泥と汗に塗れた黄金が夢へいざなう   作:N2

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大御所 「やってみせろよ。トレーナー」
シチトレ「何とでもなる筈だ!」
中堅トレ「乗り換え上手だと!?」

₍₍ᕦ((▼w▼))ᕤ⁾⁾ ₍₍ʅ((▼w▼))ว⁾⁾

中堅トレ「逃がすか」

   ₍₍((▽人▽))⁾⁾
   ₍₍((▼w▼))⁾⁾

シチー 「あんたがやってみろよ! そんな中堅トレじゃなくて!」

  ₍₍ ʅ((▼w▼))ʃ ⁾⁾

マルゼン「ふふふ、経験を積んだ元高卒ルーキー、ね」(アゲアゲでいいんじゃない!)

₍₍ᕦ((▼w▼))ᕤ⁾⁾ ₍₍ʅ((▼w▼))ว⁾⁾

シチトレ「妬み嫉みを抱えさせられたんだ、色々とな」

₍₍ᕦ((▼w▼))ᕤ⁾⁾ ₍₍ʅ((▼w▼))ว⁾⁾
   ₍₍((▽人▽))⁾⁾
   ₍₍((▼w▼))⁾⁾

激マブ 「厄介なものよね。百年に一人の美少女ウマ娘とその専属トレーナーちゃんというのは」(チョベリバかしら?)

  ₍₍ ʅ((▼w▼))ʃ ⁾⁾

シチトレ「これからが地獄だぞ」(トレーニング的な意味で)

   ₍₍((▼人▼))⁾⁾
   ₍₍((▼w▼))⁾⁾

七冠ルナ「身構えているときには、女難の相は来ないものだ。トレーナー君」

     (゚Д゚)

注:タイトルと前書き、本文の内容とはあまり関係が及ばなくなってしまいました。



第二話 どけ! 俺はトレーナーだぞ!

 「末脚には光るものがあったけど、全体的には平凡…… かな。もう一段落ちるだろうな。しかし、モデルと二足のわらじでよくやっているよ」

 

 ゴールドシチーに見惚れてしまっていた俺は、近くにいた四十代のベテラントレーナーが発する声で、ふと我に返った。

 

 「いえ、それよりも走っている姿ですよ! 尾花栗毛が風になびいて、綺麗だったなぁ。いやぁ、良いものが見られましたね」

 

 ベテランの隣にいる昨年の四月に採用された新人トレーナーの女性が、眼をうっとりとさせていた。

 彼女の走る身体に眼を奪われていた俺は、棚引くような尾花栗毛を見逃してしまっていた。

 勿体無かったかな。

 

 結局着順が奮わなかったゴールドシチーは、奥歯を噛み締めた悔しそうな表情を浮かべながら、ターフを後にしたのだった。

 

 

 

 

 その日の夕暮れ、他に目ぼしいウマ娘が見付からなかった俺は、選抜レースでのゴールドシチーを思い返しながら、河川敷をぼんやりと歩いていた。

 

 「よほど印象に残ったんだろうなぁ。誰かが言っていたな…… このウマ娘だ! と思ったらそのウマ娘は重賞は取るって…… 誰だったっけ?」

 

 雨が上がり、綺麗な夕焼けを眺めながら歩いていると、華やかな今時の女性らしき話し声が聞こえてくる。

 

 「ん? あのウマ娘達は……」

 

 ゴールドシチーとトーセンジョーダンか。

 ウマ娘は見目麗しいのが通例だが、あの二人とダイタクヘリオスとメジロパーマーは、他のウマ娘とはベクトルの異なる際立った華やかさがあるのが、トレセン内のトレーナー達の共通認識だ。

 まぁ、現、スーパーカー会長殿も更にベクトルの異なる華やかさだが。

 心の中で、ブイブイ言わせている会長殿を考えていると、妙齢な大人の人間の女性が、二人の間に割って入って来ていた。

 

 「シチー、ジョーダンさんの言う通り無茶は禁物よ。それ以上トレーニングを続けると、明日の仕事に響いちゃうわ…… そんなフラフラな脚で、転んで怪我でもしたらどうするの?」

 

 モデル業のマネージャーさんというわけか。

 仕事の意識が高いのであろうゴールドシチーは、義理と義務でモデル業を疎かにはしないと言っている。

 しかし、走る為の邪魔はするなと前のめりになりながら伝えていた。

 

 「君は、走りに何を求めているんだ……」

 

 俺は自然と呟きが溢れ落ちていた。

 すっとんきょうな内容と声色が聞こえてきたので、思わず引き戻されてしまう。

 

 「シチーとシチューって似てんじゃん? 腹減ってきちゃった~」

 

 ん? 皇帝かな…… アメリカの筈だけど。

 アメリカンジョーダン、じゃなった。ジョークというやつか!

