Dr.Monster~科学でモンスターの謎を暴け~   作:アママサ二次創作

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第2話 火起こし

「んなんっだありゃあ……! 何がどう進化したらああなる! しかも進化の規模の割に時間が短すぎる! っつかあのサイズであの動きはありえねえだろ! どういう理屈だ……?」

 

 千空の言う“ありえない”は。

 『ありえないから信じない』ではない。

 『自分の知っている常識の中では存在しえない。ということは自分の知らない何らかのルールがあるはずだ』。

 

 そういう、現実ではなく自分を疑うための“ありえない”なのだ。

 

 まず進化元や進化の速度もそうだが。あの大きさであそこまで素早くまた大きく動くというのが千空の常識を超えていた。

 

 巨大な生物『恐竜』の代名詞であるティラノサウルスは、時速5キロ程でしか移動できなかったという。そう考えられる理由は色々とあるが、そのうち主となる理由の1つとして、『ティラノサウルスの体が、あの巨体を走らせる衝撃に耐えられない』というものがある。

 

 他にも、特撮の光の巨人に関する話もそうだ。ものが大きくなるとき、この世界の重力や体積の関係でいえばそのままの比率で大きくなるとバランスを保てない。面積が2乗で計算される一方体積は3乗なので、もとの値が大きくなるほど体積が莫大な数字になっていくからだ。

 

 即ち。巨人を考えるなら、人間よりも遥かに体に対して巨大な支えがいる。

 

 そういったルールから考えると、千空の遭遇した2体は遥かにその想像を超えていた。

 

「唆るぜ……つってられねえな。猛獣なんてそうはいないと思ったが……」

 

 現代日本における猛獣なんてたかが知れている。危険なのは熊ぐらいで、後は動物園から逃げ出した猫科の奴らぐらいのものかと思っていた。

 

 だがああいうのが他にもいると考えると、もはや猛獣どころの騒ぎではない。絶対的な死である。

 

(つっても出来ることは限られる。まずは火の確保……のための石器の確保か。鋭利なものがねえと話になんねえ。飯は……魚か野生動物か果物か。つかあんなのがいるなら野生動物も魚も滅びてんじゃねえのか?)

 

 今のところ、鹿や猪、兎といった狩の対象となる動物はほとんど見つかっていない。鳥は今まさに目の前を一匹飛んでいるので、いなくなっているということはなさそうだが。

 

(奴らがいるってことはその餌はいる。ただそいつが俺の手に負えるかどうか)

 

 一番悪いのは、千空の立ち位置が生態系の最底辺となることである。逆に言えば、上位が高い位置にあっても兎のような草食動物がいればやりようはある。

 

「となると……川だな」

 

 まず第1は水の確保。続いて食料だ。衣食住の確保が現状の千空にとっては最優先事項となる。千空の大好きな研究も開発も、命が無ければやっていけない。

 

 取り敢えずの目標を立てた千空は、まずは川を探して歩き始めた。先刻黄色と青の巨大な生物を見下ろした際、そこから千空の逃げた先の低い位置に川が流れているのを確認していた。ひとまずはそこを目指す。

 

 水は、大事だ。人は水が無ければ3日しか生きられない、なんて言われているが。万全の状態で活動できる時間はそこから更に短くなる。更に不衛生は病を生む。特に清潔に慣れた現代人にとって、水は欠かせない。

 

 裸足であるため足元が柔らかそうな草になっている場所を選びながら歩いていくと、やがて川へと行き着いた。見たところ水は綺麗そうである。というか、3700年もあれば多少の汚れなんてものは浄化されてしまうのだろう。

 

「あー水がうめえ」

 

 川に寄った千空は、まず水を何度か手にすくって飲んだ。体力0の千空にとっては、ここまで30分ほど自然の中を歩くのもそれなりに体力を消耗する活動だったのである。

 

(取り敢えず水の確保は出来た。なら次は……火を焚いて大丈夫なのか? いや、どっちにしろ火がねえと飯も食えねえんだ。最低限火をつける方法を確立しとかねえと)

