やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。続 作:角刈りツインテール
そういえばお気に入り100件ありがとうございます!(情緒不安定)
男子諸君は女性の部屋に入ったことがあるだろうか。女子が男子の、という逆も然りである。勿論だが家族は除く。義理の妹は…まぁ許そう。そもそもそんなのは都市伝説みたいなものだし。2次元にしか存在しないと考えていいと思う。
まぁそれはさておき。
異性の部屋というのはなかなか入りづらいものだ。
それは一体何故だろうか?
いい匂いがして緊張するからとか恋人と2人きり色々あるのだろう。くそが。
だが安心してくれ。その緊張は全く恥ずべきことではないと告げておこう。
例えば俺を見ろ。
男子の部屋だって入ったことない俺に女子の部屋が緊張しないわけないじゃないか。
だけどその緊張は他の人とは一線を画す。いい意味か悪い意味かは置いておいてくれ。つまりその緊張は至極当然のもので世の中には更に心拍数を上げるやつだっているのだから際立って君がヘタレというわけではない。
で、今回俺が言えることは一つだ。
女子の部屋、めっちゃいい匂いする…。
♦︎♦︎♦︎
「上がって頂戴」
「お、おう…」
彼女の部屋に上がるのはこれで2回目だ。1回目は文化祭で雪ノ下が体調を崩したときのお見舞い。2回目が今回、というわけで。
だが最初に入った時には俺と共に由比ヶ浜もいて、そのお陰でなんとかコミュ障を発動せずにいられたのだった。
今の俺は1人である。
ざっけんな。
高級感に加え女子の部屋特有のいい匂い(アロマ?フルーツ?)のせいか、俺の心臓は先ほどからバクバクしたまま収まらない。寿命が縮んでしまいそうだ。
ちなみに雪ノ下の部屋がどのようなものかご存じない方もために説明しておくが———先ほどから部屋と言っている時点でマンションというのは想像がついていると思うが———ただのマンションではない。高級ホテルのような内装に一見してお金持ちだとわかる。どうやら両親は県議会議員と地元中堅ゼネコンの創業家らしく、なるほど当然金持ちであると言わざるを得ない。
「服がかなり汚れているわね…」雪ノ下は俺を上から下まで見て一言。「何があったの?」
まぁ聞かれるだろうとは思っていたが本当にいきなりだな…。
「何も」
「騙されると思う?」
まぁそうだろうな、とため息をついた。出来ることならこの案件は俺だけで解決したかったのだ。何故なら、雪ノ下がこの事件に足を突っ込んでしまえばそれは即ち怪異に出逢うことと同じ意味を持つのだから。
一度怪異に遭った人間は再び怪異に遭いやすくなる。
もしそれが無かったとしても、雪ノ下の人間関係は多かれ少なかれ変化を遂げる。
俺はそれを阻止したい。
なんとしてでも。
暫くの間俺が黙っていたからであろう。雪ノ下は小さくため息を吐いて背中を向いた。
「ここに座っててくれるかしら。お茶とコーヒーどちらがいい?」
つまり、俺に飲み物を出してくれるということらしい。その中で聞き出せれば上々、といったところか。
「あ、いや別にお構いなく…」と言おうとしたのだが途端に彼女が悲しそうな顔をし始めたので即座に「お茶で」と返した。そんな表情をされてまで断る気はない。ならせめて面倒の少ないお茶の方が良いと思ったのだ。
その様子を見て彼女は微笑み、少し待ってて、とリビングに俺を残した。
バタン、とドアの開く音がして俺は正真正銘の1人になる。深いため息をついて上を見上げた。思考以外に特にすることもないのだ。
つーか体の傷、もう直ってんだけどな…ここに来る前にはもう切り傷さえ残されていなかった。さすが吸血鬼。つまりさすが俺。なんて考えつつ雪ノ下の帰還を待った。
♦︎♦︎♦︎
「おまたせ」
2分ほど経ってどうやく戻ってきた雪ノ下の手にはお茶———ではなく———いや正確にはお茶なのだが———何やら古風な道具と緑の葉が入ったケースがあった。
……え?
