転生したら帆波ちゃんだったので、綾小路君の相棒になってみようと思います   作:レイラレイラ

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後半でやっと堀北との絡みが…………


Dクラスのリーダー

「それで、大事な話って自己紹介のことかな? 確かに大事な事かもしれないけど、先生に許可を取る必要があるとは思えないよ」

 

 平田くんの疑問は尤もだ。

 

 彼の言うように自己紹介だけだったら、先生がいなくなった後でいくらでもやればいい。

 

 皆も平田くんと同じ疑問を持っているのか、口には出さなくても表情にありありと出てる。

 

「あはは。まあ、そうなんだけどね。まずはお互いのことを知っておくのも大事なことだと思って。これからする話を受け入れてもらうためにも必要なことだったしね」

 

 より疑問が深まったという顔をする皆に背を向けて、黒板に書かれた私の名前を消していく。

 

 ここからがむしろ本題と言ってもいいかもしれない。

 

 先生が話した範囲で知ることが出来る情報を皆に話して、このクラスの意識を根底から改革していくには重要なプロセスだと私は直感してる。

 

 もちろん全部を話すには学校側から得られた情報が足りないし、クラスの成長を妨げる可能性もあるからね。

 

「それじゃあ、皆に問題! 来月に貰えるポイントはいくつだと思う?」

 

 何を当たり前のことを聞いているんだという、呆れが混じったような空気が展開される。

 

 想像できた反応だったけど、ちょっぴりだけ傷ついちゃうな。

 

「何言ってんだよ帆波ちゃん。今回10万貰えたんだから、来月も10万に決まってるって」

 

 微笑ましいものを見るように、山内くんが当然の如く答える。

 

 彼の言うことは間違ってないけど、それを正解にするのは今のDクラスでは難しいと思うな。

 

「うん、山内くんの言うことも正解だよ」

 

「へっ?」

 

 肯定されると思っていなかったのか、虚を突かれたように変な反応を見せる山内くん。

 

 もっと驚くことになるだろうから、何だか申し訳ない気持ちになってくるかな。

 

「でも、それを正解に出来るのかは皆の行動しだいかもしれないの。先生の言ってたことをよく思い出してみて」

 

 近くの人と話し合いを始めるけど、皆答えにたどり着かなかったのかすぐにその勢いは鎮火してしまった。

 

 頃合いを見計らって、チョークで黒板に茶柱先生が言っていたことを書き込んでいく。

 

「先生はこう言ってたよね。『()()()()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』って。つまり…………必ず10万ポイントが振り込まれるとは言ってないの」

 

 動揺の空気で満たされるのも当然のことかもしれない。

 

 毎月10万円のお小遣いを貰えると思っていたのに、それをいきなり否定されたら誰だってそうなると思う。

 

 そもそも高校生に10万円分のお小遣いをあげるっていうのも、普通に考えてもおかしな話なんだけどね。

 

「この学校は実力で生徒を測るって言うように、普段の成績とか素行とかも考慮されてポイントが増減されるシステムだって私は考えてる。その証拠に、皆も変に思わなかった? いくらなんでも学校中に監視カメラの数が多すぎるって」

 

 誰もが薄々感じていたのか、たちどころに広がる同意の声。

 

 私はその流れに乗るようにして、さらに推理に仕立てた情報を話していく。

 

「私たちの言動とか、授業態度とかも評価査定と思っていいかもね。ポイントは固定されてるわけじゃない、変動するものかもしれないの。それが一人一人を見たものかもしれないし、クラス全体の評価かどうかも断定は出来ない」

 

 浮かれきっていた雰囲気はもう跡形もなくて、今この場にあるのは沈みきった空気だけ。

 

 自分が原因だとは分かってるけど、Dクラスのためにも黙ってることなんて私には出来なかった。

 

「これは全部私の推測。だから、信じて貰えなくても仕方ないって思ってるよ。ただ気には留めておいて欲しかったの。空気を悪くしちゃってごめんなさい」

 

 私は神妙な表情で頭を下げる。

 

 こればっかりはどうしようもないことかもしれない。

 