 

 「ごめん、ジョーダン。サンキュ…… わり、アタシはもーちょい走ってくわ。先行ってて」

 

 木陰に入っている俺に気付かず、ゴールドシチーは通り過ぎていく。

 

 「空っぽのお人形さんじゃない。アタシばアタシ"になるんだから!」

 

 自らの存在感を追い求めながら走る彼女は、汗が夕陽を浴びて煌めきを放ち、今まで見たどのウマ娘よりも輝いていた。

 

 

 

 

 あの河川敷でのゴールドシチーの走りが、脳裏に焼き付いて離れない。

 スカウトするにも、しっかりと彼女の事が知りたいと思い、学園内に彼女の姿が見当たらないか、自然と探し歩いていた。

 

 「はっ、はっ、はっ…… ふぅ。っし、タイム更新! 次はピッチを――」

 

 知らぬ間にコースに来ていたようだ。正にゴールドシチーの息遣いと声で気付かされたのが、少し恥ずかしい気もする。

 トレーニングに集中しているようなので、話し掛けるのは後にしようか。何より、俺自身が彼女が走る姿を黙って見ていたい衝動に駆られていた。

 すると――

 

 「いやぁ、やっぱり素晴らしい走りだねぇ、シチーちゃんは! いいよ、光ってるねぇ」

 

 「は? 誰よあんた……」

 

 うっ、先を越されてしまった…… 

 彼は、三十代前半の中堅どころのトレーナーだったかな。

 

 「まぁ、見ての通りトレーナーだよ! 今日は君をスカウトしに来たんだ!」

 

 「え、アタシにスカウト!? マジ! んっ、うん…… いや、あぁ、ふ~ん、それで? スカウトしたいんなら、なんかもっとこうないわけ? 展望とか目標とかさ」

 

 やられた…… そういえば俺って自力でスカウトした事なかったな。最初の年は爺様と二人、次の年も何だかんだで爺様と三人。その後二年間はスカウトをしていない。

 しかもあのウマ娘達も藁にも縋る思いだったから、トントン拍子に俺のチームへの所属が決まったんだっけ。

 今年で未だ二十三歳を迎えるとはいえ、来月には五年目に突入する俺は、新人期間は終わって中堅の扉を開いた段階だろうに。

 何とも情けなくなってきてしまう。

 

 「誰も君の走りから目が離せない! ターフの上で一番の輝きを放つウマ娘! その名はゴールドシチー! それが僕の描いた未来だ!」

 

 引き込み方が上手い。

 キャッチコピーとして、ゴールドシチーというウマ娘に相応しいと素直に感じ入ってしまった。

 少し綺麗過ぎるが、走り其の物に執着を見せていたゴールドシチーには惹かれる部分もありそうだ。綺麗と言うのも見たままを表してもいるか。

 

 「ふ~ん! ま、お試し期間って事で、とりま暫くならトレーニング付き合ってやってまいいけどぉ?」

 

 「おっ! おぉ、やった! んじゃ早速、明日のトレーニング時間に会おうよ! っし、忙しくなるぞっ。じゃぁまた明日!」

 

 「え? ちょ、ま!? えぇ、猪突猛進タイプかっての?」

 

 中堅トレーナーは、約束を強引気味に取り付けたかと思えば、猛ダッシュでその場から走り去っていった。

 スカウトはトレーナーにとっても奪い合い。

 あれぐらいの強引さと、心を引き付けるウマ娘にマッチしたキャッチコピーが必要って事なのだろう。

 

