転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います   作:レイラレイラ

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家でキャンプ漫画を見ていると行きたくなってしまう今日この頃


受け入れ体制

「そろそろ枝集めに行った方がよさそうだね」

 

 ランタンで夜の明かり問題は解決したと言っても、食事をするには火はどうしても欠かせないものになる。

 

 もちろん料理にもよるだろうけど、せっかくトウモロコシが手に入ったんだから焼きトウモロコシにしたらより美味しく食べられると思った私は枝集めに出向くことにした。

 

 醤油とかがあれば言うことなしとはいえさすがに贅沢じゃないかと思わなくもない。

 

「ねえ清隆くん、これから火に使う枝を拾いにいくんだけどついてきてくれないかな? 少しでも人手が欲しくて」

 

「いいぞ。ちょうどさっき平田からも頼まれたんだ」

 

「ありゃ。まあ手間が省けて助かるけどね。愛里ちゃんはどうする? 疲れただろうし、休んでてもいいんだよ」

 

「平気だよ。私も行きたい」

 

 今日一日愛里ちゃんには結構無茶をさせてしまったからかなり疲れているだろうに、屈託のない笑顔で答えてくれた。

 

 枝集めから戻ったら愛里ちゃんにゆっくり休んでもらわないと。

 

 山内くんとかも来てくれるんじゃないかと思ったけど、清隆くんの方に恨みがましい視線を送っていた。

 

 おおかた清隆くんがいるから声をあげづらいと言ったところか。

 

 無理に誘っても余計なトラブルを生みかねないだろうし、今はそっとしておくのが得策だろうね。

 

「それじゃあ行こっか」

 

 結局は三人で森の方に向かって、それほどベースキャンプ地から遠くない場所で枝集めをすることになった。

 

 程よい距離を保ちつつ広がるようにして枝を拾っていく。

 

 細い枝から太い枝までバランスよく拾わないと燃やす時に苦労することになるから。

 

 湿った枝は拾わずに元の場所に置いておいて、乾燥したものだけを選ぶことも忘れない。

 

 適度に枝が集まったところで合流という流れになり、それぞれの枝の量を確認していく。

 

「帆波ちゃんって力もあるんだね。綾小路くんと同じくらい持ってるもん」

 

「昔からスポーツは色々とやってたから。必然的に力が付いちゃった感じかな」

 

 だてにホワイトルームに鍛えられてはいない。

 

 多分だけど腕相撲とかだったら、Bクラスの男子のほとんどにも勝てる自信がある。

 

 須藤くんとか高円寺くんにはさすがに力では敵わないだろうけどね。

 

 当然ながら清隆くんにも一度も勝てたことはない。

 

「愛里ちゃんも鍛えてみる? 運動する時のコツとか教えられるけど」

 

「わ、私はいいよ。運動得意じゃないし」

 

 無理強いするつもりはないけど、運動はある程度しておいて損はないと思う。

 

 体力をつけておけば、今後に役立つ機会は必ずやって来る。

 

 具体的には体育祭の時とかが挙げられる。

 

「そっか。気が向いたら声をかけてね。私は早朝とかランニングしてるからさ」

 

「帆波のペースに合わせてたらすぐに潰れるのが目に見えるな」

 

「いきなり全力なんて出さないよ。愛里ちゃんのペースに合わせつつ、ちょっとずつ早くしていくつもりだからね」

 

 護身術とかも教えたら自分で身の安全を守れるんじゃないかなとか考えながら、もう枝も充分に集まったということでベースキャンプに戻ることが決まった。

 

 そこである女の子を見つけることになる。

 

「Dクラスの伊吹さんだよね? どうしたのこんなところで」

 

「おまえは…………確か一之瀬だったっけ」

 

 声をかけにいくと、私のことは知っていたみたいで無視されるということにはならかったみたいで少しホッとする。

 

 伊吹さんの頬は赤く腫れ上がった痕があって、間違いなく龍園くんに叩かれたものだろう。

 

 伊吹さんはBクラスに対するスパイであることを私は知っているわけだけど、だからといって放置するわけにもいかない。

 

 私が立てた戦略に彼女の存在は必要不可欠だったから。

 

