それでは……
本編どうぞ!
「よいっしょ、書類はこれで全部ね」
「悪いな雷、助かるぜ」
「えへへ♪もっと私に頼っていいのよ?」
「はい外道司令官、お茶入れて来たよ」
「ああー響ずるい!暁が入れようと思ってたのに!!」
「暁は漫画に夢中になっていたじゃないか。そもそも司令官の役に立っていないよ?」
「こ、これから手伝おうとしていたところなのよ!雷と響みたいなお子様達にはわからないと思うけど、大人のレディには物事の順序があるのよぷんすか!!」
「(雷、今の聞いたかい?暁が大人だって)」
「(長女として威厳を振りまいていたい年頃なのよ。ここで反論したら泣いちゃうから黙っておこう)」
執務室は小さな助っ人達で賑わっていた。第六駆逐隊のメンバーである暁達が青年のお手伝いをしていると言っても暁だけが先ほどまで漫画に夢中になっていた訳だが彼女は
しかし電だけは例外だった。
本日の秘書艦は電だ。秘書艦を担当するのは○○鎮守府A基地初期メンバーである彼女を含めた吹雪達六人だけ。青年と二人っきりで小さな執務室でお話ができ、彼の香りを堪能できる。こんな良いこと尽くしの好条件、こればかりは特権であるので誰にも譲りたくない地位である。しかし暁達が「私達もお手伝いするわ!」と執務室へ乗り込んで来てしまったのだ。
電は折角青年との時間を奪われてしまう危機に陥った。彼女達は純粋な気持ちで仕事で大変そうな妹と青年を気遣っての行動だった……が、電にとっては堪ったものではない。
六人交代制の秘書艦、自分の番が再び回って来るのは基本的に他の五人が回った後、それまで我慢しなくてはならない。更なる問題が浮上する可能性があった。それは暁達の
「電だけでも大丈夫な量なので、小さな執務室にこんな大勢で居ると司令官さんの邪魔になるのです!!」とそれらしい理由を付けて姉達を追い出そうとしたが「そうか?なら手伝ってもらおうか」と青年はあろうことか受け入れてしまった。これには電も反論できるわけもなく、幸せな時間は
青年は書類仕事ばかりの退屈な空間に縛り付けるのは疲労と精神に負担がかかるものだと理解している。だからいつも小休憩を挟んだり、空気の入れ替え、お菓子を恵んだりと負担軽減を心掛けているのだが、暁達が手伝いに来たこの状況を彼は利用できるとほくそ笑んだ。電の負担を軽くしてストレスを溜めないよう暁達に仕事を分け与え、一人の負担を分担することにした。本当なら秘書艦を増やすか、吹雪達六人以外にも回してやった方がいいのだが、何故かそれをやろうとすれば吹雪達から猛抗議が来るので実行できない。彼も「なんで?」と思ったが……深く考えることはしなかった。今回は電の為にと機転を利かせてのことだったが、それが逆効果になってしまったことは彼は知らない。
秘書艦達の聖域……それが執務室。大好きな青年との二人っきりになれる最高の空間。仕事は忙しくとも、彼と一緒ならそれも苦ではないし、さり気なく気を利かせてくれるのでその優しさを自分だけに向けられていることに喜びを感じる。秘書艦と言う特権を利用して欲望を叶えられる場に邪魔者が居ては全てが台無しだ。電は吹雪達に秘書艦の地位が危ないと応援を求めようとしたが思い出した。今日吹雪達は護衛任務に出ていて時雨達も遠征中で鎮守府内の秘書艦メンバーは己一人だけ。
「(
いつもは仲のいい姉妹同士だが、今日ばかりは電の敵意は姉達に向いていた。証拠に暁達に向ける瞳には光が籠もっておらず、さらっと考えていることも恐ろしい……大人しい子を怒らせたらいけない。いつも浮かべる笑顔は今日だけ黒い影を孕んでいる。
