泥と汗に塗れた黄金が夢へいざなう   作:N2

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シチーさん美しいべぇ、などと思い勢いで始めてしまいました。
原作を改変する箇所がありますが、基本的に原作ルート、要は史実をなぞる予定です。
アニメや漫画に準拠しますが、アプリ部分はどうなるか…… 準拠予定ですが、改変可能性があります。
アプリは微課金者なので苛めないでくださいね(笑)

競馬自体を知ったのは中学から、悪い友達や後輩、おっさんどものせい? おかげでナリタブライアンからです。悪いおっさんから古い競馬も色々聞きました。
後輩や友達付き合いなので賭けなかったんですけどね。
麻雀の抜け番の時に彼等が話すのと、中継で知っていった感じです。
ディープインパクト以降は競馬から離れているので、ちょっとよくわかりません。

ですので、にわか気味であり色々と拙く、知識が甘い所というか古い所もありますので、そういう時はコソっと優しさを込めて教えて下さい。

ちなみにウマ娘がリリースされて興奮したのは、マルゼンスキーがいることでした!
当時私が中学の頃から、おっさんどもが夢中になって話してました。そのせいですかね、実際に見てみたかった存在です。現在では彼等は、もうお爺ちゃんか存命すらも怪しい年齢の方々です。
激マブとシチーさんとカレンチャンが尊すぎてヤバす。
ナイスネイチャも私の性癖には合ってます。
↑聞いてねぇしと言われそうだ……


第一話 出会い

 雨が降っていた。

小雨ではあったがトレセン内のレース場ではウマ娘達が蹴り上げる土、水気交じりの泥が舞っている。

 ある種の凄みを帯びた表情で、ターフを駆け抜ける彼女は、その泥にまみれて尚、美しく、そして目に焼き付いて離れなかった。

 

 

 

 

 「お世話になりましたトレーナー。私や先に卒業したチームのみんなもこの結果には満足でしたよ。ウイニングライブも踊れましたし! センターではありませんでしたが。あまり気に病まないでくださいね」

 

 「……そうか。就職先、レスキューだろ。そっちでも怪我には気を付けて頑張れよ」

 

 三月、トレーナーとして就職して四年が過ぎ去った。チームで最後に残っていたウマ娘を送り出した俺は、彼女が言った満足だったという言葉に思いを馳せる。

 

 チームサダルバリ、新入時に二人担当し、次の年に三人が加わってチームとして結成届を出した。元々、担当トレーナーが見つからずに燻っていたウマ娘達だ。

 俺自身はかなり珍しい高卒入社の新人でもあったので、先輩トレーナーやベテランのサブトレーナーをやるかどうかという段階で、引退もそろそろ考慮に入れている大御所のトレーナーから――

 

「おめぇは成績、じゃねぇな。面接だったか? は良かったみてぇだし、取り敢えず色んな意見を聞きながら、メイントレーナーとして育成してみろ。サブを選ぶかどうかはそれからだ」

 

 要はトレーナー不足でもあるので、悠長に新人をサブとして教育までする余裕は無かったという事なのだろう。

 後から知ったが就職採用試験はギリギリ、俺個人の特殊な事情が採用に後押しされたと、あのお可愛い理事長から教えられた。

 (さき)に述べた大御所、爺様と俺は呼んでいるが、彼と一緒にデビューも果たせず、かといって未だ諦めることが出来ていないウマ娘に声を掛けたのが始まりだった。

 

 「結局彼女達は既にクラシックも無理な歳でのデビュー、シニア未勝利戦、シニア新ウマ娘戦で何とか掲示板に乗せることが出来た程度…… せめて一回は勝たせてやりたかったのがトレーナー心だよなぁ」

 

 やっぱりチーム名が三等星から取ったのが良くなかったのかな?

