転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います   作:レイラレイラ

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今日は雛祭りなのでそれに関した話もいいかなとか思ってたんですが、本編を優先したいので投稿します

少し長めです


親友のために

 日曜日のお昼前に、私は愛里ちゃんのお願いでショッピングモールにやって来た。

 

 土日は校内の運動施設で身体を動かしているから、食材を買いに来る用事を除いてほとんどこっちの方には来ないから新鮮に感じる。

 

 清隆くんと一緒に行きたくて何度も誘おうとしたんだけど、いつも端末とにらめっこするだけで羞恥心が勝って断念してしまうのがお決まりになってしまっている。

 

 もしかしたら必死に身体を動かしているのは現実逃避もあるかもしれないね。

 

 ふと周りを見回してみると、土日ということもあって多くの生徒でごった返していた。

 

 せめて邪魔にならないように近くのベンチに腰を下ろす。

 

 どうせ後で集まるなら寮で集合してから来たらいいと思うだろうけど、寮から私服で一緒に行くのはまだまだハードルが高すぎるんだもの。

 

 愛里ちゃんだけなら大丈夫だから、なんて理由で清隆くん一人だけ現地集合なんてのは可哀想だしね。

 

 日向ぼっこしながらぼんやりと待っていると、おしゃれな私服姿の愛里ちゃんが現れた。

 

「愛里ちゃんおはよー! って、言ってもこんにちはかどうか微妙な時間帯だけどね」

 

「おはようでいいんじゃないかな。その辺りは個人差あるだろうし」

 

 確かに愛里ちゃんの言う通りかもしれない。

 

 私は11時まではぎりぎりおはようだと思うから、他の人にとっては違和感を持たれるかもなんて考えていたけど心配はいらなそうだね。

 

「悪い、待たせたか」

 

 ベンチで二人談笑していると、数分くらいで清隆くんも近づいてきた。

 

 動きやすさを重視したシンプルな私服でも、清隆くんが着ているというだけで特別なものに見えてくるから不思議だ。

 

「全然待ってないよ。今来たとこ」

 

 なんだかデートするカップルみたいなこと言っちゃったけど、まったくの無意識にそんな台詞が出てきた。

 

 使い古されてるやり取りだからか、あるいは本能的な何かとして人間には刷り込まれているのかな。

 

 私の私服姿(原作4,5巻の挿し絵と同じもの)を清隆くんがまじまじと見てくる。

 

 清隆くんに見られるぶんには全然構わないけど、ずっと見られるのはかなり恥ずかしい。

 

「あの…………もしかして二人ってデートとかしたことないの?」

 

「で、デデデデート!? にゃいよ、全然にゃい!」

 

 愛里ちゃんらしからぬ直接的な問いに、まともに呂律が回らないまま答える。

 

 私がデートみたいだなとか妄想しながら二人で歩くことはあっても、お互いにこれがデートだと認識して出掛けたことは悲しいことに一度もない。

 

「少なくともこういう場では初めてだな。幼なじみとはいえ、女子を誘うというのはハードルが高くてな」

 

 その言い方だと何度も私をデートに誘おうとしたみたいな感じになっちゃうよ!? 

 

 勘違いしそうになっちゃうからそういう言い方は控えてほしいかな! 

 

「いくらハードルが高くても、まずは誘ってみるのが大事だと思う。綾小路くんだったら帆波ちゃんも断らないだろうし、夏休みになってからでいいから誘ってみようよ」

 

「…………そうだな。なんとかしてみる」

 

 急に私から離れると二人は何かを話し合っていた。

 

 距離があるからほとんど聞こえないけど、二人が身体を寄せあっているのを見て嫉妬してしまう。

 

「早くデジカメの修理の受け付け済ませちゃおうよ! そうしたらみんなで遊ぶ時間も取れるしさ!」

 

 自分の嫉妬心を無理やり振り払うように、私は二人を急かした。

 

 半分本音だったから余計に質が悪いと自分に自己嫌悪を抱く。

 

 こういうところが恋する女の子の辛いところだよね。

 

 

 全国的にも有名な家電量販店が設けられていて、私も一度だけ食洗機を買いに来たからざっと店内を歩いてある程度の製品については把握していた。

 

