Fate/Grand Order『楽園常夏領域 アヴァロン・アエスタス -真夏の夢と南の島の一等星-』   作:ひゅーzu

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 第五節目の更新となります。
 この物語は、FGO第二部 第六章「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
 時間の許すかぎり、お楽しみいただけますと幸いです。
 
 


第五節『NUDE WOMAN』

 

 

 

 "冒険"の島、

 ソールズベリーの鐘は鳴りました。

 

 島のあちこちを探索しました。

 その量、なんと四周ぶん!

 

 でも。わたしたちは途中まで、

 その思い出の数々を忘れていたのです。

 

 三度目の旅で、

 ようやく失くさずにすみました。

 

 思い出を失うと言われた時、

 わたしは怖くて言葉がでませんでした。

 

 ───だって。

 せっかく聞いた彼の話を、

 忘れたくなかったのです。

 

 記憶を失くすのが、

 こんなに怖いことだなんて。

 知らなかったな。

 

 名なしの森の頃は、

 こんなじゃなかったんだけどなあ。

 

 

  

 

 第五節『NUDE WOMAN』/

 

 

 「おおおおおおおおおおお!!!!」

 

 ソールズベリーの旅から一夜明けての朝。

 今までで一番テンションの高いリアクションをする人物が一人。

 

 「ん〜〜〜、これ、なんて料理なの?どうしてこんなにモチモチなんだい?甘さも程よくて、舌が蕩けるようだよ!」

 

 「………そいつは、だし巻き玉子。食感がもちっとしてるのは、片栗粉を少し混ぜたからだ」

 

 今日の朝食はこの特異点に来てからはじめての "和食" だった。

 ご無沙汰だったのもあって、村正は久々の十八番(おはこ)料理に力がはいり、しっかりと一汁三菜(いちじゅうさんさい)の献立を用意してくれたのだ。

 かくいう自分───藤丸 立香も胸を高鳴らせ、同じくティターニア、ガレス、ネモ船長も今か今かと楽しみにして、今日は早起きしていた。

 が、約一名こちらのそんなテンションを置いてけぼりにするほどの喜び様を見せる騎士さまがいた。

 

 「…この黒いのはなんだい?好きな食感だ!色も良い!親近感が湧くなあ」

 

 「それは、ひじきの煮物だ。米と一緒に食うともっと美味ぇぞ。……ってもう白米 平らげてるじゃねぇか!…おかわりいるか?お前さんはなんていうか、船酔いとかしなさそうだしな」

 

 村正はやれやれと、ランスロットの茶碗をもって追加の白米を盛りに行った。

 

 「………その。ブリテンは本当に、繊細な料理とは縁遠かった国なのかな…?」

 

 ネモ船長が横目でガレスに訊ねる。

 

 「そ、そんなことはありません!こう、芋を、マッシュマッシュと…」

 

 …うん。

 それは繊細な料理とは言わないよ、ガレス。

 

 「…ん、いや、すまない。"和食"というのをはじめて食べたものだから、思わず興奮してしまった。なんといっても口当たりがいい。…ムラマサ、君、僕の専属のシェフにならないかい?」

 

 さりげなく大胆に、我らのキッチン担当をスカウトしていこうとする湖の騎士。

 

 「悪ぃが、お断りだ。お前さんの食い扶持(ぶち)つないでいくのに、食費がいくらかかるか知れたもんじゃねぇからな。この島の食料が全部 平らげられそうだ。料理人を雇うなら他を当たんな」

 

 村正がしっしっ、とランスロットに手を払いながら、おかわりを盛った茶碗を渡す。

 

 「むむ、残念だ。割と本気で誘ったつもりだったんだけど…」

 

 そんな二人のやり取りを眺めてから焼き魚を食べ、ちらっと隣を見ると、ティターニアは呆気に取られたようにぼーっとしていた。

 

 「あれ、どうしたのティターニア。食欲ない?」

 

 「えっ?ああ、いえ。なんというかランスロット、食事の時はもっと御上品な感じなのかなぁ、って、勝手に思っていたから」

 

 「ん?……別に。礼節を重んじる食事会というわけではないからね。こうやって、くだけた会話をしながら食事をするんだろう?身内同士の朝食ってのはさ」

 

 そう言ってランスロットは、ずずずっと味噌汁を口に含んだ。

 

 

 「それで。話は唐突に変わるけど、次に向かう島は"オークニー(・・・・・)"にしようと思っているんだ」

 

 

 「ぶぅ─────────っ!!!」

 

 

 ランスロットが唐突に、味噌汁を吹き出した。

 

 「ど、どうしましたランスロット様!?もしかして、味噌汁に毒が!?」

 

 「はいってるわけねぇだろうが!」

 

 ランスロットが吹き出した味噌汁をナプキンで拭き取る。

 

 「けほっけほ、いや、すまない。味噌汁が炉心(ろしん)にはいっただけだ、気にしないでくれ」

 

 そんな気管にはいるみたいなノリで炉心に誤嚥(ごえん)するの?

 

 「……うん。では話題を戻して。次に向かう島はオークニーにしようと思っているんだけど、みんなはどう思う?」

 

 ネモ船長はそう言いながら、地図の北方を指さした。

 

 「どうもなにも、(オレ)たちはその島の情報をなんにも、知りゃしねぇぞ?」

 

 オークニーの島について、自分たちは全くもって情報を集められていなかった。街でもあまり噂話すら耳にしない場所だったのだ。

 

 「うん。そうなんだ。僕も街の人にオークニーについて直接聞いてみたりもしたけれど、なんというか、みんなどこか気まずそうにはぐらかして(・・・・・・)ね。詳細を教えてくれなかったんだ」

 

 ネモ船長も同じように頭を抱えていた。

 

 「門外不出(もんがいふしゅつ)のなにかがあったりするのでしょうか?」

 

 「わからない。けれど、この手の場所は後回しにすればするほど厄介だ。鐘は残り三つだし、この辺りで片付けておきたい」

 

 ネモ船長の言葉に自分も頷いた。

 

 

 「ところで、ランスロット。キミ、オークニーの島について、本当はなにか知っていたりするんじゃないのかい?」

 

 「え?あはは、さて、なんの事だろう……?」

 

 ランスロットは露骨に目を逸らす。

 

 「ランスロット様!なにか知っているのでしたら、是非ともお教えください!お願いします!」

 

 ガレスが誠意を込めて頭を下げる。

 

 「むむ、君にそこまでされると、なんというか、断るわけにはいかなくなるな……、わかった。少しだけど教えよう」

 

 「───!ありがとうございます、ランスロット様!」

 

 ガレスはぱぁと花開いたような笑顔となって喜んだ。

 

 「結論から言うと、僕は最初、その島(・・・)に召喚されたんだ。……まあ、出生の都合上、というやつだね」

 

 ランスロットは少し悲しそうな瞳を浮かべる。

 

 「でもお前さんはソールズベリーにいた。それはなんでだ?」

 

 「オークニーは、どうにも落ち着かなくてね。………僕の肌には合わない島だったのさ。だから、気づいたらソールズベリーまで飛んでた」

 

 なにか事情がありそうだったが、そこまで深く追求するのは躊躇われた。

 

 「僕が召喚された時に見たオークニーには、()があった。当然、人もいた。…見渡すかぎりのヒカリの街(・・・・・)というヤツさ。オークニーをしっかりと知りたいのならば、夜に向かうことをお勧めするよ」

 

 「夜……?それは、なぜ?」

 

 「それこそがあの島の在り方なのさ。眠らない街───いや、夜しか起きない(・・・・・・・)街。それが "オークニー" だ」

 

 

***

 

 

 「ランスロット様、結局 同行はしてくれませんでしたね…」

 

 ガレスは悲しそうな目で遠ざかるロンディニウムの島を眺めていた。

 

 「きっとなにか事情があるんだよ、無事に鐘を鳴らせたら土産話(みあげばなし)を聞かせてあげよう」

 

 そんなガレスの肩をぽんと叩く。

 

 「ランスロットの言を信じて、夜に出航したわけだけど、確かに、あれはすごいな……」

 

 船首で舵を切るネモ船長の言葉を聞き、ガレスと一緒に前方の甲板へと移動する。

 

 「うわぁ──────、」

 

 思わず息を飲む。

 視界に写ったオークニーの島は、色とりどりの蛍光色を放ったネオン街が広がっていたのだ。

 

 「へぇ、あれが "夜しか起きない街" ねぇ」

 

 「あの島の街には一体、どんなお店が広がっているのでしょうか!」

 

 心無しか気持ちが昂る。

 今まで様々な島を見てきたが、あんなにも現代的な発光をした夜の街を見るのは今回がはじめてであった。

 

 「BBランドもなかなかのもんだったが、この島も負けず劣らず開拓が進んだところだな…」

 

 「BB殿の時と同じように、この街を仕切っている一番偉い人物が、この島の "アイランド・クイーン" なのでしょうか?」

 

 もしもガレスの指摘通りだった場合、今回の島の調査は情報収集がメインになりそうだ。

 

 「早い段階で巡り会えるといいけど……」

 

 よく見ると、ティターニアはあまり乗り気ではない表情を浮かべていた。

 

 「もしかして、緊張してる…?」

 

 「いえ、緊張なんて、そんな!もしかしたら知り合いがいるかも…なんて思ってませんし…、単純に、こうした派手で騒がしい雰囲気の街に不慣れなだけです」

 

 なるほど。確かに、自分もああいった街には馴染みはない。

 

 「まあ、でも───」

 