「もしかしてクラスで揉めて出てきたとか? だったらBクラスに来ない? 歓迎するよ」

 

「なんでわかるんだよ。それに聞いていた通りのお人好しらしいな。敵である私を助けるだなんて」

 

「敵とか関係ないよ。一人ぼっちで困っているところを見捨てたら寝覚めが悪い、だから伊吹さんは私の罪悪感を消し去るために助けられてくれるっていう形だったらいいと思わない? 恩を売るって感じで」

 

「何それ。総じておまえが損しかしてないでしょ」

 

「そうだね。私は損がしたいんだよ。どうしても嫌って言うなら私たちもここに残るけど」

 

 疑念に満ちた目線で伊吹さんはこちらを見つめてくる。

 

 何か裏があるんじゃないかと疑うのは至極当然のことだし、損がしたいなんていう人間が信用ならないと思うのも伊吹さんからすれば仕方のないことだと思う。

 

 ひとしきり思考を巡らせた後でしつこくされても面倒だと思ったのか、呆れた様子で立ち上がった。

 

 よく観察してみると、爪の間には土が挟まってるし、直前まで伊吹さんが座っていたところにも掘り返した跡もある。

 

 仕込みは万全ってところかな。

 

「噂で聞いていた以上にお人好しだな。うちのクラスでは考えられない」

 

「あはは。反論出来ないのが辛いところだなぁ」

 

「でもいいわけ? おまえらのキャンプ場所教えても。しかも案内までするとか」

 

「いつかは分かることだしね。清隆くんも愛里ちゃんもいいよね?」

 

 二人に同意を求めてみると、あっさりと頷いてくれたから伊吹さんの目線が呆れから心配なものを見る目に変わった。

 

「鞄重くない? ちゃんと運べる?」

 

「おまえは私の母親か何かか。気遣わなくていいから」

 

 邪魔臭そうに鞄を肩にかけ直すところを見て心配になったから声をかけてみると、伊吹さんは強く拒否して後ろに隠してしまう。

 

 その際に鞄が木にぶつかってゴンと鈍いを立てることで伊吹さんが気まずそうにしていて、私はそれに気づかないふりをすることにした。

 

 伊吹さんというスパイを伴って、私たちはBクラスのベースキャンプへの帰路をたどった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャンプ地に戻ってきたと同時に、伊吹さんはBクラスに迷惑をかけたくないと言って少し離れたところに腰を下ろしていた。

 

 平田くんたちがまだ帰ってきていないということで、全員が揃ってから話そうということで落ち着いた。

 

 ちらほらと伊吹さんの方を見ている人もいるけど、私が連れてきたということで深く追及されることはなかったのは幸いかな。

 

 ひとまず私と清隆くんと愛里ちゃんで火を焚くことにした。

 

 愛里ちゃんに枯れ葉を集めてもらって、清隆くんには細くて乾燥した枝を纏めてもらった。

 

 マッチ棒を取り出し、素早く側薬に擦りつけると先端にボッと火がつく。

 

 枝の上に乗せられた枯れ葉に火をつけると、燃え上がった火は小枝に移っていく。

 

 火の加減を見ながら徐々に太い枝を乗せていくとともに、最初は小さかった火も大きなものに変わっていった。

 

「まあ、こんな感じかな。上手くいってよかったよー」

 

「帆波ちゃん手際いいね。池くんみたいにキャンプしたことあるの?」

 

「経験は全くないんだよね。ネットでキャンプ動画はよく見るんだけど、ほとんど見よう見まねだから不安だったんだ」

 

「それで出来る帆波が凄いだろ。誰だって最初は上手くいかないものだからな」

 

 そういうものなのかな。

 

 前世で私が初めてキャンプした時は、割りと上手く焚き火出来た気がする。

 

 もちろん事前に動画を見まくってイメージトレーニングを積んだ上でだから多少は違うかもしれないけど。

 

 今のうちにと焼きトウモロコシを作っていたら、いつの間にか5時を回っていたようで平田くんを含めた桔梗ちゃんグループが帰ってきた。

 

 ぶどうやキウイのような果物に近い木の実をたくさん抱え、疲労困憊の様子で戻ってきたところらしい。

 

