Dr.Monster~科学でモンスターの謎を暴け~   作:アママサ二次創作

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第19話 竪穴式住居・2

 千空が、なぜこの海の近くに竪穴式住居を作ろうと思ったのか。それにはまず、『家を複数作ろうとしている理由』の説明が必要だ。

 

 今現在、西暦5700年と少々。世界から人が作った建築物などの痕跡は失われ、更に生態系が大きく変化して、人類にとってより厳しい大自然が広がる世界となっている。

 

 そんな中で、今の千空には、()()()()()()()()()

 

 こう言うと語弊があるかもしれない。正確には、『安全な生活が担保される、半永久的に定住出来る場所』が存在していない、だ。

 

 考えても見て欲しい。

 

 石化前の現代において、家というのは基本的に、そこに帰れば安心の生活の絶対的な基盤と出来る場所であった。火事や地震など有事があればそれも失われうるが、そんなのは一生に一度経験するかどうか。そんな安定した家を、技術や社会という構造によって担保されていた。

 

 竪穴式住居が活用された縄文時代でもそれは変わるまい。複数の人間が群れを無し、住居群を作って生活する。それだけで、少なくともかつて日本、いや、石化以前の世界に存在していた猛獣ですら簡単には手を出すことが出来ない、集落という名の要塞が出来ていた。狩猟採取ならではの食料不足などで移動を余儀なくされたとしても、それは計画的に、自発的に行われるもので、少なくとも家というものの安全性は確かなものだったはずだ。

 

 かたや、今、どうだ。千空とアイルー達が生活している拠点は、本当に安全か?

 

 樹上に作ったので、少なくともジャギィのような小型のモンスターに襲われることはあるまい。だがこの今の世界には、全長10メートル以上、翼を広げれば横に15メートル以上あるくせに平気で飛び回り、あまつさえ火球を吐き出して地面や木を吹き飛ばすモンスターが存在しているのだ。たった1つの家。守るための武力も城壁ももたないそれを、どうして安全といえようか。

 

 だからこそ千空は、複数の拠点をいずれは築いていくつもりなのである。少なくとも千空以外にも複数の人間が復活し、モンスターの縄張りにこっそり間借りするのではなく、人のテリトリーを形成できるようになるまでは。

 

「ちゃんと踏み固めろよ。 お前らもここに寝たりするんだからな」

「ニャア……」

「疲れたニャ」

 

 日をまたいで掘り出した穴の床と側面に積まれた土を、全員で踏み硬め、体重の足りないアイールたちは丸太の平らな面でついてガッチリと固めていく。非常に疲れる作業だが、今後使っていく場所なので丁寧に、時間をかけてガッツリ踏み固める。ちなみに雨がここで振ったらやり直しだ。

 

 床の面積はそれなりに広く。一時の倉庫と、ついでに最低限1人と4匹の寝床になる予定なので、少し広めにして置かなければならない。

 

 

 拠点をこの場所に作る2つ目の理由として、ここに来る予定が、言い換えるならば海の用事が一度ではすまないことがあげられる。

 

 今回千空が海に来たのは、塩を確保するためである。塩は食料とする以外にも様々な加工だったり科学だったりに使うので、今回それなりに作れたとしても、なくなればまた後日改めて作らなければならない。

 

 また加えて、海には他にも必要なものがある。例えば貝殻は炭酸カルシウムで出来ており、加工することで水酸化カルシウムとして活用が出来るし、海藻も同様に石鹸作りなどに有効な成分を含んでいる。

 

 そうした、資源の宝庫である海を活用するためには、資源を採集する拠点となる場所が必要だ。

 

 ツリーハウスの拠点からこの海まで8時間。慣れれば6時間ほどでつくかもしれない。それだけの時間をかけてやってきて、ここで例えば塩を作る。だが塩を作るためには色々な道具が必要になる。今回は持ってこれなかった大型の土器なんかもそうだし、塩作りの間生活するための食料などもだ。

 

 いちいちそんな用意を毎回して毎回持ってきて、毎回時間をかけて最低限の生活環境を整えつつ採集、なんて手間なことはやってられない。

 

 だからこの海の近くに拠点を作り、そこに海の近くでの活動に必要なものや、最低限の食料などを用意しておくのだ。そうすれば、最低限移動に必要な装備でツリーハウスを出発して、海近くの拠点に寝泊まりするとともに必要な道具を回収して採取、その後道具はここに置いて、採取した必要なものだけを持ち帰れば良い。

 

 今すぐ、今回の遠征ではなく、今後の生活基盤を考えてのことだ。

 

 

 という説明を噛み砕きつつアイルー達にはしたが、伝わったかどうかは微妙なところである。

 

「今後のために、ってことだな」

「役にたたないかニャ?」

「今じゃねえ。明日の明日の明日のずっと明日に楽できんだろ」

「ずーっと明日ニャ」

「そうだ。今じゃなくて、そのときに役に立つものを作ってんだ」

 

 時間の概念というのが、まだアイルーたちにはあまりわからないらしい。毎日その日を生きる、という生活をしていた彼らに、明日、明後日、来年、逆に、昨日、一昨日、一季節前、去年という概念を与えたのは千空だった。

 

 それを理解してもらうために、こういう会話も良くしている。特に土器関係の待ち時間であったりとか、来る冬の為の準備など、アイルー達が理解している、受け入れている時間を使ってなんとか理解してもらおうと努力している最中だ。

 