 「"とりあえず進んでみよう"。ですよね?」

 

 自分が言おうとした言葉を、ティターニアに越されて、思わず苦笑した。

 

 「間もなくオークニーの船着場に到着する。みんな、忘れ物のないようにね」

 

 

***

 

 

 ───そこはまさに、大人の街(・・・・)だった。

 

 

 「こりゃ……たまげたな…」

 

 街は外と中を問わず、派手なスーツを身につけた男性や、セクシーなビキニを身にまとった女性がワイワイとお酒を飲みながら、楽しそうに談笑していたのである。

 

 「もしかして俺たち……場違い?」

 

 あちこちに人はいるものの、なんというか話しかけづらい。

 

 「村正、ちょっとアイランド・クイーンの居場所 聞いてきてよ」

 

 「はぁ?なんで(オレ)が担当なんだよ…!」

 

 「いいから…!ほら!」

 

 街の空気を乱さぬよう小声で村正とティターニアが相談し、半強制的に村正が背中を押され突き出される。

 

 「んんん、あー、失礼。そちらのお嬢さん(がた)。この島のアイランド・クイーンについて何か知っていないかい?」

 

 そう言って村正は、比較的 温厚そうな外見をしていた二人組の女性へと近づき、そう訊ねた。

 

 「ちゃっかり、女性の方に訊ねてますね……村正殿…」

 

 「あら、見ない顔ね。オークニーに来たのははじめてかしら?ここは情熱と甘味の街 "エディンバラ"。女王様にお会いしたいのなら、この大通りを真っ直ぐ行った突き当たりにあるお店に向かうといいわよ?」

 

 女性の方は親切にも居場所を教えてくれた。

 

 「本当か!そりゃあどうも。ことが済んだら、あとで礼でもさせてくれ」

 

 「……うふふ。御上手ね。見たところ、貴方なかなかのイケメンだし、きっとお店でも良いおもてなし(・・・・・)をしてくれるわよ?」

 

 「おもてなし?よく分からねぇが、そいつぁありがてぇな。また分からねぇことがあったら頼らせてもら……あ(いた)っ!?」

 

 ティターニアの魔術剣の(さや)によるチョップが、背後から村正の脳天に降りかかる。

 

 「ご丁寧にお教え頂きありがとうございました。もうお会いすることはないでしょうけど、どうかそのまま、引き続きこの街を楽しんでください。もうお会いすることはないでしょうけど。」

 

 「ティターニア、怖い、その笑顔 怖いからやめよう!」

 

 貼り付けられた能面のような笑顔を崩さず、ティターニアは村正の首根っこを掴んで、こちらに引きづり戻してきた。

 

 「アイランド・クイーンの居場所はわかりましたし、この(ジジイ)が油を売る前にさっさと向かいましょう!」

 

 ティターニアはそう言って先陣を切り、ズカズカと大通りのど真ん中を突っ切っていく。

 

 「彼女、到着前の緊張は完全に抜けたね、これ……」

 

 そんなティターニアの後を追って、自分たちもオークニーの大通りを突き進んだ。

 

 

***

 

 

 「す、すごい……」

 

 そうしてやってきたお店は、外とは比べ物にならないほどの煌びやかさと華やかさを放っていた。

 店では多くの男女がお酒を飲み、談笑し、そして中には店に響き渡る音楽に合わせて踊ったりしている人もいた。

 

 「ようこそ、"ナイトクラブ・コノート" へ。お客様、二名様の男性と三名(・・)様の女性のご同伴でよろしいでしょうか?」

 

 そう言って、呆気に取られていた自分たちへ接客のボーイと思われる人物が話しかけてきた。…ん?今おかしくなかったか?

 

 「……ちょっと待った。僕は()だ。三名の男性と二名(・・)の女性の同伴だ。いいかな?」

 

 女性扱いをされたことに、ネモ船長はややご立腹なのか、語気(ごき)を強めて言った。

 

 「これは、大変失礼いたしました!…謹んでお詫び申し上げます。」

 

 「構わないさ。僕らはアイランド・クイーンに用があって、この島に来たんだ。悪いけど、どこにいるのか教えて貰えるかな?」

 

 「そうでしたか。……でしたら、大変失礼と存じますが、お客様のうちのどなたかに、"グッド・ルッキング会員" の(かた)はいらっしゃいますでしょうか?」

 

 ん?今なんて言った?

 

 「グッド・ルッキング会員………?」

 

 「この島の会員制度でございます。最初はブロンズ、そしてシルバー、ゴールド、プラチナと昇順がございます」

 

 なるほど。

 ネーミングは置いておいて、この島は会員制度のある場所だったのか。

 

 「じゃあ、その会員とやらに入れば、女王に会えるのかい?もしそうなら、入るのは一向に構わねえが」

 

 村正の言った通り、入らなければ会えないというのであれば仕方がない。自分も腹を括ろう。

 

 「……いえ。実はグッド・ルッキング会員はお客様の任意ではいれる会員ではなく、女王 自らが指名する形での入会となるのです」

 

 「なんだって……?」

 

 

 『間もなく、ストリップショー(・・・・・・・・)がはじまります。お客様におかれましては、どうかステージに御注目くださいませ。』

 

 

 店内に響いていた音楽が止まり、唐突にアナウンスがはいって再び音楽が流れ出した。

 

 ステージの上には、華やかな衣装を身に包んだ女性が三名登場し、音楽に合わせて踊り出す。

 

 

 「このお店 独自の催し物でしょうか……?」

 

 音楽は徐々にヒートアップしていき、踊り子の女性は一枚、また一枚と服を脱ぎ捨てていく(・・・・・・・・・)

 

 「な──────、!」

 

 「ひゅー、こりゃあ驚いたな」

 

 

 音楽はクライマックスへと差し掛かる。

 踊り子が身につけているものは、もはやビキニのみ。

 無意識に、思わず生唾を飲む。

 

 

 締めの伴奏とともに、

 踊り子がその紐を解こうとしたその時───、

 

 

 バチン、という音ともにステージが暗転。

 

 

 そうして。

 かざされたスポットライトは、一人の踊り子へと向けられる。

 

 暗転する前までは、

 いなかった(・・・・・)はずの女性。

 

 そこにいたのは───、

 

 

 「「この島の女王、メイヴ様(・・・・)だ───!」」

 

 

 「「──────えっ、」」

 

 

 歓声はこの店にいるボーイもゲストも含めた全員から。

 対して困惑の声は自分たち全員から湧いた。

 

 終わりに差し掛かっていた音楽はそこからさらに、ラストのサビへかけてヒートアップしていき、今度は女王メイヴによる華麗なパフォーマンスがはじまったのだ。

 

 ただし、女王メイヴは脱がない。

 というかはじめから、水着姿であった。

 

 

 そうして今度こそ、音楽は正真正銘クライマックスに差し掛かり、盛大な歓声とともに、締め括られた。

 客の中には泣いている男性もいて、もう何が何やらわからない。

 

 そうしてダンスを終えたメイヴは、控えていたボーイからマイクを受け取る。

 

 

 「───ようやく来たわね!藤丸!!」

 

 

 「───え?」

 

 いきなりの指名とともに、今度はスポットライトが入口の前にいる自分たちへと向けられ、客たちの視線もいっせいにこちらへと移る。

 

 「じゃあ、そういうわけだから。ボーイたち、藤丸以外を捕らえて」

 

 「は──────?」

 

 困惑で正常な判断が追いつかないうちに、いつの間にか背後に集まっていた複数人のボーイたちがネモ船長たちを取り押さえる。

 

 「っ───!何しやがるてめぇら!」

 

 「………抵抗は無駄よ。あなたたちに気を使って、ここ数時間はずっと解除しておいてあげたけれど、もう十分よ。ここからは、本当の(・・・)オークニーを教えてあげる」

 

 そう言って、メイヴはパチンと指を鳴らした。

 

 

 途端──────、

 

 

 思わず膝をついた。

 一体なにをされたのか。自分でもよくわからないが、身体が煮え(たぎ)るようにものすごく熱くなっていた。

 

 振り返ると、ティターニアたちも同じように、足に力が入らずに(うずくま)っている様子だった。

 

 

 そうしてメイヴは、ゆっくりとした足取りで自分の前へと歩み寄ってくる。

 

 近くで見ても間違いない。彼女はケルト神話、アルスター伝説にて語られる貴婦人。勇士クー・フーリンの命をつけ狙い、数多くの戦争を引き起こしたコノートの女王─── "メイヴ "に相違なかった。

 

 「メ、イヴ───、一体なにを、した、んだ───、」

 

 メイヴは起き上がれずに蹲る自分を見下ろしながら、にやりと妖艶(ようえん)な笑みを浮かべた。

 

 「言ったでしょう。これが、本当のオークニーの島。この島の常夏領域(・・・・)。」

 

 「なん───、だって───?」

 

 そう言ってメイヴはしゃがみこみ、こちらの顎を掴んで持ち上げる。

 

 「最初から見せたって面白くないでしょう…?だからこうして、私の目の前で味わってもらったの」

 

 メイヴはじっと顔を寄せ、こちらの瞳を逸らさず覗き込んできた。

 

 「何を、した───!女王メイヴ───!」

 

 背後でボーイに取り押さえられているネモ船長が、抗うようにそう声を上げた。

 

 「ふふっ、可愛い顔しちゃって。でも残念。今回のメインディッシュ(・・・・・・・・)は藤丸だから、他の連中は牢屋(ブタバコ)行きよ」

 

