Dr.Monster~科学でモンスターの謎を暴け~   作:アママサ二次創作

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第16話 火の脅威

 一日の休憩を挟んで翌日。天気は曇天。少々肌寒い中、千空達は先日と同じ地点までやってきていた。装備はいつもどおり、アイルー達は石槍と石斧、それに採取したものを入れる籠やいろんな道具を入れたポーチを。千空はそれらに加えて、ケムリ玉やハジケクルミ等モンスターを避けるための道具を腰回りのポーチや革袋に入れて持ってきていた。

 

 そして今日はそれに加えて、それぞれが小さめの革袋と、そこから飛び出す数本の木の棒、否、松明を持ってきていた。目的は昨日思いついた通り、火がジャギィ、ひいてはその他のモンスターを退けるのに使えるかどうかの確認だ。

 

「出てこないな。縄張りを巡回してんのか? なら……」

 

 昨日遭遇した地点を通り過ぎてしばらくいったところで、千空はアイルー達にも指示を出して一旦足を止めた。ここまでくればまた遭遇するかと考えたが、どうやらそうでもないようだ。動物の生態に関しては千空は科学ほど詳しくはないのだが、おそらく広い縄張り内であっちに行ったりこっちに行ったりしているのだろうということは想像出来た。

 

 そうなってくると松明を試せないのだが、代わりに別の解決策も考えられそうだ。

 

 そう千空が考えたところで、ここ数日で聞き慣れてしまった甲高い鳴き声が聞こえてきた。

 

「ちっ、やっぱいんのか。つか奴らの総数どうなってんだ。それもいつか調べてえな」

 

 生活の基盤が出来てから色々な生物、モンスターの生態を見てきた千空だが、ジャギィは現段階においては脅威であるのでしっかりとした観察をするよりも回避することを優先していた。そのためにまだ見えてないことも色々とあり、それがわかれば何か別のアイデアが浮かんだのかも知れないと好奇心が首をもたげるが、今はそれをわきに置いておく。

 

「お前ら、ちょっと戻って焚き火するぞ」

「ニャッ!」

 

 ビシッ、と上に手を伸ばしたアイルー達と共に少し後退し、そこで焚き火を設置した。持ってきた松明だが、火をつけるには元となる火が必要なのだ。火打ち石なんかがアレば松明に向かって火花を飛ばせたかもしれないが、今の千空達の火をつける手段は錐揉みだけである。

 

 少し戻った開けた場所で焚き火を作り、そこから火を松明へと移す。それぞれ数本の松明を持ってきているが、2本目以降は前の松明から火を接げば良い。

 

 千空、アキ、フユが手に松明を持ち、ナツとハルは石槍を構える。全員が松明を持ってしまうと襲われたときに戦うことが出来ない。そのためにアイルー達を半分にわけた。

 

「よし、行くぞ」

 

 松明を前方に構えた千空を先頭に、ハルとアキがその後ろを。ナツとフユが後方の警戒をする。

 

(他のモンスターはむしろ火が好きとかだったら洒落になんねぇな)

 

 内心そんな考えを巡らせながらも、千空は木の間から周囲を警戒しつつ先へと進んでいく。なるべく物音は立てず、松明の火で視界が狭まらないように。アイルー達もそれがわかっているのか、いつものように騒ぐことなく静かに千空の後ろをついてくる。

 

 このあたりもアイルー達が成長しているところだろう。もともと狩りやこっそりとした行動なんてしていなかったであろうアイルー達が、千空が細かく教えないでも見るだけでそれを真似している。

 

 いや、おそらくは。

 

(理解、してんだろうな。行動の意味を。知能が高いにしても、ここまでになるもんなのか?)

 

 アイルー達は、千空が教える行動そのものだけでなく、なぜその行動をするのか、という意図まで理解している様子を見せる。教える側としては楽だし、その知能の高さが、人間以外の知的生命体の進化の過程のようで見ていて興味深かったりもする。

 

 そうこうしているうちに、先程引き返したあたりまで戻ってきた。木の幹につけてあった傷を千空が確認し、そこから一歩踏み出したと同時。

 

 ガサリ、という音と同時に少し離れた場所の茂みから二匹のジャギィが飛び出してきた。全長1.5から2メートルほどだが、その半分程は細長い尻尾と長い首で占められている。オレンジと紫の鮮やかな色合を持った小型の肉食恐竜のような見た目だ。

 

 茂みから飛び出した後、空中の匂いを嗅ぐような動作をしたジャギィは、そこからキョロキョロと視線を巡らせた後、千空たちに目を止める。

 

 そして空へと顔を上げて、遠吠えを上げた。

 

 ギャウギャウと響く普段の鳴き声ではなく、喉を張って響かせるような低音の遠吠え。以前初めてジャギィに遭遇したときにそれが何なのかと見ていた際には、迫ってきた多数のジャギィに命の危険を感じた。それ以降はジャギィが気づく前に避けるか、遅くても遠吠えを上げた段階で逃げ出していた。

 

 だが今回はそうすることは出来ない。

 

(ここで逃げたら意味がねえ。引いたら何もわからなくなる。だからギリギリを。ギリギリ逃げれるところをつかねえと)

 

