転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います 作:レイラレイラ
今回は長いです
「今からBクラスの点呼を行う。名前を呼ばれたものはしっかりと返事をするように」
茶柱先生の指示で一斉に整列を開始する。
整列を終えたタイミングでボード片手に全クラスが同時に出席の確認を始めた。
茶柱先生のジャージ姿って不思議と違和感がないんだよね。
バレー部か陸上部にも普通にいても、何らおかしくないような気がする。
程なくして、英語を担当しているAクラスの担任の堅物で有名な真嶋先生が白い壇上に上がった。
「今日、この場所に無事につけたことを、まず嬉しく思う。しかしその一方で1名ではあるが、病欠で参加できなかった者がいることは残念でならない」
有栖ちゃんのことだね。
彼女の身体のことを考えれば、最後までこの無人島特別試験を乗り越えるのは非常に難しい。
ちらりと先生たちの後方の様子を窺ってみると、作業着に身を包んだ大人たちが、特設テントに長机やパソコンなどを設置していた。
その光景に生徒たちも不安がり始める。
本当にこの学校は色々と質が悪いというか、常識はずれなことだけは保証されているとしみじみ思う。
「ではこれより────本年度最初の特別試験を行いたいと思う」
ほぼ全てのクラスから疑問の嵐が巻き起こった。
今の今までただの旅行だと思っていた生徒からすれば、いきなり背後から頭を殴られたように意味不明な状況なんじゃないかな。
原作知識が無くても、この学校に数ヶ月単位で通っていれば多少は疑っていてもいいはずなのに。
「期間は今から1週間。8月7日の正午に終了となる。君たちはこれからの1週間、この無人島で集団生活を行い過ごすことが試験となる。なお、この特別試験は実在する企業研修を参考にして作られた実践的、かつ現実的なものであることを最初に言っておく」
「無人島で生活って…………船じゃなくて、この島で寝泊まりするということですか?」
CかDクラスの辺りから、真嶋先生に疑問が投げかけられる。
「そうだ。試験中の乗船は正当な理由無く認められていない。この島での生活は眠る場所から食事の用意まで、その全てを君たち自身で考える必要がある。スタート時点で、クラス毎にテントを2つ。懐中電灯を2つ。マッチを1箱支給する。それから日焼け止めは制限なく、歯ブラシに関しては各自1つずつ配布することになる。特例として女子の場合に限り生理用品は無制限で許可している。各自担任の先生に願い出るように。以上だ」
「はああ!? もしかしてガチの無人島サバイバルと、そんな感じすか!? そんな滅茶苦茶な話聞いたことないっすよ! アニメや漫画じゃないんすから! テント2つじゃ全員寝れないし! そもそも飯とかどうするんですか!」
ごめんね池くん。
前世の私からすれば今でこそ現実だけど元々はラノベの世界だから、池くんの理屈で言うとそれほど滅茶苦茶な話ではないんだよね。
狼狽するのも、普通の学生生活を送ってきた人間なら仕方のないこと。
でも真嶋先生は池くんに対して心底呆れているように見えた。
「君はあり得ないと言ったが、それは短く浅い人生を送ってきたからに過ぎない。事実、無人島での研修を行っている企業は存在する。それも誰もが知っている大手企業が試みとして行っているものだ」
私は就活とかを考える前に死んじゃったからおおっぴらに否定出来る材料が無い。
少なくとも社会人としての経験があるぶんだけ、先生たちの方がそういったことに詳しくて当たり前。
「その企業が特別だっただけじゃないんすかね。無人島は飛躍しすぎというか。絶対ないっしょ! 非現実っすよ!」
「これ以上はみっともないからやめておけ。今真嶋先生が言ったのはほんの一部だ。世の中には様々な企業が存在する。変わった研修だけでなく、オフィスに椅子がない職場であったり、サイコロの出た目で給料を決める会社など。世の中はお前が知るより広く深い。つまり現実と非現実の区別がつけられていないのは、おまえの方だということだ」