「それにしても喉渇いたね…………お腹も空いてきたし」

 

「私も喉渇いちゃった」

 

「二人ともこれ飲んでみて」

 

 井の頭さんたちに近づいて川の水が入ったペットボトルを差し出すと、一瞬不安そうな顔を浮かべる。

 

「あれから時間が経ってるけど問題はなかったよ。あっちで焼きトウモロコシも作ったから、一人につき1本ずつ食べていいからね」

 

「あ、ありがとう」

 

「それじゃあ、お言葉に甘えて…………」

 

 池くんたちの方を見てみると、桔梗ちゃんたちが持ち帰ったクロマメノキやアケビについての説明をしていた。

 

 みんなの雰囲気もとてもよくなっているし、伊吹さんのことを受け入れてもらえるとはいかなくても、キャンプ場にいさせてくれるかもしれない。

 

 佐藤さんがこっそりとグループを離れてこちらに近づいてくる。

 

 伊吹さんのことを特に気にしていた生徒の一人だったから、こっちから言い出す必要がなくなったことは素直に助かる。

 

「一之瀬さん。ところでなんだけど…………あの子、Dクラスの伊吹さんだよね? 前に見たことあるんだけど」

 

「そうだよ。実は…………」

 

 伊吹さんを連れてきた経緯を平田くんも交えて全て説明すると、平田くんは納得したように何度も頷いた。

 

「なるほど、それは正しい判断だね。放ってはおけないよ」

 

「でもさ二人とも…………スパイかも知れないよ? リーダーを当てるってルールもあるし…………」

 

「確かにね。でもその都度疑ってたらキリないし、怪我をしている子を放り出すなんて私には出来ないかな」

 

「一之瀬さんの言う通りだ。女の子を一人で野宿させるなんて危険すぎる。一之瀬さんからのお願いって言えば、みんなも納得してくれるはずだ」

 

 平田くんからも背中を押されて、私はBクラスの人たちにお願いして回った。

 

 一部難色を示す人もいたけど、最終的には渋々ながらも受け入れてくれると言ってくれた。

 

 Dクラスは点呼の度にポイントを吐き出すという打算的な部分もあったというのは否定できない。

 

 もっともDクラスはポイントを使い果たしているだろうから、あってないような利点なんだけどね。

 

 伊吹さんにも不用意に装置には近づかないように約束してもらって、Bクラスで面倒を見るということが正式に決まった。

 

「というわけで、はいこれ。お腹空いてるでしょ。少し冷めちゃってるかもだけど。水もどうぞ」

 

 距離を置いたところでじっとしていた伊吹さんに歩み寄り、焼きトウモロコシとペットボトルの水を1本差し出す。

 

 出来上がってから間がおかれた焼きトウモロコシは微妙な温度になっていたけど、それでもその美味しさはほとんど変わらないはず。

 

「どいつもこいつもお人好しすぎるだろ。それともリーダーの影響とか」

 

「遠慮しないでいいからね。好きなだけここにいて」

 

 やるだけのことはやったし、私もそろそろご飯を食べるために清隆くんと愛里ちゃんのもとに向かった。

 

 もっと大勢で集まって食べるご飯も美味しいけど、いつもの三人でいる時が一番落ち着くから。

 

「あれ? そう言えば高円寺くんは?」

 

 食料を手分けして配っていた平田くんが高円寺くんの不在に気づいた。

 

「高円寺ならば、体調不良を訴え船に戻ったぞ。もちろん体調を崩したということで、既にお前たちは30ポイント差し引かれたことになる。これはルール上どうしようもない。高円寺はリタイアとなり1週間船内での治療と待機が義務付けられた」

 

「えええええええ!?」

 

「ちくしょう高円寺のヤツ! 何考えてやがんだ!」

 

 Bクラスは30ポイントを失ったけど、それぐらいなら最初から計算のうちだった。

 

 少なくとも私にとっては。

 

 

 

 

 

帆波(憑依)に『■■のホワイトルーム生』的な二つ名をつけるとしたら

  • 慈愛のホワイトルーム生
  • 偶像のホワイトルーム生
  • 単純にホワイトルーム生No.2
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