乙亥様
ヒロ改様
Dedenne様
ありがとうございました!
本編どうぞ!
大学病院の待合室にて…
「真冬くん、どうだった?」
「幸いなことに異常は無いみたいです。お医者さんもビックリしてましたよ。」
「そっか。そっちは安心したよ。」
「そっちは?どういうことですか?」
「ほら……記憶、全部取り戻したんでしょ?」
「は、はい……。」
「それで嫌なこととかトラウマも一緒に思い出しちゃったとかあったら……真冬くん、大丈夫かなって…。」
先程の海水浴で思わぬハプニングが起きた。そう、真冬の記憶が全て戻ったのだ。ハプニングだったため真冬も全てを受け入れることができたわけではない。今も戸惑っているのだ。
それに記憶が戻ったことは良いことだけではない。知らなくていいこと、例えばトラウマなど。それらを一緒に思い出した影響を彩は心配しているのだ。
「トラウマですか……確かに一緒に思い出しちゃってすこし怖いですよ。大勢の人に囲まれた時とかすごく怖いんです。」
「囲まれた……やっぱり……」
「ん?何か言いましたか?」
「え?ううん何でもないよ!」
「そ、そうですか…。それで、怖いんですけど彩さんが一緒にいるとなぜか安心するんです。」
「私と……?」
「そうです。だから、僕は大丈夫です!だって彩さんが一緒にいてくれるんだから!えへへ……」
「真冬くん……」
嬉しさと同時に困惑もあった。笑顔で話す真冬だが、それとは裏腹に真冬の手が震えている。彩はそれを見逃さなかった。
「真冬くん、帰ったら真冬くんのお部屋にお邪魔していいかな?」
「え?いいですけど……」
「よかった。記憶が戻ったら話したかったことがあったの。真冬くんも気になることがあるでしょ?」
「え……やっぱり分かってるんですか?」
「うん。多分その話の真実を話したら……真冬くん、私のことを嫌いになっちゃうかもしれないけど…それでもいい?」
「そんな……そんなこと言わないでくださいよ……。」
「ごめんね…」
「とりあえず帰りましょうよ。僕も心の準備はできているので。」
「そっか。じゃあ帰ろっか。真冬くん、立てる?」
「はい、お陰さまで立てるようになりました。」
「よかったぁ……。」
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真冬の家にて…
「それで…真冬くん、私に聞きたいことあるでしょ?なんでもいいよ。」
「それなら……一つ……」
「うん。」
「なんで彩さんは……
僕の恋人でいるんですか?」
「うーん……やっぱりそこだよね……」
「僕は大勢の不良に襲われて意識を失い、気がつけば病院のベッドにいました。彩さんと初めて会ったのは病院です。僕は彩さんに告白した覚えもされた覚えもない。なのに……なんで僕の恋人を名乗っているんですか?」
「……今まで騙してたことがあるの…ごめんね。」
「いえ……僕は本当の事が知りたいだけなんです。それがたとえ騙されていたとしても……。彩さん、話してください。」
「そっか。じゃあ本当のこと話すね。」
「……お願いします。」
「真冬くんと初めて会ったのは病院じゃなくて……ある高架下なの。今から一年前の8月の事だった。夕方くらいだね。」
「……え?」
「真冬くんがある小さい男の子を大勢の不良からかばって……その結果、真冬くんは気絶するまで殴られ続けた。」
「は、はい……そこまでは覚えてます。」
「当時まだ高校生だった私はたまたまその現場の近くを通りかかってね……通りかかったときには既に真冬くんは倒れていたよ。」
「……」
「それでも殴り続けようとした不良達に私は何かがプツンと切れて……その不良達を全員……ね。」
「えっ………彩さん……?」
「片付け終わった後急いで真冬くんの意識を確認したんだけど反応がなかったから私は救急車を呼んだよ。」
「そうだったんだ……それで僕が意識を取り戻して彩さんと病室で会った…」
「そういうことだね。」
「それで……本題にはいるんだけど…なんで私が告白してもないのに真冬くんの彼女を名乗っているのかって話だよね。」
「ええ……」
「真冬くんと病室で会う前に、私は真冬くんのお父さんと会ってたの。」
「僕の父と…?」
「病院の待合室でね。真冬くんを助けたことでお礼を言われたよ。」
「……」
「ただ……話はそれだけじゃなかった。真冬くんは高校進学に合わせて真冬くんの実家がある愛知県からどうしても東京に出なきゃ行けなかったんだよね?でも当時真冬くんのお父さんは仕事の事情で一緒に東京に行けなかった。それでも真冬くんの体の事とか記憶の事とかを知っておきたい。」
「えっ、まさか彩さんは……」
「そこでたまたま私が大学進学で東京に行く事になっていたことを話したら真冬くんのお父さんは私に真冬くんの経過観察をお願いしたの。私はそれを請け負った。真冬くんの彼女を名乗っていたのは真冬くんを側で見守ることができるように……ね。」
「………そんな…。」
「私に幻滅しちゃった……かな。でもこれが、今までの真実だよ。嘘は一切無いよ。」
「……最後に一つ、いいですか?」
「……何かな?」
「僕のことが好きだったって言う気持ちは……嘘だったんですか?今まで彩さんと一緒にいたとき彩さんは……僕に嘘ついてたってことですか!?」
「……言っても信じてもらえるか分からないけど、真冬くんのことは今でも大好きだよ。その気持ちは絶対変わらない。」
「………」
「そもそも真冬くんの経過観察のお願いを引き受けた理由はね……真冬くんに一目惚れしたからなの。」
「…えっ?」
「見ず知らずの子を体をはって守った……どんなに傷ついても守りきった。そんな真冬くんの勇気に私は思わず一目惚れしちゃった。」
「…」
「それだけじゃないよ。真冬くんとふれあってくうちに真冬くんの優しさとかかわいいところとか、いろんな良いところを見つけることができた。もう私は十分満足したよ。」
「彩さん……?」
「私はもうこのマンションを出ていくよ。真冬くんも、こんな秘密を抱えた女と一緒にいるのはイヤでしょ?だから……さようなら。」
目を笑わせ唇を噛み締めて彩はソファーを立った。もう玄関に差し掛かるというところで彩の足は止まった。真冬が背後から彩に抱きついて止めたのだった。
「勝手に……いなくならないでくださいよ……。」
「………真冬くん?」
「グッ……僕はね…ヒッ……安心したんですよ。今までの彩さんと作ってきた思い出は嘘じゃなかった……。どんな経緯があってもこんな僕を好きでいてくれた……!」
「……!」
「よかったぁ……嘘じゃなかっだぁ……」
「………」
「勝手にいなくならないでよぉ……!」
背後から涙ながらに訴える真冬に心打たれ彩も鼻先を赤くした。そして彩は方向を変えて真冬を胸いっぱいに抱きしめ、しばらくの間涙を流し続けた。
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「うぅ……ううん……あれ?僕…寝ちゃった…?」
「おはよう、真冬くん。今朝の5時くらいかな。」
「え?ってことは僕ずっと彩さんの胸で寝てた…?//」
「もう今さら緊張することもないでしょ?だって私達、恋人同士なんだから!」
「そうですけど……それでもまだ恥ずかしいものは恥ずかしいですよ……。」
「そっか。今日は何しよっか。またどこかデートしちゃう!?何か楽しいことしようよ!」
「……ですね!」
後二話でこの小説は完結します。
読了、ありがとうございました!