 メイヴはその言葉とともに、自分以外の全員に後ろ手で手枷(てかせ)をボーイに付けさせた。

 

 「それじゃあ教えてあげるわ、藤丸。私があなたたちに何をしたのか、ね?」

 

 

 そう言ってメイヴは再び立ち上がり、演説をするように歩きながら、この島の真相を語り出した。

 

 

 「私はメイヴ!このオークニーを仕切るアイランド・クイーンよ!……そして、この島において、あなたたち凡百(ぼんぴゃく)の人間たちは皆、"(ケモノ)" となる!」

 

 「けも───、の───、?」

 

 「そうよ。この島に敷かれた常夏領域、それは "情欲の解放(・・・・・)"。ようするに、あなたたちはね?……今 どうしようもなく、性的欲望に溢れているのよ」

 

 メイヴは、この上なく甘美な瞳を浮かべてにやりと笑った。

 

 「でも……この島に…最初訪れた時は、なんとも、なかった、のに、どうして……?」

 

 ガレスは辛そうな表情でそう訊ねた。

 

 「さっきも説明したでしょ、お馬鹿さん。あなたたちが船でこの島へやってくる姿が見えたから、一時的に解除しておいてあげたのよ。…だって、この私に会う前(・・・・・)(たぎ)られちゃ、困るでしょう?」

 

 「なんのために、こんなことを……?」

 

 「なぜって?決まっているわ。"夏" だからよ。多くの出逢い、ときめき、恋の季節こそが夏でしょう?…でも、回りくどいのは私嫌いだから、手っ取り早く仲良くなれる場所を用意してあげたわけ。それがここ、"情欲(じょうよく)" の島、オークニーよ」

 

 女王メイヴは語る。

 夏とは色恋沙汰(いろこいざた)の季節だと。

 その季節を、自分はただ、ありのままに助長してあげているに過ぎないのだと。

 

 「そしてね、藤丸。私、あなたのことを認めてあげるわ。多くの時代と困難を乗り越えて、人理を守る。ちっぽけな勇気で大業を()す。その努力を(たた)えて、特別サービス!あなたのことを、一人の勇士(・・)として、今回ばかりは扱ってあげる。……悦びなさい? この私が、あなたに抱かれてあげる(・・・・・・・)って言ってるの」

 

 「な──────、!?」

 

 なにを、言っているんだ、彼女は。

 

 

 「ふふっ、安心なさい。私が(・・)リードしてあげるから。あなたは、ただ欲望のままに、獣になればいいのよ?」

 

 耳元で、メイヴから甘い囁きをされる。

 

 

 「駄目、です───!藤丸くん、彼女に耳を貸しては、いけま、せん───!」

 

 背後からティターニアの声が聞こえる。

 

 「ほら、服を脱いで?マスター」

 

 メイヴの(つや)めかしい声が、脳に直接響いていく。

 

 俺───、は───、

 

 

 「それ───は、でき───ない───!」

 

 

 ほとんど力を込めることはできなかったが、彼女の身体を押し返す。

 

 「そう。やっぱり一筋縄には、いかないのね。ならこう言ったら、どう?……あなたたちが探している()、"ここ"にあるわよ」

 

 そう言ってメイヴは、自らの下腹部をそのしなやかな指先でトントンと叩いた。

 

 「な──────、」

 

 「…だからね、藤丸。あなたは欲望に負けて私と交わるんじゃなくて、ただこの特異点を修復するための、任務(・・)のために、私と一夜をともにするだけってコト」

 

 その言葉に。

 思考が正常に定まらなくなった。

 

 「ダメだ──────、立香───!」

 

 ネモ船長たちの声が、どこかボヤけて聞こえる。

 そうだ。自分は、そのために。ここに。

 

 

 「うっふふ!決まりね!さあ、ボーイたち、藤丸を最上階の私の部屋(・・・・)へお連れしてくださいな?……それから、そこの付き人たちは、地下の牢屋(ブタバコ)にしまっておきなさい」

 

 

 お店のボーイたちに、両腕を掴まれ、店の奥へと連れていかれる。

 微かな意識の中で後ろを振り返った時に見た、自分と一緒にこの島を訪れた仲間たちの、深刻な表情だけが脳裏にこびり付いた。

 

 

***

 

 

 そこは何もない。鉄格子(てつごうし)の箱だった。

 

 真ん中の通路を挟んで、わたしたちはそれぞれ四隅にある別々の牢屋に、放り込まれた。

 

 「みんな、少しは落ち着いたかい…?」

 

 わたし───ティターニアの右斜め前の牢屋にいるネモくんが、力なさげにそう訊ねていた。

 

 「……まあ。こんな何もねえ鉄の箱に押し込められりゃ、(たかぶ)るもんも昂らねぇだろうが」

 

 そう応えた村正も、同じく力が出ない様子だった。

 

 「…なんだか妙です。メイヴ殿はああ言っていましたが、ここまで神経をすり減らされるものなのですか? ……その、こういうのって」

 

 ガレスちゃんは、どう表現して伝えたらよいか四苦(しく)八苦(はっく)している様子だった。

 

 「…いや。ガレスの指摘通りだ。これは明らかにおかしい。メイヴはこの島の常夏領域を、"情欲の解放"だと言っていたが、正直それだけとは思えない。現に僕らは、この牢屋から出るための力すら絞り出すことができていない。…きっとなにか裏があるよ」

 

 「サーヴァントには、別の作用も働いている、のでしょうか?」

 

 もしもそうだとするのならば、わたしたちにとっては致命的だ。

 けれど急がなければ藤丸くんが危ない。なんとか牢屋から脱出する手段を見つけないと。

 

 

 「その通り。アンタらが正常に力を発揮できないのは、情欲に準ずる行動(・・・・・・・・)以外の、活動や思考が乱されているからだ」

 

 

 声が聞こえた方に思わず顔を向ける。

 

 するとそこにいたのは───、

 

 「クー・フーリン殿!!」

 

 そうだ、確かガレスちゃんたちと同じで、汎人類史に名を連ねているキャスタークラスのサーヴァント───"クー・フーリン" がそこにいたのである。

 

 「よぉ、まんまとメイヴの策にハマっちまってるようだな」

 

 彼の格好は、私が知っている姿とは異なり、白い半袖のシャツの上に迷彩柄のワイシャツを肩にかけ、首には狼の意匠を施したネックレスをつけていた。

 下ろした後ろ髪が届きそうな下には、デニムのダメージジーンズに迷彩柄のトレッキングシューズと。…なんていうか、すごいワイルドだった。

 

 「クー・フーリン、キミがそちら側に立っているということは、メイヴの小間使いにでもされているのかな…?どこかの誰かさんみたいに」

 

 それを聞いた村正は視線を横へ逸らす。

 

 「ん?まあ、面倒を見てやってるってことを、そう表現するなら、あながち間違ってないな」

 

 クー・フーリンはそう言って、ぽりぽりと頭を搔いた。

 

 「でも貴方は、カルデアのサーヴァントなんですよね?」

 

 「ああ、もちろん。だが、オレがあの頭の()だった女神に言われたのは、この島でメイヴの面倒を見てやることだ。アンタらに協力してやりたいのは山々だが、生憎と立場上それができない」

  

 やはり村正の時と同じように、彼は対立する立ち位置としてカルデアから召喚されたサーヴァントだった。

 

 「ふん。ようするに、てめぇもあの女王様に(ほだ)されてるってことだろ?」

 

 「ああ?オレがメイヴに絆されるなんざ、ゲイ・ボルクが外れるくらいありえねぇ話だろ」

 

 それ。どのくらいのありえなさなのだろうか。

 

 「どうかお願いしますクー・フーリン殿!マスターがメイヴ殿に連れていかれて、急がないと、こう、色々とピンチなのです!」

 

 「ああ。その件なら、まだ猶予(ゆうよ)はある。アイツはすぐに押っ(ぱじ)めたりはしねぇよ」

 

 「本当ですか!?ならあの生意気な顔に一発……ってあれ?そういえば、わたしたち今なんともない…?」

 

 気がつくと、普段の判断力を取り戻していた。

 

 「おう。ようやく気がついたか。今、この地下室はオレのルーンでメイヴの常夏領域が部分的だが働いていない。思考回路だけが正常なのはあれのおかげだ」

 

 そう言ってクー・フーリンは、地下室の入口の壁に刻まれたルーン文字を指さした。

 

 「…驚いたな。そんな抜け道があったとは。ではキミがメイヴに陥落(かんらく)させられずに済んでいるのは、そのルーンのおかげかい?」

 

 「いや?そのルーンで平常心を保つことができているのは、アンタらだ。それとは関係なしに、オレは元々、メイヴの常夏領域の影響を受けない(・・・・・・・)

 

 それはどういうことなのだろうか。

 

 「気づかなかったかい?アンタらをここへ運んだ店のボーイたち、アイツらも常夏領域の影響を受けていなかっただろ?」

 

 クー・フーリンの指摘に、はっとした。

 確かに、わたしたちをここへと運んだボーイたちは、忠実にメイヴの指示に従い、命令を遂行していたのだ。とても常夏領域の影響を受けていたとは思えない。

 

 「ようするに、一部の人間にだけ効果を発揮しない…?」

 

 「メイヴが許した相手だけ、な。…アイツは確か "グッド・ルッキング会員" とか呼んでやがったか」

 

 その言葉を、わたしたちは先ほどの店の入口で聞かされていた。

 

 「…なるほど。てめぇや店のボーイは、そのグッド・ルッキング会員とやらに所属しているから、問題なく活動できるわけか」

 

