転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います 作:レイラレイラ
今回は解説回です
8月7日。
長かったようであっという間だった無人島生活も終わりを迎えたということで、ほとんどの生徒たちが安堵している様子だった。
正午になっても真嶋先生たちが姿を見せていないためか、多少は警戒している人もいるみたいだけどね。
『ただいま試験結果の集計をしております。暫くお待ちください。既に試験は終了しているため、各自飲み物やお手洗いを希望する場合は休憩所をご利用下さい』
特にこれといってやることもないから、適当に過ごしていると愛里ちゃんが冷えたスポーツドリンクが入ったコップを持ってきてくれた。
「はい、帆波ちゃん。一週間お疲れ様」
「ありがとう。愛里ちゃんこそ、すごく頑張ってて偉かったよ」
「私なんて全然だよ。クラスのみんなに落ち着いてもらうので精一杯だったし、力仕事とか島の散策ではあまり役にたってなかったし」
堀北さんたちを追いかけている間、急にいなくなった私を心配する声がBクラスでかなり上がっていたらしい。
平田くんでも完全には抑えきれないなかで、愛里ちゃんの声でひとまずは落ち着きを見せたとか。
普段から私と一緒にいるから説得力も増したのかもしれないけど、それよりも注目を一身に受ける行動を取ってまでクラスを纏めてくれた愛里ちゃんには感謝しかない。
入学当初だけじゃなく、原作と比較しても目覚ましい成長を遂げていることが何よりも私は嬉しいと思っている。
もしもこの子に武術とかを教えたらどうなるのか、学力もこのまま成長を続ければBクラスでも上位に食い込めるレベルにまで登り詰めるはず。
「あの…………実は、お願いしたいことがあるの」
「いいよ。私に出来ることならだけど」
数瞬だけ間が空いて、愛里ちゃんは意を決したように顔をあげた。
「今回の試験で私もまだまだだって思った。体力とか、色々と足りてたらもっと役に立てたのにって。だから私も、早朝のランニングとか参加したいの。ダメ…………かな?」
上目遣いでお願いしてくる愛里ちゃんが可愛すぎるので間髪いれずに了承したくなったものの、向こうもそれなりの覚悟を決めているのは表情からも察せられる。
だったら私も、誠意のある態度で返答をしないといけないよね。
「…………わかった。でも、私のペースに付いてこれるようにビシバシ鍛えていくから、愛里ちゃんも覚悟しておいてね」
「が、頑張ります!」
この子も実際のところはかなりの努力家だし、すぐには無理だとしても1年生の終わりには今よりもかなりの成長を見せてくれるはず。
ちらりと清隆くんの様子を窺ってみると、心なしか少しだけ疲れているように思える。
昨夜は堀北さんを連れて先に戻ってきたものだから、私だけ残してきたことに男子たちからかなりこっぴどく怒られたとか。
龍園くんと私が戦ったことは言わない方がいいだろうと、清隆くんが私はぎりぎりまで伊吹さんを探すという風に説明をしたらしい。
清隆くんは何も悪くないんだけど、私がかっこつけて龍園くんの勝負を受けちゃったせいでまた男子からの評価が下がっているようだった。
女子からは人畜無害な普通の生徒として捉えられているみたいで、清隆くんにしてみれば理想的な状態かもしれないけどね。
まあ何はともあれ、私たちは無事に無人島特別試験を乗り切ることが出来た。
私の戦略上堀北さんはリタイアという形にしてしまったけども、これも必要な措置として理解してもらえるかと言われれば難しいと思う。
どう謝ろうかと思案している間にキィン、と拡声器のスイッチが入る甲高い音が響くと同時に真嶋先生が姿を見せる。
慌てて列を形成しようとした生徒たちを、真嶋先生は手で制止させた。
「そのままリラックスしていて構わない。既に試験は終了している。今は夏休みの一部のようなものだ、つかの間ではあるが自由にしていて構わない」
先生にそう言われたからと言って、そう簡単には緊張がほどけたりはせずに雑談はあっさりと消え去る。
