魔法の世界?私、魔法とか使えないんですけど?   作:嘆きのラジオ

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京都百鬼夜行「開戦」

時は京都の繁華街、夜、本来休日とは思えないほどガランとした街道、人の少ない町並みに不自然な黒の制服に身を包んだ集団

 

これから起こる戦争の前に緊張に身を震わせながら16歳の少女「不動朽」は握りしめ不安を紛らわすように先輩の術師に話かけた

 

「あの・・・本当にこんなところで仕掛けてくるのでしょうか?も、もしかしたら嘘の可能性も・・・・数千の呪霊なんてそんな都合よくは」

「黙ってろ、上からの指示だ、真意はどうであれ私達は従うだけだ」

そう冷たく言う先輩の言葉には棘があったが、自分と同じなのか呪具を握る拳は震えていた

戦争・・・認めたくない、呪術師は非術師のために戦うなんて言われているが死の覚悟が出来ている訳ではない

 

私のように死にたくない人間だっている、綺麗事だけでは命を賭けることなど出来ない

それにこれは人為的な戦争、元特級術師にして最悪の呪詛師「呪霊操術」という呪を使役することを得意とする「夏油傑」それが主犯となり直接高専に宣戦布告したというイカれた男

 

「気を引き締めろ、油断すれば死ぬぞ」

先輩が激励するように力を込めて言うが

そんなことはわかっている、だが「死ぬかもしれない」

そんな現実を押し付けられて平気でいられるほど私は強くないのだ

御三家でもなければ名家の術師でもない私は死に怯えないほど強くはないのだ

震える腕を片方の腕で押さえつけ、深く深呼吸することで高鳴る心臓を落ち着かせる

 

死の恐怖に体は反応し額から体から冷たい汗が止まらない

普通ならこれだけの術師を揃えた呪術連合に軍配が挙がるだろう多数の名のある一級術師や御三家、更に最強の術師五条悟がいる

だが敵がそれを知らないわけがない、そうとわかって戦争を仕掛けるということは何かしらの手段があり、絶対とはいかないまでも勝利に必要なプロセスを確立しているということだ

二級や一級、いや下手をすれば特級の呪もいるかもしれない

 

自分が生き残れるのか、死ぬのではないか、そんな疑念が頭を過る

負の感情で頭に埋めつくされる、

 

(死ねない、死にたくない!)

頭を左右に振り頭に浮かんだものを振り払う、緊張の中、不意にそんな行動をとる彼女に誰も怪訝な視線を送らない、皆が同じ思いなのだ

全員、不安で死にたくないのだ、逃げ出したい

 

戦争、、、だがこれは非呪師のために戦うのではない、自分が生き残るためぬ戦うのだ

 

「フゥ、、大丈夫、大丈夫、私は死なない」

ようやく落ち着いたのか、激しく鼓動していた心臓は今や落ち着きを取り戻した

ボソボソと周りには聞こえない声で、胸を撫で下ろし覚悟を決める

 

「来たぞ!!」

誰かが叫んだ、その言葉と共に正面の道路から上空から京都の町並みを覆うほどの大量の呪の群れがみえる

その波のような呪に一瞬体が強張る、

 

「フゥ、、、大丈夫大丈夫大丈夫」

覚悟はしたつもりだがやはり怖いものは怖い、だが震えているだけでは生き残れない

呪具を構え、呪力を流す

全神経に呪力を巡らせ身体能力を強化する

 

(絶対に死なない!!私は生き残る!!)

 

「死んだら絶対化けて出てやる・・・」

その彼女の呪いの言葉とともに京都百鬼夜行は始まった

呪術師と呪の全面戦争の開戦だった

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