転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います   作:レイラレイラ

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ようやく2巻の内容に入れました
ここまで長かったです…………


第2巻
暴力の理由


 中間テストを無事に終えて、こうして7月1日を迎えることが出来た。

 

「佐倉さんすごい可愛いじゃん!」

 

「なんていうかアイドルみたい!」

 

「あはは、そうかな…………」

 

 女子生徒たちに囲まれて愛里ちゃんは恥ずかしそうにしながらも、笑顔でうまく接することが出来ている。

 

 普段と決定的に違うのは眼鏡を外しているだけじゃなくて、今は雫ちゃんモードになっている点。

 

 中間テストで本格的にクラスメイトと関わったことで大きな自信がついたみたい。

 

 学力も申し分ないし、この高度育成高等学校で生き残るための下地は出来たと思う。

 

 愛里ちゃんの魔改造計画も本格化してもいいかもしれないね。

 

 それはそれとして、端末から残高照会を行うとプライベートポイントは1ポイントも増えてはいなかったことにちょっとだけ驚いている。

 

 もちろんこの展開自体は原作知識で知っていたわけだし、そこは全く気にはならなかった。

 

 ひよりちゃんからは何も聞いていないから大丈夫だと思ったけど、そう上手くはいかないらしい。

 

 須藤くんもいったいどうしたんだろう。

 

 今の須藤くんはむやみに暴力を振るうような性格ではないし、もしもその上で手を出してしまったというならそれだけ彼の逆鱗に触れたということになる。

 

 バスケのことでも言われたかなと思いつつ、本当にそうなのかは判断しかねるんだよね。

 

 …………全く心当たりがないな。

 

 起きてしまったものは仕方ない、気持ちを切り替えて私は清隆くんの席まで移動した。

 

「帆波。お前も確認したか?」

 

 私が来た要件が分かっていたみたいで、すぐに私にもプライベートポイントが支給されたかについて聞いてきた。

 

「もちろん。6月はしっかりポイントが振り込まれていたんだけどね」

 

 我ながら白々しいと思う。

 

 清隆くんにもDクラスが何かしらの妨害をしてくるだろうとは伝えているけど、具体的に何が起こるかは話していない。

 

 好きな人に隠し事をするのはすごく辛い。

 

 でも、詳細を話せば清隆くんにどんな風に見られるかが怖くて言えない。

 

「もっとも、帆波は大して困らないだろうけどな。現にお前は100万を越えるポイントを有しているんだからな」

 

「あはは。そうなんだけどね、少しでもポイントが多いに越したことはないから」

 

 6月の間にチェス部だったり、テニス部だったりに通ってはポイントを賭けて勝負をして稼いだポイント数。

 

 食料品や私服を買うのを除けばポイントは使ってないから、あまり目減りしないというのもあるけどね。

 

「おはよう諸君。今日はいつにも増して落ち着かない様子だな」

 

 ホームルームに開始音と同時に、茶柱先生が入室してきた。

 

「佐枝ちゃん先生! 朝チェックしたら1円も振り込まれてなかったんだけど!」

 

「それで落ち着きがなかったわけか」

 

「中間テストだって乗り切ったわけだし、遅刻や欠席もしてないですよ! 遅刻や欠席、私語だって全然してないし! 急に0ポイントにするとかおかしすぎませんかね!?」

 

「勝手に結論を出すな。まずは話を聞け。池、確かにおまえの言うようにこのクラスが頑張っているのは知っている。それは認めよう。お前たちが実感を持っているように学校側も当然それを理解している」

 

 茶柱先生に諭すように言われて、池くんはしぶしぶ椅子に腰を下ろすしかなかった。

 

 肯定的な部分もあったからかもだけど。

 

「ではさっそく今月のポイントを発表する」

 

 茶柱先生が手にしていた紙を黒板に広げてポイント結果がA~Dまで表示されている。

 

 すべてのクラスのポイントが、先月と比べて100近い数値の上昇を見せていた。

 

 Bクラスも例外じゃなくて、600クラスポイントから689という結果になっている。

 

 その結果にクラスのみんなも喜びの表情を見せていて、私も素直にAクラスとの差を縮められたことが嬉しい。

 

 少しは奮発して豪華なパフェを食べに行くのもいいかもね。

 

「喜ぶのは早いぞ。他クラスとの差は縮まりきってはいない。これは中間テストを乗り切った1年へのご褒美みたいなものだ。各クラスに最低100ポイント支給されることになっていただけにすぎない」

 

 茶柱先生の発言に、みんながガックリと肩を落とす。

 