「この一週間、我々教員はじっくりと君たちの特別試験への取り組みを見させてもらった。真正面から試験に挑んだ者。工夫し試験に挑んだ者。様々ではあったが、総じて素晴らしい試験結果だったと思っている。ご苦労だった」
見たとは言っても裏の部分はちっとも見えてないでしょう。
現に私と龍園くんが戦ったことは露呈していないし、あるいはバレないように上手く立ち回るのも試験の内ということかもしれないけどね。
「ではこれより、端的にではあるが特別試験の結果を発表したいと思う」
視線を感じてその方角をこっそりと確認してみると、龍園くんが勝利を確信したような笑みを浮かべて私を見ていた。
口には出せないけどごめんね、と心の中で謝っておく。
残念だけど今回の試験は
「なお結果に関する質問は一切受け付けていない。自分たちで結果を受け止め、分析し次の試験へと活かしてもらいたい」
私の計画通りに事が進んでいたら、まず間違いなくこの学校でも史上初の結果が発表されるはず。
先生方の薄く現れている反応から判断しても、ほぼ確実にそうなっている可能性が高い。
「ではこれより特別試験の順位を発表する。最下位は────────Dクラスの0ポイント」
「…………0だと?」
龍園くんは理解出来ていない様子で、さっきまでの余裕の表情は何処にも残されてはいなかった。
「続いて3位はAクラスの70ポイント」
Aクラスから一斉に広がるどよめきの声。
想定よりも200ポイントも減っているわけだし、何よりも彼らには落ち度一切ないわけだから。
強いて言うならリーダーを見破られたというところぐらいかな。
でも、本当に驚かないといけないのはここからだよ。
「そして1位は…………」
一瞬どころじゃない、数十秒にも及ぶ真嶋先生の硬直。
2位の発表を通りすぎて1位と言われていることで、みんな気づき始めたのか一気にざわめきが大きくなる。
「これはわが校初の異例中の異例な結果となったが、心して聞くように。…………BクラスとCクラス。ともに282ポイントで同率1位となった。以上で結果発表を終わる」
一切の誤差なんてない、完全なまでに同じポイント数。
何が何だか分からないと、生徒だけじゃなく先生方もかなり困惑している様子だった。
「どういうことだよ葛城!」
反対側の休憩所から責めるような声が強く響いた。
葛城くんをAクラスの生徒たちが取り囲んでいて、その眼光は鋭い圧を孕んでいる。
「何かがおかしい…………。どういうことだ…………」
さて、どうしてだろうね。
BクラスとCクラスの生徒たちは驚きつつも、それぞれが一斉に集まって喜びを現にしていた。
まさかの同率1位という形でありながらも勝ちは勝ちだ。
「一之瀬」
名前を呼ばれたので振り返ると、そこには神崎くんが微笑みながら立っていた。
「今回の特別試験、お前のおかげで俺たちも勝利を得ることが出来た。本当にありがとう」
「にゃはは。私は対したことはしてないよ。それに私のお願いを聞いてくれたCクラスには感謝してる、こっちこそありがとうね」
「受けた恩は必ず返す。これからもよい関係を築いていきたいからな」
「私もだよ」
差し出された手を取って、固い握手を交わす。
今回の大勝利はBとCクラスの協力無しでは成し得なかったもの。
神崎くんの言ったように、これからも2クラスは良い関係を築いていけると私は確信していた。
「それじゃ一之瀬、俺はここで失礼する」
Cクラスは勝利の幸せを噛み締めながら船に向かって歩き出した。
私も清隆くんと愛里ちゃんと一緒に乗船するために歩き出す。
…………はずだったんだけどね。
「少し顔を貸してもらおうか」
茶柱先生はいつから教師を辞めて不良に転職したのかな。
横暴さで言えば不良そのものとも言えそうだけど、この人の場合はただの職権乱用してるだけだから不良よりも質が悪い。
清隆くんを目立たせないためにもおとなしくついていくしかない。
愛里ちゃんには先に自室に戻ってもらい、少しだけ罪悪感を抱きながらも秘密の話をする人員は揃ったわけで。
船の反対側までやって来ると人の気配も無くなり、静寂な空気の中で茶柱先生は話を切り出した。
