転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います 作:レイラレイラ
お待たせして申し訳ありません!
須藤くんとDクラスの話し合いの日まであと1日になった。
当然と言ってもいいけど、事前に取り揃えた要素だけじゃ須藤くんが無実を勝ち取ること出来ない。
やることは決まっているし、準備はもう既に終えているから計画通りに事を運ぶだけ。
無実を勝ち取るかどうかは重要じゃない。
BクラスもDクラスもどっちも被害を被ることなく、全てを丸く収める結末はもう見えているからね。
ただ最後まで油断はしないよ。
遠足は帰るまでが遠足だから。
「それにしても今日もまた暑いな…………」
「まだ7月の真ん中にもなってないのに、どうしてこんなに暑いのかな」
「大丈夫? 日陰でちょっと休む?」
「問題ない。ここまで来ればさっさと学校に行った方が楽だ」
「わかった。本当にキツかったら言ってね」
清隆くんは意外と暑がりなんだよね。
愛里ちゃんは分からないでもないけど、私が暑さとか寒さに強いから共感しづらいのは申し訳ない。
決して無理はせず、でもちょっとだけペースを早めて校舎へと向かう。
下駄箱から少し先にある階段の踊り場の掲示板に愛里ちゃんが違和感を覚えたところで足が止まる。
そこには、須藤くんとDクラスに関係する情報を持つ生徒を募集する貼り紙がしてあったから。
有力な情報にはポイントを支払う用意もあると書かれてる。
「帆波の仕業か。相変わらずの行動力だな」
「半分正解半分外れだよ。ちょっと協力者に手伝ってもらっただけ」
まあ私の仕業というのは否定しないよ。
「あ、おはよう神崎くん。これは君がやってくれたんだよね」
たまたま近くに来ていたらしい神崎くんに声をかけると、静かな足取りで近づいてくる。
物腰が固めかつ真面目そうな雰囲気の生徒で、高身長のイケメンなのは端から見ていてもよくわかる。
清隆くんの方がずっと格好いいけどね。
「おはよう一之瀬。金曜日のうちに用意して貼っておいた。それがどうかしたのか?」
「ううん、彼が誰がやったのか知りたがってたから。あ、紹介するね。Cクラスの神崎くん。こっちは私のクラスメイトの清隆くんと愛里ちゃん」
「神崎だ、よろしく」
「綾小路清隆だ」
「帆波ちゃんの
二人は順番に神崎くんと握手していく。
愛里ちゃんは親友の部分を強調していたけど、どうしてだろう?
顔も赤いし熱中症になってないとは思うけど心配だな。
「どう神崎くん。有力な情報はあった?」
「残念ながら使い物になりそうな情報は無かった」
そうだろうね。
ひよりちゃんが確実な情報をリークしている可能性も考えたけど、それをすれば間違いなく龍園くんがクラス内で出所を探るはず。
私がひよりちゃんの立場でもまず情報は出さない。
「そっか。じゃあこっちも例の掲示板見てみるね」
「掲示板? 他にも貼り紙を貼っておいたのか?」
軽く違うよと否定してから、端末を操作して情報提供の書き込みをしたHPを呼び出す。
「学校のHPは見たことあるかな? そこに掲示板があるんだけどね、そこで情報提供を呼び掛けてるんだ。学校での暴力事件について目撃者がいれば話を聞かせて貰いたいってね」
清隆くんと愛里ちゃんに見えるように端末画面を見せた。
愛里ちゃんは尊敬の眼差しを向けてくるものの、清隆くんはすぐに私の行動の意図に気づいたらしい。
Dクラスに対しての対処法は清隆くんと共有している通り。
でも、表向きは必死に情報をかき集めているように見せなくちゃいけないからね。
Cクラスまで巻き込んだのはそれだけ説得力を増すから。
「新しい情報は難しいと思うけど…………あ、書き込み2件ほどメールが来てるね」
メールの内容に一通り目を通したあと、二人にも見えるように端末を傾ける。
「Dクラスの一人、石崎くんは中学時代相当な悪だったみたい。喧嘩の腕も結構立つらしくて地元じゃ恐れられてたんだって。多分だけど同郷の子からのリークじゃないかな」
「興味深いな」
神崎くんが強い興味を覚えるのも無理はない。
須藤くんにやられた3人組は、石崎くんが喧嘩慣れしていることとバスケ部の二人ということで運動神経もいいはずなのに一方的に返り討ちの逢うのはあまりにも不自然。
わざとやられてるのを知っている私からすればなおのことおかしいのは明らかだった。
「もしかすると須藤にやられたのはわざとかも知れないな。3人が須藤をハメるために動いたと考えれば自然と話が繋がる」
「さすが神崎くん。ズバリだねっ。後はこの情報の裏付けをしっかりととれば、少なくとも印象的にはこっちに有利に動くんじゃないかな」
