Dr.Monster~科学でモンスターの謎を暴け~   作:アママサ二次創作

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第6話 文明の第一歩

 千空の分の衣服を揃えた翌日。ツリーハウスの完成を急ぐ千空だが、やはりというべきか猫のうち二匹はそれを手伝ってくれず、鞣して保存してあった革で何やら工作をしていた。

 

(あー……まあ良いか。革袋に使いそうな分はこっちに確保してるしな)

 

 器用な手さばきで石器ナイフを使って革を切ったり穴を開けたりしている。一匹が革の上に寝ころがって切り抜く場所を決めたり、体に巻き付けて穴を開ける場所を決めたりと、先日千空がしたことの真似ではあるが多少は様になっているのが面白い。

 

 人の科学は、自然現象の再現やモノマネから始まり、やがてそこから原理を解明するに至った。そうして試行錯誤を繰り返すことで、少しずつ少しずつ、先へと進んできた。最初から答えがわかっているものなど存在しない。だからこそ、闇雲に試す。

 

 そういう意味では、今千空が見ている猫達の行動はまさに文明の最初期とも言えるものだろう。

 

(案外、俺が目覚めなかったらこいつらの文明が出来上がってたかもしれねえな。こいつらの種の個体がこいつらだけなわけねえし、もしかするとどこかにもっとでけえ集落みてえなのがあるのかもな)

 

 いつか、生活の基盤を築いて。探索を本格的に行うようになったときには、そんなものも見つかるのかもしれない。最もその前にはあの巨大な怪獣共を避けるための方法を見つけなければいけないだろうが。

 

「おーい、ロープこっちにくれ」

「ニャー」

「サンキュ」

 

 屋根を手掛けていた千空がそう声をかけると、手伝ってくれていた茶トラの猫が長いロープをまとめておいておいたものを手渡してくれる。それを使って屋根板を互いに縛っていき、壁に開けた穴も使って固定していく。それを見ていた猫が隣で同様に屋根板を設置しようとするが、完全に行動を真似できるわけではないのでロープを絡まらせて『ニャニャー!?』と悲鳴をあげていた。それを見た千空は思わず笑いつつ、助けてやることにする。

 

「あー動くな。動いたら余計絡まる。そうだ、じっとしてろよ」

「ニ、ニャァ……」

 

 しょんぼりした様子の猫の体に絡まっているロープをほどいてやる。そしてそれを使って、ゆっくりと何をしているのか実演してやった。

 

「良いか、この穴を通した後にここに通すんだ。そうするとこことここが引っかかって固定される。ほら、やってみろ」

 

 千空がそう言ってロープと次の板を手渡すと、猫は千空がやってみせたように思い出しながらの様子ではあるが、ほとんど同じように屋根を固定してみせた。やはり、手先が非常に器用である。千空がしてみせたそれと同じように不格好なのだ。おそらく、歪んでしまったところまでがその仕組だと認識してしまったのだろう。

 

(下手くそなところまで真似しなくて良いんだがな……。こいつらに色々教えてみるか? 俺がやらなくても色々やってくれるようになりそうだな)

 

 このあたりの矯正は、複数回やってみせることでその中の共通項を見いださせるか、上手く説明することができれば大丈夫だろう。

 

 千空がそう考えていると、革で遊んでいた二匹が鳴きながら二匹と1人の方へと走ってくる。

 

「なんだ?」

 

 そう考えていると、二匹のうち一方がその手に持っている革を千空に見せるように上に掲げた。それを取り上げた千空が広げてみると、二箇所の穴が空いていた。

 

「あー、なるほど。チョッキか。ククク、やるじゃねえかてめえら」

 

 それを持った千空は、それを持ってきた猫を引き寄せて目の前に立たせ、それを着せてやる。大きさをある程度測りながら作っていたようなので、初めて作った割には意外とちょうどいい大きさになっている。

 

 着せられた猫は体をひねるようにして自分がどうなってるか確認した、ガッツポーズをするように飛び上がりながら嬉しそうに『ニャー!』と鳴いた。

 

 すると、チョッキを着た一匹を除いて3匹が布の方へと走っていった。おそらくは、自分たちの分も作ろうというのだろう。

 

「器用だなてめえら」

「ニャー!」

「クク、じゃあてめえはこっちの手伝いだ。1人だけ先にそんなもん作ったんだ、ちゃんと手伝えよ」

 

 

 

******

 

 

 

 家の完成は、昼をすぎる頃にはかなりの部分が出来てきた。そのため千空は昼食を遅らせてでも完成させようとしていたのだが。

 

「メシニャー! メシニャー!」

「あ? 今なんつった?」

 

 全員チョッキを着た猫たちのうち一匹が、何やら言葉のような鳴き声をあげていた。それを空耳かと思った千空が手を木材の上に置いたまま視線を向けると、再び同じような鳴き声をあげる。

 

「メシニャー!」

「飯、つってんのか? 飯?」

 

 千空がそう問いかけると、その一匹はそれを肯定するように頷いた。

 

「まじか……真似するだけじゃねえのか」

 

 子供が言語を覚える際、それは音と、実際の行動やものなどを結びつけることから初められる。今まさしく、目の前の猫がやってみせたことだ。おそらくは、この昼という時間帯を太陽か体内時計から感じており、それと食事、そして『飯』という音を結びつけているのだろう。

 

「つか、お前ら声帯どうなってんだ」

「ニャー?」

「言ってもわかんねえか。よし、んじゃあ飯にすんぞ」

 

