転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います 作:レイラレイラ
彼女の立ち位置がかなり変わっていると思うので、驚かれること必至でしょう
放課後の勉強会にBクラスのみんなは進んで参加してくれた。
勉強を大の苦手にしている池くんとか、山内くんもかなり集中して取り組んでくれてる。
須藤くんもバスケ部を休んでまで教室に残って、分からない問題について質問してくるようになっていた。
もちろん最初から答えを聞くんじゃなくて、分からないなりにどうにか理解しようとしてどうにもならなかった時だけね。
自力で問題が解けたときの須藤くんの表情はとっても嬉しそうで、少しは勉強も楽しいと思ってくれたなら嬉しいな。
科学とか社会みたいな暗記でどうにかなるものも覚え方のコツは教えたりしてるけど、私は基本的に数学と英語も担当をしてるよ。
クラス内の雰囲気もかなりよくなっていて、私の中にはある種の満足感があった。
「なあ帆波、ここの問題なんだが」
「それはこっちの式をね…………」
いや、君ならそのくらいの問題解けないわけないよね!
清隆くんもたまに分からないところについて聞いてくるけど、彼の本当の実力を出したくないという要望もあって答えないわけにいかないんだよね。
二人とも分かりきった内容を説明しないといけないわけで、今さらすぎる復習でちっとも得にはならない。
「ねえ、佐倉さん。ちょっと教えて欲しいんだけど!」
「ちょっと待ってて! すぐに行くから!」
佐藤さんに呼ばれてぱたぱたと駆けていく愛里ちゃん。
私との日々の勉強の成果もあって、愛里ちゃんの成績は大きく向上していた。
だから私たちと同様に、教師役に回ってもらってる。
部屋では雫ちゃんモードで私や清隆くんと接しているからか、人と話すことにも抵抗がなくなってきているみたい。
笑顔でクラスメイトと接している愛里ちゃんの成長が嬉しくて、今度ご褒美をあげてもいいかもと考えた。
でも、それだと何にすればいいかで悩むよね。
このあいだ行ったお店では、愛里ちゃんによく似合うリボンがあったからそれもいいかもしれない。
愛里ちゃんは写真撮影が趣味だったからカメラを送るのも考えたんだけど、カメラって結構高額だからかえって遠慮されちゃうかも。
「一之瀬さん少しいいかな?」
「平田くんどうしたの? そっちで何か問題でもあったかな?」
心配そうな表情を浮かべながら、平田くんが私に声をかけてきた。
彼でも分からない問題があったなら、私が直接行く必要があるかもね。
「そういうわけじゃないんだ。ただ一之瀬さんは教師役の中でも広範囲、多教科を教えているから負担も大きいと思ってね。だからつい心配になって」
確かに私は特に呼ばれる回数が多いけど、教えることはそんなに苦でもないから負担にはなってない。
「心配してくれてありがとね。でも、私は平気だよ。教えるのもすごい楽しいしね」
前世では勉強の苦手な友達に色々と教えていたから、こういったことには実際のところ慣れてる。
この世界に転生してからは年齢が年齢だけに教える経験が出来なかったけどね。
ホワイトルームではそういうことも許されなかったし。
「そっか。一之瀬さんが大丈夫ならいいんだ。残り30分頑張っていこう」
「もちろんだよ」
勉強会が終わる頃にはみんなの顔には充実感が満ちていた。
ほとんどの人がここまで真面目に勉強に取り組んだことがないからか、自分達が最後まで集中して投げ出さなかったことに新鮮味を感じているみたい。
そんな充実感を背に、みんなが楽しそうに談笑しながら教室を出ていく姿を見てこの調子なら中間テストも全員が赤点を回避できる。
それどころか平均60点以上も夢じゃない。
確かな
7時を過ぎていることもあって、とっくに日は沈みきっていた。
愛里ちゃんと清隆くんの二人と下校した後、制服のまま部屋でゆっくりとくつろいでいると端末が震えたから確認する。
端末に表示されていた名前は
現Dクラスに所属している美少女で、図書館にしょっちゅう出向いている読書家でもある。
龍園くんと同じクラスでもある彼女となぜ連絡先を交換しているのかと言えば、ちょっとした理由があったりするんだけどね。
あまり待たせるわけにもいかないから、ベッドに座り直してすぐに電話に出た。
「もしもしひよりちゃん?」
『帆波さん。こんな時間に申し訳ないのですが、今からお部屋に行っても構いませんか?』
「全然いいよ! 鍵は開いてるからすぐに入っていいからね」
『ありがとうございます。それではお邪魔させてもらいますね』
通話が切れると同時に、玄関の扉が開いてひよりちゃんがお行儀よく入ってきた。
確かにすぐに入っていいとは言ったけど、まさか部屋の前にいるとは思わなかったよ。
というか、その様子だと最初から部屋に入る前提だったりしないよね?
