転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います   作:レイラレイラ

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生徒会

「さすがにちょっと緊張するなぁ…………」

 

 生徒会室の前に来たはいいものの、なかなか入る決心がつかなくて立ち往生している状態にある。

 

 だって生徒会だよ? 

 

 茶柱先生を仲介役にしてわざわざ私を呼び出すなんて、とてもじゃないけどただ事とは思えない。

 

 だからと言ってこのまま突っ立っていても何も進展しないし、ここは勢いに任せてみようかな。

 

 私は仮にも一之瀬帆波なんだから、コミュニケーションならなんとかなるはず。

 

 深呼吸を何度も反復しつつ、手のひらに人を書いて飲み込む動作を繰り返していると嫌でも覚悟は決まってくる。

 

「よし、行くよ!」

 

 コンコンと扉をノックする。

 

 生徒会室の中から聞こえてくる『入れ』という威圧感を帯びた声が耳に届く。

 

「失礼します」

 

 扉を開けて中に入ると、予想通りの人物がそこにはいた。

 

 堀北学生徒会長と橘茜先輩の二人。

 

 会長の強者の風格もさることながら、傍らに控える茜先輩の可愛い秘書のような立ち位置が非常にしっくりくる。

 

 この二人が付き合う瞬間とか見てみたいという衝動を抑えて、促されるまま堀北会長の正面の席に腰かける。

 

「突然の呼び出しによく応じてくれたな一之瀬。今回お前を呼んだ理由に心当たりはあるか?」

 

「えっと…………」

 

 ありません。

 

 全く、これっぽっちも、欠片もないですね。

 

 茶柱先生に呼ばれるだけならまだわからなくもないけど、生徒会呼び出しされる理由なんて本当に心当たりがないよ。

 

 何か問題を起こしたわけでもないし、かといって特別何かを業績をあげたわけでも…………

 

 あったよ、心当たり。

 

 Dクラスを一息でBクラスに上げたんだから、生徒会にも目をつけられるのも当然だよね。

 

「私を生徒会に入れたいとかですかね?」

 

「その通りだ」

 

 冗談めかした感じで言ってみたけど、あっさり肯定されてしまってガクンと首を落としそうになるのをなんとか抑える。

 

 私は最初から生徒会に入るつもりはなかった。

 

 あくまでもクラスのリーダーの立ち位置が理想的だったから。

 

「一之瀬の言うように、私はお前を生徒会に引き入れたいと考えている。ちょうど書記の席も一つ空いているしな」

 

「私はDクラスに配属されるような生徒ですよ? そんな生徒会に入れるほど立派な人間ではありません」

 

「ほう? 不良品の集まりと呼ばれるDクラスを纏めるだけでなく、Bクラスまで上げておきながらそれを言うのか」

 

 やっぱりそれを引き合いに出してくるよね。

 

 実際に結果として成し遂げてしまっている以上、その話を出されてしまうとこっちも認めざるを得なくなる。

 

「お前の優秀さは既に認知している。下手な無能アピールは無駄な時間の消費にしかならんぞ」

 

 テーブルの上に茜先輩がいくつもの答案用紙を置いた。

 

 それは全て私が解いたもので、間違いなく入試の際に受けた問題だった。

 

 それに加えて4月の末に受けた小テストの問題まである。

 

 用意が良すぎないかな? 

 

「今年の入学試験。唯一全教科満点を取っただけでなく、抜き打ちの小テストまでも満点。これ以上ない証拠だと思うが?」

 

 具体的な証拠を出されては、逃れる術は当然だけど無い。

 

 清隆くんみたいに全教科50点とったわけじゃないし、それを偶然で言い通すことも出来るわけもないよね。

 

「まして小テストのラスト1問に至っては、学校側が答えさせる気のなかった問題だ。それを途中式まで完璧に解いている。もっとも、テストの成績など副次的なものに過ぎないがな」

 

 私の全体を纏める力を堀北会長は求めているわけだね。

 

 テストの成績はあくまでも私を測るための指標に過ぎないと。

 

「私も帆波さんが書記を受けてくれると非常に助かります。帆波さんの優しさと有能さは存じているので、恩も返したいですしね」

 

「茜先輩…………」

 

 実は茜先輩とは既に学校で出会っている。

 

 たまたま重たそうな荷物を運んでいたところに出くわして、それを代わりに生徒会室まで運んだんだよね。

 

 そのついでに書類仕事の手伝いとかもやったかな。

 

 その時に茜先輩から連絡先も貰って、たまにお喋りとかお茶をしたりしてる。

 

 仲の良い友達だと思っている茜先輩に言われてしまうと、ちょっとだけ決意が揺らぎそうになる。

 

 でも──────

 

「すみません。私はやっぱり生徒会に入ることは出来ません」

 

 はっきりと断りの意思を見せる私に、茜先輩は少し悲しそうに目を伏せる。

 

 罪悪感で胸が痛くなるのを無視して、改めて堀北会長を見据えて私の覚悟を伝えていく。

 

「私はBクラスのリーダーとして、みんなを引っ張っていきたいと思っています。今はそのために全力を注ぎたい。なので生徒会へのお誘いはお断りさせてください」

 

 深々と頭を下げる。

 

 堀北会長はなんだかんだで強引に入れようとはしないだろうけど、それでも強い意思を見せなければいけないと思ったから。

 

「お前の意思はわかった。残念だが、今はそれで構わない。それと橘、例のものを渡しておけ」

 

「はい。では、帆波さん端末を確認してもらえますか?」

 

「いいですけど…………」

 

 例のものって何だろう? 