 言葉を理解する素養があるとはいえ、現段階では完全に理解はしていないのだろう。だが、教えればただオウムのように真似するだけでなく、話せるようになる可能性がある。

 

(教えてみるか、日本語を。そうすりゃあ意思伝達ができるようになる)

 

 焚火の側に行って木の板の上に積まれていた干し肉から塵を吹き飛ばしながら、千空はそんな予定を立てた。

 

 

 

******

 

 

 

 昼食が終わり、更にツリーハウスの外装の建築も終わり。一段落ついた千空は、猫たちに言葉を教えてみることにした。ツリーハウスはまだドアの部分に吊るすための布が用意できていないので風通しが妙にいい状態だが、それはまた罠を回ってあの草食のガゼルのような動物を捕まえることが出来ないと用意ができない。取り敢えず、今できることは終わったのだ。

 

「あ゛ー! 衣食住の確保、完了だ。随分早かったなここまで」

 

 そう言って、完成したツリーハウスの中で転がりまわっている猫たちを見る。足の裏や体表など汚れている猫たちが転げ回ると室内が汚れるだろうが、それは千空もたいして変わらないだろう。

 

「こいつらのおかげもでかいな。よし。おい、こっち来い」

 

 猫達に優しげな視線を向けた千空は、手を叩いて4匹の視線を集め、4匹に近づく。

 

 そしてそのうち、一番最初に出会った灰色の個体の前にしゃがみ込むと、その頭をなでながら、千空が新しくつけた名前を告げた。

 

「ありがとうな。お前はハルだ。よろしくな」

「ニャ?」

「ハル、ハル。お前の名前はハルだ。ほら言ってみろ。ハル。ハル」

「ハル、ニャ?」

「そうだ。ハル。ハル」

 

 首をかしげながら言ったハルの頭をなでて何度もその名前を告げる。それが、自分を呼ぶ名前だと理解させるのだ。

 

 それを、他の3匹にも実施していく。茶トラの個体をナツ、黄金色の個体をアキ、真っ白な個体をフユと名付けた。長い名前は理解し難いだろうし、あまり洒落た名前も思いつかないためこの名前にしたのだ。

 

「「「ナツニャ!」」」

「ニャアアア!」

「「「アキニャ!」」」

「ニャー!」

「「「フユニャ!」」」

「ニ、ニャァ」

 

 それがそれぞれの名前であると理解したのか、4匹は互いに名前を呼び合ってそれに返事するような行動で会話をしていた。

 

 こうして名前をつけて改めて観察してみると、それぞれの個体の特徴というのも認識がしやすくなった。言葉による認識の拡充や変化というのもまた、人間の進化、発展を促してきた大きな要因である。

 

 ハルは、4匹の中で一番明るい。どんなときでも明るく嬉しそうな『ニャ!』という声を上げるので、聞いていると元気をもらえる。千空のことを一番気にかけてくれているように感じる。

 

 ナツは、一番元気が良い。森を歩いていると、すぐに走ってどっかにいく。好奇心も特に強く、千空の行動をよく観察している。そのさなかも色々と鳴いて騒がしいのだが。ただしものづくりに関しては見ているのが好きなのか、紐やチョッキなどを最初に作ってみようと動き出すことは無かった。

 

 アキは、千空がやったことを自分で試してみるのが好きなようだ。紐や石器、チョッキなどを作り始めたのもアキだ。手先も器用で、千空が作った以外の2つの罠は両方アキが監修している。他にも、千空が作ってみせたことのないような中途半端な大きさの石器など、既に自分で何かを試す様子を見せ始めている。

 

 フユは、4匹の中ではほんのわずかにだが引っ込み思案なようである。他の3匹が撫でられているときも後ろで自分の番が来るのをじっと待っているし、他の3匹が何かを作っているときもそれを眺めているような様子が見受けられる。そしてアキに引きずり込まれて一緒にやっている。手先の器用さはアキよりも上だが、その消極性からアキを補助しているような感じだ。

 

 

 

 千空が4匹を観察していると、4匹が千空の足元に来てその足を叩いてくる。

 

「あ、なんだ?」

 

 千空がそう尋ねると、4匹は順に名前を言った後、千空の方を指してくる。

 

「名前か?」

「ナマエ、カ、ニャ?」

「違う違う。千空だ。『セ・ン・ク・ウ』だ。センクウ。『セ・ン・ク・ウ』」

「センクーニャ!」

「センクー!」

「あー、まあそれでいいわ」

 

 




アイルー可愛い! だけにならないように、言語を教えるのとか、なるべく進展が書けるようにしつつ、アイルーと千空の日常も書いていこうと思います。

ツリーハウス完成。
さてお次は……






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石神村がどう原作から変化しているかについて。  モンハン世界だとハンターのいる村になってるかな、とか、自然の生命力が高いので原作より人が生きてそうだなとかあります。 後は、石神村は原作だと鉄を扱うという考えがなかったので、武器はボーン系、モンスターの骨を加工したのとかがメインかなとか。 回答選択肢はたくさん作っておきます。

  • 原作そっくり。モンスターは避けている
  • 規模は原作 ボーン武器でモンスターと戦う
  • 規模が大きい ハンターいる
  • モンスターに襲われるので規模は原作
  • モンスター素材加工で発展した村
  • モンスター素材加工でちょっとだけ発展
  • モンスターによって滅亡の危機(イビル等)
  • 瑠璃を助けるのに秘薬がいる
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