Dr.Monster~科学でモンスターの謎を暴け~   作:アママサ二次創作

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第5話 It's Fantasy

 昼食を終えた千空は複数の石器を持ち、拠点から離れて移動を開始する。記憶をたどって、一夜を過ごした川を経由して最初に目を覚ました場所を目指すのだ。

 

 やはりと言うべきか、巣を離れて歩き出す千空に4匹の猫達は楽しげについてくる。途中でフラフラと離れていっては何かを拾って戻ってきてそれを千空に差し出してきたり、先に走っていっては千空の方を振り返ってみたりと、まるで落ち着きのない子供のようだ。その姿に思わず千空も笑みをこぼしてしまう。これが本当に人間の子供であったならそんなものは見せないのだが、相手は猫だからと気が緩んでしまうのである。

 

「おい、俺に手は2つしかねえんだ。そんなに持ってこられても持てねえぞ」

 

 千空も知らない大型のきのこや、何らかの効能を持つであろう草、石の塊など持ってこられるのだが、生憎それを受け取れるほど千空のキャパシティーは高くない。そんなに首をかしげられても困るのである。

 

(革袋を作るか……こいつらに物を集めてきてもらうのにも使えるしな。それかカゴを編むのもありか。どっちにしろ保存とかにも使えるしな)

 

 そんな思考を並列で行いながらしばらく歩くと、以前一夜を明かした川に行き着いた。雨が一度降ったものの焚火の後は完全には流れておらず残っているのが伺える。

 

 そしてその隣には、白い毛や黄色い欠片のようなものが落ちていた。見覚えがある。おそらくは、あの巨大な動物の痕跡だろう。

 

(危ねえ、拠点移しといて良かったぜ)

 

 ただ水を飲みに来たのか、それとも焚火に興味を持って近づいたのか。とにかく、あの巨大な生物がここに来たのは間違いないだろう。

 

 と。

 

 上空から何やら羽ばたく音が聞こえてくる。視線を上げると、巨大な何かが川めがけて降下してくるのが見えた。

 

「やべえ!」

 

 千空がそれが先日のような飛べる怪獣であると認識するのとほぼ同時、手が後ろへと強く引かれる。振り返ると猫のうち一匹が千空の手を引っ張っていた。他の個体も我先にと森に向かって走り込んでいる。千空よりも長く生きているであろう彼らにとっても、あれは危険な存在なのだ。

 

 慌てて森に駆け込んだ千空と猫たちが見守る中、降下してきた巨大な生物は川の向こう側へと降り立つ。

 

 それは、先日千空の見た生物とは大きく異なっていた。先日見た怪獣は、顔まで巨大な鱗か殻のような組織に覆われており、ファンタジーに登場するドラゴンの一種のような見た目をしていた。

 

 だが、今目の前にいる怪獣の頭部は巨大なくちばしを備えている。ちょっとしたくちばしではなく顔全体の大部分を占めるような大きさのくちばしだ。それを使って水を掬うようにして飲んでいる。体の大部分は赤い鱗に覆われており、鳥類にしては頑丈過ぎる足の先には大きな鉤爪がついているのが見て取れた。

 

(前も思ったが、やっぱでかいやつはどいつもこいつも鱗があんな。爬虫類が進化したのか? 爬虫類と鳥の遺伝子が混ざった、にしてもやっぱでかすぎるか)

 

 特徴から推察を行っている千空にたいして、猫たちは逃げないのかとその手を引っ張ってくる。隠れているので大丈夫かとも考えたが、自分よりもこの環境で長く生きているであろう猫たちに従おうと一歩後ずさった千空の足が。

 

 小さな枝を踏み折った。

 

 ベタな出来事だ。やらかした。

 

 千空の見ている前で怪獣のたたまれていた耳が開き、千空たちのいる方向へと向く。そして顔を上げると、口から燃え盛る何かを吐き出した。

 

「はっ!?」

 

 思わず叫んでしまった千空は、猫に引っ張られるようにして左に体勢を崩した。その右1メートルぐらいの位置に炎の塊が着弾し、一瞬激しく燃え上がる。そしてそのまましばらく燃え盛っていた。

 

「火を吐くのかよ!? ファンタジーじゃねえかんなもん……!」

 

 怪獣が咆哮をあげているのを背中に受けながら、千空と猫たちは全力でその場所から逃げ出す。一番後ろに置いていかれそうになる千空は必死で置いていかれないように走った。音を聞く限りでは追われているようには思えず、千空が数度転び息も絶え絶えになる頃。ようやく猫たちが足を止めた。それを見て危険は去ったと考えた千空は、自分も足を止めてその場所にへたり込んだ。

 

「ひぃ……はぁ、はぁ、ふぅーー」

 

 なんとか息を抑えようとしながらも、思考は先程見た怪獣のことを考えていた。

 

(火を吐くって、どういう、あれだ? 体内にアルコールでも溜め込んでんのか? それを吐き出しながら口のなんかで火花でも起こせば確かに火はつくが……塊になってとんできたのが解せねえ)

 

 なんとか息を取り戻しつつあった千空が猫たちの方を向くと、うち二匹が何やら草のようなものを千空のところへと持ってきた。

 

「あ? どうすんだそれ」

 