 「誰もアタシの()()から目が離せない。ターフの上で輝くアタシ。……ぅ、あぁっ! ダメ! マジヤバい!? もぅ無理っ!」

 

 中堅トレーナーの言葉を反芻して身悶えたかと思うと、急に駆け出して行ってしまった。

 よくレース後半で追い込みバや差しに躱されると「ムーリー!」と叫んでしまうウマ娘達も多いが、生憎とそのような感じとは違う。

 お呼びではない立場とはいえ、やはり心配なので思わず追いかけてしまった。

 

 

 

 

 「確かこっちの隙間道に……」

 

 プール設備棟と屋内事務設備棟の間辺りか…… いた。

 

 「っ、しゃぁぁああ!――」

 

 ビクッ!? 

 今のゴールドシチーだよな?

 

 「――よしっ、よしっ、よしよしっ!!」

 

 お、お米とイワナ食べて、今日から君は富士山になるのかな?

 

 「正直ビミョーな結果しか出せなかったし、また次回かなーって思ってたけど。来た…… 来たじゃんスカウト! っしゃあ!」

 

 想像以上に、嬉しかったのか…… 

 こうしてみると、中身は年相応のウマ娘に見える。

 

 「こっからだ。こっからアタシはこの脚で、ホントのアタシで走っていくんだ! 来月からはジュニアB組、頑張れば、見せつけてやれば! ティアラもクラシックも狙える! アタシの走りでちゃんと名前を刻むんだ!」

 

 い、今はジュニアA組!? 来月から学年が上がってBか…… いや、ウマ娘たちの大人っぽさは以前のチームでも驚きはしたが、ゴールドシチーは容姿含めて比べ物にならないな。

 選抜レースを行っているという時点で、大体のウマ娘はジュニアA組かB組だと察しなきゃいけないとはいえ。

 

 「……でも浮かれてる場合じゃ、ないか…… 選抜レース五着はマジヤバいって。よし、トレーニングにもど、ってわっ!?」

 

 しまった!?

 急に振り返ってこちらに向かってきたゴールドシチーと目が合ってしまった。

 

 「あ、いやぁ、その……」

 

 「え、ちょ!? アンタ、レース前に会った…… てか、え? もしかして、今の聞いてたわけ?」

 

 うぉ、目力が強い!?

 

 「す、すまない」

 

 「ぅぅぅぅうううっ、盗み聞きとかマジねーぞ!」

 

 「ほ、本当にすまない。ただ、レース場からいきなり走り去った君が気になってしまって……」

 

 思春期のウマ娘の感情の発露を盗み聞きとか、確かに罪悪感が物凄い。

 

 「だからって、なら何で直ぐに声を掛けなかったんだよ。アンタ今、ほとんどストーカーだし」

 

 ス、ストーカー……

 

 「本当は君をスカウトしにきたんだけどね…… 君の様子が心配で追いかけてしまって。そうしたら君の気合を入れるような声が聞こえてきたから、もう出るに出れなくなっちゃって…… ただ、特に具合が悪くなったとかじゃなくて良かったよ。本当にすまなかった」

 

 最後は九十度に腰を折り曲げて謝罪をし、申し訳なさから昨日の選抜レースも見ていたことも喋ってしまった。

 

 「アタシが心配、か…… はぁ、わかったわかった、もーいいよ。なんかこれじゃアタシが苛めているみたいじゃんか。取り敢えず忘れて。あと誰にもアタシが叫んでたこと言わないって約束するなら、もーいいから…… まさか、出来ないとか言わないよね?」

 

 視線と身体を少しずらしてみても睨まれているように感じる。というか睨まれている。

 は、八方睨みかな?