ひよりちゃんは流れるように私の隣に腰かけると、ふわっと甘い薫りが鼻腔をくすぐる。
何か特別な香水でも使っているのかと思っていたのに、意外にもそういうことはしていないみたい。
完全な偏見だとは思うけど、香水とかあんまり興味無さそうだしね。
「それで今日はどうしたの? ひよりちゃんが部屋に来たいなんて珍しいよね」
「そうですね。こうしてお部屋に上がるのは、助けていただいたあの日以来でしたね」
ひよりちゃんの言うように、私は彼女がピンチだったところを助けたことがある。
たまたま立ち寄った図書館でひよりちゃんを見かけたんだけど、柄の悪い先輩らしき生徒が執拗にナンパをしている場面だった。
撃退するのは簡単だった。
ただ無闇に手を出すわけにいかないから、強引にひよりちゃんを図書館から連れ出して私の部屋まで運んだの。
ただしお姫様抱っこで。
そこから紆余曲折あって、連絡先を交換してもらってそこそこの頻度で一緒にスイーツ店に行くこともあった。
もちろん清隆くんと愛里ちゃんも誘ってね。
龍園くんのクラスのひよりちゃんだけど大切な友達だと思ってるし、出来れば末永く仲良くしたいと思う。
「用件は二つほどありますが、まずはこちらから」
スクールバッグから取り出したのは一冊の文庫本だった。
「あ、それってもしかして」
「はい。この間お話していたミステリー小説です。ちょうど昨日読み終わったのでお渡ししに来ました」
「ありがとうひよりちゃん! 読み終わったら感想言うね!」
「楽しみにしていますね。それともう一つ、こっちが本題なのですが…………」
ひよりちゃんの放つ空気が真剣みを帯びたものに変わる。
もしも私の想像した通りなら、電話じゃなくて直接伝えに来た理由にも頷ける。
「龍園くんの命令で、Cクラスの生徒に嫌がらせをする動きが出始めました。近々Bクラスにも何らかの嫌がらせがあるかもしれません。警戒はしておいた方がよいと思います」
「そっか…………。危険を承知で伝えに来てくれて、本当にありがとう。ただ無理だけはしないようにね。もしもひよりちゃんに危害が及ぶようになったら…………」
「その時はその時です。私も帆波さんに危害を加えられたくありませんし、友達を守るためなら戦う必要があると思っていますから」
そのためにクラスの情報を流してでも、私を守ろうとしてくれているんだと思うと胸が温かい気持ちでいっぱいになると同時に申し訳なくなってくる。
バレてないうちはいいかもしれないけど、龍園くんならいつかは気づくかもしれない。
かもじゃなくて絶対に気づく。
もしもそうなったら、私に出来ることは────
「ねえ、ひよりちゃん。入学初日の時に先生が言ってたこと覚えてる? この学校でポイントで買えないものはないって。買えるんだよ。
「それは…………」
もしもひよりちゃんの身に危険が及ぶようなら、意地でもポイントを貯めて私のクラスに移籍させる。
綺麗事が通じない学校なのは分かってる。
だったら多少強引な手段だとしても、躊躇いなく実行するつもりだよ。
「そうですね。それもいいかもしれません」
出し惜しみするつもりはない。
清隆くんの『勝利』のため、クラスの『勝利』のため、私が『勝利』だと思える未来のため。
もう私から何も奪わせたりしないから…………
究極の人たらしスーパー帆波さん
さりげなくひよりん引き抜こうとしているぅ…………
ドラゴンボーイも葛城を勧誘してましたからおあいこですよね!
後半はちょっと重たい話になってしまいました
帆波(憑依)の歪みの片鱗が見えた回でしたね
帆波(憑依)に『■■のホワイトルーム生』的な二つ名をつけるとしたら
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慈愛のホワイトルーム生
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偶像のホワイトルーム生
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単純にホワイトルーム生No.2