「結果としては理想的なものだと思います。とりあえず満足してもらえましたか?」
「そうだな。まずは見事だったと誉めておこう。素直に感心した」
「じゃあ今すぐ聞かせてください。『あの男』がオレたちの退学を要求した話は本当ですか」
茶柱先生は柵に背を預けると顔を上げて空を見つめた。
大人な雰囲気の茶柱先生にはすごく似合う風景だったけど、今はそういうことを考えている場合じゃない。
「その話が本当だと言える根拠はあるんですか?」
「私がお前たちのことを詳しく知っている。それが何よりの理由だと思わないか。他の教員たちは綾小路の本当の実力を知らない。疑ってすらいない」
私みたいに惜しみなく力を発揮して欲しいという願望が見え見えだった。
最初から隠すつもりもないのかもしれないけど。
「有名な神話の話はお前たちも聞いたことがあるだろう。イカロスの翼」
「それが私たちとどう関係するんですか」
「イカロスは自由を得るために幽閉された塔から飛び立った。しかしそれは一人の力ではない。父であるダイダロスが翼を作るように指示し、飛び立たせた。自らの意思で飛んだわけではない。まさに今の綾小路にそっくりだと思わないか?」
「理解できませんね」
「あの男…………いや、綾小路の父親はこう言っていた。清隆と一之瀬帆波はいずれ、自ら退学する道を選ぶ、とな。太陽に翼を焼かれ大海に落ちて死んでいったイカロスのような結末を迎えるということだ」
何ともオシャレな言い回ししてくるよね。
私は結構好きだよ。
「これからどうするつもりだ?」
「先生も知っているでしょう。イカロスはダイダロスの忠告や助言を守らない」
「一之瀬はどうだ?」
「私は私のやりたいようにするだけです。それでAクラスになれば、茶柱先生も嬉しいですよね」
「そうだな。お前たちには期待している。これからも励むように」
潤沢な環境を用意するのは私の役目だからね。
みんなが不自由なく成長していけるように、私はBクラスをどんどん強くしていくだけだよ。
清隆くんと別れて自室で休んでいたところで、端末を見てみると堀北さんからのメッセージが来ていた。
愛里ちゃんを含めてルームメイトがみんな眠っているため、制服に着替えてから慎重に部屋を出て廊下へ。
メールにラウンジで集合と返しておいて、早歩きで集合場所に向かう。
周囲に迷惑をかけない程度に急いだつもりだったのに、堀北さんとは全く同時にラウンジ前で鉢合わせた。
少し息が切れているようだから、堀北さんもある程度急いでいたと見て間違いなさそう。
「とりあえず座って話さない? 立っているのもアレだしさ」
「そ、そうね」
何だか気まずい雰囲気を発しているみたいだし、私から話を切り出した方がいいのかな。
呼び出したのは向こうなんだから、話したいことも当然あるわけで私からっていうのは大丈夫なんだろうか。
「その…………まずは、あなたに謝らせてほしいの。入学してからずっとあなたに対して酷い態度を取ってしまったわね。本当にごめんなさい」
素直に驚かされた。
今回の特別試験で大失態を犯したとは言っても、深々と頭を下げられるだなんて想像すらしなかったから。
「謝らないでいいよ。私が知らないうちに堀北さんに嫌われるようなことしちゃったんだろうし、原因が分からずにいる私の方が悪いんだから」
「そんなことはないわ。私は一之瀬さんに嫉妬していたあまり、必要以上に突っかかるような態度を取ってしまった。許されることではないわ」
「嫉妬?」
「兄さんに認められているあなたが羨ましかったのよ。私は冷たく突き放されているというのに、他人のはずの一之瀬さんが認められていることがとても気に入らなかった。醜い嫉妬よ」
堀北さんの手前誤魔化したけど、大方想像通りだった。
彼女に何かしたわけではないし、桔梗ちゃんみたいに堀北さんを嫌っているわけではないから他に理由がないというのが正直なところだけど。
何より堀北会長は堀北さんのことを嫌っていないうえに、堀北さんの成長を誰よりも望んでいる。