茶柱先生だけでなく続いて真嶋先生までも容赦なく池くんの言葉を否定する。
知っている人間からすれば、どれも滑稽な戯れ言として映るのは当然のことなんだろう。
出来るなら池くんを擁護してあげたいところだけど、さすがに今回は先生たちの言い分が正しいし、事実その通りだと思う。
「しかし先生。今は夏休みのはずです。そして我々は旅行という名目で連れて来られました。企業研修ではこのような騙し討ちのような真似はしないと思いますが」
どこかのクラスの生徒が、しっかりと正論で真嶋先生にたてついた。
「なるほど。その点に関しては間違った認識ではない。不平不満が出るのも納得だな」
真嶋先生は池くんの時とは違って、一部を認めるような発言をした。
着眼点の違いが如実に現れた瞬間だった。
「だが安心していい。これが過酷な生活を強いるものであったなら批判が出るのも無理のない話だが、特別試験と言ってもそれほど深く考える必要はない。今からの1週間、君たちは海で泳ぐのもバーベキューをするのもいいだろう。時にはキャンプファイアーでもして友人同士語り合うのも悪くない。この特別試験のテーマは『自由』だ」
「え? え? 自由がテーマってことは…………? バーベキューも出来るって…………んんんっ? それって試験って言えんの? 頭混乱してきたんだけど…………」
疑問は一向に解消されることはなく、むしろ山積みされている状況に多くの生徒の頭がハテナマークで埋め尽くされてしまう。
確かに自由かもしれないね。
龍園くんの0ポイント作戦がいい例なんじゃないかな。
手段さえ選ばなければいくらでもやりようはある。
「この無人島における特別試験では大前提として、まず各クラスに試験専用のポイントを300支給することが決まっている。このポイントを上手く使うことで1週間の特別試験を旅行のように楽しむことが可能だ。そのためのマニュアルも用意している」
真嶋先生は他の教師から数十ページほどの厚みを持った冊子を受け取ると、生徒たちに見えるように前に出してきた。
「このマニュアルには、ポイントで入手できるモノのリストが全て載っている。生活で必需品と言える飲料水や食料は言うに及ばず、バーベキューがしたければ、その機材や食材も用意しよう。海を満喫するための遊び道具も無数に取り揃えている」
「つまり、その300ポイントで欲しいものが何でも貰えるってことですか?」
「無論計画的に使うことが前提だがな。堅実なプランさえ立てれば無理なく1週間を過ごせるように設定されている」
ただ過ごすだけなら確かに困らないだろうね。
そんなバカンスが楽しめるなら私も最初からそうしたいくらいだよ。
「で、でも先生。やっぱり試験って言うんだから難しい何かがあるんでしょ?」
「いいや、難しいものは何もない。2学期以降への悪影響もない。保証しよう」
「じゃあ本当に、1週間遊ぶだけでもいいってことですか」
「その通りだ。全ておまえたちの自由だ。もちろん集団生活を送る上で必要最低限のルールは試験に存在するが、守ることが難しいものは一つとしてない」
確かに真嶋先生の言うことはもっともではある。
でも真嶋先生が発した次の一言で、ほとんどの生徒に大きな衝撃を与えたことになる。
「この特別試験終了時には、各クラスに残っているポイント、その全てをクラスポイントに加算した上で、夏休み明けに発表する」
試験の結果次第では圧倒的に離されたクラスポイントを一気に縮めることも出来るだろうし、そこから得られるプライベートポイントにも大きな影響を与える。
ただし、今回のポイントは個人で操作できるものなんかじゃ決してない。
必要以上にこの300ポイントに拘るのははっきり言って愚策だ。
「マニュアルは1冊ずつクラスに配布する。紛失などの際には再発行も可能だが、ポイントを消費するので大切に保管するように。また、今回の旅行を欠席した者がいるクラスにはマイナス30ポイントのペナルティを与えることになっている。そのためAクラスは270ポイントからのスタートとなる」
Aクラスの生徒は欠片も動揺を見せなかったものの、他クラスの生徒はいきなり30ポイントも差が縮まったことに驚いた様子だった。