「えっと、雪ノ下さん、それ…」
「?お茶だけど…何か?」そう言いながらも手際良く作業を進めていく雪ノ下。
カカカカ、と手際良く抹茶がかき混ぜられていく。
何か?じゃねぇよ。
普通お茶って言ったらティーパックとかだろ。なんでそこから作ろうとしてんだよ本格的すぎるわ。
「いやそこまで本格的なものとは思わなくてな…だったらコーヒーで良かったんだが」
「気にしなくていいわよ。あなたは客人なのだから」
「…………。」
「どうかした?」
「いや別に」
そう、と言って抹茶を混ぜる姿は驚くほど様になった。まさに大和撫子、と言った感じでいつまでも見ていたくなる。てか可愛い。
まぁそれは置いておいて俺が不思議に思ったことは別にある。
なんか雪ノ下さん、優しくない?
別にいつもが優しくないとは言わない。部室では完全に浮いている俺にお茶を注いでくれるし細かい配慮もできるのだ。だが彼女は恐ろしく口が悪い。事あるごとに俺を罵倒する雪ノ下さんはどこへ行ったんですか。それ逆に怖いんですけど…?
「どうぞ」そう言って差し出された茶碗の中には一種のグロテスクとも言えそうな毒々しい緑をした抹茶が入っていた。飲む前から分かる苦味…いや、雪ノ下が淹れたものが格段というわけではなくあくまで一般的な苦さだ。さらに言えば普段からマッ缶———ちげぇ、コーヒーを好むものからすればその苦味は嫌いじゃない。むしろ良い。
「…作法とか知らねぇぞ」
「別にそこまでする必要はないわよ…」
「そうか。んじゃいただきます」
まずは一口頂く。
「うまっ…!?」
なんだこれ。
なんだこれ!?———程よい苦味、どころか甘みさえ感じる。隠し味に何か入れているのだろうか。美味すぎる。感動のあまり雪ノ下と茶碗を交互に見ていると彼女はおかしそうに笑った。
「失礼…比企谷くんが子供みたいな表情をしていたから、つい」
今そんな顔してたのか。はっず。
「うるせぇよ…まじで美味しいなこれ」そう言いつつ俺は一気に全て飲み干した。
「ご馳走様でした」
「お粗末様です」
「………。」
「………。」
「………。」
「………。」
言え、ということなのだろう。俺のことを抹茶で釣れるようなやつだと思ってんのかお前は。俺を買収したけりゃマッ缶一年分くらい用意しろ。
「つーわけで悪いな」
「そう、なら仕方ないわね」雪ノ下は再びため息をついた。「比企谷くん。帰り道には気をつけなさい」
「何する気なんですか…」
「な、な、何って…その、ね」と、突然顔を真っ赤にし始めた。「か…彼女として、彼氏が危険な目に遭うのを黙ってみてるわけには行けないと思うの」
「分かった、全部話す」
可愛すぎるだろ!何今の上目遣い!どこで学んだんだよ、んなもん…!
最悪だ。その場のノリで話すと言ってしまったがなかなか話せる内容ではない。せめて
「明日」
だから俺はこう言った。
「明日…全て話すからそれまで待ってくれ」
雪ノ下はそれを聞いて、ふっと微笑んだ。
「えぇ、待ってるわ」
その表情は、恋する乙女さながらだった。
「それと、お願い」
「…なんだよ」
「
恋人なんだから。
それは、なんとも言い難い甘美な言葉だった。
ゆきのんパートを書きたかったけどデレるゆきのんってそれだけでもうキャラ崩壊な気がして大丈夫かこれって書きながらなってました。まぁ可愛いので個人的には良いんですが…それはそうと感想評価お願いします(2回目)
ちなみに
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前作から見てる。
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続から見てる。