答えを教えてあげるのは簡単だけど、ここではあえて言わないでおこう。
自分で気づくことが大きな成長を彼女にもたらしてくれる筈だからね。
「堀北さんの言いたいことはわかった。最初から私は気にしてないから、その話はここでおしまい。これからは仲良くしていこうね」
「一之瀬さん…………」
もう堀北さんからは負の感情が向けられているわけではなさそう。
これから上手く連携を取ることが出来れば、必ず堀北さんは戦力になってくれる。
わだかまりが無くなったところで、堀北さんは気になっているであろう話題を出してきた。
「ところで今回の特別試験の結果はどういうこと? 一体何をしたの?」
「あはは。話すと長くなるんだけどね。何処から話したらいいかなー」
「あなたがこの試験でしたことを全て。理解するためには必要なことよ」
堀北さんは変わろうとしている。
私がAクラスとDクラスのリーダーを見つけるためのきっかけを掴んでくれたのが堀北さんだと広めたことで、充分にクラスに溶け込む準備は整った。
口裏合わせのためにも必要な過程だろう。
「私は特別試験の概要が説明された時点で、追加ルールに目を向けることにしたんだ。みんなにも協力してもらって300ポイントをうまくやりくりしつつね」
「でも、普通にやったところでリーダーの特定なんて不可能よ」
「確かにね。だから私は自由行動を利用して、誰よりも先に最も重要な拠点である洞窟を目指すことにしたんだよ」
「Aクラスの拠点ね。洞窟がスポットだなんて何処で知ったの? そもそも位置なんて誰にもわからないはずよ」
「それがそうでもないんだよね。堀北さんは自室で休んでいただろうから見てないかもだけど、学校は船で無人島の周りを一周してヒントをくれてたんだよ。『意義ある景色を~』とか言ってたでしょ?」
考え込む仕草を見せる堀北さん。
体調が回復しつつある今なら思考力は戻っているはずだし、この言葉の意味はすぐにわかるよね。
「洞窟のスポットで私たちはある光景を見た。葛城くんと戸塚くんが洞窟を占有する瞬間だね」
「そこで葛城くんがリーダーであることが露見したわけね」
「違うよ。リーダーは葛城くんと一緒にいた戸塚くん」
入り口に立つ葛城くんがキーカードを持っていたこと、後から出てきた戸塚くんが合流して立ち去ったことも説明すると堀北さんは余計にわからないと言うように表情を曇らせた。
「その状況だと、葛城くんがリーダーだと誰もが思いそうなものなのだけど」
「欲に釣られた戸塚くんのミスをカバーするための保険だったんだよ。万が一見られていた時のために、葛城くんは用心していたんだろうね。Aクラスの内部事情から考えてもそうせざるを得なかっただろうし」
「そういうことだったのね…………」
「この時点でAクラスは警戒する必要はなくなったわけだよね。それで次はDクラスだけど、龍園くんがCクラスとBクラスにスパイを送っていたことに私は気づいたの」
「伊吹さんね。それに、まさかCクラスにもスパイを送っていただなんて」
2クラスにスパイが潜んでいるという事実、ピンチであることには違いないけど逆に利用すれば大きな戦果に繋がる。
「だとしてもおかしいわ。スパイを二人も抱え込んでいながら、BクラスだけでなくCクラスまで圧倒的な差で勝利している。これはどう説明するのかしら?」
「簡単だよ」
スカートのポケットに入れておいたキーカードを取り出して見せると、堀北さんは大きく目を見開いたのも仕方ないだろうね。
キーカードには『アヤノコウジキヨタカ』と書かれてあるから。
「それって…………」
「清隆くんには、リタイアした堀北さんの代わりにリーダーになってもらったんだよね。そして、Cクラスにも6日目の夜にリーダーの人にリタイアしてもらって代わりのリーダーを選んでもらった。スパイが誰かをちゃんと伝えた上でね」
この対処によって、BクラスとCクラスのリーダー当てをAとDクラスは外すことになる。
Dクラスは既に0ポイントだからいいとしても、Aクラスはこれだけでマイナス100ポイントは失ったということ。