 などと栓もないことで悩んでしまう。有名な一等星の名称は有力チームが取得する傾向にあるので、遠慮してしまったのも実情だ。

 こんな発想をしてしまう時点で、トレーナーとしての不甲斐なさの表れだとも思う。

 

 「学園も折角中央に来たのにデビューも出来ずに卒業なんてぇのは、忸怩たる思いもあるからな。おめぇはこの四年間良くやったよ。一人は地方に移って、まだ走ってんだろ」

 

 物思いに耽りながら空を見上げていると、この四年間教えてくれと引っ付きまくった恩人の声が、俺の背中に投げ掛けられた。

 

 「爺様…… 我武者羅だっただけですよ。ただ濃すぎたせいか二年目までは異様に長く、三年目からはあっという間でした…… 今後はどうしますかねぇ」

 

 「爺様は止めろって言ってんだろ! むず痒くなってくんじゃねえか」

 

 「いや、先輩って感じじゃないでしょうが。あんた、俺にとっちゃ無敗の会長と同じくらいに貫禄と謎の包容力がありますよ」

 

 苛烈な性格だが存外に面倒見がいい、ご老体というには元気な人物を見ながら、俺は苦笑してしまう。

 

 「貫禄なんて言ったらあの会長さんが可哀想だから、本人の前では口に出すのは止めてやれ。包容力ぐらいにしといてやれや」

 

 「勿論ですよ。言うて、そう接点は無いですしね」

 

 「んで、今後はどうするんだ?」

 

 やっぱり俺を気に掛けてくれていたのか。

 

 「トレーナーとして直接的に担当ウマ娘達に向き合ってきました。こうすれば良かった、まだやっていない事がある…… 彼女達が去っても未だにこの考えが頭から離れません。俺は、サブではなくメインでトレーナー業を続けていきたいです」

 

 何処かのベテラントレーナーのサブになりたいとも思った。

 爺様のチームのサブもいいかと考えたが、爺様のチームは人数が少ない。言っちゃ悪いが成績も俺のチームとどっこいの面子だ。

 爺様一人で十分に事が足りている。

 

 「燃え尽きた顔してたかと思えば、何だ、まだ火ぃが残ってんじゃねぇか。ま、四年間専属トレーナー、しかも曲がりなりにもチーム結成して全員見送った奴を、今更サブに使っている余裕はトレセンにはねぇけどな…… 器具、使ってるんだろ? おめぇの調子はどうなんだ?」

 

 「選択権無いって…… 人材不足がヤバいじゃないですか。ご覧の通り、二年目までの不様は晒していませんよ。今は軽い運動も可能です」

 

 高校時代のスポーツで、俺の左膝と右肩に右肘は壊れている。

 俺自身のリハビリ、スポーツに精通して更には怪我への造詣も深い。あまり嬉しくはないが、筆記以外で面接時の加点になった部分との事。

 

 「十年ぶりの高卒後、即採用がお前だからな。上は期待してるんだよ…… まぁ、中堅どころのトレーナー連中にはやっかまれているだろうがな」

 

 「後輩の大卒の人達にもですよ。俺とまともに話してくれるのは、爺様とそのサブトレだった小宮山さん、東条さんに沖野さんぐらいですよ。しかも十年ぶりってそのトレーナー、例の皇帝、七冠ウマ娘のトレーナーじゃないですか…… 比べられるなんて堪ったもんじゃないですよ」

 

 皇帝シンボリルドルフ、今はアメリカのサンタアニタパークに行っている。二週間後にはレースに出走する予定の筈。

 

 「つぅかよ。小宮山はお前の後輩だし、東条達は同期だろうが。何でさん付けなんだよ? あれ、つぅか沖野って最近見ねぇな」

 

 小宮山さんは爺様に拝み倒して強引にサブトレーナーに納まった強者だ。

 

 「小宮山さんも東条さん達も大卒なんで俺よりも年上です。さすがに先輩呼びされても、後輩や同期だろうがさん付けはしますよ。失礼じゃないですか――」

 

 そういえば沖野さんも何か考え込んでたな。確か――

 

 「――沖野さんは一度トレーナーを離れるとか。何か思う所があったんじゃないですかね。先日、一緒に飲んだ時にも理由は聞けませんでしたが」

 