真嶋先生の話が終わるとともに解散宣言が言い渡された。
4つのクラスが距離を取って、私たちBクラスが茶柱先生の元に集まるとともに話を始める。
「今からお前たち全員に腕時計を配布する。これは試験終了まで外すことは許可されておらず、仮に許可なく外した場合にはペナルティが課せられる。この腕時計は時刻の確認に加え、体温や脈拍、人の動きを探知するセンサー、GPSも備えられている。非常事態が起きたときは躊躇わずボタンを押せ」
茶柱先生の傍らにBクラスへの支給品が次々と積み上げられていく。
そして茶柱先生の指示に従って、それぞれの左腕か右腕に時計がはめられる。
それから茶柱先生の説明によって腕時計が完全防水であること、故障した場合には試験管理者がやって来て代替品と交換する旨が伝えられた。
さらに1週間の生活にあたって学校は一切の関与をせず、食料も水も自分たちで用意する必要がある。
男女どちらからも不安そうな表情が窺える。
サバイバル経験はおろか、知識さえない人間ならそれも当然の反応だと思う。
「大丈夫だって。適当に魚でも捕まえてさ、果物だって探せばいいだろうし。体調崩しても最悪我慢でいけるっしょ」
「残念だけど池くん、そんな簡単にはいかないと思うな」
「帆波ちゃん!? ど、どういうことだよ!?」
私は受け取ったマニュアルの最終ページを開いて、ペナルティの項目を読み上げる。
「『著しく体調を崩したり、大怪我をし続行難しいと判断された者はマイナス30ポイント』だって。もしもこの中から10人でも体調を崩してリタイアしちゃうと、ポイントは一気に0になるの。どんなに頑張っても最後までもたなかった時のマイナスが大きいんだよ」
「そ、そっか。帆波ちゃんの言う通りだな」
少し考えて池くんも自分の発言の意味に気づいたのか、みるみると顔が青ざめていく。
我慢してポイントを残していたはずが、気づいた時には0ポイントでしたなんて誰でも受け入れられないだろうからね。
他にも『環境を汚染する行為を発見した場合。マイナス20ポイント』『毎日午前8時、午後8時に点呼に不在の場合。一人につきマイナス5ポイント』『他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、生徒の所属するクラスは即失格とし、対象者のプライベートポイントを全没収』の事項を読み上げると、みんな真剣味のある顔になった。
極端な我慢大会は出来ないこと、つまりは全力のサバイバルは実質不可能であることを悟ってくれたのだろう。
とにかく全員で無事1週間を乗り越えるためには、いずれにしても臨機応変に対応する必要がある。
「つまりさ、ある程度のポイント使用は仕方が無いってことだよね?」
「篠原さんの言う通りだね。みんなも納得してくれたかな?」
クラスメイトたちにそれぞれの意思を問うと、とりあえずは了承してくれるみたい。
もともと原作ではDクラスはクラスポイントが圧倒的に不足していたから、どうしても今回の特別試験で多くのポイントを残すかどうかで意見が割れていたけど今は状況が大きく違う。
クラスポイントにもある程度の余裕はあるからか、反対意見らしい意見は出なかった。
「茶柱先生、答えられることであれば教えて下さい。仮に300ポイント全てを使用してしまった後にリタイアする者が現れた場合にはどうなるんでしょうか」
場が落ち着きを見せたところで堀北さんが挙手し、茶柱先生に質問をする。
一瞬だけこっちを睨み付けてきたけど、想像以上に私は堀北さんに嫌われているらしい。
「その場合は、リタイアする人間が増えるだけだな。ポイントは0から変動しない」
「つまりこの試験でマイナスに陥ることはない、ということですね?」
茶柱先生は堀北さんの問いに肯定しつつも、小刻みに腕時計で時間を確認していた。
悪影響はないという事実確認を終えた後、茶柱先生は話を続けた。
「支給テントは1つが8人用の大きなものになる。重量は15キロ近いから運ぶ際は気を付けるように。また、支給品の破損や紛失に関しては学校側は一切手助けしない。新しいテントが必要な場合にはポイントを消費することを覚えておけ」
