転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います   作:レイラレイラ

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よう実2年生編もアニメ化してほしいと思いつつ投稿です


行動開始

「また早く起きちゃったな…………」

 

 早朝ランニングのために早起きを繰り返してきた癖のせいか、腕時計を見てみると時刻は午前5時30分と表示されていた。

 

 二度寝するのにも中途半端な時間だったからどうしようかと思ったけど、テントの前から何かを漁っている音が聞こえて外に出てみる。

 

 ちょうど清隆くんが伊吹さんの鞄の中身を物色しているところに出くわし、顔にこそ出なくても驚いている様子が伝わってきた。

 

「おはよう清隆くん」

 

「驚かせないでくれ。誰かに見られたかと思ってどう言い訳するか考えるところだったぞ」

 

「もう決定的な瞬間過ぎて言い訳も無意味じゃないかな。私だったからよかったけどさ」

 

 清隆くんから鞄を回収して、代わりに私が伊吹さんの鞄を隅々まで探っていく。

 

「これなら私がクラスリーダーとして念のために確認したって言い訳がつくし、清隆くんは私に無理矢理付き合わされたって言えるでしょ」

 

「悪いな。最初から帆波に頼んでおけばよかったか」

 

「にゃはは。そうそう、もっと私を頼ってよ。私は清隆くんの役に立てればそれでいいんだから」

 

 鞄の中にはタオルに代えの服、下着などの基本的なものに加えて貸し出し用のデジカメが入っていた。

 

 何か変化があるかもと用心して探ってみたものの、原作と変わりない様子で少し安心する。

 

 デジカメに電源を入れてデータをチェックしてみても何も入っていない。

 

 一通り物色を終えてから荷物を戻すと、二人で男子共用の中央スペースに向かった。

 

 男子側のテントから平田くんが出てきたのに気づいた私たちは挨拶した。

 

「おはよう平田くん。昨日はよく眠れた?」

 

「おはよう一之瀬さんに綾小路くん。お陰さまでぐっすりとね」

 

 男女のテントにはそれぞれ分厚いビニールの束が敷かれていて、身体への負担を極力減らせるようにしておいた。

 

 睡眠にも悪影響を与えずに済むのはどうしても必要な措置だったからね。

 

 女子もそうだったけど、男子もまだほとんどが眠っているみたい。

 

 昨日はあれだけ動き回ったわけだし、疲労が残るのは仕方ないことなんだろう。

 

 平田くんは断りを入れてから、誰も起こさないように気を遣って静かにテントを出てトイレに向かった。

 

 マニュアルの白紙ページ一枚だけ既に切り取り、島の地図も可能な限り細かく模写しているからわざわざマニュアルを取りに私のテントに戻る必要もない。

 

 適当に時間を潰していると、トイレに行っていた平田くんが戻ってきた。

 

「良かったら一緒に顔を洗いに行かない?」

 

「もちろんいいよ。私たちもそうしようと思ってたしね」

 

 これを見越して既にタオルは持ってきているから、私は二人が自分たちの荷物からタオルを取り出すのを待っていた。

 

 ふとテントの側を見てみると、空のペットボトルが置かれているのを見つけたからぼーっと眺めていると平田くんが不思議そうに訪ねてきた。

 

「あれ? 一之瀬さん、そのペットボトルがどうかした?」

 

「ちょっと打ち水に使えないかなと思って。点呼の後でみんなに協力してもらって、この辺り一帯に撒いとけば暑さ対策になるんじゃないかな」

 

「なるほど。それなら気化熱も効率よく奪えるし、時間をかけて蒸発するから効果の持続も期待できるね。さすが一之瀬さんだ」

 

「にゃはは。そんなことないよー」

 

 それから三人で川に向かうと、見知った相手がいることに気づいた。

 

 まあ想像はしていたんだけどね。

 

「一之瀬。こんなところで何をやってるんだ」

 

 Cクラスのリーダーでもある神崎くんがBクラスのベースキャンプを覗き込むように見ていた。

 

 少し離れたところから他のCクラスの生徒たちもこちらを見ていたけど、代表でもある神崎くんと話した方が手っ取り早いと思って声をかけた。

 

「ちょっと顔を洗いにね。神崎くんたちこそどうしたの?」

 

「1日経ってどうしたかと思ってな。少し様子を見に来たんだが、良い場所を押さえたな」

 

 川辺のベースキャンプを見て神崎くんは素直に感心する。

 

 この人たちは良くも悪くも裏がないから変な勘繰りをしなくて済むから楽で助かるね。

 

 もちろん良い意味で。

 

「これ以上は邪魔になる。そろそろ俺たちは退散させてもらうとしよう」

 

「神崎。Cクラスはどこにキャンプしているんだ?」

 

 背を向けて歩きだそうとする神崎くんたちに清隆くんが問いを投げた。

 

 神崎くんは嫌な顔せずに振り替えって答えてくれた。

 

「ここから道なりに浜辺に戻る途中に折れた大木があるだろう。そこから南西に森に入って進んだ先にCクラスが滞在するキャンプ地がある。大木から入れば迷うこともないだろう。必要なら来てもらって構わない」

 

 神崎くんは全て言い終えると、今度こそ立ち去った。

 

 今までのやり取りを見ていた平田くんが確認するように訪ねてくる。

 

「もしかして暴力事件の時の協力者って、神崎くんのことだったの?」

 

 以前の暴力事件の際に名前は伏せたけど、Cクラスの協力者がいることは平田くんにも伝えてある。

 