 爺様が万感を込めた息を吐き出す。

 グラサンで視線は窺えないが、その息に思いが込められているように感じた。

 

 「若ぇのはよ、考え過ぎるんだよな。おめぇもだ。あの皇帝のトレーナーだって、皇帝を担当するまでは重賞未勝利だったんだ。現会長なんか新人トレーナーが担当したんだぞ。気に病む暇があったら新しい担当ウマ娘を探せ。そして担当ウマ娘の事だけを考えてやりゃあいいんだよ。んじゃな」

 

 最後は言いたい事を言うだけ言って、粋な麦藁のハット帽を乱暴に頭に乗せて、杖をつきながらのっそりのっそりと学園のほうへ行ってしまった。

 

 「レジェンドクラスのトレーナー達と比べんでくださいよ」

 

 あのトレーナー二人は意味不明だ。

 しかも二人とも言うことが、「レースの事は彼女に教えて貰ったよ」などと言うからとんでもない。

 口さがないベテラントレーナーや中堅どころは、あいつらはラッキーだなどと言っているのは知っている。

 でも俺のように少し時間が経ってから入ってきた奴等は、あのトレーナー達の働きがどれだけ凄かったかも知っている。特に皇帝のトレーナーの凄さはこの四年間遠巻きに見ていた。

 爺様が彼等を例に出して教えてくれたのも大きい。小宮山さんも爺様や彼等に影響を受けているだろう。

 つい最近小宮山さんは専属トレーナーとして、タマモクロスという小柄だが、気っ風のいいウマ娘を担当していた筈だ。

 この一年間は難儀しそうだとは聞いている。

 

 「まぁ、いいか。取り敢えずはコースに行こうか」

 

 少々気が重く引き摺ってはいるが、声に出して宣言した事もあり、去っていく元担当ウマ娘を見送った時よりは、前を向いて歩く事が出来た。

 

 

 

 

 三女神の像から少し離れた大通り、気負った様子のウマ娘がいる。あれは――

 

 「大丈夫、トレーニングはやった…… 絶対に勝ってやる。アタシの、この脚で!」

 

 ゴールドシチー、モデル業もやっているウマ娘だ。遠目からは以前も見掛けた事はあるし、繁華街や街中に出ればポスターでも見掛ける。

 しかし、何だ? あの必死な表情は……

 まだ担当はいない筈、という事はこれから選抜レースか。ポスターとも違う、というよりも選抜レースに望むウマ娘は、緊張と不安が表れる事が多いがこのウマ娘はただの緊張ではない……

 必死、思い詰め過ぎているような。

 

 「おい、大丈夫か?」

 

 異様な雰囲気にあてられてしまい、つい声を掛けてしまっていた。

 

 「っ!? は? 何よ急に…… 誰、アンタ? その恰好、学園所属のトレーナー? ふぅ、悪いけど、声掛けてくるなら選抜レースの後にして。それ以外はパス」

 

 そう言い放ったゴールドシチーは、颯爽とレース場の方向に立ち去って行った。

 選抜レース前に迂闊だったな。

 

 「ん? 雨…… か。弱い、とはいえ選抜レースに出るウマ娘達には、影響が多少は出るだろうな」

 

 俺も選抜レース場に足を気付いたら向けていた。

 元々向かう予定ではあったが、あの彼女の必死な表情に引き摺られていたと気付いたのは暫くたってからであった。

 

 そして俺は小雨が降る中、水気交じりの泥に塗れたウマ娘に目を奪われたのだった。




プロローグというか状況、環境の説明会というニュアンスが強かったですので短めです。

一体誰なんだこの大御所は(笑)

現会長は激マブというオリジナル設定です。
来年度からルナちゃんが会長に就任します。ミスターシービーは副会長かなぁ?
シングレでたわけさんとナリブがいなかったから、いいかな?

平成中期生まれの娘に「うわっ、ウマ娘やってる!?」ってドン引きされてから、課金が止まりました。
チクショー
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