あべこべ艦これの提督さん   作:てへぺろん

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五章の最終話となります。


それでは……


本編どうぞ!




5-EX 赤城と加賀

「おかえりなさい」

 

 

 この声を聞くと帰ってきたんだと実感します。私達、一航戦にとってかけがえのない艦娘()……

 

 

「只今帰投致しました。鳳翔さん」

 

 

 私こと赤城と加賀さんがいたところは特に酷いところで、容姿が醜いと言うのは当然のこと。日に何度も出撃を強要させておきながら、燃費が悪いと言われました。出撃しないで食事を取っていれば働いていない癖に食べることだけは一人前と認識され倉庫へと送られた。その時です……一航戦としての誇りがポッキリと折れたのは。あのまま私達は暗い世界で終わるのかと諦めかけていた時です。

 

 

 暗い世界に光が差し込んできました。顔を上げればそこにいた……一航戦の「母」が。

 

 

 そこからです。幾多の試練がありましたが、加賀さんと共に立ち上がり一航戦の誇りを蘇らせることができました。美船元帥には感謝していますし、協力してくれた漣さん達、そして鳳翔さん、あなたがいなければきっと私は、私達は一航戦と名乗れなかった。

 そんな鳳翔さんを軽視派の人間がいる下に送り出そうとする美船元帥を一時的にではありますが憎みました。鳳翔さんが自ら名乗りを上げたのは不遇な境遇にいる駆逐艦の子達を放ってはおけなかったから。その優しさに救われておきながら、駆逐艦の子達よりも鳳翔さんの方が大事でした。自分でも酷いことを言っていると理解していてもそれほど大切な方なんです。

 

 

 待機命令を無視してでも○○鎮守府A基地へと加賀さんと共に実力で例の人間を排除しようとしました。人間に歯向かうことなんてできないのに……それでも鳳翔さんを蔑ろに扱う人間を許せなかった。手をこまねいている間に大淀さんから定期的に連絡が届く。そこには私利私欲にまみれた報告が……ありませんでした。

 これには美船元帥もおかしいと感じ、R基地が深海棲艦の攻撃を受けている救援要請が大淀さんから連絡が届きました。以前から目をつけていた場所に例の人間もいると。私達はその救援要請に出向き、根掘り葉掘り聞きだそうとしましたが、結果は現れず、後日美船元帥と共に視察と称してA基地へ向かうとそこには心身ともに疲労した鳳翔さんが……いませんでした。報告書通りのことに理解が追い付かず、寧ろ怒られてしまい帰るなり部屋で泣きました。

 

 

 何故あの鳳翔さんが?私達は報告書通りだからと納得できませんでした。補佐という潜入期間は過ぎて鳳翔さんが帰ってきても上の空でいる時が増えました。他の大淀さん達もおかしくなっていました。その原因はわかっていました。例の人間の名が鳳翔さんの口から出てくる度に加賀さんがムスッとします……私も同じ気持ちでしたから。鳳翔さんがそこまで信用に値する何かがあるはずです。必ずチャンスが来ると……そしてその時が来た。

 

 

 一度目は救援要請、二度目はA基地の視察、三度目は戦艦棲姫撃滅作戦に戦う()()として。援軍として加賀さんと龍驤さんと共に別の鎮守府へ赴いていましたが、そこでは勝利の対価が大きすぎて心を引きずってしまいました。でも美船元帥がこの作戦に私達一航戦の力が必要だと求められ、例の人間が本当に()()なのかを見極める為にも、私達はこの作戦に参加しました。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木曽さんや鳳翔さんが『あの男』と呼ぶのを嫌った訳がわかった気がしました。

 

 

 戦艦棲姫を倒すべく人間と艦娘が協力し合うなんて簡単だと思わないことです。仕事上仕方なくでは協力し合っているとは言えません。でも外道提督は違った。肩書だけの『提督』ではなく、美船元帥のような(まこと)の『提督』であると共に戦った私はそう感じました。

 

 

『「何を言う。戦艦棲姫を倒すことができたのは全員の力の結束によってもたらされた結果だ。吹雪から詳細は聞いている。赤城の支えがあったからこそ加賀も力を振るうことができたんだと俺は思うぞ。だから負い目を感じることはない。お前はちゃんと役目を果たしたさ。立派だぞ流石は一航戦だ」』

 

 

 温かいと鳳翔さん達も感じたのでしょう。外道提督からの言葉は私達を気遣っての本心だと疑うことすら抱かせなかったのですから。

 

 

 悔しいながら、悔しいながらですが認めます。鳳翔さんが心を許すのは理解できました!と言って鳳翔さんは渡しませんから!!

