「「誕生日おめでとうー!」」
ボーダー基地内、ラウンジの一角。9人もの人間が集まり、ホールケーキが置かれたテーブルを囲んでいる。ケーキには蝋燭が立っており、火が揺らめいていた。
早く火ィ消せよ、一気に行けよなー、なんて声がかけられる中私─東雲縁連は息を大きく吸い、蝋燭の火を一気に吹き消した。今日は私の誕生日。共に過ごすことの多いボーダーに所属している同級生達が簡単なパーティを開いてくれていた。
ケーキを切り分け、早速食べ始める。皿とフォークはしっかり準備したのに、誰も包丁の類を用意してなかったのでスコーピオンで代用したのは余談である。誰も気づかなかったの?ライターは気づいたんだけどなあ、なんて笑い合いながら、ワイワイと騒ぎながら食べていればあっという間に皿の上は空っぽになっていた。9人もいて、しかもその半分が男子高校生となれば当然である。ケーキは結構良い値段しそうな味だったし、何より隊長を務めたり、ボーダーで主戦力を務めていて忙しい友人達がこうして時間を作ってくれていることから皆がなんだかんだ準備していたことが伺える。そのことが1番嬉しかった。
「ホントにありがとう。」
「ええねん、俺らも美味いもん食えたしな。」
次の誕生日誰やっけ?またその時はケーキを食べれるわね、なんて茶化しながらテーブルの上を片付け始める。本当はもっと皆で過ごしていたかったが、これから防衛任務が入っているメンバーもいる。あんまりゆっくりはしてられなかった。その事を少し残念に思いつつ、だがテキパキと皿などを片付けてしまった。ちょっとでも長く皆と駄弁っていたかった。
それからは暫く9人で騒いだ。学校でのことや最近あったランク戦、流行りの音楽やニュースについて。話題が尽きる前に用意されていたジュースなどのペットボトルもすっかり無くなってしまうとと、急に蓮ちゃんがちょっとトリガーを貸して頂戴と言い出した。
「?良いけど、何するの?」
「まあちょっと待ってなさい。」
な 羽矢ちゃんがそう言いながら何やらボーダー用のノートパソコンを取り出すとトリガーに接続している。友人達の顔を見回せば何か知っているようにニヤニヤしている。一体なんなのさ、全く。
はい、終わったわよ。と羽矢ちゃんからトリガーを受け取る。外側には特に変化はないようだ。トリガーホルダーをひっくり返して確かめるが変なところは無さそうである。
「トリガー起動してみろよ。」
ニヤニヤするザキ君に言われてえー?何かしたでしょ、絶対。と言い返す。口々に皆がそんなことないよー、いいから早く早く、と急かされ期待の目で見つめられる。
「大丈夫よ、変なことは何もしてないから。」
羽矢ちゃんにそう言われて仕方ないなあー。とトリガーを握り込む。多少の悪ふざけがあったとしてもそんな悪意があるものではないだろうし、まあいっか。
「トリガー起動。」
いつも通りトリオン体に換装される。が、その服装は驚く事にいつもとは異なっていた。
深青色とでも表現すればいいのか、濃く、でもどこか透明感のある美しい青に黄色の細いラインが入ったジャージスタイルの上着。ズボンは上半身が暗めだからか対照的に明るく、もはや白に近いグレーで足元はコンバットブーツ。全体的なデザインは嵐山隊や迅君の隊服の色違いって感じだろうか。スッキリとしたデザインである。
「えっ!?何コレ!?」
「シノ、ずっと部隊に入ってないから隊服ないだろ。だからオレらからのプレゼントだァ。」
といっても主に頑張ったのは橘高だがなと弓場ちゃんが説明してくれる。思わず羽矢ちゃんを見ればどこか満足げに頷いている姿があった。
「うん、似合ってるわ。」
「アイデアは皆で出し合ったのよ?」
特に色はアタシだな、シノ結構そういう青好きだろ?と女性陣に言われ少し呆然としつつ頷く。夜明け前の空の様なこういう青は印象に残っているので確かに好きである。
「ありがとう。ホント、めちゃくちゃ、嬉しい。」
どうやってこの気持ちを表現すれば良いか分からず、言葉を選ぶ様に紡ぐ。ああ、幸せだ。私は本当に友達に恵まれている。
嬉しくて暫くボーダー基地内でずっとトリオン体で過ごす様になったのは秘密、のつもりだったが後日皆には普通にバレていた事が発覚した。それどころか後輩達から「新しい隊服良いっすね」とニヤニヤ言われてしまう始末。私そんなに分かりやすかっただろうか…。
とある日の19歳組達。入隊時期が分からないので何歳の誕生日かは不明な模様。初めは正隊員昇格祝いという形で書いてたんですが、設立時入隊のシノが昇格するのがどんなに遅かったとしても、スカウト組のイコさんがいたかが怪しいので誕生祝いに慌てて変更しました。