あべこべ艦これの提督さん   作:てへぺろん

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EX話は一気に投稿させていただきます。


それでは……


本編どうぞ!




4-EX 夕立と時雨 その2

「ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!」

 

「いい調子ですよ夕立さん、そのまま打って来てください」

 

「了解っぽい!」

 

 

 バンバンと叩く音が響く。何度も拳に力を込めてぶちかます。そして次は蹴りを顔目掛けてお見舞いした……けど止められた。夕立が何をしているかって?それは神通さんに協力してもらって鍛えてもらっているところ。夕立が拳と足を使ってミットを手に持つ神通さん目掛けて攻撃した。自信はあったんだけど……神通さんに何度も止められている。

 神通さんは元々F基地初期から今まで前戦を戦う続けて、訓練になると鬼のように厳しくなる人なんだけどそうなる気持ちはわかるっぽい。強くなくちゃ生き延びれないし、みんなを守れない。夕立は約束したんだ。提督さんをみんなの為に強くなるって。だから夕立、もっと強くなりたいから神通さんにお願いしたら目に炎を宿して協力してくれたの。「持ち掛けられたからには私も厳しく当たっていきますからご覚悟を」なんて言ってた。夕立も提督さんの期待に応えられるように頑張らないと!!

 

 

「ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!」

 

「――ッ隙ありです!!」

 

「――ぽいっ!!?」

 

 

 油断しちゃった。足払いを避けることができなくて尻もちをついたっぽい。

 

 

「夕立さん!一瞬の油断が死を呼び寄せてしまいますよ!!」

 

「むぅ……もう一回っぽい!!」

 

「その意気です!もう一度打ってきてください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぽい~……」

 

「夕立さん、お疲れ様です」

 

 

 体が重いし、息が苦しい。どれぐらい経ったかわからなくなっちゃった。その間ずっと付き合ってくれていた神通さんは汗だくだけど自らの足で立ってる。比べて夕立はもう燃料(体力)切れで伏せる結果……神通さん強いっぽい……じゃない、強い。

 海域を取り戻したし、深海棲艦を何度もやっつけたから夕立は負ける気はしなかった。でも負けちゃった。軽巡洋艦と駆逐艦の差だけじゃない。夕立が弱いだけ、これじゃ提督さんも時雨も吹雪ちゃん達を守れない……もっともっと強くならないと。

 

 

「神通さん、もう一戦お願いするっぽい!」

 

「ええ、構いませんが焦りは禁物です。意気込みは評価しますが体を酷使しては元も子もありませんよ?」

 

「大丈夫っぽい、夕立はやればできる子だから」

 

「……わかりました。それでは少し休憩したら再会しましょうか」

 

「わかったっぽい!!」

 

 

 今度の敵、戦艦棲姫っていう深海棲艦は提督さんも危険視してる。あんな提督さん初めて見た。そんな提督さんの様子を見て、夕立達は不安を抱いたけど、提督さんは夕立達のことを信じてくれている。だから今度もいつもと一緒、夕立は敵を倒すだけ。

 敵が何匹こようと夕立は全部倒す。そして敵をやっつけてMVPをとって提督さんに「よくやったぞ」って頭を撫でて褒めてもらうんだ。だからこれぐらいで弱音を吐いたりしないんだから!!

 

 

 ★------------------★

 

 

「……夕立は凄いね」

 

 

 僕の妹の夕立は前に進んでいるっと言うより突っ走る傾向があって危なっかしい。提督が言うには夕立=犬って言ってただけど言われてみれば僕も同感だと思って頷いたことがあった。でもその時、何故か提督は僕のことを何か言いたげに見ていたんだけど……まさか僕のことも犬に見られていたりする?まさかね。

 そんな夕立が神通さんと特訓をしていた。夕立も思うところがあるんだね。僕も今度ばかりはいつも以上に気を引き締めないといけない……提督の深刻な顔を見たからね。

 

 

 珍しかった。提督があんな顔をしたのは……そうさせているのは戦艦棲姫。僕達は今まで多くの深海棲艦を倒して来たけど、今まで特殊なタイプ、それも姫級の相手と戦ったことは一度もない。それもいきなり鬼級よりも上の格上が僕達の前に立ちはだかる。

 勝てるの?そんな格上の相手に?不安だった。僕も口には出さないけど、心の中では押しつぶされそうになっていたんだ。気分を紛らわせようとぶらぶら散歩していたら何やらぶつかり合う音が聞こえて来て覗いてみるとそこで夕立と神通さんは前に進んでいた。その姿を見ていたら僕もこんなところで油を売っている場合じゃないって実感した。

 

 

 僕はね、提督のあんな顔は見たくないんだ。提督にそんな顔は似合わない、笑顔を向けてくれればいい。でも……もし、もしもだよ?轟沈者が出て提督の心に影が差し込むことになったら?提督が笑顔を向けてくれなくなったら?……嫌だ。もう二度と誰かが目の前で沈んでいく姿を見たくない。僕に嬉しいを、ドキドキを教えてくれた提督を曇らせるような奴は……

 

 

「僕が……許さない」

 

 

 僕の幸せは提督の幸せ。その為には誰一人として沈まずに勝つこと。そうすれば提督の心が曇ることはない。提督はああ見えて本当は優しいから誰か一人でも沈んでしまったら一生心に傷を負ってしまう。させない、やらせない、相手が深海棲艦や誰であろうとも僕は踏み倒して行くから。

 

 

「僕達と提督の道を阻むことは……誰にもさせないよ」

 

 

 絶対に、絶対に……ね。

 

 

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