無敗の八冠?だったら、俺が獲ってやるよ。   作:流星の民(恒南茜)

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第2R 取り敢えずは最初の一歩、目指せ中央!

「——トレミアンタレス。」

 

ナ、ナンダッテー!

かの名馬の!?

 

とはならずに、普通に知らん名前…と。

 

で、だ。

んでもって、ここどこだよ、と。

 

少しばかり冷静に考えてみれば、わからないことが多すぎる気がする。

 

「それでさ…ここはどこ?」

「ここはどこって…アンタねぇ…本当に頭打っちゃったの?」

 

うん。段々とね?この人が俺をみる目に、憐れみとかそういうのが含まれてきてる気がするの。

「…モリオカでしょ?全く…今度は、今がいつなのか〜とかって聞かないでよね。」

 

聞きたい。すっげぇ聞きたい。

 

だが、俺はそこまで堪え性のない人間ではなかったはず。

流石にここは質問終了と相成って、なんならそのまま睡眠と称した間を埋めるための行為に出るか迷うところではある。

 

…筈だ。筈だったんだが…。

 

まだ、俺には最後に一点、どうしても聞きたいことがあった。

 

「あとさ、最後に一ついい?」

つまるところ、

 

「トウカイテイオーって知ってる?」

ということである。

 

「…トウカイ…テイオー…?誰よ、そいつ。聞いたことのない名前ね…。」

 

…トウカイテイオーをご存知でない!?

 

「トウカイテイオーだって!トウカイテイオー!」

 

「…だから、誰よ!?聞いたことないって言ってるじゃない!」

 

テイオーを知らんとか、こいつ潜りか?

と、問いたくなるところだが…流石にキレさせてしまった状態でそんなこと言ったら、どうなるかなんて火を見るより明らかである。

 

「…ご、ごめん、ありがとう。」

「…まあ、いいわ。あと、授業中は、静かにしておくのよ。」

「一体、どういう…」

 

その言葉に疑問を覚え、周りを見回してみると、視線がこちらに集まっている。

「だから…本当にお願いだから、今度から叫ぶのだけはやめてよね?ってことよ…。」

 

お顔が真っ赤っ赤ね、何かあったのと、聞くのは論外。どう考えても俺のせいだ。

「ご、ごめんなさい…。」

 

流石に、謝っておかねば、と謝罪。

「…まあ、わかったら良いのよ。次からは気をつけてね?」

 

と言うと、前を向く少女。

まあ、これで一旦疑問は解決か。

 

というか、テイオーを知らない理由がマジで気になる…。気にならない?

あんまりテレビとか見ないのかね?

 

と、頬杖つきながら、ぼんやりと考え事をしていると、教師らしき人物が教室に入ってきたので、前を向く。

 

「気をつけ、礼」と、随分と懐かしく感じる挨拶と共に、始まる授業。

初手ローカルシリーズの説明から、と。

 

分かりきってはいた事だが、やはりここは地方である。

その時、急に先ほどの少女が手を挙げた。

 

「あの…先生、中央の話は?」

と、問う少女。

それに対して、教師は、

 

「…えーとまあ、君たちにはあまり関係ないかな…。」

と、言葉を濁すと授業に戻る。

 

…漫画で見た流れだ。

全く、世知辛い、と。

 

ここが地方であることを強く意識させられる。

だが、俺には野望があるんだ。

 

「えー、それでは最後に。知っているとは思いますが、選抜レースが二週間後にあります。しっかりと準備をしておくように。」

最後に連絡をすると、教師は教室を出て行った。

 

「昼食、行くわよ。」

不意に、肩を叩かれ、振り返ってみると、立っていたのは先ほどの少女。

 

「何、ポカンとしてるのよ。いつも一緒に行ってたじゃない…ほら、早く行かないと、無くなっちゃうわよ。」

そう捲し立てる少女に手を引かれ、俺はひとまず昼食へと向かうことにした。

 

◇ ◇ ◇

 

やばい、話のネタがない。

頭を抱えること、数分。

 

沈黙の中、目の前の少女と黙々と随分と量の多い食事を摂る。

何かないか、何かないか、と。

 

兎にも角にも頭の中をひっくり返して、色々と漁っていた時である。

 

“あの…先生、中央の話は?”

先ほど、少女がしていた質問を思い出した。

 

…これ、話のネタに使えないか?

 

「ねぇ、さっき中央の話してたけど…興味あるの?」

 

「…興味があるというか…なんというか…笑わないわよね?」

 

急に、顔を赤らめる目の前の少女。

その雰囲気に圧され、取り敢えず頷いておく。

 

「…私、中央を目指してるの。」

 

「…なんだ、そんなこと?だったら、私も目指してるし、笑わないよ。」

 

あ、やったぁ!俺、今、俺って言わなかったよ!ちゃんと私って言えたよ!やったね!

うん、俺ってワードでゲシュタルト崩壊しそう。

 

「…そう…なんだ…それはちょっとうれしい…わね。」

 

あ!デレた?小声だったけど、今ちょっとデレた?やったね!

と一瞬、ガッツポーズを決める。

 

「何、ガッツポーズ決めてるのよ…。ほら、早く食べるわよ。」

 

…デレは一瞬ですか…。ってか中央を目指すだけでこれとは…。

 

俺は、修羅の道を歩もうとしているのかもしれないな、と。

 

今更ながら、己の目指しているものの敷居の高さに気づく。

 

でも、俺は中央に行かねばならない。

 

テイオーと、百合色の学園生活を送るんだ。

 

そのために…まずは、選抜レースで勝つ。

 

 

決意と共に…俺は拳を固めた。




世代の話については、また今度で。
モリオカのトレセン学園は、シングレからの推測です。
作者は無知なので、指摘などありましたら、よろしくお願いいたします。

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