 ジャギィが遠吠えを上げると同時に、千空達はゆっくりと後退を始める。ジャギィから離れすぎないように。しかし、他の個体が集まってきたときにちゃんと襲われて、かつ逃げられるように。

 

 そのために縄張りのギリギリの場所に来た。ここであれば、来るジャギィはすべて前からになる。たとえ囲まれても、後ろ側へ走って突破すればその先に他のジャギィがいる可能性はほとんどない。

 

 こんな危険な真似をしているのにはしっかりと理由がある。今千空達は、身を呈しての実験を行おうとしているのだ。

 

 松明、つまりは火の有用性を試すとして、少数のジャギィ相手であれば石槍でも牽制することで安全が確保できてしまうために火の有用性が確認できない。かといってジャギィの群れの中に突撃して火が通用しなかったときには、それこそ命に関わる。

 

 だからこうして、できる限りの退路を確保した上で実験に挑んでいる、というわけだ。ここから後退するルートも走りやすい道を通ってきたため、逃げる際には足場を気にせず走ることができる。

 

 焚き火を作ったあたりまで後退する頃には、最初に茂みから現れた個体を含めて10匹ほどのジャギィの群れが千空達の前側に立っていた。うち数匹が回り込もうとしてくるものの、千空達が木を盾にしながら後退していくので囲まれずにすんでいる状況だ。

 

「止まれ」

 

 千空が空いている右手を上げながらそう指示を出すと、じわじわ後退していたアイルー達が千空に合わせて足を止める。

 

 ここからが本番だ。

 

 アイルー達の足を止めたまま、千空は松明を前に突き出して正面から接近してきているジャギィの1体に自ら近づいていく。その千空を警戒したのか、追跡してきていたジャギィが足を止めた。

 

 一方千空はゆっくりとだが、確実にジャギィとの距離を詰めていった。ジャギィの一飛びでも届かない距離から、千空の一歩で届く距離へ。そして──

 

「(下がった!)」

 

 松明とジャギィの距離が腕一本を切ったところで、ジャギィが一歩後ずさる。

 

 続けて一歩。また一歩。前に出てくる千空に合わせてアイルー達も移動した結果、焚き火のあたりまで後退していた一団は、再びジャギィと遭遇した位置まで来ていた。

 

 その間に周囲を取り囲んだジャギィの群れは威嚇するように鳴き声を上げているものの近づいてくる様子を見せない。そのまま千空が正面から外れて、周囲のジャギィを追い払うようにアイルー達の外をぐるりと廻ると、それに押されるようにしてジャギィが包囲網を広げる。

 

(火にはビビってんな。後はどの程度有効か。追い払えるかいちかばちかやってみるか)

 

 ひとまずジャギィは火を嫌い、避けようとすることはわかった。後はそれがどの程度有効か、そしてジャギィがどの程度執念深いか、だ。たとえ火を嫌って距離を取ったとしてもずっと囲まれたままでは落ち着けないし、隙を見せた瞬間にやられる可能性がある。

 

 ここから追い払えるか。

 

 背負った革袋から予備の松明を取り出した千空は、右手に持ったそれを左手に掲げた松明の火を使って灯す。

 

 そして再度近くのジャギィに近づくと、今度は自分から勢いよく踏み込んで右手の松明を振り回した。

 

 舞い散る火の粉に、直前まで一歩ずつ後退していたジャギィが今度は大きく飛び下がり、一層激しく威嚇の声を上げる。

 

「アブナイニャ!」

「センクー!」

 

 アイルー達が驚きの声を上げる。それに応えないまま千空は他のジャギィにも向かって松明を振り回し、最後には近くにいた1体に向かって燃え盛る松明を投げつけた。

 

 それは命中こそしなかったもののジャギィの背中をかすめて近くに落ちる。そこから大きく飛び退ったジャギィはわずかに身を捩るようにした後、背を向けて走って逃げていった。それに続くようにして、他のジャギィも背を向けて去っていった。

 

 おそらく、ジャギィは知らなかったのだ。人がどのような存在なのか。脅威なのか脅威ではないのか。餌となるのかそうではないのか。

 

 それを確かめるために、いきなり襲いかかること無く観察していた。

 

 だが、ここで千空が脅威を示した。自分たちが、人間が脅威であるということを認識させた。アイルーたちに対する認識はどうかはわからないが、ジャギィは千空を脅威だと認識しただろう。

 

「よし! 帰って計画練んぞ。本格的に、海への道を切り開く!」




ジャギィが思ったより脅威で書いてて(火だけじゃあ解決しねえな?)ってなりました。



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石神村がどう原作から変化しているかについて。  モンハン世界だとハンターのいる村になってるかな、とか、自然の生命力が高いので原作より人が生きてそうだなとかあります。 後は、石神村は原作だと鉄を扱うという考えがなかったので、武器はボーン系、モンスターの骨を加工したのとかがメインかなとか。 回答選択肢はたくさん作っておきます。

  • 原作そっくり。モンスターは避けている
  • 規模は原作 ボーン武器でモンスターと戦う
  • 規模が大きい ハンターいる
  • モンスターに襲われるので規模は原作
  • モンスター素材加工で発展した村
  • モンスター素材加工でちょっとだけ発展
  • モンスターによって滅亡の危機(イビル等)
  • 瑠璃を助けるのに秘薬がいる
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