 

 「出来る! もちろん誰にも言わないと約束する」

 

 「ま、いいわ。この話は終わり。アタシはトレーニングに戻っから。アンタも後は好きにしたら。スカウトって言われても、もう担当は決めちゃったしさ」

 

 「そう、だよな…… はは、はぁ。残念だよ」

 

 大事なタイミングを逃してしまったんだ。

 あの目を奪われる感覚…… 先輩達が言っていた、あれがこのウマ娘を担当にしたいという根本のような気がしてきた。

 

 「うわぁ、ガチ凹みじゃん。なんなのよアンタ、ふふ、ちょっとキモぃ」

 

 「キモ!? そ、それは…… 申し訳ない」

 

 ヤバい、ウマ娘に限らず女性にキモいと言われるのは本当にきつい。トラウマになりそうだ。

 

 「そこは冗談つうか、アンタって割と素直? つーか嘘つけないタイプって言われね? 言い訳しないで泣きそうな顔で謝ってくるし…… ま、アタシには関係ないけどさ」

 

 冗談という言葉にガチめにホッとする俺。

 あれ? なんかゴールドシチーの口調に思考が引っ張られてきている気がする。

 

 「トレーナー、決まって良かったな。応援するよ」

 

 「は? ど、どーも。トレーナーが担当外のウマ娘を応援とか、割とイミフなんだけど…… ねぇ、何で?」

 

 「ん、応援の事か?」

 

 「いや、それもそうだけど、さっきの話しぶりからして、最初にコースに来てアタシを見てたのってアンタじゃない。何で声掛けなかったわけ?――」

 

 そういえば、昨日の小雨降るレース場で見ていたことも、さっき謝罪と同時に一気呵成に喋ってしまっていたな。

 

 「――なのに、どうしてアイツに先を越されたわけよ?」

 

 「見惚れていた…… 必死に芝と土を跳ね上げる脚、前へ、前へと見据える貪欲なその表情に…… 心を奪われて声を掛けるタイミングを逸してしまったよ」

 

 今日の走りではなく、あの時のゴールドシチーの走りとそこから感じた自分の心情を思い出す。

 

 「こ、心!? は、はぁ! アンタ何言っているかわかってんの?」

 

 少し上体を後ろに逸らされてしまった。仰け反るような格好とでもいうのだろうか。

 酷い……

 

 「今日も凄い集中している様子は伝わってきたからね。邪魔をしたくなかった」

 

 「ぷ、あはははは! んだよ、それ。ウマ娘に声を掛けるのがトレーナーの最初の仕事でしょ。邪魔したくないからつって声掛けないんじゃ意味ないじゃん。アンタ、やっぱりお人好しだよ。人生損するタイプだね、そう言うの…… ふふ、応援するってんなら勝手にすれば。じゃぁ、ね」

 

 腹立たしさが拭えたかのように、彼女は少し微笑みながら去っていった。

 

 「次の学内選抜レースは年度変わって六月か…… そこで担当ウマ娘が決まらなければ、誰かのサブになるか、サダルバリの時のように中央に来たはいいが、トレーナーが決まらないウマ娘達の力になるか……」

 

 爺様はもうサブは必要なさそうだし、東条さんのサブになれないかな?

 あの人忙しそうだし……

 

 東条ハナ、大卒新入でいきなり次期生徒会副会長のミスターシービーを見出した才媛。二年目にクラシック三冠を制覇して翌年、天皇賞(秋)も勝った四冠ウマ娘の専属トレーナー。

 クラシック制覇を皮切りにチームリギルを結成、他の重賞勝利ウマ娘も在籍中。

 今月のアメリカでラストランを飾る皇帝も、トゥインクルシリーズを引退してドリームトロフィーリーグ入りしたら、来月の四月からチームリギルに在籍が決定している。

 そして既に現無敗の会長も在籍している。

 ドリームトロフィーリーグって、チームリギルのチーム内練習走行かな?

 要は東条さんは、最新のレジェンドクラスのトレーナーというわけだ。

 東条さんのサブが務まれば、定年まで食いっ(ぱぐ)れないのでは? などと考えてしまうのは悪い思考だろうか?

 でもあの人、同期にも厳しいから「いらん」って門前払いを食らいそうだけど。

 

 ダメダメなトレーナーっぽい事を考えながら、執務に戻るために宛がわれている自分のトレーナー室に戻るのだった。




未だストーリーとほとんど変わらないので、申し訳ないです。

本来競馬、JRAの事業年度って確か1/1~12/31だったような気がしたんで、日本での学園を考慮すると微妙にズレるんですよね…… その辺りをボヤっとさせるから、逆に良い意味で色んなウマ娘たちとの関りや学年設定が出来るのかなぁ

はぁ、メンド臭可愛いシチーさんとイチャイチャしたいべぇ
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