「須藤が一方的に殴ったという事実は重く圧し掛かってくるがな。どうしても決定力に欠ける」
神崎くんの意見は正しい。
ただしそれは正攻法で戦った場合の話だ。
黒寄りのグレーゾーンで戦うのが常なこの学校では、生き残るための力足り得ない。
「さすがに別の情報は得られなさそうだな。もう時間はほとんど残されていないが、引き続きネットや貼り紙から情報があるのを待つしかないだろうな」
「いいのか? そこまでして貰って。Dクラスの連中に目を付けられることになるぞ」
清隆くんが当然の疑問を投げかける。
「気にするな。BクラスとCクラスは本来敵同士だが、俺たちもDクラスからちょっかいをかけられていた。やり返したいと考えるのは変なことではないだろう。それに今回はルールの外、許していい行いじゃない」
「おまけにうちのクラスに借りが作れるしね」
「そういうことだ」
神崎くんに協力してもらう代わりに貸し一つということで話はついてる。
無条件でないのは原作と違って、本来のBクラス(現Cクラス)のリーダーを務めていないからだろうね。
それとも神崎くんの性格故かな。
「それじゃあ俺はここで。また何かあったら連絡する」
「うん。ありがとう神崎くん、助かったよー!」
神崎くんの姿が見えなくなるまで手を振る。
情報をくれた相手のメールアドレスに一時的に発行したトークンキーを伝える。
あとは入金のリクエスト待ちかな。
一段落ついてホッと息をついていると、二人がぐいっと距離を詰めてきていてビクッと身体が震えた。
「あ、あの…………帆波ちゃんって神崎くんとどういう関係なの!? 結構仲良さそうだったけど!?」
「オレも気になるな。差し支えなければ詳しく聞きたいところだ」
おぅ…………二人の圧がすごいすごい。
愛里ちゃんはそんなに泣きそうな顔しないでよ、胸が痛くなるからさ。
清隆くんはやましいことが無いなら言えるよな、みたいな脅迫めいた何かを感じるのは気のせいかな。
「神崎くんとはただの友達だよ。少し前にCクラスに挨拶しに行ったときに話をするようになって、同級生だから仲良くやっていけたらいいなって思ってたんだけど…………」
「つまり神崎とは何でもないと?」
「そ、そうだよ」
なんだか浮気を疑われているみたいだな。
清隆くんに限ってまさか嫉妬してるなんて、あるわけないだろうしね。
「わかった。もともと帆波の交友関係が広いことは知っていたし、今さらそこをとやかく言うつもりはない。悪かったな、変なこと聞いて」
「私もごめんなさい。もし帆波ちゃんが他の人に盗られちゃったら嫌だなって思ってつい…………」
「気にしないで。私のことを心配してくれたんだろうし、その気持ちは嬉しいよ。ありがとう二人とも」
「…………そういうことじゃないんだけど(ね)な」
「?」
二人の言ってる意味がよく分からなくて、何とも言えない謎を抱えたまま私たちは教室に向かった。
内容の確認も含めて、私たちは昼休みの教室で作戦会議を開いていた。
もっとも私と清隆くんの間で大体のことは共有しているから、あくまでも会議擬きだけどね。
桔梗ちゃんも参加すると思ってたけど、以外にも大人しくしていた。
何て言うか、必要な時以外に私に話しかけてこないんだよ。
まあそれはさておき、今は須藤くんが申し訳なさそうに縮こまってるのがどうにも新鮮過ぎて顔に出ないようにするのが大変だったりする。
「本当にすまねえ! 俺が無視しきれなかったからこんなことになっちまって。この責任はいつか必ずとるからよ、明日のことは任せてもいいか?」
今年の特別試験では体育祭の時に須藤くんは欠かせない。
無人島試験にも力仕事も任せられるから頼りにはなるだろうね。
「もちろんだよ。絶対に事態を丸く収めてくるから、須藤くんはいい子にして待っててね」
「お、おう…………」
「…………」
清隆くんのジトッとした視線が突き刺さってくる。
私、何かしちゃったかな?
帆波ちゃんみたいなお姉ちゃんが欲しい人生でした…………
帆波(憑依)に『■■のホワイトルーム生』的な二つ名をつけるとしたら
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慈愛のホワイトルーム生
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偶像のホワイトルーム生
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単純にホワイトルーム生No.2