 千空がそう話しかけるものの答えはなく、猫たちはそれを手ですりつぶしたり口で噛んで潰す。そしてそれを、千空の擦りむいている膝や肘、上半身などに貼り付けるようにしてくっつけてきた。

 

「止血か? よもぎみたいなもんか」

 

 そう言っている間に痛みが引いていくのを感じる。そして更に、口元に突きつけられたその草を食べると少しばかり苦い感じがしたものの、体が楽になるのがわかった。

 

「あ? なんだこれ……薬物みてえなもんか? 中毒になるとまずいな」

 

 見たことのないそれを猫たちの持ってきたものだからと安易に受けいれてしまったが、少しまずかったかもしれない。千空がそう考えていると、傷口を抑えていた猫たちが手を離す。そして、押し付けられていた草も剥がれて落ちる。

 

 そして。

 

「傷が……ふさがってんのか?」

 

 擦りむいていた傷の大部分がふさがっているのが見えた。大きく擦りむいていた膝の怪我などは完治はしていないものの、それでも大部分がふさがっている。

 

「……その植物も調べる必要がありそうだな」

 

 猫たちが持ってきたということは、おそらく回復させるために使える、ということを知っていたのだろう。どういう原理で回復させているかはわからないが、上手く使えれば怪我の対処に使える可能性が高い。科学文明の『か』の字も無いこの世界では、怪我は致命的だ。それを回復できるのはありがたい。特に、あんな怪物がたくさんいるような場所では。

 

「一回帰るぞ。なんも用意しねえで出歩くのは危ねえ」

「にゃ?」

 

 見上げてくる猫たちを連れてツリーハウスまで歩いて戻る。道中、先程傷を塞いでくれたのに似ている草はある程度回収するように気をつけた。それなりにあちこちに生えているようで探すのには困らなかった。千空がそれを集めているとわかった猫たちもそれぞれに集めて腕に抱えてきてくれたので、それなりの数が巣に戻るまでに集まった。

 

 

 

******

 

 

 

「……よし。先にできる限りの装備を整える。んで……あの場所に行ってどうするか。あっちにも拠点を作っちまうか? コイツラの手伝いがあればまだマシだろうが……」

 

 思考を巡らせた千空は、まずはなめしが終わった革を使って自分用の服と革袋を作ることにする。

 

 針がないので、基本的に縫うという選択はあまり取りたくない。となると羽織るような構造にし、要所だけを繊維から作った紐で止める形にして作れば良い。他には、ベルトのようなパーツを作って腰などは縛っておけば動きやすくなるだろう。

 

 ある程度の設計図を脳内で立てた千空は、石器を使って木の板の上に置いた革を裂いていく。基本的に細かい作業は出来ないので、ある程度ゆるい服になる。最悪寒さや風なんかがしのげれば良い。そもそも人間は他の動物と違って表皮が弱く毛で保護されていないので、何かしらで体表を覆わなければいけないのだ。

 

 千空が革を裂き、穴を開けていくのを猫たちは興味深げに見ている。

 

(こいつら、ほっといたら勝手に服作っちまいそうだな。まあ革の余裕は多少はあるから良いか)

 

 腕を通す穴や袖となるパーツなどを作り、穴を利用して紐を通していく。1枚の布から作るので前開きの布からつくって前は紐でしめて閉じれるようにする。ダボッとした貫頭衣のような構造になるので、腰のあたりを太めの紐で縛る。

 

 数時間かかって、夕刻にはようやく千空の分の服、それに非常に簡易的ではあるが革で作った靴が完成した。靴の方も、人間の弱い足には必須である。千空の足の裏はもうボロボロであった。痛みには無視することで対応しているものの、それも割りときつい。

 

「あ、さっきの草足にも使えるんじゃねえか?」

 

 そう思いついた千空だが、それは今すぐにはやらないことにする。あの草の効能を確認するためにも条件をわけて実験したい。自分に使うというなら、怪我も大事な実験台である。

 

 

 

 こうして衣食住のうち、衣と食が揃った。後は、住を揃えるのみ。そして。

 

「待ってろよ大樹。準備したら絶対てめえを叩き起こしにいくからな」




状況が原作と違うので、大樹を起こすのもかなり大変です。洞窟に放置して目を覚ました大樹が自分で歩き回るとすぐ狩られそうなので、そのために千空が拠点を移すかとかも考えないといけません。

どうするかな……アイルーに手伝ってもらうか。




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石神村がどう原作から変化しているかについて。  モンハン世界だとハンターのいる村になってるかな、とか、自然の生命力が高いので原作より人が生きてそうだなとかあります。 後は、石神村は原作だと鉄を扱うという考えがなかったので、武器はボーン系、モンスターの骨を加工したのとかがメインかなとか。 回答選択肢はたくさん作っておきます。

  • 原作そっくり。モンスターは避けている
  • 規模は原作 ボーン武器でモンスターと戦う
  • 規模が大きい ハンターいる
  • モンスターに襲われるので規模は原作
  • モンスター素材加工で発展した村
  • モンスター素材加工でちょっとだけ発展
  • モンスターによって滅亡の危機(イビル等)
  • 瑠璃を助けるのに秘薬がいる
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