「僕からもよろしいですか先生。この点呼というのはどこで行うのですか?」
「担任は各クラスと共に試験終了まで行動を共にする決まりになっている。お前たちでベースキャンプを決めたら報告しろ。私はそこで拠点を構え、点呼はそこで行う決まりだ。それから一度ベースキャンプを決めた後、正当な理由なベースキャンプの変更はできないからよく考えるように。例外なくこれらは他クラスも同様の条件となっている」
そろそろ須藤くんがトイレに関して質問をする頃だと思うんだけど、一向にその気配はなかった。
ちゃんとアナウンスを聞いてトイレを済ませていたのなら、意識の度合いが大きく成長しているのがわかる。
「次にトイレの説明だが、用を足す時はこれを使え」
積み上げられたものの中から、茶柱先生が1つの段ボール箱を叩いた。
それからガムテープを外して折りたたまれた段ボールを取り出した。
「これは簡易トイレだ。クラスに1つずつ支給されるものだ。大切に扱うように」
「もしかして、私たちもそれを使うんですか!?」
篠原さんは大慌てで茶柱先生に質問した。
私は全然平気だけど、初見だとどうしても抵抗感を覚えてしまうのは無理もないかな。
「男女共有だ。だが安心しろ。着替えにも使えるワンタッチテントがついている。誰かに見られることはないだろう」
「で、でもっ!」
「篠原さん。このトイレってかなり良いものなんだよ。災害時にも使われてて、結構優秀なんだ。といっても知識だけで経験はないんだけどね」
「なんだ、一之瀬は知っていたのか。ならばお前が手本を見せろ」
「わかりましたっ」
こんなこともあろうかと、事前に簡易トイレの使い方はリサーチ済みなんだよね。
一斉に注目を集めるなかでテキパキとトイレを組み立てていく。
青いビニール袋をセットして白いシートのようなものを中に入れる。
吸水ポリマーシートとビニールは無制限に支給されるから、テントの下にビニールの束を作って敷いておけば寝心地も多少は良くなるしね。
「どうしても嫌って人もいるだろうし、仮説トイレは使わせてもらおうよ。もちろん男女別でね。他にも決めなきゃいけないことはあるけど、それらは後で決めるってことで」
「一之瀬さんがそう言うなら…………」
女子側からの了承も得たところで、茶柱先生が急に不機嫌そうに後方を見た。
「やっほ~」
気の抜けた声が背後から聞こえてくると、その人物は茶柱先生に背後から抱きついた。
他ならぬCクラスの担任の星之宮先生は茶柱先生とイチャイチャ(ではない)をしながらもこちらに声をかけてくる。
「あっ。一之瀬さんじゃない。久しぶり~」
「お久しぶりです星之宮先生。Bクラスに何か御用でしょうか」
「別に用って程じゃないわ。夏は恋の季節。好きな子に告白するなら、こういう綺麗な海の前が効果的かもよ~?」
「にゃっ!? す、すすす好き!? こ、告白!?」
星之宮先生の言葉に、必然的に清隆くんと太陽が沈む間際の海の光景が頭の中で広がってしまう。
もしも清隆くんに告白するなら、確かにロケーション的にはいいのかもしれない。
女子からは仕方ないなぁという雰囲気がびしびし伝わってくる。
「あらあら、からかい過ぎちゃったかしらぁ」
「あまり一之瀬を苛めてやるな。それにもう時間も無いんだ、さっさと自分のクラスに戻れ」
「う、そんなに睨まなくても…………。わかった、わかったわよぉ。じゃあね~」
星之宮先生が離れていくと何だかホッとする。
私があの人のことを苦手なのもこういうところがあるからかもしれない。
「まもなくお前たちにはこの島を自由に移動する許可が与えられるが、島の各所にはスポットとされる箇所が幾つか設けられている。それらには占有権と呼ばれるものが存在し、占有したクラスのみ使用できる権利が与えられる。どうするかは権利を得たクラスの自由だ。ただし占有権は効力上8時間しか意味を持たず、自動的に権利が取り消されることになる。そして、スポットを1度占有するごとに1ポイントのボーナスを得ることが出来る。ただしこの1ポイントは暫定的なものであり、試験中に使用することは出来ない。なので、試験終了時にのみ精算され、加算される仕組みだ。学校側は常に監視をしているため、このルールにおける不正の余地はない。注意するように」
