転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います 作:レイラレイラ
「ごめんね帆波ちゃん。今日も勉強見てもらっちゃって」
「気にしないでいいって! 困ってたらいつでも呼んでくれていいからね!」
今日は愛里ちゃんに勉強を教えてほしいと言われて、こうして彼女の部屋で勉強会みたいなことをやってる。
最初は名字呼びだったのも慣れてきたからか、今ではスムーズに下の名前で呼んでくれるようになった。
うんうん。
愛里ちゃんもかなり成長してるみたいで、私もすごく嬉しいかな。
今のうちから成績を上げておけば、今後のテストや試験でも有利に働くはずだからね。
「愛里ちゃんここ間違ってるよ」
「えっ。どこどこ!?」
「ほらここ。この問題の解き方はね────」
愛里ちゃんが間違えた問題を指摘しつつ、あくまでも解き方だけを教えていく。
いきなり答えを教えてしまうより、解き方だけを教えて自分で解いた方が覚えられるし深く馴染むからね。
「あの…………その…………」
「どうしたの?」
「そろそろ戻してもいいかな? ちょっと恥ずかしい」
「ダメダメ! それだと訓練にならないよ! せっかく可愛いんだからもっと自信を持たないと!」
「で、でもぉ…………」
愛里ちゃんは今伊達メガネも外しているし、髪型もツーサイドアップの完全雫ちゃんモードになっている。
これは少しでも愛里ちゃんの目立ちたがらない性格を矯正する意味もあって、いきなり学校に雫ちゃん状態で出すわけにもいかない。
だからまずは、私と部屋で二人っきりの時だけでも雫ちゃん状態を維持出来れば少しずつ自信も出始めるんじゃないかなって。
これは愛里ちゃんのためでもあるけど、これから起こるであろう須藤くん暴力事件の時にも早々に証言してもらえるかもしれないという打算的な面もある。
もっとも今の須藤くんだったら我慢してくれるだろうから、結果的に徒労に終わるだろうけどね。
というかそっちの方がいい。
「今日の勉強はここまでにしよっか。もちろん自習するのもいいけど、適度に休みもいれるようにしてね。頭働かせっぱなしだと疲れちゃうから」
「本当に今日もありがとう。お茶入れるね。コーヒーと紅茶どっちがいい?」
「じゃあコーヒーをお願い」
インスタントではあるけど、学校が手配しているだけあってそこそこいい味のものみたい。
友達と安心して飲むコーヒーだからかな、普段飲んでるものよりも格別に美味しいような気がする。
有栖ちゃんのくれる紅茶も美味しいだろうけど、状況と環境のせいでまともに味わえたことがないからノーカンで。
「そういえば、堀北さんと綾小路くん放課後すぐに何処か行っちゃったけど大丈夫なの?」
「大丈夫って?」
「その…………こういうのってデート、なんだよね。帆波ちゃんは綾小路くんのこと好きみたいだから、ついていかなくてよかったのかなって…………」
もう清隆くんのことが好きなことがバレバレなのはツッコまないとして、愛里ちゃんなりに気遣ってくれての発言なのはよくわかる。
何より恋バナ紛いの話を振ってくるなんて、愛里ちゃんの成長を実感する。
ちょっと前までは考えられない変化に、娘の成長を感じる母親のような気分になった。
全然そんな年じゃないけどね。
少なくとも身体は。
「大丈夫じゃないかな。あれは作戦行動の一環みたいだから」
「作戦?」
「そう。桔梗ちゃんが堀北さんと友達になりたいって言うから、清隆くんは協力してるんだよ。だから万が一にもデートとかそういうのではないかな」
私も桔梗ちゃんに協力してほしいって頼まれたけど、私は嫌でも目立っちゃうから辞退させてもらった。
どっちにしても失敗に終わるのは分かってるけどさ。
「そ、そうなんだ」
「ありがとうね、気を遣ってくれて。でも私は大丈夫だから、愛里ちゃんは安心していいよ」
あとはその優しさを人前でも出せれば合格なんだけどな。
まあ無理強いするわけにもいかないし、ちょっとずつ改善していけばいいよね。
「…………全然安心出来ないよ」
「愛里ちゃん、何か言った?」
小声だったからちっとも聞き取れなかったよ。
「な、なんでもない! なんでもないから!」
「本当に?」
なんだか顔も赤いし、もしも風邪とかだったら早く休ませてあげないといけない。
ぴとっと私の額を愛里ちゃんの額とくっつける。
うーん、熱はないみたい。
でも今日はもう安静にしてもらわないと。
「きゅうっ…………!?」
「愛里ちゃん!?」
パタリと仰向けに倒れる愛里ちゃん。
やっぱりどこか具合が悪いんじゃ!?
「だだだ、だい、だいじょうぶ、ぶぶ…………」
この反応は無人島試験で清隆くんに見せた反応の一つだ!