 

 

 ……ゴホン、少々取り乱してしまいました。しかし外道提督には気になることがあります。何故軽視派に所属しているのか?もし艦娘に味方をする方なら穏健派にならずとも中立の立場にいれば疑いの目をかけられずに済むと言うのに軽視派とはどういうことでしょうか?

 提督に着任する前から軽視派と繋がっていることは確認済みです。艦娘との出会いで変わった?流石にわかりませんね。訳あり……なのでしょうか?弱みを握られているのかそれとももっと別の何かなのか?少なくとも調べ上げた情報にはそのようなことはなかったと記憶していますが、気にはかけておきましょう。それに……

 

 

「……確かに変人でしたね」

 

 

 木曽さんの言った「変人だから気をつけた方がいい」とはまさに言葉通りでしたね。

 

 

 軽視派なのに醜い艦娘に寄り添う提督、矛盾の塊のような人でした。でも……共に戦うのは悪くはありませんでしたね。また共に戦う日が来ればいいのに……

 

 

「でもその前に……闇に潜む輩をあぶり出すのが先ですね」

 

 

 山城さん達が直面した人間の闇……そこに身を潜む輩を私は許したりはしませんから。それまで彼女たちのことは外道提督に任せましょう。

 

 

 ★------------------★

 

 

「………………………………………………」

 

 

 私は加賀、ただの一航戦。

 

 

 私の大切な相棒である赤城さんはいつも一緒にいてくれる。でも今はいません。私が一人になりたいと言ったから。

 

 

 気持ちの整理をしておきたかったの。ただそれだけ……

 

 

 戦艦棲姫撃滅作戦に参加した私達の目的は戦艦棲姫だけではなかった。

 

 

 ○○鎮守府A基地に軽視派の人間が着任することになった。知った時は苛立ちを覚えたわ。あろうことか鳳翔さんにまで魔の手が忍び寄るのかと送り出した美船元帥を恨みました。けれど……そうはならなかったわ。報告書を読んでも意味がわからず、理解できないまま美船元帥達と共にA基地へ訪れました。けれど鳳翔さんに叱られてしまいました……わ、私は泣いてなんかいませんからね?

 大淀さん達が帰って来て赤城さんも驚いていた。鳳翔さんが嬉しそうにA基地の出来事を話すのだけどそこには必ず軽視派の……男の名があった。

 

 

 外道丸野助、○○鎮守府A基地の提督となった人間。その名が語られることに納得ができない私がいた。暴力や罵倒を受けるどころか大切にしてくれましたと微笑む鳳翔さん。私達から鳳翔さんを取ろうとするなんて……頭にきます。次ぎ合う時は必ず化けの皮を剥がすと決めていました。

 

 

 そのはずでした……戦艦棲姫撃滅作戦は誰も犠牲を出さずに理想的な勝利で終わったわ。ただの深海棲艦ではない、姫級の敵である戦艦棲姫を相手に心の奥底で犠牲者が出るのは避けられないと覚悟した。それを否定したのもA基地の提督だったわ。

 何故あの人間は私達に声をかけるのか?木曾が言った「変人」というのは的を射ていると感じたわ。

 

 

 南西諸島海域に存在する小島で私達は見てしまった。

 

 

 人間の……愚かしい欲望の為に犠牲となった艦娘達を。

 

 

 山城、球磨、多摩、如月の四人は監禁されていた。この周囲一帯は深海棲艦の攻撃に晒されていたわ。何の為に深海棲艦が攻撃したのか……人間がいたから?艦娘を始末する為?それとも……人間に裏切られたから?その理由まではわからないわ。わかることは人間は愚か者ということ。

 何度も人間の醜さを見てきた。私と赤城さんもその被害者、艦娘のことを醜いと言う人間の方が醜く見えた。今回はその中でも度を越していたわ。……頭にきます!!!

 

 

 私達艦娘は人間じゃない。だけど非人道的実験が行われても仕方ないと割り切ることなんてできない。人間の愚かしさに奥底から湧きあがろうとする憎しみを抑えきれないでいた。人間が憎くて失望した……でも。

 

 

 一人だけ違った。その人は私の頭を撫でた。いきなり何をするのかと思ったわ。この状況でふざけているつもりなの?と感じた。だけど「辛そうだった」と言った。私のことを気にかけてくれていた。あなたのことを敵視していたのに……

 

 

「……ふふ、まったくおかしな人ね♪」

 

 

 ……私、今笑った?どうして?

 

 

 理解できないわ。私を気にかける必要すらないのに……だけどあの人に触れられた感触を思い出すと……

 

 

『「い、いや、なに、いきなり撫でて悪かった。謝る」』

 

『「いや、何でかと言われれば……加賀の心が曇っていたからだ」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「撫でてもらうと心がポカポカするそうだ」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ポカポカします♪

 

 


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