ワールドトリガー 黒き支柱   作:ひよっこ召喚士

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他の作品を書き終わったら続きを書こうと眠らせていたものです。


一柱

 不法な手段で渡航できる国と成ると中々に限られてくる。時間を書ければ傭兵や商団なんかにでもついて行く事も出来るかもしれないが、一か所に留まる訳にはいかないので急ぐと、どうしても国の治安は良くは無い。

 

「大丈夫?(あおい)

「大丈夫…ありがとう()()()()

「何かあったら伝えてね」

 

 私の主である少女は元より攫われたショックや戦争に参加したことで心に傷を負っているが、度重なる移動で心身ともに疲労が出てないか、無理をしていないか心配になる。最低限の情報は調べてから動いているのだが、主の望みに少しでも近づけているか絶対的な確証が持てないのが自分の不甲斐なさを感じる。

 

 水に食料、服に日用品、身を守るためのトリガー、売買用の貨幣や貴金属、主が生きていくだけの物はどうにか用意し続けているが、何時限界が来るか分からない。せめてもう少し余裕が欲しい所だが、まずは今を切り抜ける事を考えよう。

 

 私は主に合図を出すと近くで此方を覗いていた影に攻撃を入れてまず反応を見る。攻撃を避けるか受けるかするようであればトリガー使いだと分かる。残念な事にこちらを見つめていた者はトリガー使いの様だった。

 

「ちっガキだと思ってたらこの動き、トリガー持ちかよ……嬢ちゃんたち、荷物全部おいて行くようなら何も命まで取る気はねえんだが無駄な争いは止めて降参してくれねえか?」

 

 発言から考えて追手では無いようだが、トリガーを持っている盗人となると軍隊崩れか元傭兵か、どちらにせよ碌な奴で無いのだけは確かだ。既に主はその身をトリオン体に変更している。他に人がいない事は確認済みとくれば、後は目の前の敵を排除するだけだ。

 

 私は自分のトリオンを持ちいて剣を作り出し、一気に相手に斬りかかる。素早く切り伏せるために前のめりな体勢になっているが、そこから更に転がるかのような勢いで斜めに剣を振るう。相手はスピードに驚くが慌てて下がり致命傷は避けた。

 

「ちっ、危ねえな。だがリーチはこっちが上だ」

 

 相手はトリオン製の槍を持つとこちらの攻撃の届かない範囲から届く範囲へ近づこうとすると大降りで薙ぎ払い距離を稼ぎ、こちらの体勢が崩れるとすかさず持ち替えて突きを放って来る。汎用型の量産品だがそれなりに耐久度もあるようでなかなかに崩せないでいる。

 

 やりようはあるが、面倒な方法に時間を取られる気は無いので、トリオンが少々勿体ないとは思うが仕掛ける事に決める。相手の大ぶりの槍にあえて合わせて剣を当て、弾き飛ばされる。するとそこだ!と言わんばかりに攻撃を仕掛けてくる。胸を突かれ、赤く体を染めてその場に倒れる。

 

「なんだ?トリガー持ってるだけでトリオン体も形成できないザコだったのか、警戒して損したな。そっちの嬢ちゃんはトリオン体に換装しているのを見たが、護衛は殺した。大人しくしたがった方が身のた、ガ八ァア……なんで、お前」

 

 男の胸から剣が飛び出しており、次の瞬間にはトリオン体はひび割れて肉体が現れた。私は着色した体を元の色に戻してから、胸に開いた穴を埋めて、動揺を隠せないでいる男の前に立つ。

 

「くそぉ、トリオン体の構成をいじってたのか……いやだとしてもトリオンが漏れないのもその場でトリオン体をいじれるのもおかしい……テメェまさか黒トリガー使いか!?」

「うーん、近いけどはずれだよ。正解はねぇ」

 

 男の疑問にただで答えてやる義理は無い。と言うよりも結局は物を奪いこちらの命を危険にさらそうとしていた人間だ。慈悲は無いのが当たり前である。次の瞬間には生身の男の胸に剣が突き刺さった。

 

「私自身が黒トリガーだよ」

 

 物を言わなくなった死体、残しておいてもそれほど問題は無いと思うが念のため消し飛ばすために銃を創造し、死体に向けて放ち起爆する。男の死体は完全に弾けて、消し飛んだ。一応男の持っていたトリガーは回収して置いた。何かと交換でも出来ればいいんだが……

 

「アトラス…私も戦うよ?」

 

 戦闘を終えて私の主の所まで向かうと何もしていない自分が嫌なのか、私を気遣ってくれているのか、はたまたその両方なのか、前にも聞いたことのある申し出を聞かせてくれた。

 

「ううん、葵は疲れちゃうから。私は疲れないからこれくらい任せてよ」

 

 戦力外だと言っている訳では無い、攫われた国で奴隷の様に扱われ、戦場に立り続けて生き延びた。そして私と巡り合い、今は帰りたいというささやかな願いを叶えるために恐怖や不安と戦っている。主は強いけど、だからこそ支えるのが私の役目、だって私は「Atlas(支える者)」なのだから。

 

 

 資格のある所有者が望むのであれば(フレンド)にも家族(ファミリー)にも従者(サーヴァント)にでも奴隷(スレイブ)にでも成り、所有者を支える。どのような姿、どのような存在と成ろうとも一つ確かに言えることはそれは絶対的な所有者の味方(アライ)であるという事。

 

 

「行こうか、葵。貴女の望みの為に」

「うん」

「私が必ず連れて行くよ『玄界(ミデン)』へ」

 

 それが私と彼女との約束だから。




公開設定をいじっておいてなんですが、前の作品書き終わってないので更新は基本的にはないです。他にも次のネタ用の作品があるのでこれが次になるかも分からないです。
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