「司令官さん、
電は
「ダメじゃない。電が司令官を見てあげなきゃ。秘書艦なんでしょ?仕事も大事だけど、司令官の精神的な部分も見てあげないといけないじゃない!」
「……はぁ?雷ちゃん、それがなんなのです?」
「電はわからないのかい?司令官は毎日机と睨めっこしているんだ。前まで凄く忙しかったし、お酒で倒れたこともあるし……あれは私達のせいでもあるけど。とにかく書類仕事は任せて電は司令官と気分転換にでも行ってくれないか?」
「おい響、勝手に話を決めr――『それは良い考えなのです!!』お、おい電?」
「司令官さん、一度休息するのです♪」
「お、おい電!!?」
青年は逆らえない。艤装を付けてもいないのに、その小さい体のどこにそれほどの力があるのか彼の手を握りしめ離さないと言わんばかりに引きずって執務室から出て行ってしまった。
「まったく、私達が気づいていないと思っていたのかしら、ねぇ響?」
「電は司令官のこと大好きだからね。私達はお手伝いに来たけどお邪魔だったみたい」
「あの瞳はヤバかったわね。まさか妹から嫉妬を向けられるなんて思ってもいなかったわ。もう司令官も司令官よ。電をあんなに夢中にしちゃうんだから」
「そうだね、電のことは司令官に任せよう。私達は書類仕事を片づけるよ」
「えっ?ええっ?……えーっと???」
「ほら暁、ボケっとしてないで仕事しなさいよ!!!」
暁は
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「司令官さん見てください。大きな鳥さんなのです!」
「ああ……そうだな」
……俺は何をやっているんだ?そもそも俺は書類仕事をやっていたはずなんだが……あれこれもう一時間もここでのんびりしている。今日中に終わらせたかったものがあったんだが、響達だけで済ませられるのか?やはり今から戻った方がいいか。
港で腰を掛けて海と空を眺めていた青年は黄昏ていた。おかしいっと思った。自分はちゃんと真面目に仕事をしていただけなのに、いつの間にかあれよあれよと電に
「司令官さんどうしたのですか?心ここにあらずのような状態なのです。もしかして……電と一緒に居るの嫌でしたか?」
折角今日中に仕上げようとしていた仕事のことを考えていると電が横から顔を覗かせており、黄昏ていた思考も現実に引き戻される。
――可愛いっ!!あっ、いや……ゴホン、響達ならばあれぐらいどうってことないだろう。それよりも俺にはやることができた。書類仕事ばかりで電は疲労と精神に来るものがあるだろうから、それを解消する為にこうして付き合っている。上司としての役割だからな、決して可愛い姿をこの目に収めておきたいと言う気持ちは一切ないからな!!そこは間違えるなよ!!
……っと言いつつ、脳内フォルダにキッチリと録画されているのである。可愛いは正義、はっきりわかんだね。
「いや、そうではない。ただ俺は提督なのにこんなところでボーっとしていていいのだろうかと思ってな。まぁ、あいつらならば問題ないだろうが」
「はいなのです。暁お姉ちゃんはともかく、響お姉ちゃんと雷お姉ちゃんが居るから司令官さんはのんびりしているといいのです」
「そういうことにしておくか」
電の為とは口にせず、のんびりとした時間を過ごしていく。
「……し、司令官さん」
「んぁ?なんだ?」
「えっと……その……」
何かを言い淀んでいる電。しかも体をもじもじとくねらせている姿は何かを言いたいが恥ずかしがっている様子に見えた。
何を恥ずかしがっているんだこいつは?俺に何か用があるんじゃねぇのかよ?
