それはそれとして。
それでは……
本編どうぞ!
「大淀、状況を教えてほしい」
「はい、長門さんと陸奥さんが向かった○○鎮守府は敵の侵攻を食い止めることに成功し、反撃しましたが敵は逃走を図り撃破には至らなかったそうです」
「そう……わかったわ。他の鎮守府の様子はどうだった?特に不知火」
「不知火ちゃんが向かった○○鎮守府は提督と艦娘達の仲が少しだけですが改善されたようです。まだ距離はあるものの以前よりも交流が多くなったとのご報告で、不知火ちゃんが率先して提督とのコミュニケーション改善に力を入れた結果だそうです」
「そう……意外だわ。あの子は命令に対して忠実に動くことを優先するタイプなのに」
「不知火ちゃんも変わったと言うことです」
「大淀それはあなたもでしょ?
「そ、そう……かもしれません」
大淀は自分自身変わったと思っている。それが嫌だとは思わない。
不知火も外道提督に出会ってから積極的になったし、木曾も帰って来てからずっと写真を大事にしているのを見た。大淀もそう……みんな嬉しそうで良かったけど複雑な気分。あれだけ疑っていたのに今じゃ私も彼に期待を寄せている。初めは憎き軽視派として敵視していたのに手のひらを返してしまっている……でも同じぐらいに心の底で信頼しきれいない私。どちらか一方を決めることをせず、今の状況を甘んじて受け入れている……なんて都合のいい女なのかしらね。
○○鎮守府A基地の生活で大淀達が受けた影響は大きく、それが良き方へと向いていることに美船元帥は喜んだが、相手があの青年だ。彼女は現在も悩んでいた。軽視派の人間達は艦娘を兵器や道具のように扱う連中の集まりだ。その連中が彼女は大っ嫌いであり、容姿だけで決めつけるなど認めたくなかった。青年は軽視派から目をかけられ、提督の座を手に入れた。それを知った時、大いに怒りを抱いたが大淀達の潜入して調査したところ、彼の存在が艦娘達を救うことになったので困惑することばかりの結果となった。
矛盾を宿した青年に密かな期待を抱く美船元帥。しかし彼女は人間の裏側を見過ぎてしまい、信用したのに裏切られた時……もう誰も信用できずに人類そのものを見捨ててしまうかもしれない恐怖を抱いている。それでも……
あの○○鎮守府A基地で青年と対面した時、彼が語った艦娘達を思う気持ちが嘘だなんて思いたくはなかった。
「……大淀」
「なんでしょうか?」
「あなたは外道提督を信じたい?」
「私は信じます。提督は優しい方だと」
「そう……わかったわ。それでね大淀、私はそろそろ反撃する頃合いだと思っているの」
「こちらから敵を叩くおつもりですね?」
「ええ、
「わかりました。ですが誰を向かわせるのでしょうか?」
「○○鎮守府A基地に所属する艦娘及び外道提督よ」
「――ッ!?」
大淀の表情に驚愕が現れた。
「……外道提督に任せると言うことでいいのでしょうか?」
「彼だけの戦力では厳しいでしょうし、こちらからも援軍を出すわ。まずは赤城と加賀、心の傷は癒えていないけど二人には頑張ってもらうしかないわ」
「大丈夫ですよ。提督がいるなら」
「……そうね。それにあの子達も挫けてしまう程に弱くはないわ。過去は変えられないけど未来は変えられる。あの子達なら今回の悲しみを糧にして強くなってくれる……そう信じているわ」
「……そうですよね。赤城さんも加賀さんも立ち止まることは望んでいませんでした」
「ええ、それと木曾も送り出すわ。あの二人だけだと(彼への対応が)心配だから」
「木曾さんだけ……ですか?」
「大淀、あなたもしかして……木曾に嫉妬してる?」
「い、いえ!そんなことはありません!そ、それでは外道提督に連絡しなければなりませんのでこれで……」
大淀は○○鎮守府A基地に派遣されたメンバーの中で木曾だけが青年と再会できることに妬いていた。そのことを美船元帥に見抜かれぬようこの場を離れたが誰から見てもバレバレであった。
嫉妬する大淀は可愛いわね♪私にとって艦娘達はみんな可愛いの。例え世界全ての
顔はちょっと怖そうなところがあるけどそれが逆に良いし、何よりもあの声……耳元で名前なんか囁かれでもしたらそれだけで孕んでしまいそう……いやむしろ望んで孕みたいわね♪ってダメダメ!!元帥の立場である私がこんな破廉恥なことを考えるのは……妄想だから犯罪にならないし問題ないわね。
……っとなると妄想内では何をしてもいい……ふむ。
『「外道提督……いや、外道丸野助よ、私の男になりなさい」』
『「げ、元帥殿……軍人とあろう者が欲望に負けてはなりません!!」』
『「黙らっしゃい!元帥の私に逆らう気か!!ならば実力行使だ!!」』
『「げ、元帥殿……い、いけませんこんなことをしては!!」』
『「にゅほほほ❤良いではないか良いではないか♪』
『「あーれー!!!」』
……的な権力を使って男を手に入れる……のは絶対にやらないわね。私のキャラじゃないし、こんな展開望んでいない。私なら……
