 

 

 とか思いつつ、食事を取っているか、体調管理を気を付けているかなどの手紙も一緒に付与するつもりである。

 

 

 基本○○鎮守府A基地は出撃、遠征、そして漁業組合や輸送船などの護衛任務が主な仕事となっている。その中で青年の管理の下、艦娘達が主体となり国の防衛を行っている。しかしそれだけではない。漁業関係者には艦娘講義なるものを行ってどれほど彼女達に助けてもらっているかを説いている。積極的に艦娘の良さ、必要性をアピールすることで、艦娘の印象を良くしようと働きかけている。これも青年の策であり、鎮守府のみならず鎮守府外でも味方を得ようとした行動だった。

 

 

 利用できるものは最大限に利用する。人を、国を、元帥はたまた敵である深海棲艦すらも。そして艦娘さえも己の昇進(欲望)の為に彼は道化(善人)を演じるのだ。

 

 

「ふぅ……今日も色々あったが、順調に進んでいるな。結構結構♪」

 

 

 クヒヒ♪一時は忙しすぎたが今ようやく落ち着いて来たが、落ち着いて来たのは俺の所だけではないらしい。漁師達も生活に余裕が生まれている様子だ。魚介類なんて深海棲艦が現れてから高騰して一時期は買い占め騒動もあったらしい。そう言うことはここら一帯では減った。制海権を取り戻したことで敵の姿は減り、護衛付きでの漁ではあるが再開してしばらく経っている。そのおかげで民間人の食卓に魚介類の姿が見え始めている。

 艦娘が傍にいることに抵抗があった漁師も今ではそんな様子は見せず、初めは深海棲艦の影に怯えながら作業をしていた漁師も少しばかり信用したのか小言を言いつつも作業に集中する姿を見るようになった。まぁ、F基地の辺りはまだ心配事が多いが、ここと同じようになっていくだろう。

 

 

 それもこれも全ては俺の作戦通りだ。初めは文句を募らせていた奴も今では艦娘のお世話にならなければならない状況を受け入れている。良い環境を手放したくはないんだろうぜ?艦娘を醜いからと突き離せばまた苦しい生活に逆戻りなんだからよぉ。クヒヒ♪やっぱり艦娘講義を実行して正解だったな。艦娘のありがたみを知りやがれってんだ!俺はあいつらのありがたみを知っているぜ?なんせあいつらは俺の口車にまんまとハマり、昇進の為に自ら張りきってくれるんだからなっ!!

 

 

「都合のいい駒だぜ艦娘ってのは♪今のうちに何も知らずに笑っているがいいさ。どうせ俺が昇進すればお前達は粗大ごみにポイ、後はどうなろうと知ったことではない。お前達なんかどうなろうと俺の知ったこっちゃないんだからな……クッヒッヒ♪」

 

 

 執務室でほくそ笑む青年は正常運転であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令官!大変ですぅ!電ちゃんが勢い余って叢雲ちゃんに衝突して工廠の壁に穴が開いちゃいました!!」

 

「なんだと!?吹雪、二人はどこにいる!!?」

 

「怪我はしていないので今は自室にいます」

 

「自室だな、すぐに向かうぞ」

 

「あの司令官、工廠の壁はどうしますか?」

 

「そんなことは後だ。あの二人の方が大事だからな!!(頭部でも打って後遺症でも残ったら戦力として使い物にならないだろうが!!)」

 

「司令官……はい!!(二人の方を優先してくれる。司令官はやっぱり素敵ですぅ♪)」

 

 

 今日も今日とて艦娘を()()()()に利用する青年であった。

 

 

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