 でも、五月の始めに絶望するクラスメイトたちを見たくなかった。

 

 私の身勝手なお節介なのは分かってるよ。

 

 皆も楽しく遊んだり、好きなものを買ったりしたかったよね。

 

 私はそれに水を差す真似をしたから、もし恨まれても文句は言えない。

 

 罵倒も覚悟の上で頭を下げ続けていると、ガタッと誰かが席を立つ音が聞こえた。

 

 大丈夫、覚悟は出来てるよ。

 

「俺は信じるぜ! 初対面で、しかも嫌な反応した俺を一之瀬は優しく諭してくれた。そんな優しいやつが言うんだ。だったらコイツの言うことは正しい…………そうだろお前ら!」

 

「須藤くんの言う通りだ。僕も一之瀬さんのことをよく知ってるわけじゃないけど、彼女は間違ってないと確信できる」

 

「私も信じる! 帆波ちゃんは何にも間違ったこと言ってないもんね!」

 

 須藤くんだけじゃなくて、平田くんと櫛田さんの肯定の言葉を筆頭に同意の声が一斉にあがる。

 

 信じてくれることはもちろん嬉しいよ? 

 

 でも本当に信じて貰えるとは思ってなかったから、正直に言うと困惑の方が強かったりする。

 

 もしも拒絶されたらどうしよう、そんな不安が常に脳裏をよぎっていたから。

 

「一之瀬さんの言う通りだとすると、遅刻や欠席も評価の対象かもしれないね」

 

「うげ、マジかよ。授業中に寝ないようにしないとな…………」

 

「待って、ということは節約しなきゃだよね。欲しかった服あったんだけど、我慢我慢」

 

 想像すらしていなかったまさに最高の結果に、私は言葉を失っていた。

 

 ただ、嬉しさのあまり涙が出ないように我慢するのに精一杯だったから。

 

 皆の前ではいつも笑顔でいたい。

 

 覚悟を決めて、私は皆を纏めようとリーダーらしく振る舞おうとする。

 

「皆、信じてくれてありがとう! 大変なことはたくさんやってくると思うけど、きっと乗り越えられるって信じてるから! 今日から三年間よろしくね!」

 

 私がどこまで出来るのかは分からない。

 

 だったら分からないなりに、少しでも良い方向に進めるように頑張っていけたらいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入学式を半ば浮かれた気分で過ごした後、教室で敷地内の説明を一通り受けてから解散した。

 

 ポイントの増減のことで気を揉ませたくなくて、私は清隆くんと遊びに行くと言っておいたからある程度ハードルは下げられたと思う。

 

 我慢しすぎていつか爆発しちゃったら意味がないからね。

 

 遊びに行く=デートだと思われたからか、清隆くんに殺意の目線が集中してたな。

 

「それにしても、あの短時間でよくあれだけの支持が得られたな」

 

「にゃはは。Dクラスの人たちが皆いい人だっただけだよー。私だけだったらどうなってたか」

 

「いや、あれは間違いなく帆波の実力だろう。他のやつがやってもああはならない」

 

「そ、そうかな…………」

 

 本当に清隆くんはたまにズルいことを言ってくる。

 

 本人にはその自覚がないだろうから、余計に質が悪くて困っちゃう。

 

 嫌じゃないから全然いいんだけどね。

 

 それはそうと、私たちはコンビニに向かって歩いている。

 

 腕を組んだり手を繋いだりしたいとは思うんだけど、羞恥心が勝ってしまって実行出来そうもない。

 

 それに清隆くんがコンビニが気になるって言うから付き合ってるだけで、これはデートじゃないんだから…………

 

「…………またしても嫌な偶然ね。入学前からイチャイチャしているような二人に出くわすなんて」

 

「い、イチャイチャ…………!」

 

「随分な言い様だな。と言うか、お前もコンビニに用事だったのか」

 

「ええ、少しね。必要なものを買いに来たの。…………それより一之瀬さん、あなたも人にポイントの大切さを説くぐらいなら呑気に遊びに来ているのは筋違いというものじゃないかしら」

 

 うっ、流石は堀北クオリティ。

 

 歯に衣着せない物言いの威力は流石と言えるけど、やっぱり少しは抑えて欲しいと思わなくはない。

 

 自覚している部分を的確に突いてくるから余計にね。

 

 でも、堀北さんはどこで私の話を聞いたのかな?