 本当にこの人は堀北さんほどじゃないけど、ズバズバ言ってくるんだよね。

 

 もう少しだけ言い方を優しくするとか…………するわけないよね。

 

「あれ? でも、どうしてポイントが振り込まれてないんだ?」

 

 池くんがその疑問を思い出し、茶柱先生の方を見る。

 

 クラスポイントが689である以上、68900ポイントは振り込まれてないとおかしいことになるんだよね。

 

()()()()が一つも無ければね。

 

「今回、少しトラブルがあってな。1年生のポイント支給が遅れている。おまえたちには悪いがもう少し待ってくれ」

 

「えーマジすかあ。学校側の不備なんだから、なんかオマケとかないんですかあ?」

 

 池くんの言いたいことも分かるけど、ここで茶柱先生にあれこれ言ってもどうにもならない。

 

 これからやってくるトラブルの方が、ずっと優先度の高い問題なんだから。

 

「そう責めるな。学校側の判断だ、私にはどうすることもできん。トラブルが解消次第ポイントは支給されるはずだ。どこまでポイントが残っているかはお楽しみだな」

 

 全然お楽しみじゃないよ先生。

 

 これは愛里ちゃんたちと相談会した方がよさそう。

 

 

 

 

 

 

 

 授業も進んで昼休みになって、私と清隆くんに愛里ちゃんといういつものメンバーで集まってお弁当をつついている。

 

 ちなみに二人のぶんも私が早起きして作りました。

 

「この肉じゃが味が染みてて上手いな」

 

「私もそう思う。帆波ちゃんって本当になんでも出来るよね」

 

「にゃはは。なんでもはできないよ、私に出来ることをしてるだけだもん」

 

 謙遜しているようにしか見えないけど、事実として私は出来ることをきっちりやる性分だから手を抜きたくないんだよね。

 

 出来なかったとしても、その理由をはっきりさせないとすっきりしないしね。

 

「あ、あのね。実は二人に話したいことがあるの」

 

 

 お弁当を食べ終えたのを皮切りに、愛里ちゃんは言いにくそうにしながらも話を切り出した。

 

 愛里ちゃんの話した内容は私の知っているものと一部を覗いて全く同じものだった。

 

 Dクラスの生徒が須藤くんに殴りかかったことは同じだったけど、唯一違ったことがある。

 

「私がインチキでクラスポイントを手に入れた卑怯もの?」

 

「うん。それで須藤くんが怒って、最初は抑えてたみたいなんだけど相手に殴られてからやり返すようになっちゃって」

 

「そっか。ありがとう愛里ちゃん。言い出すの怖かったでしょ?」

 

「そんなことないよ。本当は昨日言いたかったんだけど、帆波ちゃんが知ったら悲しむと思って。どっちかと言えばそっちの方が嫌だったから」

 

 愛里ちゃんなりに私を気遣って当日言い出せなかったみたい。

 

 それでも彼女の気持ちを尊重したいし、責めるつもりも当然ない。

 

「だとすると問題が出てくるね。愛里ちゃんが現場を目撃していたとすると、裁判みたいなものが開かれるとしたら証言者として立つことになるだろうけど」

 

「問題は、それがうちのクラスの生徒だっていうことだな」

 

 清隆くんの言うように、須藤くんと同じクラスの生徒が証言しても庇っているだけととられる可能性の方が高い。

 

 明確な証拠があれば話しは別だけどね。

 

「しょ、証拠ならあるよ」

 

「あるのか」

 

「ただデータが入ってるのはSDカードの中だから、一度部屋に戻らないと」

 

「なら放課後に愛里ちゃんの部屋に集合しよっか。それにしても須藤くんも優しいよね。私が卑怯ものって言われて怒ってくれるなんて。もちろん、暴力はダメだけどね」

 

「一応聞くが、何で須藤が暴力を振るうまで怒ったか分かってるのか?」

 

「須藤くんが優しいからだよね? 今の須藤くんなら、クラスのみんなのために怒れる人になってるんじゃないかな?」

 

「帆波…………いや、オレが聞いたのが間違いだった。忘れてくれ」

 

「須藤くんも報われないね…………」

 

「?」

 

 なんで二人とも哀れなものを見るかのように私を見てるの? 

 

 私なにか変なこと言ったかな? 

 

 

 

 

 

 




にぶちん帆波さん

帆波(憑依)に『■■のホワイトルーム生』的な二つ名をつけるとしたら

  • 慈愛のホワイトルーム生
  • 偶像のホワイトルーム生
  • 単純にホワイトルーム生No.2
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