 「おうよ。いわゆる特別待遇ってわけだ」

 

 つまり。その会員ではないわたしたちでは、女王メイヴに打倒するのは困難ということか。

 

 「クー・フーリン、キミは先ほど、"情欲に準ずる行動" 以外の活動や思考が乱されている、と言っていたね。あれは具体的にはどういうことだい?」

 

 「簡単な話だ。ようするに、性的欲求が目的のこと以外の活動が阻害されてんだよ。魔術回路や体性神経(たいせいしんけい)を直接的に乱してるのさ。まともに魔力を捻り出せねぇのはそういうこった」

 

 先ほどメイヴと対面した際、藤丸くんやわたしたちがほとんど抵抗できなかったのは、そういう理由だったのか。

 

 「……では、そもそも。彼女の、女王の目的はなんなのですか?」

 

 「さて。根っこのところまではオレにもわからん。だが、表面的なことならわかる。ようするに、()だ」

 

 それは───、

 

 「…長話もこの辺にしとかねぇとな。悪いが、オレはお喋りをするためにここへ来たんじゃない。女王メイヴの命令(・・)で、"アンタを連れてくるよう" に言われたんだ」

 

 そう言って、クー・フーリンはわたしのことを指さした。

 

 

 

 クー・フーリンに連れられて、ナイトクラブ・コノートの最上階、VIPルーム───女王の部屋の前へと案内される。

 

 

 「…………、」

 

 「アンタ、随分と元気がないな」

 

 クー・フーリンはそう言って、俯きがちだったわたしに振り返る。

 

 「…それはそうでしょう。だって、これからなにをされるのか、薄々わかってきましたから。…わたしは、彼女には勝てない」

 

 そう言いながら、わたしは手枷で後ろに繋がれた自分の手をぎゅっと握った。

 

 「どうだかな。"恋" ってのは、結局は出たとこ勝負だ。どんだけ下準備をしていようが、勝利を確信している奴ほど足を(すく)われるもんだ」

 

 そう言って、クー・フーリンは後ろに回り込んで、わたしの手に何かを握らせた。

 

 「え?……石?」

 

 手の感覚は、ちょうど手のひらに収まるくらいのサイズの石ころだと認識していた。

 

 「一方的に見せつけられんのは、不公平だろ?……頭にきたんなら、一発くらい石を投げたってバチは当たらねえよ」

 

 

 そうして、扉は開かれる。

 わたしは臆せず進み、負けられない───いや、負けたくない戦いへと一歩を踏み出した。

 

 

***

 

 

 ──────時は、数刻だけ遡る。

 

 

 「っ──────、あれ?」

 

 目を覚ますと、自分───藤丸 立香は、誰かの部屋のソファに寝かされていた。

 

 「ようやく目が覚めたかしら、藤丸」

 

 声のした方向へと振り返ると、そこには窓に映るオークニーの煌びやかな街並みを背景に(たたず)む、メイヴの姿があった。

 

 「あ──────、」

 

 ここまでの経緯を思い出した。

 自分はメイヴの常夏領域によって思考を乱され、そしてこの部屋まで連れてこられたのだった。

 

 「メイヴ、君の真意はわからないけど、こんなことは──」

 

 「ねえ、あなた。あのティターニアって子のこと、どう思ってるの?」

 

 「──────は?」

 

 思ってもいなかった質問で、つい間の抜けた声を上げてしまった。

 

 「いいから、答えなさい」

 

 「どうって、一緒にこの特異点を修復しようとしてくれている仲間……だけど…」

 

 「はぁ、そんなことだろうと思った。…でもまぁ、別にいいわ。あなたがそういう人だってことは、私もあの子もわかってるだろうし」

 

 そう言ってメイヴは、脇にあるガラスのテーブルの上に置いてあったワイングラスをもち、そのままワインをひと口飲んだ。

 

 なんだか、先ほどまでの彼女とは違い、どちらかと言えば、"いつも通りの彼女" の印象を抱いた時、ふと自分の身がなんともないことに気がついた。

 

 「あれ?身体が熱く、ない……?」

 

 「ええ。今だけあなたは、私のグッドルッキング会員にしてあげてるの。……でも安心なさい。あの子がここに来たら(・・・・・・)、元の(ケモノ)に戻してあげる」

 

 そう言って、メイヴは妖しく微笑んだ。

 

 「あら。噂をすれば、ね」

 

 メイヴのその言葉とともに、背後の扉が開く音がする。

 

 「じゃあ、お喋りはおしまい」

 

 ぱちんと、メイヴは自らの指を鳴らした。

 

 途端───、メイヴの常夏領域の影響を受け、身体の力が抜けた。

 

 

 「いらっしゃい。お名前を聞いてもよろしくて?そこのお嬢さん」

 

 「自分から呼び出したくせに、名前を知らないなんて冗談でしょう、女王様」

 

 「生意気な口ね。自分の立場がわかっていて?ティターニア」

 

 二人は無言で睨み合う。

 

 

 「…ふん、理性的な会話がしたかったから、今だけあなたへの常夏領域は解除してあげてたけど、よく見たら、あなた随分とみすぼらしい格好をしているのね」

 

 「えっ───、」

 

 「そのセーラー服っぽい衣装、まさに田舎(いなか)出身って感じでよく似合ってるわよ?…アクセサリーのひとつも付けていないし、それじゃあ堕とせる男も堕とせないでしょう」

 

 メイヴは畳みかけるようにティターニアの格好を評価していく。

 

 「極めつけに、なんなのその芋臭い麦わら帽子は!どうせならもっと鍔広(つばびろ)でセレブ感のあるやつにしなさいよ!…それかキャスケット!あなた絶対キャスケットの方が似合うわ!」

 

 「──────、」

 

 それを聞いたティターニアは石のように硬直し、もはや何も言い返せなくなっていた。

 どうやら今のメイヴのファッションチェックが、思っていた以上に彼女へダメージを与えたらしい。

 

 「図星ね。自分でも理解しているのなら賢明よ?……それじゃ。今度はどうして私があなたを呼びつけたのか教えてあげるわ」

 

 メイヴは硬直したティターニアへと歩み寄り、意地の悪い笑みを浮かべて彼女の顔を覗き込んだ。

 

 「純愛の鐘を鳴らすには、あなたと藤丸、二人が揃っていないとできないんでしょう?…だから私が気を使って、すぐに鐘を鳴らせるよう(・・・・・・・・・・・)呼びつけてあげたの」

 

 「──────!」

 

 「あなたはね?ただそこに突っ立って見てればいいのよ。藤丸が私を抱いて、純愛の鐘が出たらあなたの出番。ほら、親切でしょう?」

 

 そう言って笑うメイヴの表情は、この上なく邪悪だった。

 しかし今の自分には、その表情すら蠱惑的(こわくてき)に映る。

 

 「わかったのなら、そこで私の美しい肢体(したい)を目に焼き付けておきなさい」

 

 メイヴは振り返り、そうして足の力が入らず床に尻もちをついた自分を起き上がらせた。

 

 「ほら、藤丸。こっちに来て?」

 

 (いざな)われるように、オークニーの街が一望できる窓際まで引き寄せられる。

 

 「さあ、今あなたの目に映る景色の中で、最も美しいものはなぁに?」

 

 メイヴの甘く蕩けた瞳へと吸い込まれるように、視線を逸らすことができない。

 

 「──────っ!」

 

 思わず、窓に両手をつく。

 

 「…あら、壁ドン?今のは少しトキメいたから、口づけ(・・・)は "あなたから" なさいな」

 

 そう言って、メイヴは瞳を閉じる。

 視界には、瑞々(みずみず)しくも妖艶な彼女の桃色の(くちびる)だけが映った。

 

 自分はそのまま───、

 

 

 

 

 

 

 「…………………………藤丸くん。死にたくなかったら、三秒以内に頭を下げてください」

 

 

 

 

 

 「──────!」

 

 ──────全身の毛が逆立つ。

 今自分の背後から感じるのは、この島を、いやなんならこの特異点を滅ぼしかねんほどの殺気だった。

 

 これは理性とか情欲とかそういう話ではない。

 生物としての(ことわり)。絶対的な死を恐れる生存本能によって、三秒以内と言わず一秒、いや神速で頭をさげた。

 

  

 「さっきから黙って聞いていれば、やれ芋臭いだの田舎出身だの……」

 

 ティターニアの身体が、軽やかに(ひるがえ)る。

 

 

 「───こちとら生粋(きっすい)の、(せかい)内海(ふるさと)出身じゃぁあ!!こぉの容姿と自信だけが取り柄のビッチ野郎ぉぉぉおおおお!!!!!!!!」

 

 

 激しい怒号とともに、

 流星の如く放たれるオーバーヘッドキック。

 蹴り穿(うが)たれた石ころは、その音速の軌道を描く最中で、円形のチーズ(・・・・・・)へとその姿を変貌させた。

 

 

 「──────へっ?」

 

 

 ──────憐れ。

 慢心した夜の女王は、間の抜けた声とともに瞼を開く。

 

 その視界に映るは、

 己が宿命の因果に他ならない───!