 私たちが普通に話していたことから察したんだろうね。

 

「そうだね。神崎くんなら信用できるし、今回も色々と協力していけたらなって思ってるよ」

 

 貸し付きだったとはいえ、BクラスとCクラスは協力関係になっている。

 

 もともと行くつもりではあったけど、前回のお礼もしたいから挨拶ついでに訪ねるのもいいかもしれない。

 

「一之瀬さんがそういうなら僕も信じる。協力できるならそれに越したことはないからね」

 

 反対意見は出ないと思ってはいたものの、肯定的な意見が出たことは素直に嬉しい。

 

 三人とも顔を洗ってスッキリしてからテントのところまで戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝の点呼を終えると同時に、占有権の更新を行うことも忘れない。

 

 2度目の更新を遅らせて更新のタイミングをずらすのは原作でもやっていたことだし、私もその作戦は採用することにした。

 

 全体を見ながら指示を送っていると、池くんの怒声がキャンプ地に響き渡った。

 

「何だよお前ら!」

 

 多分あの二人だなと思いつつ池くんのところに歩いていくと、案の定小宮くんと近藤くんだったので驚きはない。

 

「あれ? 小宮くん? それに近藤くん?」

 

「げっ! い、一之瀬…………」

 

 げっとか言わないでくれるかな。

 

 そんな風に避けられたら、さすがの私でもちょっと傷つくんだよ。

 

 さっきまでポテチと炭酸ジュースを余裕の表情で飲んでたのに、今では冷や汗がだらだらと流れていて酷い有り様だった。

 

「あー…………その、だな…………。龍園さんからの伝言だ。夏休みを満喫させてやるから今すぐに浜辺に来いってよ。夢の時間を共有させてやるということだな」

 

「あはは。そっか、夢の時間かぁ…………」

 

「ち、ちゃんと伝えたからな! 聞いてなかったとかは通らねえからな!」

 

「お、おい! 待ってくれよ小宮! 俺を置いていくなぁ!」

 

 要件を伝えたと同時に、一目散に逃げ出していくDクラスの二人。

 

 嫌がらせも煽ってくるということもなく、10分以上は挑発行為が続くと思っていただけに少し肩透かしを食った気分だね。

 

「なんだあいつら。帆波ちゃん見たらびびって逃げていきやがった」

 

「帆波にコテンパンにやられてトラウマにでもなったんじゃねえの。いい気味だぜ」

 

「あはは…………」

 

 須藤くんの言い方だと私が酷いことをしたみたいじゃない。

 

 多少の邪道な手は使ったけど、退学まではさせてないんだから多めに見てほしいな。

 

 それはそうとDクラスの偵察をしておきたい気持ちがあるのも確かだし、ひよりちゃんにも会いたいから清隆くんを連れて行ってみよう。

 

 堀北さんも来てくれるといいけど、私が言っても突っぱねられるだけだろうから。

 

 愛里ちゃんは筋肉痛で見るに耐えないぐらい辛そうだったから、今日は大人しくお留守番して休んでもらわないとね。

 

 とりあえず女子テントの方に戻ると、清隆くんの姿が見えたので何事かと思って見てみるとちょうど堀北さんが出てきたところだった。

 

「ちょっと、一之瀬さんも一緒だなんて聞いてないわよ」

 

「言ってなかったからな。それとも帆波が一緒だと不都合でもあるのか?」

 

 キッと清隆くんを睨み付ける堀北さんだったけど、その迫力はまだ体調が悪いからか普段の3分の1にも満たない。

 

 堀北さんが清隆くんと一緒に何処かに行こうとしたのも、私のために彼女を連れ出そうとした可能性が高い。

 

 なら私に出来るのは上手く話を会わせること、そして堀北さんがテントに引っ込まないように対応する必要がある。

 

「ごめんね。堀北さんは具合悪いのに、無理に連れ出そうとしちゃって。清隆くんにも後で言っておくからさ」

 

「いいえ、何も問題はないわ。強いて言えばいけすかない人がいるくらいだけれど、極力関わらないようにすればいいだけだもの。他クラスの様子も気になっていたし。背に腹は代えられないわ」

 

 重い足取りでありながらも、堀北さんは懸命に歩きだした。

 

 置いてかれないように、ただし小声で話して聞かれないぎりぎりの距離を保ちながら二人で堀北さんについていく。

 

「帆波のことだ。他クラスを探るにあたって堀北を連れていきたがると思っていたからな。オレが誘うぶんには少しは面倒を減らせると思ったんだが…………迷惑だったか?」

 

 本当に私のために動いてくれたんだと思うと、嬉しさで飛び回りたくなるのを必死に抑える。

 

 これは清隆くんの細やかな親切なんだから、胸の中に大切にしまっておこう。

 

「迷惑なんかじゃないよ。むしろすごく感謝してる。試験が終わったら何かお礼させてね、何でもするからさ」

 

「何でも…………わかった。楽しみにしておく」

 

 何だか真剣に考えてるみたいだけど、清隆くんもやりたいことがたくさんあるってことなのかな。

 

 私に出来る範囲のことなら、清隆くんの望みを叶えてあげられるだろうしね。

 

 

 

 

 

 




次話で纏めて他クラスとの接触です

帆波(憑依)に『■■のホワイトルーム生』的な二つ名をつけるとしたら

  • 慈愛のホワイトルーム生
  • 偶像のホワイトルーム生
  • 単純にホワイトルーム生No.2
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