ということは単に照れてるだけなのかも。
さすがにいきなり顔を近づけたのは、愛里ちゃんにとってもハードルが高すぎたのかもしれない。
「ごめんね驚かせちゃって。次からは気をつけるから」
「あわわわわ…………!!」
このまま放置するわけにもいかないし、今日はもう少しだけここにいた方がよさそう。
照れてる愛里ちゃんが可愛いからまだ見ていたいというのもあるけどね。
3時間目の社会は担任の茶柱先生の授業でもあるけど、今日は例の小テスト日だと思う。
根拠は今日が月末だから。
成績
1科目4問、全20問で各5点配当の100点満点になってる。
ただ、どの問題も受験問題よりも圧倒的に難易度が低くて一定の成績さえ取れていれば充分にパスできる内容だった。
その代わりと言えばいいのか、ラストの3問だけは桁違いに難しいものになってるんだよね。
もちろん私は余裕で解けるけど、大多数のクラスメイトが解答すら出来ないと思う。
個人の点数が上げるために復習だけはするように呼びかけたつもり。
でも、効果が何処まで現れるかは正直に言ってわからない。
生活態度は原作よりもかなりよくなっているはずだから、大きくクラスポイントを落とすとしたらここだろうね。
今日まで私に出来る限りのことはやった。
それが実を結ぶのは5月始めのホームルームの時。
私はみんなを信じているし、これから勢いの増すクラス対抗についても本気で意識していかないといけないからね。
不安を取り払うように、私は黙々とテストに取り組み始めた。
そして運命の日がやって来た。
今日は5月1日ということで、目覚ましよりも早く起きた私は端末を確認する。
端末に表示されていた数字は26万4080ポイント。
昨日までと比べて6万ポイントぴったり増えてた。
ということは、今のクラスポイントは600ポイントということになる。
もしも他クラスのポイントが原作通りなら、私たちはCクラスの昇格が決定ということ。
必ずしもそうなるとは限らないし、何より
念のため清隆くんに確認のメッセージを送ってみると、幸いにもすぐに返事が来た。
清隆くんの端末にもちょうど6万ポイントが振り込まれていて、Dクラスは0から600への大躍進を遂げたという確証が得られた。
一安心出来たところで、私は日課の早朝ランニングに向かう。
今日はちょっとだけ足が軽かったような気がする。
清隆くんと愛里ちゃんと一緒に教室に入ると、クラスメイトたちが怒涛の勢いで押し寄せてきた。
さりげなく二人は私から離れて、それぞれの席に座ると目立たないように視線を反らす。
愛里ちゃんはまだ仕方ないとしても、清隆くんまで逃げないでほしかったな!
先生からちゃんと詳しい説明がされるはずだからとだけ言って、みんなにはとりあえず着席してもらった。
私は聖徳太子じゃないんだから、一度にたくさんの質問されても答えられないんだよ。
始業のチャイムが鳴ると同時に、茶柱先生が複雑そうな表情で教室に入ってくる。
「これより朝のホームルームを始める。が、その前に質問は…………ないようだな。ならば、結論から言わせてもらおう。今日からおまえたちはBクラスだ」
教室がザワッと騒がしくなる。
私も内心ではかなり動揺していたけど、ぎりぎり顔には出さなかったからセーフかな。
生徒たちの喧騒をよそに、茶柱先生は白い厚手の紙を張り付けた。
そこには各クラスの成績でもあるクラスポイントが表示されているけど、その数字を見せられて本当の意味でこの大きな変化を私は実感する。
Aクラスが940、Bクラスが590、Cクラスが490、Dクラスが600とDクラスがAを除いた二クラスをあっさりと抜き去っていたから。
Cクラスは原作と同じ数字だったけど、Bクラスのポイントが僅かだけど落ちてる。
神崎くんでも一ヶ月ではクラスを纏めきれなかったということなのか、それとも私がBクラスにいなかったから如実に現れた結果なのかはわからない。
Dクラスに600もポイントが残されていた理由は私の見立て通り、遅刻とかはある程度あったけど、須藤くんたちを筆頭にした面々がしっかり授業を受けていたことが大きいみたい。
授業中の私語も限りなく0に近いもので、ポイントの減衰を大きく抑えられたのかも。
「Bクラスになったからと言って慢心はせず、これからも精進していくように」
茶柱先生はそう言うと、教室を後にした。
そこからが大変だった。
堀北さんを除いた女子生徒たちにもみくちゃにされて、疲労困憊でお昼まで頑張ることになったから。
ちなみに須藤くんは意外にも赤点を回避していた。
もしかしたら私の言葉を受け入れてくれて、彼なりに努力してくれていたのかも。
それでも誉められた点数ではなかったけどね。
愛里ちゃんはどの教科でも70点以上は取れていて、もともと基礎は出来ていたから妥当な結果と言っていい。
本当に大変になるのはこれからだけど、今だけはこの余韻に浸っていたいと思った。
おや、愛里ちゃんの様子が…………
山内くんと池くんですか?
もちろん赤点取ってます
帆波(憑依)に『■■のホワイトルーム生』的な二つ名をつけるとしたら
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慈愛のホワイトルーム生
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偶像のホワイトルーム生
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単純にホワイトルーム生No.2