 

 

 「チ、!?─────────(いた)ァ!!!!」

 

 

 盛大におでこへクリーンヒットし、メイヴは気絶する。

 

 

 「……私の勝ち(ゲームセット)です。女王様。」

 

 

 わずか数秒の出来事。

 勝利を確信していたはずの女王は、そうして大地へ沈んだのだった。

 

 

***

 

 

 「あっ、目を覚ましましたよ」

 

 自分たちの目の前で、この島の女王が起き上がる。

 

 「……え、なによ、これ───!」

 

 オークニーの女王───メイヴは、後ろ手に繋がれた手枷をがちゃがちゃと抜け出そうともがく。

 

 「悪いね。数時間前までキミが僕らにしていたことの仕返しだ。その牢屋、床暖房のひとつでも導入することを勧めるよ」

 

 今、自分たちはメイヴをナイトクラブ・コノートの地下牢に閉じ込め、鉄格子越しに取り囲んでいる状態だった。

 

 「ふん、拘束をしたからなに?これで勝ったつもりなのかしら?」

 

 「おいおい、この状況でまだ威張る気なのかよ…」

 

 「当たり前です!私、まだ負けてないから!……ていうか、あなたたちどうして平常心を保っているの。この私が拘束されているのだから、三人くらいは襲ってきてもおかしくないと思ったのだけど?」

 

 「どんだけ肝が据わってるんだこの女王は…」

 

 「よぉ、悪ぃなメイヴ。今この地下室は、オレのルーンで保護させてもらってんだ」

 

 自分たちの後方の壁に背を預け、腕を組んでいたクー・フーリンが手をあげてそう言った。

 この地下牢に来てから自分も知ったが、まさかアイルランドの光の御子と呼ばれている彼まで召喚されていたとは、少し意外であった。今回は特異点Fで出会った時と同じく、キャスタークラスでの現界のようだ。

 

 「クーちゃん!?……そう。あのチーズはあなたの差し金だったってコト。あーあ、やっぱり、あなたにおつかいを頼むんじゃなかったわ」

 

 「心外だな。互いに切り札をもった、公平な決闘場を設けてやっただけだぜ?」

 

 メイヴはそれを聞いて、不服そうな顔を浮かべた。

 

 「メイヴ、君には悪いけど、俺たちはこの特異点を修復するためにここへ来ているんだ。鐘を鳴らさせてくれないか」

 

 膝をおり、メイヴと同じ目線の高さで頼み込む。

 

 「……………、」

 

 「お次は(だんま)りか」

 

 村正は面倒くさそうに頭を搔いた。

 

 「………鐘なら勝手に鳴らして構わないわ。でも場所は教えない。あなたたちが自分で見つけなさい」

 

 メイヴはそっぽを向いたまま、そう答えた。

 

 「…え?鐘はメイヴ殿がもっているのではないのですか?」

 

 「ガレス、お前あの言葉 本気で信じてたのか?……鐘はこの島の霊脈と通じる触媒みたいなもんだ。女王が個人的に抱えられるもんじゃねえだろうよ」

 

 冷静な思考ができる故の考察をする村正。

 なるほど。ではあの時に自分へ言ったことは、情欲に陥れるためのハニートラップだったわけか。

 

 

 「…………わかった。手間はかかるが、鐘は僕らで探そう」

 

 「いいんですか、ネモ船長?」

 

 「女王本人がこの様子じゃ、僕らが何を言っても意思は固いだろう。…けれどメイヴ、キミには僕らが鐘を見つけ出すまでここにいてもらう。それでも、構わないね?」

 

 「…………ええ。女王が表側に不在であれ、この情熱と甘味の街 エディンバラはまわるようにできています。直前のアポで十日間バカンスに行ったって誰も困らないわ」

 

 いや。それは単純に引き止められないだけでは。

 

 

 「よし。そうと決まればここからは鐘の場所を捜索するための調査だ。クー・フーリン、キミにも協力してもらいたい」

 

 「まあ、ほぼ負けみてぇなもんだしな。女王を人質に取られてんなら、大人しく従うのが従者の役割だわな」

 

 そこは助け出すのが従者の役割では?…と言いかけたが、協力してくれるのはありがたいので、ぐっと堪えた。

 

 「けどよキャプテン、この島の常夏領域は今も発動してやがるぞ。ここはクー・フーリンのルーンで思考はなんともねぇが、街の中はそうも言ってらんねえだろ。……この女王様は解除なんてしてくれなさそうだしな」

 

 「ああ、そのことでクー・フーリン、キミに頼みがある。今使用しているこのルーン、なんとか移動用に工夫することはできないかな?」

 

 なんと。そんなことができたらかなりの便利アイテムである。

 

 「……できないことはない。だが携帯式にするとなりゃ、もって二時間ってとこか。途中で切れた時は保証できねぇぞ」

 

 できるのか。

 

 「構わない。そうと決まれば、一時間半おきの交代制で街の調査をしよう。戦闘はないだろうけど、念の為、二人一組のペアで行こう。…僕とガレス、立香と村正、ティターニアとクー・フーリンだ」

 

 「なら、急がねえと朝になっちまうぞ。この島は夜しか起きない街なんて言われてるくらいなんだ。情報収集は早めにしねえとな」

 

 「ああ。交代のタイミングで、クー・フーリンには新しい保護ルーンの作成を頼みたい。…最初の調査に関しても、キミたちのペアに頼んでいいね?」

 

 そう言って、ネモ船長はティターニアとクー・フーリンを交互に見る。

 

 「わかりました。では、さっそく行ってきます」

 

 「おう。初っ(ぱな)から見つけても文句言うなよ」

 

 そうして、ティターニアは地下室から出ようとして階段に向かうも、その前で立ち止まった。

 

 「ティターニア……?」

 

 振り返った彼女は、牢屋の中で不貞腐れているメイヴを見て、しばしの沈黙のあと、何も言わずに階段を昇っていった。

 

 

***

 

 

 街は、変わらない煌びやかさを保っている。

 わたし───ティターニアは来た時と同じように、再び呆気に取られてしまった。

 

 「すげぇだろ。ここの島の人間は、とにかく活気に溢れてやがる」

 

 華やかな衣装や鞄が入口のショーケースに飾られたブティック、高級そうな外観を保ったレストラン、陽気な音楽が漏れ出ているクラブハウス、そして───、

 

 「あれが気になるかい?…メイヴもお気に入りでな。この街で一番のチョコレートの専門店だ。店の名前は、ノクナレア(・・・・・)

 

 「え──────、」

 

 そうしてクー・フーリンはその店に向かっていく。

 

 「ちょっと!寄り道している時間はないんじゃないの?」

 

 「寄り道ぃ?れっきとした情報収集だろ。それに、甘味のひとつでも食っとかねぇと頭が回らねぇしな!」

 

 そう言って、クー・フーリンは笑いながら店へと入っていった。

 

 

 「ほおおぉぉぉぉぉ……」

 

 お店の中に並んでいたのは、輝かしい宝石のようなチョコレートたちだった。色合いはもちろんのこと、その形まで多種多様なものたちが揃えられており、何も知らずに入店したらジュエリーショップだと勘違いしてしまいそうな光景だった。

 

 「失礼、店の兄さん。この島で鐘を見たことはねえかい?」

 

 わたしがチョコレートに目を輝かせていると、後ろでクー・フーリンが店員に聞き込みをしていた。

 というかそもそも、彼は女王の従者だというのに、鐘の場所を教えてもらっていないのだろうか。

 

 「申し訳ございません。私にはなんとも…」

 

 「ま、オレが知らねえんだから、普通はそうだわな。この街の人間はみんな知らねえだろうさ。……ああ、あと、そこの嬢ちゃんが眺めてるもんを一つ頼むわ」

 

 

 二人の会話の内容はよく聞こえなかったが、店の中で楽しげに会話をする二人組の女性の話はよく耳に入った。

 

 「このチョコレート、前にも食べたけど本当に美味しかったわよ」

 

 「本当?じゃあ私も買ってみようかなぁ」

 

 「ああでも、カロリー高いから。自分で食べる分には、ほどほどにしないと太るわよ?好きな人に贈るなら、これしかナシ!」

 

 

 「─────────あれ?」

 

 その姿を見て、わたしはあることに気がついた。

 

 

 

 ──────しかし結局、

 鐘については大した情報を集めることができずに、わたしたちの番は終わった。………とても街を観光してただけなんて言えない。

 

 

 

 そうして次はネモくんとガレスちゃんの番になった。

 

 

 「んじゃ、このルーンを刻んだ石をひとり一個もっとけ。なくすんじゃねえぞ。ついでにこの街で使える通貨も渡しておいてやる。金で買える情報があるかもしれねえからな」

 

 クー・フーリンが精神保護のルーンをかけた石と調査用の資金をネモくん達に手渡す。

 

 わたしたちは今、ナイトクラブ・コノートにある使われていない個室で、自分たちの番がまわるまで休んでいる状態だった。

 この部屋も地下室と同じように、ルーンの保護がなされていた。

 

 

 「ん?どこ行くんだ、ティターニア」

 

 こっそりと部屋を抜けようと思ったが、村正に見つかる。

 

 「ちょっと、女王の様子を見てこようかなって…」

 

 「…そうかい。まぁ構わねえが、何時間も拘束されて向こうも気が立ってるだろうしな、あんまりちょっかいかけんなよ」

 

 どっちの味方なんだ、この男は。

 

 とりあえず適当な相槌(あいづち)ではーい、と言って、そのまま部屋を出る。

 

 「…………よし。」

 

 目的地は地下室。囚われの女王と面会するために、ひとつの箱(・・・・・)を持って駆け足で階段へと向かった。

 

 

***

 

 

 「………なにしに来たの、あなた」

 

 女王は露骨に不機嫌という顔を浮かべていた。

 

 「よかった。寝てたらたたき起こしてやろうと思ってたから、手間が省けた」

 

 「あなた生粋のドS(エス)!?これでも囚われの身なんですけど!」

 

