無敗の八冠?だったら、俺が獲ってやるよ。   作:流星の民(恒南茜)

7 / 64
遅くなってしまい申し訳ありませんでした。


最初の一歩、デビューに向けて!
第6R まずは最初の一歩。要はトレーニング…か。


『トレミアンタレス、トレミアンタレス先頭!他の追随を一切許しません!このまま、八冠の栄誉を掴み取るのか!?』

ザッ、と芝を踏み締めると、さらに加速する身体。

これを制せば、八冠だと言うのが信じられないぐらいに、上手くいっているレース展開。

背後を振り返ると、他のウマ娘たちは、遥か後ろにと言った状況。

 

——行ける。

そう思い、前を向いた時だった。

 

『起きなさいっ!アンタァッ!!!』

突如、実況の声が変わった。

 

…というか聞き覚えのある声である。

慌てて、記憶を漁ろうとした時だった。

 

「は…はぁっ!?」

唐突に、ターフが裂けたかと思うと、俺はどこまでも深い深い闇の中に落ちて…

 

「はっ!」

「何が『はっ!』よ!?さっさと支度しなさい!遅刻するわよ!?」

目の前にいたのは、無駄に上手い俺の声真似と共に、支度を促してくるヴァーゴ。

 

…んで、遅刻、と。

その言葉の意味を理解するまで、コンマ0.5秒…。

「…はぁ!?」

「アンタ、寝坊したのよ!ほら、行くわよ!」

 

ヴァーゴの御前で、さっさと着替えを済ませた瞬間に掴まれる右手。

そのままタッタタ、と軽く地面を踏み、熱きビートを刻むと、外へと一歩踏み出す。

 

…今日は何が待っているんだろう、と。

 

考え…

 

「ほらアンタ、急ぐわよ!」

 

…る間も無く。

 

俺は走り出した。

 

◆ ◆ ◆

 

「…はぁ…はぁ!?」

朝一から部屋中に響き渡る叫び声。

 

「何言ってんのよ、昨日の私ぃ!」

昨日のことを思い出し、火照ってきた頬を抑える。

 

「いや、確かに…確かに…あの時は感情移入してたけど…」

“中央で無敗の八冠”

 

流石に重いのでは…?と、少々頭を抱えたくはなる状況ではあった。

…それでも、彼女にとって、あの時口にした言葉は全て本音の筈だった。

 

軽く首を振りつつ、

 

「…頑張りますか。」

 

ボソリとそう呟くと、ドアを開き、彼女は外へと一歩踏み出した。

 

◆ ◆ ◆

 

◆ ◆

 

 

「…と言うわけで、今日が初めてのトレーニング…ね。」

今日も今日とてヴァーゴと昼飯を食しながら、今後の展望について…と言うか、この後待ち受けているトレーニングについて、話し合う。

 

「ヴァーゴもトレーナー、決まったんだっけ?」

「ええ。私も、ね。結構誘われたわ。…それにしても、アンタが即答した方が驚きなのよね…あそこまでの走りを見せたのに…。」

 

これはこれは、お褒めに預かり、至極恐縮感謝感激雨霰と言いたいところではあるが、流石に論点はそこじゃないだろう。

「…なんだろうね、何か、運命的なものを感じたというか…。」

 

それとも、あの人が必死だったから、だろうか?

でも、それも何だか違う気がする。

 

とにかく、口じゃうまく説明できない何かが、あった気がした。

 

「…なるほど、ね。まあいいわ。大事なのはこれからだもの。…それで、掲げる目標は…あのまま?」

「当然!」

 

即答する。

まあ、そりゃそうだ。

 

人間の夢なんぞ、そうそう変わらんよ。

…と言うよりも。

 

テイオーとワクワクドキドキの学園生活を送るため。

 

そして、あそこで断言しちゃったから。

 

今更、変えると言うわけにもいかんだろう。

 

「…まあ、いいわ。とにかくお互いの目標のために頑張りましょ。」

お茶を啜りながら、そう宣言するヴァーゴ。

 

…そういえば、一つだけまだ気になっていたことがあるんだった。

「ねぇ、ヴァーゴはどうして中央を目指してるの?」

 

その時、一瞬彼女から動揺しているかのような、素振りが見えた気がした。

 

一瞬空く間。

あれ?まずいこと聞いちゃったかな?と、質問から謝罪へと切り替えをかますか、考えた時である。

 

「…まだ、秘密よ。」

ボソリと彼女がそう呟いた。

 

…なるほど?

であれば、流石にこれ以上質問するのは論外だろう。

 

「…わかった、ありがとう。」

 

結局、これを以て、この場は解散と相成った。

 

◇ ◇ ◇

 

「こんにちはっ!トレーナーさんっ!」

 

「…う、うん?こんにちは。」

元気一杯のトレーナーさんへのこんにちは。

 

…いいな。

一回やって見たかったんだよ、これ。

 

テイオーに「トレーナー」と呼ばれ、何度脳が蕩けたことか…。

 

もう、数えきれないほどである。

なんならMADにして、一生聞けるようにしちゃってたモンニ!

 

…まあこの際、このことは置いておくとして…。

さて、問題はこの後、要はトレーニングである。

 

…目の前で、少々ポカンとしている彼女——トレーナーがどれだけ厳しい指導をつけてくるのか、俺は知らないわけだが…。

「…さて、まずあなたの走りを見てて思ったこと、言っちゃうわね。」

 

始まるか。

軽く身構え、何を指示されても対応できる体制を作る。

 

「あっ、そうそう。まだ構えなくても大丈夫。何せ…あなたの最初の課題は…」

 

なんだ?何が来る?

 

フォームか?それとも…

 

「スタートダッシュだから!」

 

…ん?

 

…スタートダッシュ…?

フォームとかじゃなくって…?

 

「あ、その顔!ちょっとバ鹿にしてるわよね!確かにあなたの末脚はすごかったけど…そもそもスタートダッシュで出遅れなければ、あそこまで後半、厳しくなることはなかったでしょ?」

「…まあ、確かにそう…ですね。」

 

「わかれば結構!これも八冠への道、ってところだから!」

 

…あ、ガッツリ八冠強調するんっすね。ちょっと顔赤くなっちゃう。

ってところは置いておいて。

 

まあ、確かに返す言葉もございません、と言ったところ。

 

彼女の指示通り、スタートラインに立ち、構える。

 

 

「それじゃあ、位置について…よーい、スタート!」

 

 

その言葉に合わせ、俺は駆け出した。

 

◆ ◆ ◆

 

スタートダッシュは上々。

やっぱり、選抜レースの時と違って、ここに焦点を絞った分、ちゃんと集中してくれたか、と少しため息をつく。

 

実のところ、彼女も出遅れには現役時代、だいぶ悩まされてきた。

それも加味すると、あの少女——トレミアンタレスは、素質自体は悪くないと、言った所だろう。

 

だが…八冠どころか、中央の壁はまだまだ高い。

…結局は、彼女自身の努力もだが…自分がどこまで彼女を支援していけるか、そこは大きい筈だ。

 

こめかみを少し抑えると、再度気合を入れるように、ガッツポーズを決め、彼女は再び前を向いた。




…リアルの方が忙しかったんですっ!本当なんです!
と言うわけで、次回はなるべく早めに出すので、何卒。
追伸:チャンミ、敗北です。
YES魔改造!NOタッチ!

掲示板形式(BBS)

  • 欲しい
  • いらない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。