 敷地面積があまり広くないお陰でそれほど苦にならなかったのは幸いだったかな。

 

「修理の受け付けは向こうのカウンターだよ。二人とも、早く行こうよ!」

 

「う、うん…………」

 

 やっぱり愛里ちゃんは酷く怯えている。

 

 確かにねばつくような視線で見られ続けていれば、嫌悪感も恐怖も抱いてもおかしくないしそれが普通なんだよね。

 

 震える手を優しく包むと、愛里ちゃんがハッと顔を上げた。

 

「帆波ちゃん…………」

 

 もうこの子は俯いているだけの女の子じゃない。

 

 それに私がいるんだから、絶対に愛里ちゃんが安心出来るように手を尽くすのは当たり前のこと。

 

「大丈夫だよ。怖がらないで堂々としてればいいからね」

 

「…………う、うん」

 

 愛里ちゃんをゆっくりと店の一番奥の受け付け場所に誘導する。

 

 それに合わせて清隆くんも何も言わずについてくる。

 

 本当に怖がらなくていいのに。

 

 だって、()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ!?」

 

 まあ驚くのも無理はないんだけどね。

 

 愛里ちゃんの素直な反応に、内心でガッツポーズをとった。

 

 受け付け場所にいたのは例のストーカー男ではなく、20代後半くらいの女性店員だったから。

 

 ストーカー男? 

 

 そんな危険人物いつまでも放置しておくわけがない。

 

 どうしてこの場にストーカー男がいないのか、それは昨日の時点で動いていたからなんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、私に連絡してくるのはやめてください…………!」

 

 土曜日の夕方の時のこと。

 

 家電量販店の搬入口にわざと近づき、私はストーカー男と接触していた。

 

 ただし一之瀬帆波としてではなく、佐倉愛里としてだけどね。

 

 愛里ちゃんと同じ髪型のウィッグを被り、カラコンまで入れて表情から声色まで完璧に擬態した状態。

 

 素人にはとてもじゃないけど見抜けない自信もあって、目の前のストーカー男は変装だと気づいた様子はない。

 

「どうしてそんなことを言うんだい? 僕は君のことが本当に大切なんだ…………。雑誌で君を初めて見たときから好きだった。ここで再会した時には運命だと感じたよ。好きなんだ…………君を想う気持ちは止められない!」

 

 本当に大切だと思うのなら、なんで愛里ちゃんが嫌がってるのに気づかないのかな。

 

 運命? 

 

 ずいぶんと身勝手な自己解釈もいいところだ。

 

 好きと独占欲の違いもわからないなんて、どこまで腐っているのかと怒りすら通り越して呆れしか感じない。

 

「もう二度と私に関わらないでください! 迷惑なんです!」

 

 話している途中でも尚近づいてくる男の手を強引に振り払うと、しびれを切らしたかのように一息に距離を詰めてくる。

 

 私の腕を掴むと倉庫のシャッターに叩きつけるように押し付けた。

 

「なんで分かってくれないんだ! そうだ、今から本当の愛を教えてあげるよ…………そうすれば佐倉も、わかってくれる」

 

「いや、離してください!」

 

 パシャパシャと写真を撮る音が連続で響く。

 

「家電量販店の店員が女子高生に乱暴か。明日はテレビで一躍有名人だな」

 

 まさにぴったりのタイミングで現れたのは清隆くん。

 

 実際にこうして土壇場で現れて助けられると、愛里ちゃんが清隆くんに惚れちゃうのも仕方ないってくらいに心臓がばくばく言ってるもの。

 

「ちょ、ち、違う。これは違うんだ!」

 

「何が違うんだ? 監視カメラにもばっちり映ってるぞ。未遂とはいえ未成年に手を出したんだ。あんたは刑事告発されて職を失い、マスコミがあんたの実家まで押し寄せるだろうな」

 

 証拠も充分。

 

 現場も抑えた。

 

 もう何処にもこのストーカーの逃げ場はない。

 

 清隆くんが男の肩に手を置いて、淡々と断罪の一言を言い放った。

 

「あんた…………人生終わったな」

 