 「しってる。だからお腹空いてるだろうと思って」

 

 もってきた箱を開く。

 それは、先ほど街を観光───いや調査した際にクー・フーリンが買ってくれた、たくさんの "一粒サイズのチョコレート" がはいったケースだった。確か、ボンボンショコラだったか。

 

 「あなた、それ──────、」

 

 「チョコレート専門店で買った一番の人気商品!"妖精の宝石箱(フェアリー・マイラブ)"!…女王様も好きなんだよね?ポップのオススメで書いてあったよ」

 

 「別に、そんなことありません!情報操作です!」

 

 そんな女王へ。

 はい、とその中から一粒摘んで、鉄格子越しに彼女へ差し出す。

 

 

 「…………………いらない、」

 

 

 女王は不機嫌そうにそっぽを向いた。

 

 「そうなの?美味しいのに」

 

 そう言ってわたしは、渡しそびれたチョコを自分の口に運ぶ。

 

 「ん!なにこれ、すごい口溶けがよくて滑らか!口に入れた途端、一瞬で溶けていっちゃった!」

 

 「は?…あなたガナッシュも知らないの?」

 

 「がなっしゅ…?」

 

 わたしの言葉を聞いて、彼女はため息をついてから説明をし出した。

 

 

 

 

 「…それはプラリネ。ナッツ類をペースト状にして砂糖と絡めたものよ」

 

 「へぇ!…じゃあ、このゴツゴツしたヤツは?」

 

 「…それはロシェ。アーモンド類で岩を表現しているの。食べ応えがあって…って、まだ説明途中なのに次のに手を伸ばさないの!」

 

 「あはは、ごめんごめん、美味しいから止まらなくって!…これは?これはなんて言うの?」

 

 「はぁ…それはマジパン。見た目のジャンルが豊富で飽きないから、私も一番のお気にいり……むぐっ!?」

 

 呆れたように目を閉じて解説を続ける、油断した彼女の口へ、そのチョコレートを突っ込んだ。

 

 「…………どう?美味しい?」

 

 彼女はもぐもぐとよく味わって、ごくんと飲み込んだ後、

 

 「…………………………、美味しい」

 

 頬を赤らめてそう答えた。

 

 「ほら!やっぱり好きなんだ!わたしの知り合いにそっくり!」

 

 「知り合い………?」

 

 彼女は(いぶか)しげな表情を浮かべた。

 

 「うん。わたしのライバル。……はじめから女王として(・・・・・)生まれてきて、でもその責任を "自分から" 背負うことを選んだ妖精(ひと)。欲張りでワガママで、いつも偉そうにふんぞり返って高笑いして、おまけに人の話は全く聞かない、自分の夢に向かって突っ走る、バチバチした嵐みたいな子だったけど」

 

 ここではない、いつかの星空を思い出す。

 

 「…………それでも。

 わたしにとって大切な、最初の友達(・・)だったんだ」

 

 

 

 

 「…………………しってる(・・・・)。」

 

 

 

 「え──────、?」

 

 その言葉に、

 わたしは頭の理解が追いつかなかった。

 だって彼女は汎人類史の───、

 

 「ここではない異聞の地、私と同じ容姿をした妖精の話、でしょ?……その話なら、この特異点に召喚された時に、ローマの女神から見せられたわよ」

 

 アムール神が、女王メイヴに彼女(・・)のことを…?

 

 「一人の少女の、女王の人生をね。…けど、それがなに?その子がどんな人生を歩んで、どんな交友関係を結ぼうと、その子はその子(・・・・・・・)でしょ。()じゃない。だからもしあなたが、私のことをその子に重ねて、こうして気を使っているのなら、迷惑だからやめてちょうだい」

 

 女王は、さきほどまでとは打って変わって、冷たい眼差しを向けていた。

 

 ───ああ。その通りだ。

 今わたしの目の前にいる彼女は、わたしの知っている彼女(・・)じゃない。"女王メイヴ" の人生も、彼女の人生も、他ならぬ彼女たちだけのものだ。誰かに似せられたものじゃない。

 

 

 だからこそ眩しい。

 辿った道筋は違くとも、そのまっすぐな生き様だけは同じだと、今の言葉が物語っていたからだ。

 

 「……うん。女王様の言う通り。あなたはあなただよ。でもひとつだけ教えて。街の住人たちに、"誰ひとりとして常夏領域を使っていない" のはどうして?」

 

 「──────、」

 

 そう。彼女は常夏領域を使っていない。いや、より正確に言うならば、部外者(・・・)であるわたし達を除いて、街の住人たちはみんな彼女の常夏領域の "影響を受けていなかった"。

 

 「さっき調査のために街を散策した時に気づいたんだ。街にいた人たちは、誰も情欲に溺れてない(・・・・・・・・)って」

 

 わたしがチョコレート店で見かけた女性たちは、なんてことのない、他愛のない会話をしていたのだ。

 

 「"グッド・ルッキング会員" だっけ?…あなたはこの街で暮らす住人全員(・・)を、それに所属させているんでしょう?」

 

 はじめて街に訪れた時、彼女は常夏領域を解除していた。それは紛れもない事実だろう。

 しかし、今は違う。常に発動しているはずの常夏領域が、なぜか部外者である自分たちにしか適応されていなかった。その答えをあげるとするならば、ひとつだけだった。

 

 「…………そうよ。この街にいる人間は、みんな私と同じ。常夏領域の影響を受けていません。けれど、勘違いしないで。いつでも私の任意で、街の人間も獣にできる」

 

 「でもあなたはそうしなかった。それはどうして?」

 

 「"情欲" が引き立てるものは()よ。互いに肉体関係を結んで、快楽と信頼を得る。…でもそれは()じゃない。恋において、情欲っていうのは、最後の "決め手"。はじめから溢れてちゃいけないものなのよ」

 

 ───女王は語る。

 恋における情欲とは、多くの出逢い、トキメキ、困難を乗り越えた先に生まれるモノだと。だからこそ、はじめから溢れてはならないものなのだと。

 

 「でも、この島の常夏領域は、あなたが敷いたものじゃないの?」

 

 「いいえ。この島の常夏領域は、はじめから(・・・・・)あの愛の女神に敷かれたものでした。私には変える手段はなかったわ」

 

 アムール神が、この常夏領域をつくった?

 

 「私はそれが気に食わなかった。夏が情欲の季節だというのは納得したわ。でも、そこに()がなければ意味がない。だから私は自分の身を使って、自由に情欲を解放できる街へと作りかえたの」

 

 そうだったのか。では、彼女は本当に、"恋のため" にこの島を維持していたということか。

 

 「………ならもうひとつだけ。聞いてもいいですか、女王様」

 

 彼女は目配せだけでそれを許可した。

 

 「なぜ。この街にはエディンバラ(・・・・・・)という名前を名付けたの?」

 

 情熱と甘味の街 エディンバラ。

 そして、彼女が最もお気に入りだというチョコレート専門店の名前は───、

 

 「言ったでしょう。私は私。…………でも。恋に焦がれた一人の少女を知りました。夢を追った女王の結末を知りました。知った以上は、私は私として、その少女へ手向けの花を贈るわ」

 

 女王は(ほの)かに微笑む。

 

 

 「この街はね、私から彼女への贈り物(・・・)。誰もが平等に、恋ができる楽園。裏切りのなき都市。彼女が夢見た、"恋をするため" の北の城塞(おうこく)よ」

 

 

 「──────、」

 

  

 この女王の在り方に、

 わたしは思わず呼吸を忘れていた。

 

 「だから私は、この常夏領域を、私の判断で使って背中を押してあげてるのよ。…幼気(いたいけ)な少年少女たちが、大人の男女に変わるための、最後の一押しのためにね?」

 

 ───ああ。本当に。

 勝てないなあ。わたしには。

 

 

 「あ──────、」

 

 真面目な話をしていたら、お腹がぐぅ、と鳴った。

 サーヴァントでありながら、日常的に食事をとるようにしていた弊害(へいがい)だろう。

 

 「あなた、現在進行形でチョコ食べてるでしょ!?」

 

 「中途半端に食べると逆にお腹が空くんですー!」

 

 そう言いながら、手元のチョコを取ろうとしたが、既に箱の中は空っぽになっていた。

 

 「あれ、もうなくなっちゃった。一個ずつしか入ってないのが、玉に(きず)だね、これ。どうせだから、女王様のお気に入りのやつ、わたしも食べたかったなあ」

 

 わたしのその言葉を聞いて、彼女は目を丸くした。

 

 「あなたが自分から私に食べさせたんでしょうに。………それと、女王様じゃなくて、メイヴ(・・・)でいいわ」

 

 「え?女王様、今なんて……?」

 

 彼女は照れくさそうに、頬を赤らめる。

 

 「だ・か・ら!呼び捨てでいいって言ってるの!」

 

 「じゃあ、友達になってくれるってこと!?」

 

 わたしは嬉しくて、ついメイヴ(・・・)にぐっと顔を寄せる。

 

 「っ───!で、でも勘違いしないで!私はあなたの知り合いの子とは関係ないから!私は───、」

 

 「"私は私"。でしょ?……あなたはメイヴとして(・・・・・・)、わたしと友達になってくれるんだ」

 

 メイヴはさらに照れくさそうに顔を赤く染めた。

 自分ではわからないけど、わたしもきっと、すんごい赤くなってる気がしている。

 

 「あ───!ここにいたんですね、ティターニアさん!」

 

 そんなわたしたちの下へ、三人目の少女がやって来る。

 