 

 先刻の生物を思い出して火を焚くことを一瞬躊躇するが、火は文明の基本である。食事は当然のことながら、他にも科学文明の発達には欠かせないものなのだ。金属を酸化物から取り出したり、液体を蒸留したり。火が無ければ科学は始まらない。類人猿からの人類の進化も、火が使われるようになってはじめて起きたと言われてる。

 

(きりもみ式じゃあ流石につかねえだろうな。俺には体力はねえ。とするとひも使うしかねえが……やってみるか。トライ・アンド・エラーだ)

 

 再度近くの森に入った千空は、太めの木の割れた欠片と細い木の枝、それに腰に巻いているのと同様の蔦を持ってくる。それと石を用いていわゆる紐錐式火起こしというのを試してみようとしたが。

 

(無理だな。弦には柔軟性がねえ。となると……繊維をなんとか取り出してみるしかねえな)

 

 紐として扱うにはそのままの植物の弦では不完全で、火起こし以前に上手く木の枝に巻きつけることが出来なかった。

 

 そこで、植物から取れる繊維を利用して紐を作ることを考えたのである。

 

(どうする……取り敢えず素手で割いてみるか)

 

 蔓の外皮から順に手でそーっと剥がしていく。紐にするからには多少の長さが無ければ意味がない。ガサガサな外皮部分が繊維として機能するかはやってみるしか無い。

 

(あー、駄目になるとこも多いが長い状態で取り出せる部分もあんな。これが繊維、だな。ちーとばかし量が足んねーか)

 

 持ってきた蔓を裂き終えた千空は、それを飛ばされないように近くの丸い石に巻きつけておき、再度森に入って複数の蔓を回収してくる。そして再び同じように繰り返す作業。

 

 集中することで空腹をガン無視していたが、既に昼時は大きく過ぎている。

 

 作業を続けること6時間ほど。なんとかある程度揃った繊維を今度は撚り合わせてより太い紐を作る。この作業は単純で時間がかかるものの、失敗する心配は無かった。

 

「よし……これなら大丈夫だ」

 

 完成した紐をある程度触ってみた千空は、それが火起こしには十分使えそうなことを確認し、先程拾ってきていた湾曲した木の枝の上と下側に結びつけ、弓のような形をつくった。

 

(こりゃ石器もすぐに必要だな。道具なしじゃあ木の加工が死ぬほど面倒くせえ)

 

 そんなことを確認しながら火起こしに必要な道具や薪を揃え、ようやく。

 

(文明は火から始まった。ならまた俺がここから。最初の火から文明を初めてやる)

 

 セルロースが出すガスの酸化による発熱。

 

 そして発火。

 

 人類だけが火を操る。

 

 夜になる直前にようやく灯った焚火の前で、千空は大きくガッツポーズをした。




もともと原作の火起こし周りの描写は納得いってなかったので自分なりに書きました。Dr.STONEがそのあたりの細かい描写を省いて多くの人が読みやすい漫画を目指しているのは理解できるんですが、だからこそサバイバルやものづくりの描写が好きな自分は気になってしまいました。

そんな自分がひたすらサバイバルだったり自然の中での生活をする主人公を書いた一次創作を張っておくので、是非読みに来てください。


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冒険の中に生く~冒険に憧れたプレイヤーは、現実となったゲームの世界を攻略なんて無視して冒険する。家、武器、道具、鎧そして料理。全部作るから街には戻らない。世界の果てを見てきてやる~


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ものづくりの描写に関して。 原作のドクターストーンでは、作者様が非常にうまいことものづくりの細かい描写を省いています。そしてその適度さもまたドクターストーンの魅力だと思います。そう考えた時にこの小説における細かい描写は邪魔になったり鬱陶しいものになるんでしょうか。みなさんの意見を聞きたいです。

  • 細かい原理はいらない(〇〇を作るで十分)
  • 細かい原理もほしい。
  • 多少細かくほしいが厳密さはいらない
  • うまいこと考えろ
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