「さ、さよなら! もう二度としません!」

 

 凄まじい逃げ足でお店の中へと戻っていった。

 

 事前に警察は呼んでおいたから、捕まるのは時間の問題だろうけどね。

 

「ふぅ…………なんとかなったね」

 

 ストーカー男がいなくなったからもうウィッグを被る必要もないし、カラコン共々外して清隆くんに預かってもらっていた変装セットにしまっておく。

 

「早朝に電話が来たときは驚いたな。佐倉がストーキングされてるから捕まえるのを手伝えなんて」

 

「にゃはは。愛里ちゃんから相談は受けてたんだけどね。確実な証拠が手元に無かったし、それならいっそ強引に作っちゃおうって思ってね」

 

「帆波なら万が一は無いだろうが、今後こういうことは控えてくれ。心臓に悪い」

 

「…………以後気を付けます」

 

「そうしてくれ」

 

 

 

 

 

 

 そして現在に至るというわけ。

 

 そういうわけで、もう既にストーカー男はこの学校には存在しない。

 

 これで安心してショッピング出来るというものだよ。

 

 女性店員ということもあって、愛里ちゃんは躊躇いなくカメラの修理を依頼した。

 

 清隆くんは私たちから離れるとぶらぶらしながら電化製品を眺めている。

 

 店員さんがカメラの中を確認したら、落ちた衝撃でパーツの一部が破損してしまっているらしい。

 

 多分自室でカメラをいじってる時にうっかり落としたんだろうね。

 

 須藤くんの事といい、何か運命めいたものを感じるけど偶然だろうから気には留めないでおく。

 

 愛里ちゃんが必要事項を記入してカメラを渡すと店員さんは笑顔で対応してくれた。

 

 修理されたカメラが帰ってくるのは2週間ほどかかるそうで、愛里ちゃんは明らかに落ち込んでいた。

 

 二人で清隆くんのところに戻ると、彼が私にだけ気づくように一瞬視線を送ってきた。

 

 言われなくても提案するつもりだったから大丈夫なんだけどな。

 

「ついでだし、少しだけ店内を見ていかない? 清隆くんも何か気になってるみたいだしね」

 

「まあ一応な」

 

「時間もあるからいいよ。綾小路くんってあんまり物とか持たないタイプだと思ってたから、ちょっと意外だった」

 

「今日は下見だ。佐倉の言うようにあまり贅沢する趣味はないからな」

 

 実際には贅沢を知らないだけなんだけどね。

 

 清隆くんは一度距離を置いて、誰かに電話をかけた。

 

 十中八九外村くんだろうけど。

 

 監視カメラのセッティングについての相談をしているみたい。

 

 特に何かを買うわけでもなく、清隆くんの電話が終わったと同時にお店を出た。

 

 最初に集合したところまで戻ってから次に何処へ行くのか話し合いを始める。

 

「時間もちょうどいいし、何処かでお昼でも食べない? 私お腹すいちゃったよ」

 

「わ、私も」

 

「オレはそういう店はわからないから二人の好きにしていい」

 

 私もポイントは無駄使いしたくないから、適度に安くて美味しいところか…………

 

「じゃあファミレスに行こっか! サイゼ○ヤなら安いし美味しいよ」

 

「…………サイゼ○ヤ?」

 

「綾小路くん、本当に知らないんだね…………」

 

「悪いな」

 

「責めてるわけじゃないよ。驚いただけだから」

 

「あはは…………」

 

 三人で食べるお昼ご飯は、一人で食べてるときよりもずっと美味しかった。

 

 Dクラスとの小競り合いが終わったら三人で祝勝会をするのもいいかもね。

 

 

 

 




親友の怖がってる顔が見たくない
それだけで動く理由としては充分です

ストーカーと対峙している時の綾小路くんは、アニメの方が好みだったのでこっちにしました(多少言い回しは違うかもですが)

サイゼ○ヤいいですよね
私はフォッカチオが好きで毎回頼んでいます

帆波(憑依)に『■■のホワイトルーム生』的な二つ名をつけるとしたら

  • 慈愛のホワイトルーム生
  • 偶像のホワイトルーム生
  • 単純にホワイトルーム生No.2
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