 「ガレスちゃん!?あれ、もう調査終わったの?…うそ、一時間以上話し込んでたってこと!?」

 

 「はい!今はちょうど村正殿とマスターが巡回しています!………それで。これは他の皆さんにはご内密なのですが、」

 

 ガレスちゃんは手を後ろに回したまま、忍び足で、こちらまで寄ってくる。

 

 「じゃーん!チョコレート専門店一番の人気商品!"妖精の宝石箱(フェアリー・マイラブ)" です!皆さんに内緒で買っちゃいました!一緒に食べませんか?」

 

 

 それを見て、メイヴと二人で目を見合わせる。

 

 「「──────ぷっ、」」

 

 「「あはは、あははははははは!!!」」

 

 思わず。

 はしたないくらいの大笑いをした。

 

 「え!?なんで笑ってるんですか、二人とも!ズルいですよ!私にも教えてくださいよー!!」

 

 

 

 そうして。

 ひとしきり笑ったわたしたちは、他愛のない話をしながら、ガレスちゃんがもってきたチョコレートをつまんだ。

 

 

 そして──────、

 

 

 「ねぇあなた、藤丸とはどこまで進展しているの?」

 

 「い、いきなり何言ってんの!藤丸くんとは、なんでもないって!」

 

 「うそ。ハッキリと顔に出てるわよ、あなた」

 

 「人を顔で判断するのは良くないと思いますー!そういうメイヴは恋人とかいるんですかー!」

 

 「まだ恋人…ではないけど、追いかけている人ならいるわ!ワイルドで、クールで、もうぜんっぜん私に(なび)かない生意気な男だけど!」

 

 「えっ、メイヴ、クー・フーリンがタイプなの?なんか意外…」

 

 「急に(しら)けんな!人の勝手でしょうが!」

 

 そんなわたし達のやり取りを、ガレスちゃんは交互に見ながら笑っていた。

 

 「…で、結局どこまで進んでるのよ。わざわざ焚きつけてあげたんだから、教えなさいよ」

 

 その言葉で、なぜ最初に彼女がわたしたちへあのようなことをしたのかを察した。

 

 「……そっか。メイヴには申し訳ないけど、別に全然進展とかしてないよ。…一緒に遊園地に行ったり、絶景を見たり、悪い竜を倒すために冒険したくらい。メイヴの方が、恋に関しては上だよ」

 

 それを聞いたメイヴは目を丸くした。

 

 

 「………バカね。羨ましいくらいに、()を堪能しているわよ、あなた」

 

 

 「え………?」

 

 

 「………私の負け(・・)ってコト。これ、あなたにあげるわ」

 

 

 唐突にメイヴのお腹のあたりが光り出す。

 

 「な、なな、何事ですかー!?」

 

 ガレスちゃんも状況がよく掴めずに驚いていた。

 

 輝き出した腹部からは、こぶし大の光の玉が現れ、やがてそれはその姿を "純愛の鐘" へと変貌させたのだ。

 

 「鐘、本当にメイヴがもってたの───!?」

 

 「はじめからそう言ってたでしょう。私、しょうもないウソはつかない主義だから」

 

 だいぶ前に、"チョコは好きじゃない" という、しょうもないウソをついていた気がしたけど。

 

 そうして、鐘は再び光の玉に戻り、今度はわたしの中へと吸い込まれていった。

 

 「え───!?ど、どうするの!これ!?」

 

 「あなたが出そうと思えば出せるわよ。でも、今ここで出したって意味ないんだから、ちゃんともっていきなさい(・・・・・・・・)。一人じゃ鳴らせないんでしょ?それ。……だったら、今からどこへ向かうべきか、わかるわよね?」

 

 メイヴの眼差しは、どこか優しさに満ちていた。

 

 「──────、うん。ありがとう、メイヴ」

 

 そうして、わたしは立ち上がり階段へと向かう。

 

 「───と、そうだ!ガレスちゃん!チョコ美味しかったよ!また後で戻ってくるから、今度はみんなで食べよう!」

 

 振り返って、もう一人の友人へと礼を伝える。

 

 

 ──────わたしはそうして駆ける。

 この暗がりの空の中、どこにもない鐘を探しまわっている、わたしにとって大切なひとの場所へと。

 

 

***

 

 

 もうすぐ日が昇る海岸を歩く。

 自分───藤丸 立香は、純愛の鐘を探してオークニーの島の東海岸を散策していた。

 

 「錫杖(しゃくじょう)を振ってもめぼしい反応はなし、か。…やっぱり、どうにかしてメイヴから聞き出すしかないかな…」

 

 「藤丸、街の中央に戻る時間を考慮すると、そろそろ帰らねぇとルーンが切れるぞ」

 

 村正が手元のルーンの光具合をみて判断する。

 

 「うん。あの端のヤシの木のところを調べたら俺も戻るよ。先に帰ってても構わないよ、村正」

 

 「そうかい?一人にするのは心配だが、まあ魔獣もいねえし大丈夫か」

 

 村正に手を振って、一人最後のポイントを調べようとした時、

 

 

 「藤丸くん──────!」

 

 

 ティターニアが、息を切らしてやって来ていた。

 

 「あれ、どうしたの?もしかして交代の時間過ぎてた?」

 

 「いえ、そういうわけでは、なくて───、」

 

 ティターニアは深呼吸をして自らを落ち着けた。

 

 「純愛の鐘が見つかったんです。女王───いえ、メイヴがもっていたんです」

 

 「なんだって?」

 

 では。彼女は嘘をついていたわけではなかったということか。

 

 「はい。今は、ここにあります」

 

 すると、ティターニアの胸が唐突に光出し、そこから光の玉が現れ、やがて光の玉は自分たちもよく知る "純愛の鐘" へとその姿を変えたのである。

 

 

 「藤丸くん、わたしと一緒に、鐘を鳴らしてくれますか?」

 

 ティターニアは改めて、そう訊ねた。

 

 「───ああ。オークニーの鐘を鳴らそう!」

 

 

 二人で錫杖をもち、空へとかざす。

 

 これより訪れる朝日とともに、

 眠りについていく夜の街を、

 寝かしつけるような音色だった。

 

 

 鐘の音が、オークニーの空に響き渡る。

 

 

 

 「綺麗ですね……、」

 

 視界には薄紅色の朝焼けが広がっていた。

 水平線の向こう。遥か彼方から顔を出す太陽は、オークニーを照らしていた人工の光とは異なり、ただそこに"在る"というだけで、美しかった。

 

 

 「この朝焼けを、わたしはきっと忘れません」

 

 

 ティターニアが噛み締めるように呟く。

 

 

 「ああ。俺も忘れない──────、」

 

 

 

 

 

 二人で朝焼けをしばし眺めた後、

 街に戻ろうと(きびす)を返そうとして、ティターニアが砂浜に足を掬われた。

 

 「──────っと、わわっ!?」

 

 「ティターニア、危ない───!」

 

 

 ティターニアを助けようとして、そのまま二人倒れ込む。

 

 

 砂浜に仰向けで倒れ込んだティターニアの上に、

 跨った状態で彼女の顔の横へ両手をつく。

 

 

 「っ───、ティターニア、大丈夫?」

 

 

 その視界には、

 一人の少女の顔があった。

 

 

 「──────!ご、ごめ」

 

 ん と、言おうとした時、

 

 なぜか彼女の両手が自分の首の後ろに(・・・・・)巻かれた。

 

 「ティターニア──────?」

 

 

 

 

 「わたし、ルーンの石、忘れてきちゃったんです」

 

 

 

 「──────え?」

 

 

 

 「なので。もしかしたらまだ、この島の常夏領域(・・・・)が、残っているのかもしれません……」

 

 

 

 ──────そう言って。

 ティターニアに顔を引き寄せられる。

 

 

 "ねえ、あなた。あのティターニアって子のこと、どう思ってるの?"

 

 

 「──────!」

 

 よりにもよって、今。

 メイヴの言葉が脳裏に()ぎる。

 

  

 ティターニアの薄桃色の唇が、

 自らに触れる距離にまで近づく。

 

 

 「ティター、ニア、──────」

 

 

 

 

 「──────だから。これは仕方ないんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おい藤丸!いま鐘の音が聴こえたってことは、鐘が見つかっ──────」

 

 

 

 「─────────あ、」

 

 

 「…………………………、」

 

 

 「っ……………………………………………………………………………………………………………………………………すまん、邪魔をした。続きをどうぞ」

 

 

 

 「────────できるか、馬鹿ァ!!!!」

 

 

 

 そうして。

 戻ってきた村正の闖入(ちんにゅう)で、幕を下ろした。

 

 

***

 

 

 他のみんなと合流し、オークニーの桟橋へと集まる。

 

 「にしてもまさか、本当にメイヴが鐘をもってやがったとはな…」

 

 村正は自分の考えが外れて所在(しょざい)なげに、ため息をついた。

 

 「街の全員に常夏領域の影響を受けさせなくして、その上で任意の相手だけ発動させる……よく考えてみれば、そんな高度な芸当をするには、確かに鐘そのものを自身に取り込むのが一番手っ取り早いね」

 

 「ええ。だいたい他人の敷いたルールに、この私が大人しく従うわけないでしょう。それが納得のいかないものなら尚更よ」

 

 メイヴはふん、と鼻を鳴らしてそう言った。

 

 「…相変わらずだな。お前さんはこうして特異点先に不本意で召喚されたって、自分を全うしてやがる。運命を追うんじゃなくて、運命を振り回す(・・・・)女。その一点に関しちゃ、オレも尊敬するぜ」