「じゃあ、それすっげえ大事じゃないすか! ポイントまで付いてくるなんて美味しすぎる! 俺たちで全部取ってやろうぜ!」
池くんは目を輝かせて山内くんたちを誘う。
全部だなんて不可能なのは、ノリで言ってるだろうから分かってないよね。
「焦る気持ちは分かるが、このルールにはリスクが伴う。そのリスクを考慮した上で利用するかを検討することだな。そのリスクも含め、全てマニュアルに書かれてある」
1 スポットを占有するには専用のキーカードが必要である
1 1度の専用につき1ポイントを得る。専用したスポットは自由に使用できる
1 他が専用しているスポットを許可なく使用した場合50ポイントのペナルティを受ける
1 キーカードを使用することが出来るのはリーダーとなった人物に限定される
1 正当な理由無くリーダーを変更することは出来ない
大まかなルールはこんな感じかな。
7日目の最終日に点呼のタイミングで他クラスのリーダーを当てる権利が与えられる。
もしも他クラスのリーダーを当てることが出来れば、的中させたクラス1つに付き50ポイントを得る。
逆に言い当てられた場合は50ポイントを支払わなければならない。
的外れの人間をリーダーとして学校側に報告すれば、判断を誤ったとしてマイナス50ポイントされる。
それに加えてリーダーを見破られたクラスは、それまでに貯めたボーナスポイントも全て失うことになる。
余程の確信がない限りは報告を躊躇ってしまう作りになっているのは生徒の決断力を見たがっているのかもしれないね。
「例外なくリーダーは必ず一人決めて貰う。だが参加するかどうかは自由だ。リーダーが決まったら私に報告しろ。その際にリーダーの名前を刻印したキーカードを支給する。制限時間は今日の点呼まで。決まらなかった場合はこちらで勝手に決めさせてもらう。以上だ」
茶柱先生はこれ以上関与する気がないのか、完全に静観を決め込む姿勢に入った。
ここで立ち止まってるのも問題だし、早いところ行動した方がよさそう。
「リーダー決めはひとまず後回しだね。まずはベースキャンプに適した場所を探そっか。ここに拠点を築くのは厳しいから」
「なら俺たちに任せてくれ! さっきの汚名返上だ!」
池くんが進んで探索役を買って出てくれた。
山内くんと須藤くんも一緒に行ってくれるみたいで、とりあえず三人に任せることにする。
「わかった。必ず三人で行動して、一人ならないように気を付けてね」
「おうよ!」
池くんたちが先に森に入っていくと、平田くんがやって来て声をかけてきた。
「一之瀬さんは本当にすごいよ。いつもみんなを引っ張ってくれる理想のリーダーだと思う」
「にゃはは。そんなことないよ。私は出来ることを精一杯やっているだけだから、そこまで立派なものじゃないんだけど」
実際に大まかなスポットの位置に目星をつけておきながら、わざわざ探索させる真似をしているんだからね。
隅々まで把握しているわけじゃないから不必要な行為ではないけど。
「一之瀬さんがうちの中学にいてくれたらあんなことには…………」
「平田くん? どうしたの?」
「…………いや、なんでもないよ。何か手伝えることがあったら遠慮なく言って欲しい。僕でよければだけどね」
「なら、そうさせてもらおうかな。力仕事とかはどうしても頼らざるを得ないだろうし」
さっき平田くんが呟いてたことは、多分彼の幼なじみが飛び降り自殺を図ったことを言っているんだろうね。
その頃には私はホワイトルームにいたから無い物ねだりにはなってしまっている。
いずれは平田くんとも深く関わるだろうし、その時に何か出来ることがあればいいな。
平田くんの成長のためにもね。
今までで一番長文を書きました
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