『「美船元帥殿、あなたの艦娘達を思う一途な想い、軍人と立ち振る舞いに感動し尊敬していました。しかし次第にあなたへの憧れが段々と変わって……あなたのことが好きになりました!!」』
『「いかん、いかんぞ外道提督。こんな醜い私なんかに……愛を向けてはならぬ!!!」』
『「いいえ、私はあなたを愛してしまいました!この想いは変わることはありません。醜いからなんですか!愛の前に容姿など関係ありません!!!これからは元帥と提督の立場ではなく、夫婦として共にこの国を変えていき、艦娘達と未来を目指しましょう!!!」』
『「外道君……すまない。君を(恋に)落としてしまった責任は取るわ。沢山子供を産み、幸せな家庭を築き、艦娘達と共に君を一生大切にしてみせるさ。この美船の名にかけて……ね♪」』
『「……美船さん……(キュン❤)」』
……やっば、妄想の中の私ってカッコよくない?いや、リアルでも威厳はあるはずだしこういう未来がある可能性だって……万に一つもないわ。自分で妄想しておいてこれはありえないわねうん絶対。
もはや原型すら残さない誰だお前的な登場人物とキャッキャウフフする悲しい妄想に振り回され自分でも何をしているのか嫌になってため息が出る。元帥という立場である自分には価値があり、元帥でなければ価値が無いと自身で決めつけてしまっているようだ。実際に妖精が見えず、軍人にもならずに過ごしていたら生涯永遠のニート生活を送っていたかもしれない。そう考えるとまたため息が出てしまう。
まぁ、彼が例え軽視派の人間じゃなくとも私なんかを女として見てくれることはないんでしょうけど。
「……もういっそのこと、画面の中にいる二次元男子が孤高かもしれないわね……」
「何が孤高なんですか?」
「ひゃわぁぁぁぁあ!!?」
美船元帥は飛び跳ねた。それもそのはず、今は一人しかいないはずだったのに目の前には五月雨と漣がいつの間にか居たのだ。彼女達は美船元帥がよからぬ妄想を垂れ流している間に入って来たことに気づいていなかったらしい。
「ほうほう、ご主人様は何やら男を求めている様子と見ました……つまり溜まっていると。いやはや、ご主人様も性欲には勝てないというわけですな♪なんなら漣秘蔵のブツから過激な物をお貸ししましょうか……へっへっへ♪」
ニタニタと笑みを浮かべた漣が獲物を見つけたようだ。彼女の揶揄いの的になってしまう……このままでは醜態をまた晒してしまうことになる(既に晒してしまっているが)のは避けねばならないと美船元帥は感じた。彼女も女であるのだから男の話題は大好物であるが、五月雨が顔を真っ赤にしているのを見てしまうと彼女の純粋な心を汚してしまうのは気が引けた。
「……ゴホン、それで?二人は私に何か用があるんじゃないかしら?」
「話題を逸らしましたねご主人様?」
「……ナンノコトカシラ?」
なので何事もなかったかのように振舞うことを決めた。都合の悪いことはなかったことにすれば場は勝手に収まっていくのだから。
「え、えっと……先ほど大淀さんと会って聞きました。
「ええそうよ、我が物顔で海域を支配している。あの海域は物流の最適なルートだったけど、
「でもご主人様、奴は強敵ですぞ?」
「承知の上よ。何度か撃破する為に艦娘達が戦ったけど……未だに海域を支配しているのが結果。こちらの被害の方が大きくなり、轟沈者も多数出た。だからこそ、今回は彼に行ってもらうことにしたの」
「外道提督ですよね?信用……してもいいんですよね?あそこには時雨姉さん達が……」
「五月雨、不安なのはわかるわ。私も彼を信頼しているのか正直言って自分でもわからない。けど他の提督達と違うのは確か。敵は強敵、彼の艦娘達なら……やってくれると願っているの。彼と彼女達ならばって。それに私だって見ているだけなんて薄情なことはしない。赤城と加賀、そして木曾に援軍として出向いてもらうわ」
「……美船元帥、姉さん達の為に私も一緒に行きたいです!!」
あそこは時雨と夕立が居た。そして今度の敵ははぐれや並みの深海棲艦じゃない。五月雨が援軍として参加しようとする意志はわかる。けど……
真剣な五月雨の瞳を見た。人間じゃなくとも姉妹の絆、姉達に向ける想いは艦娘であっても変わらないと感じさせるものだった。それでも……
「ダメよ、あなたの気持ちはわかるわ。でもね、五月雨には漣と一緒にやってもらわないといけないことがあるのよ。あなたが抜ければそれだけ負担が増える。ここは外道提督に任せましょう。それに赤城と加賀、木曾がいるんだもの。大丈夫、きっとね」
「美船元帥……はい」
「
「そ、それはいらないですよぉ!!!」
「……
五月雨と漣が退出して思い返していた。
○○鎮守府A基地の艦娘達は強いのはわかっているつもり……だけど外道提督、今回の相手は手強いわよ?なんたって相手は……
戦艦棲姫。深海棲艦の姫級が相手なんだから。