 

 「うそ!?クーちゃんがストレートに私を褒めるとか何事!?二割増で常夏領域の影響を受けさせてあげなかったのが、効いちゃった!?素面(シラフ)すぎて我慢の限界、みたいな!」

 

 「ちょいと褒めるとこれだよ!めんどくせぇ!」

 

 クー・フーリンは抱きつこうとしたメイヴを華麗に躱す。

 

 

 「ところで、さっきティターニアから聞いたんだけど、この島の常夏領域はアムール神が敷いたものっていうのは本当?」

 

 メイヴが敷いたと勝手に考えていた "情欲の解放" という常夏領域。

 しかしそれは、アムール神が強制させたやり方だという話だった。

 

 「…ええ。私が彼女の要望を蹴ったら、人が変わったようにこんなめちゃくちゃな置き土産を残していったわよ」

 

 「なんだか、きな(くさ)い話になってきましたね…」

 

 BBやヴリトラのように、自分で常夏領域を敷いたパターンと、ゴッホやメイヴのように、強制的に与えられたパターンの二つがある。ということなのだろうか。

 

 「てかよ、そんなに嫌だったなら、さっさと(オレ)たちに鐘を渡して、解除しちまえばよかったんじゃねえのか?」

 

 村正の指摘通り、最初から自分たちに鐘を鳴らさせていれば、ここまで時間を要さなかったのではないだろうか。

 

 「それじゃつまらないじゃない。せっかくの夏なんですもの。恋に "ライバル" はつきものでしょう?」

 

 そう言って、メイヴは愉快げに笑みを浮かべた。

 

 「最初に立香を誘惑したのはそういう理由か。…まったく。段々とキミという英霊の在り方がわかってきたよ」

 

 やれやれ、とため息をつくネモ船長。

 

 

 「メイヴ、あなたも一緒に、鐘を探す旅を手伝ってくれない?」

 

 ティターニアが、友人としてメイヴに一緒に来ないかと持ちかける。

 

 「……嬉しい誘いだけど。断らせてもらうわ。私のしたいこと(・・・・・)は、この街を維持することだもの。だから、あなたもあなたのしたいこと(・・・・・)をなさいな。与えられた "役割" じゃなくて、ね?」

 

 「………うん。わかった。ありがとう、メイヴ」

 

 そう言って、二人は互いを見つめ合ってしっかりと握手をした。

 

 

 「んじゃ、オレも一応はここに残るかな。…といっても、もう女王の補佐の任は終わったんだ。必要とあれば協力は惜しまないぜ、藤丸」

 

 「クー・フーリン…!」

 

 「すまない。人員不足となった時は、キミ達を頼らせてもらうよ。……みんな、ただいまの時刻をもって、オークニーの調査を完了とする!五分後、タイニー・ノーチラスの舵を切り、ロンディニウムへ帰投(きとう)だ!お疲れ様!」

 

 

***

 

 

 そうして船は、情欲の島 オークニーを後にする。

 

 夜しか起きない街、情熱と甘味の街 エディンバラは、朝焼けを浴びて眠りについていく。

 

 

 「行っちゃった………」

 

 メイヴはぽつりと呟く。

 

 「なんだ、本当は一緒に行きたかったのか?」

 

 そんな彼女の背中へクー・フーリンが声をかける。

 

 「ふん、当たり前じゃない。あんな楽しそうな旅」

 

 そう言って、メイヴは微かに笑った。

 

 「……でも。これはあの子(・・・)の夢。私がそこにいたら、端役(はやく)に落としかねないわ」

 

 「相変わらずの自信だなおい…」

 

 「だから私は、ここで彼女(・・)の夢を残すの。なんにせよ、この特異点で私がしたいことは、それだ!って決めたんだから」

 

 メイヴは去りゆく船に背を向け、クー・フーリンの方へと顔を向ける。

 

 「それはそれとして!私は、"私の恋" を追いかけるけどね!ほら、クーちゃん!もう女王の任は終わったんだし、ここからは恋人同士として、私とデートしない?」

 

 その言葉を聞いて、クー・フーリンは呆気に取られたような表情を浮かべた。

 

 「ったく、自由気ままな女王様だこと」

 

 メイヴは砂浜をスキップしながら駆ける。

 

 彼女の足取りは軽やかに。

 エディンバラの女王は、今日も自分らしく。

 この島で、一番華やかな女として過ごしていく。

 

 

 「けどよ メイヴ。この特異点は、ただ夢を見せるためだけの場所じゃなさそうだぜ。…悪趣味にも、その夢を利用しようとするクソったれが潜んでやがる。キャスターの霊基だと、どうにも(うたぐ)り深くなっちまうがな。純粋に鐘を鳴らさせたい(・・・・・・・・)のか、それとも鳴らしてほしくない(・・・・・・・・・)のか。……奴の目的は、一体なんなんだ」

 

 

 

 

 

 

 ─────────、四つ目の鐘が鳴った。

 

 

 

 

 

 /『NUDE WOMAN』-了-

 




 
 
 まずはここまでお読みいただきまして誠にありがとうございました。面白かったと感想をくださる方もいらっしゃって、書き手としてはこの上なく嬉しいかぎりです。やる気が(みなぎ)ります。
 また、今回もかなりの長文のシナリオとなりました。段々とこれくらいの文量がデフォルトになりつつあって、申し訳ないです。
 
 さて。ここからはいつも通り、今回のお話の補足説明と小話をしていきたいと思います。興味がございましたら、お読みいただけると幸いです。
 
 
 今回のテーマは "情欲"。夏といえば、恋に胸を高鳴らせ、多くの出逢いにときめき、イケない橋を渡ってしまう季節でもあります。しかし生憎と、この作品はR-15小説。エッッな展開をほどよく抑えつつテーマを損なわない描き方をするのに、構想の段階で苦労しました。
 しかしいざ書き始めると、今回のメインである彼女のおかげで、すんなりと書き進めることができました。
 
 ・星4 セイバー メイヴ
 
 今回のアイランド・クイーン!今までの女王たちとは異なり、生粋の女王様のメイヴちゃん。既存の水着サーヴァントですが、この物語において彼女を出さないという選択肢はなかった。
 周知の通り、彼女はFGO第二部 第六章におけるエディンバラの"王の氏族"───ノクナレアと瓜二つです。ですので今回は対比ではなく、その在り方の類似点と生き様を描かせていただきました。
 物語中、彼女自身が鐘をもち、街の住人たちを "グッド・ルッキング会員" として自分の領域の影響を受けさせないようにしていたのは、"王の氏族" として、血も記憶も力も妖精たちに分け与えていた、ノクナレアの選択のオマージュになります。
 
 ちなみに今回の島の名前は、オークニー。これは妖精國と同じく、鐘を保有していた本来の氏族は "雨の氏族" だったため、この特異点の島の名前も鐘に由来してそっちになっています。
 しかしその上で、彼女はエディンバラという街を築き上げました。これは物語中でも語られた通り、ノクナレアという "少女であり女王" の人生を知ったメイヴが、彼女なりの敬意と手向けの花を贈りたかったからです。
 ただし、彼女が根城としているお店の名前はエディンバラではなく、 "ナイトクラブ・コノート"。これはどんな想いがあれ、「私は私だ」というメイヴの意志を示しているからに他なりません。
 
 
 ・星3 キャスター クー・フーリン(霊衣)
 
 三人目の霊衣サーヴァント、キャスニキだ!白ティーにダメージジーンズ、迷彩柄のワイシャツとトレッキングシューズ、加えて狼のネックレスと、圧倒的な野生(ワイルド)スタイル。Fate/hollow ataraxiaでのランサー───クー・フーリンの私服のイメージを残しつつ、キャスターの彼らしいバージョンアップをした見た目になりました。
 ちなみに物語中で話されていた通り、彼もカレンが招集したサーヴァントの一人です。その役割は自由奔放なメイヴのおもり。アンタいっつもコキ使われてんな。()
 
 
 ところで、物語中、なぜメイヴはクー・フーリンに対して常夏領域を使わなかったの?やっちゃいなよ!と疑問に思った方がいらっしゃるかもしれませんが、その答えとしましては、"手に負えなくなるから" です。アルスター最強の勇士の性欲。舐めたらアカン。
 …もう一つ理由を挙げるとするならば、彼の場合メイヴ以外にも手を出しかねないので……メイヴ的には、自分だけを見てほしかったのです。だからあえて使うことはしませんでした。乙女かな?
 
 
 他にも、冒頭でランスロットがオークニーに向かうことを嫌がっていた理由は、出生の気まずさからではありません。彼女は特異点に召喚されて早々、この島が情欲の島であるということを知って、マズイ場所だ!僕の専門外!と判断して飛び去ったからです。…決して情欲が解放されて、オーロラに会うべくソールズベリーの島へ直行したわけではありません。祝福(ギフト) 付いてるしネ!
 なので、同行を拒否したのも、その常夏領域を受けたカルデアのメンバー…特にガレスに何をされるか知れたものではなかったので、自分と彼女の貞操(ていそう)を守るために残りました。…早速 任務放棄とは怠慢だなランスロット。とは彼女の脳内 陛下の(べん)
 
 
 とまあ、このような感じで、今回の補足説明は以上となります。
 物語も起承転結の "転" にさしかかり、妖精國についての話題や、多くの登場人物たちが絡んでくるようになりました。鐘は、残り二つ。
 どうか次回の更新も楽しみにお待ちしていただけますと幸いです!ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございました!
 
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