 

 

 

******

 

 

 

 全員で床を固め終わったら、今度は壁と屋根となる部分の建設。これは基本的には大量の丸太を使うので、全員で森に入って木を倒すことになる。

 

「いいか、まっすぐな木を探せ。曲がってたら使えねえ。それと短すぎてもだめだ。ちゃんと、ここからここまでの長さがあるやつだぞ」

「わかったニャ!」

「長いの探すニャ!」

「太さはわかってるか?」

「これぐらいだニャ!」

 

 手を使って太さを表現するアイルー達に、千空はよし、とうなずく。

 

「それがたくさんいる。切ったらここまで持ってきてくれ。ある程度集まったらまた指示する」

 

 そこから二手ほどに別れて、それぞれ木を切りに出発した。

 

 竪穴式住居の骨組みは、まず掘り下げた床部分に正方形に支柱を4本建て、4本の上部分に地面と平行に正方形に丸太を乗せたものを基礎とする。そしてその基礎の上に、ぐるっと周囲に盛った土の外側からもたれかからせるように垂木を設置し、それを一周分。四方八方から同じ角度で中央に向けて木をもたれかからせることで家を構成する。石化前の現代の建物のように、地面に垂直の壁と、地面に平行の屋根があるのではなく、斜めになった壁が天頂部で合流することで屋根も兼任するような形になる。

 

 そして垂木とそれに横向きに結びつけた木の棒で出来た壁兼屋根の基礎に、木の葉だったり木の皮だったり繊維で作った布だったり藁だったり下生えの植物だったりを結びつけることで、風も雨も防げる家にするのだ。

 

 ちなみに今回は、周囲に大量の熊笹、一枚の葉が普通の笹を5枚合わせて手のひらのようになっている植物があるので、これの葉を使おうと考えている。

 

 と。森の中で良さそうな木を見つけた千空が、それに斧を叩きつけようとしたところで。

 

『GRUAAAUAOOO!』

『UGUAABOAAAUA!』

 

 遠方から響く音に顔をしかめる。

 

「また、でかいのが喧嘩してんのか」

 

 石化後の世界での生活で時々聞く音。1度探索で高所にいるときに、崖の下で青と黄色の狼のようなモンスターと、黒い毛並みに白いさしが入った一回り二周り小柄なモンスターが向かい合っているのを見たときにその音の正体に気づいた。

 

 縄張り争いか威嚇か、あるいは己を奮い立たせるような意味があるのか、モンスターたちは争いの最中に大声で咆哮を上げることがあるのである。最初の頃は、これを聞いたらたとえ遥か彼方であっても慌ててアイルーたちの巣に隠れていたが、今はその声の大きさから遠方かと判断出来たときには気にしないことにしている。

 

 というのも、生態系が変わった上に自然が生命力に溢れているからか、あちこちでモンスター同士が喧嘩しているようで、日に一度は咆哮をきくし、多いときには日に何度も響くときもあるのだ。川の近くは安全地帯となってるようで並んで水を飲んでたりもするが、一度ツリーハウスの間近で大音量の咆哮が響いて慌てて逃げたのは苦い思い出である。

 

 遠いとはいえ、一応木を叩く手を止める。今の咆哮は、いつも無視している距離よりは少しばかり近かった。

 

「せんくー」

「一旦木叩くのやめろ。しばらく皮剥いで笹集めんぞ」

「リオレウスにゃ、声でわかるニャ」

「またか……」

 

 下手に大きな音を出して、縄張り争いで気のたっているモンスターを引き付けては敵わない。

 

 そんな千空の指示に答えつつ、モンスターの咆哮を聞き分けることの出来るアキが言う。聞き分けることが出来るといっても特に良く聞くモンスターの声がわかる程度なので、2種類ぐらいしかわからないらしいが。

 

 そんなアキが言ったリオレウス、と名付けたモンスター。千空が目を覚ましてすぐに襲われかけた、赤を基調にところどころ黒い鱗を持つ飛ぶモンスターのことを言うらしい。翼を持っているために活動範囲が他の地を行くモンスターと比べて遥かに広く、またそれなりに好戦的なためにあちこちで色んなモンスターと喧嘩をしているらしい。千空は未だにその鳴き声を聞き分けられないが、将来的に広範囲に探索することを考えると聞き分けられるようになりたいものだ。

 

 

 

 その後、おそらく同じ争いをしている2頭のモンスターが吠えまくってくれたおかげで周囲にいた小型の動物類や鳥なども完全に引っ込んでしまい、そんな中で木を叩く音を出す気にもなれなかったので、その日はすでに集めている木材の皮を剥がしたり、壁に貼る熊笹を集めたりした。

石神村がどう原作から変化しているかについて。  モンハン世界だとハンターのいる村になってるかな、とか、自然の生命力が高いので原作より人が生きてそうだなとかあります。 後は、石神村は原作だと鉄を扱うという考えがなかったので、武器はボーン系、モンスターの骨を加工したのとかがメインかなとか。 回答選択肢はたくさん作っておきます。

  • 原作そっくり。モンスターは避けている
  • 規模は原作 ボーン武器でモンスターと戦う
  • 規模が大きい ハンターいる
  • モンスターに襲われるので規模は原作
  • モンスター素材加工で発展した村
  • モンスター素材加工でちょっとだけ発展
  • モンスターによって滅亡の危機(イビル等)
  • 瑠璃を助けるのに秘薬がいる
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