「後はCクラスにAとDクラスのリーダーについて共有すれば、さらにマイナス100ポイント。Aクラスは270あったポイントを200も失ったわけだね」
「一之瀬さんの言うことは理解できる。確かにそれが実現すればAクラスは大ダメージを負い、BとCクラスは大量のクラスポイントを獲得出来るでしょうね。でも、どうやって信じさせたの? いくらメリットがあるといっても、外した時のデメリットが大きすぎる。リーダー交代の件だって素直に聞くとは思えない」
神崎くんも最初は怪訝そうな顔をしていたね。
もちろん代償がなかったと言えば嘘になる。
端末を取り出し、残高照会を開いて見せると堀北さんは顔を真っ青にして戦慄していた。
「187万6049プライベートポイント…………!?」
「ポイントについては秘密ね。これは清隆くんと愛里ちゃん、あとは神崎くんに堀北さんだけが知っていることだから」
本当は有栖ちゃんもいるんだけど、そこを明かすと今は面倒なだけだから黙っておく。
「もしも私の計画通りにならなければ、このプライベートポイントを全てCクラスに譲渡するって言ったんだよ。これでもし外してもプライベートポイントだけは確保できる。どちらに転んでもCクラスは得をする契約だったわけだね」
「…………馬鹿げてるわ。そんな大量の金額を無意味に吐き出していたかもしれないのよ」
「結果良ければ全て良しって言うでしょ? それに、真の狙いは今回の勝利に限らない」
「どういうこと?」
「事実はともかくとして、結果的にはBクラスとCクラスは結託してAクラスとDクラスを一斉に狙ったわけだよね。もしも堀北さんが狙われたクラスの生徒だったとしたら、今後はどう考えるかな?」
AクラスとDクラスを欺いての連携攻撃。
それが今回だけとは限らないと、どちらのクラスも思わずにはいられないはず。
「次回以降の特別試験もBクラスとCクラスは連携して他クラスを叩く。つまりは、BクラスとCクラスは同盟状態であると信じ込ませるということね」
有栖ちゃんと龍園くんあたりはすぐに気づくかもしれないけど、普通の生徒はそう考えてもおかしくない。
上からどんなに圧力をかけてそれを押さえつけようとしても、内では必ず燻っていてそこから綻びが生じかねない。
クラスポイントという意味でも、精神的な意味でも大きな損害を被ったのはAクラスとDクラス。
BクラスとCクラスはどちらの面でも優位に立っていることになる。
「全く…………言葉が出ないわ」
経緯を全て説明して、堀北さんはただそう答えるしかなかった。
自分の想像の埒外で行われていた戦略に、まともなリアクションを取れる人の方が少ないだろうけどね。
「ごめんね。結果的に堀北さんを利用した形になっちゃって。でもね、Bクラスに大金星をあげてもらうのに必要なことだったの」
「今さらそこを責めたりはしないわ。それに、あなたが兄さんから一目置かれる存在であることも充分に理解させられた。Aクラスも射程圏内に入っているわけだし」
恐らくは次の優待者試験で私たちはAクラスに上がると思う。
どこまで私たちが登り詰めることが出来るのか、それが楽しみでならない。
「よかったらなんだけど、堀北さんのこと…………鈴音ちゃんって呼んでもいいかな?」
「随分と唐突ね。…………構わないわよ」
「やった! 改めてよろしくね、鈴音ちゃん!」
「え、ええ。よろしく」
名前呼びの承諾と、友好関係の記しとして私たちは握手を交わした。
これからどんどんと戦いは激化していく。
私のためにも、みんなのためにも出来るだけのことはするつもり。
Aクラスに上がるというのもその副産物に過ぎないわけだけど、身近な人たちはそれで幸せになれるんだから。
そして私と鈴音ちゃん雑談もそこそこに、それぞれの自室へと戻っていった。
堀北陥落の巻き
次話から4巻の内容です
無人島特別試験によるクラスポイントの推移
Aクラス(坂柳クラス) 1074クラスポイント
Bクラス(一之瀬クラス)969クラスポイント
Cクラス(神崎クラス) 885クラスポイント
Dクラス(龍園クラス) 492クラスポイント