 

 教室にはいなかったと思うけど…………

 

 クラスメイトが私のことを話していて、その内容を聞いたのかな。

 

「私は意識しておいて欲しいって言いたかっただけだよ。それぞれの生活習慣とか、今までの癖はそう簡単に変えられないのは分かってるからね」

 

「そう。あなたがどうしようと私には関係のないことだし、好きにしたらいいと思うわ」

 

「あはは…………」

 

 苦笑気味に返していると、堀北さんは安価な日用品を籠に詰めていった。

 

 私も堀北さんにならうように日用品を籠に入れる。

 

「清隆くん。私先に買い物済ませて来ちゃうね」

 

「ああ。オレは堀北と話してるよ」

 

「別に私はあなたと話すことはないのだけれど」

 

 二人をその場に残して、無料商品が置かれているワゴンを流し見ながら会計に向かう。

 

 何人か並んでいる列の最後尾に須藤くんの後ろ姿が見えて、私は彼に声をかけた。

 

「さっきぶりだね須藤くん。さっそくお買い物?」

 

「一之瀬か。何か悪いな、せっかく注意してくれたのに。色々と入用でよ」

 

「気にしないで。もともと制限を科すつもりなんてなかったし。こうして私も日用品買いに来てるからね。おあいこだよー」

 

 そういえば、須藤くんはこの時学生証を忘れてきたはず。

 

 大丈夫かな? 

 

 雑談しているうちに須藤くんの前のお客さんは買い物を終えていて、須藤くんはレジまで歩いていく。

 

 ポケットとかをまさぐっているみたいだけど、学生証はどこにもなかった。

 

 今の須藤くんなら無闇に暴言を吐いたりはしない、そう思いながらもやっぱり心配だったから立て替えてあげた。

 

「あ、ありがとな。次は気をつける」

 

「言ったでしょ。困ったら頼ってねって。こういうのは助け合ってこそなんだから」

 

 私の会計も纏めて支払って二人で外に出る。

 

 清隆くんが私を見るなり荷物を持ってくれた。

 

 こういうことをさりげなく出来る清隆くん…………カッコいいが過ぎるよぅ! 

 

 堀北さんは私たちがコンビニを出る直前に帰っていたみたい。

 

 須藤くんは適当な所に腰かけると、カップ麺をすすり始めた。

 

 あ、確かここって…………

 

「おい、お前ら一年か? そこは俺らの場所だぞ」

 

 想像通りに上級生たちが須藤くんに絡んできたらしい。

 

 このままだと須藤くんが反抗的な態度を取って、上級生になめられてキレるところだ。

 

「…………そうかよ。今日はありがとな一之瀬、この借りは必ず返すからよ」

 

「えっ…………あ、うん。また明日ね!」

 

 カップ麺を持ったまま、上級生を無視して帰路を辿る須藤くん。

 

「ちっ。なんだよ、つまんねえな」

 

 須藤くんの反応に上級生たちは白けてしまったみたいで、右回れをして帰ってしまう。

 

 原作とはまるで違う反応だったけど、私としては良い変化を与えることが出来たんだなって誇らしい気持ちになった。

 

「そろそろ帰ろっか」

 

「そうだな」

 

 清隆くんとの帰り道。

 

 寮に戻るまでに彼に手料理を振る舞う約束した。

 

 ホワイトルームを出たらやりたいことの一つだったからね。

 

 二日目はどうしようかな、ポイントをどうにか稼ぎたいんだけど。

 

 …………有栖ちゃんを頼ってみよう。

 

 ちょっと試したいこともあるからね。

 

 

 

 




初日から圧倒的な団結力を見せるDクラス。
少しやり過ぎたでしょうか(汗)

帆波(憑依)に『■■のホワイトルーム生』的な二つ名をつけるとしたら

  • 慈愛のホワイトルーム生
  • 偶像のホワイトルーム生
  • 単純にホワイトルーム生No.2
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