Dr.Monster~科学でモンスターの謎を暴け~ 作:アママサ二次創作
というかなんかこの小説だけ僕の書いている小説の中でも評価が高すぎておったまげてます。最低が7て……愛されてますね! 千空!
突如として発生した煙の中から猫たちが持ってきた何かの実は、堅い殻に覆われていた。
「これがどうかしたのか?」
千空がそう尋ねると、しょんぼりとしていたアキがまだ溜まっている煙の中へと入っていき、しばらくして何かを手に載せて戻ってきた。何かが細かく砕け散った後のような破片。それを見た千空は、おそらくは自分の手にしている木の実に何かが起きた結果この煙が発生しているのだと気づいた。
「これが……取り敢えず割ってみるか」
破片を持ってきたということは、実を砕いてその粉かあるいは中身を何かと混ぜてしまったのだろう。そう考えた千空が渡された実を石の台の上において石器の斧でぶっ叩こうとすると、猫たちが慌てて止めてきた。そして煙の方を指差している。まるで、『ああなる』と言っているかのようだ。
「あ? お前らがやったみたいに別の何かと混ぜなけりゃあ大丈夫だろうが。ってか割ってみねえと何かわからねえよ」
猫たちが平気で入っていったところをみると問題の無いものであるというのはなんとなくわかるが、それでも自分の目で何なのか確認しておきたい。そう考えた千空は、猫たちの静止を振り切って石斧の側面で謎の実を強く叩く。相当に頑丈な殻をしているようで、かなりの力で叩かないとならなかった。
そして。
数度叩いた後、実が弾ける。そして中から勢いよく白煙が吹き出した。
「は!?」
その出来事の思わず固まった千空はすぐに口を塞ぐが、それまでに煙を吸い込んでしまった。だが思っていたような害はなく、ただ多少煙たくて咳き込むだけであった。それらの情報に一瞬で思考を巡らせた千空が煙の中に留まっていると、アキが来て千空を煙の外へと引きずり出してくれる。
「わり、ありがとなアキ。しっかしまあなんで煙が発生してんだ? 害は無さそうだが……まさか割るだけで煙が発生するとはな。しかもあの実1個からこの量か」
アキが石器で何やらしていたのはこれである。正確には、もう少し別のことを思いついて試している最中に失敗してしまったのだ。しょげていたのも、それが上手くいかなかったのが原因であった。
「こんな植物があるとなると、他のも全部調べてえな。何か使えるのがあるかもしれねえ」
一方の千空は、たった今割った実の存在に驚いていた。驚くべきは、実の大きさに対して煙の量、言い換えると煙の広がっている体積とその濃さが大きすぎることだ。おそらく同じ体積の小麦粉を空中にばらまいたところで対して視界は阻害されないだろう。一方で、この実を割った結果発生した煙はある程度の体積、それも人数人はすっぽり覆うほどの体積を視野ほぼ0にするほどの濃さがある。
煙というのは、気体の中に微粒子群が浮遊している状態をさす。おそらく今実から発生したのは、通常の焚火から出るような煙とは違う、植物由来のなにかの粉塵だ。微粒子のせいで咳き込みはしたもののそれも火の煙よりは弱く、また匂いがしなかったのである。
それを考えると、今発生した煙は、おおよそ人体に無害である、と思えた。少なくともわざわざ吸おうとしなければ害は無さそうである。もっともこの後千空が体調を崩すようなことがあればそれが煙のせいである可能性が高いのでまだ断言は出来ないのだが。
ただ、そう。通常は化学反応などで発生させる煙を、ただ実を割ることで発生させることができる。
「これは……目くらましに使えるかもしんねえな。まああいつらも動物である以上聴覚や嗅覚は人間より優れてるだろうが……試してみる価値はある、か」
今現在千空に最も必要なものは、この生態系の大きく変化した世界で、千空をも餌にする可能性の高い肉食生物達を避ける、あるいは退ける手段だ。ひとまずそれが確保できれば探索の危険度も大きく下がるので猫たちにすべてを任せること無くこの木から離れることができるし、大樹を、他の人間を救うための研究を始めることができる。
今現在千空は、自分で定めたスタートラインに達する前の状態なのだ。
「今は利用できるもんは何でも利用してえ。よく考えりゃあ、今まで襲われてねえからって今後もここが襲われない可能性はほとんどねえんだ。備えはあったほうがいいじゃねえ、無いと詰みだ」
千空の見ている前で、煙は次第に拡散して向こうが見通せるようになってくる。視界が通るほどに薄れるのにかかる時間はほんの数分。