青年は電が言葉をかけるまで待ったが、彼の予想とは裏腹に言葉よりも電が近づいて来て……
「……えい!なのです!」
ぷにっとした感覚が伝わった。
「………………………………………………んぁ?」
一瞬何が起こったのかわからなかった。しかし膝に重みを感じた。そして電の姿が瞳に映る……それも間近にだ。
「あ、あの……司令官さん、重くないですか?」
突如のことだったので頭が追い付いておらず呆け顔を晒す羽目となった。丁度青年の顎に彼女の後頭部に触れてしまいそうになる程の小さな体がそこにあった。膝の上にちょこんと腰を下ろした
電は返答を待っているようだが、青年が言葉を発することなんてできる訳がない。唖然……いや、その姿に見惚れたといってもいい。膝の上に小さな女の子が座って来て、顔を赤らめているシチュエーションなんて「漫画やアニメだけの光景だ。ありえないものだ」と鼻で笑ってしまうことだろう。しかし現在リアルタイムで経験している。伝わってくる感触も体温も本物で、夢でも幻でもない。
艦娘にこんなシチュエーションは誰もが求めない。ここはあべこべ世界で艦娘は全員醜悪の塊。こんな体験をすればただの拷問でしかない。しかし彼にとってはご褒美でしかない。美少女の方からこんな羨ましいアプローチをされたら……
『「
『「ダメだぞ
『「何を言う
『「ダメだダメだ!人としてそれはしてはいけない!それに昇進はどうするつもりだ?」』
『「これはあくまで合意ありと見て問題はないと思うが?それにこいつらは艦娘。人間での法律には適用されない!!」』
『「法律に引っかからずとも未成年者に手を出すのは……』
『「合法ロリだから問題ないだろ?それに男が誘惑に勝てる訳ないだろう?」』
『「……それもそうだな。よし、いっちょ大人になって来い
おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!?お前ら対立していたのに何故に手を取り合っていやがるんだぁああああ!!?
あまりの衝撃を受けたことで
『「何を言っている
『「
ふざけんな!お、俺が襲うわけがないだろう!?ロリコンじゃねぇし、利用しているだけの駒になんぞに……よ、欲情する俺じゃねぇから!!
『「嘘つけ。男はみんな美少女には勝てない」』
『「大人のお姉さんにも弱い。
う、うるせぇうるせぇ!!!俺の理性と本能の癖にてめぇら勝手に出しゃばって来てんじゃねぇすっこんでろぉぉぉぉお!!!
『「「ぐぅわぁぁぁぁぁあああ!!?」」』
主導権を取り戻したのは青年自身だった……いや、理性や本能を相手にしている時点で自分自身のことなんだが、簡単に言えば己の欲望に打ち勝ったのだ。本能に屈してばかりの弱々しい姿などそこにはなかった。
「あ、あの……司令官さん?黙っていてないで何か言ってほしいのです」
「いや悪い。ただ何故俺の膝に乗っているんだ?」
「え、えっと……電がこうしたいと思ったのです。だ、ダメ……でしたか?」
うるっとした瞳が突き刺さる。怒られるかもしれないとちょっと不安そうな表情がとてもグッと来た。
――くふぅ♪そ、そそられる……はっ!?違う違う何を考えているんだ!!くそう、理性や本能の言うこともわかる気がするが……体は俺のもので俺は提督なんだぞ?
男という立場や提督という地位で権力を振り回すだけの無能提督じゃなく本物の提督なんだよ。その場の欲望に負けてしまう程度の弱さなんて生憎持ち合わせていない。まぁ艦娘なんてどうせ最後はゴミ箱にポイだが、それまでは手荒に扱うことは避けねぇといけない。こいつには利用価値がまだあるんだからよ。それに今の俺は
だがな……こいつは何で俺の膝に乗るのかわからん。なんでだ?何が良いんだ?
「ダメではない。ただ……俺の膝に乗って何が良いんだ?」
「司令官さんとこうしていると心が温かくなって安心できるのです♪こう体中がポカポカしてもっと近くにいたいと思ってしまうのです。司令官さんが傍にいるだけで幸せな気分になるのです♪」
「……そうか。まぁ、それで満足ならそうしてろ」
「司令官さん……それじゃ特等席を堪能させてもらうのです♪」
平穏な時間が過ぎていく。こういう時間もたまには悪くないと思う青年であった。
お、落ち着け……何もやましいことなんて起きてない。起きてないから落ち着いてくれ
体が密着した状態が続くにつれて青年は危機に陥っていた。電を意識せずにいられたらどれほど良かったことか……まぁ可愛い女の子が膝の上に乗っている時点で意識が向いてしまうのは避けることはできない宿命だ。みるみるうちに下半身の
その後、目が覚めた電に「大きな魚雷が向かって来る夢を見てとても怖かったのです!」と夢の内容を聞かされて「そ、それはこ、怖かったなぁ……」と汗をダラダラ流しながら何事もなかったように職務に戻った青年でした。
本能(精神)を抑え込んだ青年であったが、本能(