 

 ポケットから端末を取り出して電源をつけてみると、画面上で目を見張る光景が広がっていた。

 

 私のポイント残高にちょうど20万のプライベートポイントが追加されて、これで驚くなという方が無理だと思うの。

 

「どういうことですか!? いきなり20万もポイントを貰うだなんて!」

 

「これはお前の実績を称えてのものだ。せいぜい今後のために役立てることだな」

 

「は、はぁ…………」

 

 ずいぶんと気前が良すぎて疑いたくなってしまうけど、茜先輩はにこにこ笑顔だから悪意はないのかな? 

 

 だとしても突然20万ポイントも振り込まれるのは、抵抗がないわけじゃない。

 

 断ることは出来なさそうだと、とりあえずは諦めてそのままポイントを受け取ることにした。

 

 生徒会の誘いを断るのはよくて、ポイントは強引に振り込むなんて基準がおかしいと思うけどそれはこの学校に入った時点で分かりきったことだよね。

 

「時間を取らせたな。一之瀬、お前には期待している。今後も励むように」

 

「は、はい。それでは失礼します」

 

 私はそれだけ残して、さっさと生徒会室を出た。

 

 堀北さんのことも言おうか悩んだけど、まだその時じゃないかなとひとまず飲み込んでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そろそろ清隆くんたちの話も終わった頃だろうから、迎えに行こうと思ったんだけど想定外の出来事に身体が硬直してしまう。

 

 だっていきなり清隆くんが私を盾にするみたいに肩を掴んでくるんだから、心臓が口から飛び出そうな衝撃を受けるのは当然だよね。

 

「ど、どうしたの清隆くん!?」

 

「悪いな帆波。ちょっと助けてくれ」

 

「逃げることはないじゃない。何もあなたを害そうというわけではないのよ」

 

 なるほどね、だいたいのことは分かったよ。

 

 堀北さんにAクラスに上がるための手助けをするように迫られてた感じかな。

 

 だったら清隆くんが対処出来ないのも頷ける。

 

「一之瀬さんもいたのね。ちょうどよかった、あなたにも話したいことがあったのよ」

 

「堀北さんが私と話したいなんて珍しいね。もしかしてDクラスに振り分けられたことが不満だから、Aクラスに上がるために協力して欲しいとか?」

 

 堀北さんが異質なものを見る目をしてる。

 

 まさに自分が言おうとしたことを当てられたわけだから当然の反応なんだけど、そういう態度をとられちゃうと私だって傷つくんだよ? 

 

「よくわかったわね。あなたの言う通り、私はDクラスに振り分けられたことに納得していないわ。だから入学初日にシステムに気付いていたあなたに協力を仰ぎたいのよ」

 

 協力っていう体のいい言葉を使っているけど、私と清隆くんを利用したいっていうのが顔に出てるんだよね。

 

 ひょっとしたら隠す気もないのかもしれないけど。

 

「もちろんいいよ! 堀北さんが頼ってくれるなんて、思ってもみなかったから素直に嬉しいな!」

 

「別に頼ってるつもりはないわ。優秀な能力を持っているのにそれを使わないなんて馬鹿のすることだもの」

 

「…………そっか」

 

 清隆くんのお父さんみたいなこと言うんだね。

 

 本人は知らないからしょうがないことなんだけど、少しだけあの人の顔が過ったのは嫌な感じかな。

 

「これ、私の携帯番号とアドレス。何かあったら、これで連絡して」

 

 やっと手に入れた堀北さんのアドレスだったけど、好意的に見られていないのが分かってるから素直に喜べないね。

 

 要件は終わったと言うように、私たちを置いて帰っていく堀北さん。

 

 清隆くんはホッとしたように息をつくと、私からそっと離れる。

 

 肩に残った清隆くんの手の感触がくすぐったくて、なんだか落ち着かない。

 

「すまない帆波。助かった」

 

「ううん。気にしなくていいけど、清隆くんは大丈夫? こういう厄介事は好きじゃないでしょ?」

 

「そうだな。オレは事なかれ主義だからな」

 

「にゃはは。そういうことにしといてあげる」

 

 

 堀北さんの問題もなんとかしないとね。

 

 今日はもう色々あって疲れたし、大人しく部屋に戻って休むことにした。

 

 

 

 

 

 




人たらしも強化されている帆波さん
お小遣いも貰っちゃうという


高度育成高等学校学生データベース

氏名 一之瀬帆波

クラス 1年D組→1年B組

学籍番号 S01T004620(原作) S01T004652(本作)

部活動 無所属

誕生日 7月20日

身長 159cm


評価

原作 学力 B+   本作 学力 A+

   知性 A       知性 A+

   判断力 B      判断力 A

   身体能力 C     身体能力 A+

   協調性 A-      協調性 A-


面接官からのコメント
学力と身体能力ともにトップレベルの逸材。
面接時の質疑応答も完璧であり、臨機応変に対応する能力も持ち合わせている。
特別な資格がないこと別途資料による諸事情からAクラスへの所属予定を見送り、Dクラスとする。
彼女の存在がDクラスに良い影響を与えることを期待する。


担任メモ
B(元D)クラスの中心人物として信頼、慕うものも多いようです。
これからの活躍に期待します


帆波(憑依)に『■■のホワイトルーム生』的な二つ名をつけるとしたら

  • 慈愛のホワイトルーム生
  • 偶像のホワイトルーム生
  • 単純にホワイトルーム生No.2
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