だがその数分を稼ぐことができれば、あるいは距離を取ることが、逃げることができる。
「おいお前ら」
煙が薄れた後に入って砕けた実の破片なんかを掃除している猫たちに声をかける。そして自分が砕いた実の破片を手のひらに乗せると、それを猫たちに示しながら森を指差す。
「これと同じもんを持ってきてくれ。他にもなんでも良い。とにかく色々持ってきてくれ」
そう言うと、先程ナツに使わせた革袋の中身を一旦ツリーハウスの中に放り出しておき、それともう一つだけ完成している革袋を猫たちに渡す。それを持って森に行って、持てるだけのいろいろなものを持ってきてほしい。
その意図が伝わったのか伝わってないのか、猫たちは革袋を受け取ると2匹で1組となって森の中へと走って行った。その後ろ姿を見送って、千空も自分の革袋作りの作業へと戻る。
「とっとと言葉も教えねえとな。今のままじゃあ現物が目の前にねえと指示が出来ねえ」
******
革袋作りがまた1つ終わり一段落ついたところで、千空はとあるものを思い出す。そしてそれを保管、もとい放り出してある猫たちの元の巣を覗きに行く。ちなみにいま現在は、猫たちも千空もツリーハウスで寝ているのでもう巣を使っている人間はいない。
巣の中をみると、そこにはそれらが放り出したままで転がっていた。全体的に青い茸。大きさは傘が直径10センチほどで、柄が7センチほど。見るからにアウトな、というと、石化以前の毒キノコはどちらかと言えば白や赤だったので語弊があるかもしれないが、少なくとも食べたい見た目はしていない。
だがこれらは、猫たちが千空の食料を取ってきてくれという願いに応えて取ってきたものである。毎回というわけではないが、それなりの頻度での青い茸が混ざっているのだ。申し訳ないが見た目がアウトだし他のきのこ類や燻製肉なんかで足りているので取り敢えず放置しているのである。
きのこ類の中でも見覚えのあるブナシメジやしいたけなんかがあるところをみると、おそらく既存のきのこ類と今千空が見ている青いきのこのような石化後に出現した茸が存在しているのだろう。
そして猫たちが持ってくるということは、少なくとも彼らにとっては食べられるもの、だと認識されている。そしてこれまでのところ猫たちが持ってきたこの青いきのこ以外の食料で、千空に食べられないものは無かった。
「こいつも、なんかあの傷の治る草みてえに効能があんのか。食ってみるか……」
気は進まないが、夕食の時に食べてみよう。そう決めて千空は、革袋つくりの作業に戻った。
******
夕刻になって猫たちが戻ってきた。いつもの食料採集などではもっとすぐに戻ってくるのだが、今回はかなり時間がかかった。
そして予想していた通り、というと少し残念だが、『他のものも』取ってきてくれという千空の意思は伝わっておらず、ひたすらに先ほど千空が破裂させた煙を吹き出す実、通称『ケムリの実』が袋に詰め込まれていた。その数おそらく50以上はあるだろう。
「ククク、まあ想定内だ。なら、明日からは時間作って言語を本格的に教えてやるよ」
「ミャ?」
千空のワルい笑顔に、猫たちは首をかしげて答える。彼らに聞き覚えのある単語がなかったからだ。ときどき、というかそれなりの頻度で偽悪ぶる千空だが、相手が言語も人間の表情も通じない猫だけに滑り倒していた。
「あーほら飯にすんぞ」
「メシニャー!」
千空の言葉に喜んで革袋をツリーハウスに置いた4匹は食材を持って焚火の方へと走り出していく。ちなみに焚火は猫たちが最初に使っていたのとは別に千空が火をつけた。このときにやり方を教えているのでおそらく火を付けることはできる、と思われる。ただ現在は動物避けと猫たちが不安がる可能性があるので夜中も絶やさないようにしているが。
「メシって単語はあんまり良くねえか……」
自らのサバイバルと同時に、猫たちに知識を教えていくことに決めた千空は、教育についても悩んでいくこととなる。
その姿はまるで、父親のようであった、とは後に猫たちが語った言葉である。
ここから千空がモンハン世界の植物とかを調べまくる流れに――。
最後はちょっとふざけました。なんか書きたかったので。
いろんなものの名称ですが、それぞれに何らかの形でモンハンの名称へと収束させていく予定です。例えば『猫たち』→『アイルー』とか。『謎の実』→『ケムリの実』とか。パラサウロロフス→アプトノスとか
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